米国への“ハッピーロード”だ。ヴィクトリアMを制したテンハッピーローズ(牝6、高柳大)が、8日中京のサマースプリントシリーズ最終戦・セントウルS(G2、芝1200メートル、1着馬にスプリンターズS優先出走権)で秋初戦を迎える。

大目標のBCマイル(G1、芝1600メートル、11月2日=米デルマー)への前哨戦としてチョイス。その戦略と適性について、主戦の津村明秀騎手(38)が語った。

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その視線の先には、はるか太平洋を隔てた米西海岸がある。先週8月28日に津村騎手は、7年ぶりに栗東トレセンへ足を踏み入れた。悲願のG1初制覇をかなえてくれたテンハッピーローズにまたがるためだ。夜明け前のCウッドで6ハロン81秒1-11秒4。めざましい伸びを見せた。

津村騎手 調教に乗るのは初めて。坂路の追い切りVTRを見ると乗りづらそうだったけど、スムーズな追い切りでいい動き。久々に乗ってG1馬らしさというか、たくましく見えた。

BCマイル挑戦を掲げ、秋の始動戦に選んだのはセントウルSだった。芝1200メートル戦は20年8月の新馬戦(1着)以来4年ぶりとなる。同週にある1600メートルの京成杯AHなど、多くの候補からチョイスした。

津村騎手 米国への前哨戦としてはベストといえる条件なので。

迷いはなかった。高柳大師は「レース間隔と左回り、米国の速い流れに対応することを考えて、ここにした」と説明する。一昨年にはソングラインもBCマイル(のどの腫れで回避)へのステップレースとして出走している。

もちろん、単なるたたき台で終えるつもりはない。スプリント適性も見込んでの参戦だ。

津村騎手 もともと対応できるスピードはあると思う。セントウルSでもぶざまな競馬はできない。

バラを名に背負うパートナーは、6歳にして大輪の花を咲かせた。前走のヴィクトリアMでは単勝200倍超の14番人気ながら追い出しを待って衝撃的な豪脚で突き抜けた。堂々の女王として世界へ。中京芝412・5メートルの直線は、デルマーへと飛び立つ滑走路となる。【太田尚樹】

◆中京開催なら前走マイル組!? 改装後の中京で開催された20~22年のセントウルSは、20年ダノンスマッシュ(前走安田記念)、21年レシステンシア(同ヴィクトリアM)、22年メイケイエール(京王杯SC)と「距離短縮組」が全勝している。特に「前走マイル組」は3年間で9頭が出走して【2 1 1 5】。勝率22・2%、複勝率44・4%、複勝回収率141%と好成績だ。