今回が7回目の再演、アウグスト・エファーディングの明快な演出でのサロメを新国立劇場で見ていました。初見参、2〜3年前チケットを用意したのですがコロナ中止だったので満を持してというところ。

意外に盛況でトイレが混んでいました。もっとも休憩ナシの事前周知が徹底されていたからかもしれませんが。
席は久々にD席で4階の端、前のオジサンが頑張るので見ずらいの何のって。更にサイドの先頭の老人が右に左に動くので最後のヨハナーンの首が見えずいい加減頭にきて金輪際D席や止めようと固く誓ったところです。

特筆すべきはトリンクスと東フィル。金管の鋭い叫び、ホルンの和音、弦の濃厚さ、ヴァイオリンのソロ、3拍子の取り方、ティンパニの打撃、踊りの時のオーボエまでもがRシュトラウスの音になっていました。この音は録音では聞けません。そしてポルタメントやピチカート、アクセント、微妙にパウゼ的な感じなどのニュアンスが心憎いばかりにばらの騎士に通じるRシュトラウスになっていて楽しめました。

サロメはペンダチャンスカというスペイン出身のソプラノ。ヨハナーンの首をもらってから俄然強烈な声を張り上げていましたが前半はサロメの異様さをもっと出してと思うところも。チョッと頭のおかしな狂人・変人など病的なところを。
踊りは前半は後方からのシルエット、出てきて最後衣服を脱いだところへすかさず母親が羽織るものを被せるといった方式。

ヨカナーンのトマス・トマソンにも怪奇な異様さをグロテスクに・・・極端にならないのがエファーディングさんだったかと思うと納得なのですが。

ジェニファー・ラーモアは実績十分、実力十分の歌唱。いいですねぇこの声が。

最終日、千秋楽。多少、お疲れなのかナラポート隊長といいバスが受け持つユダヤ人といいオケに負けて何を言っているのかサッパリ聞き取れず辟易。

ノット・東響のエレクトラを聞き逃した悔しさが大分晴れた新国サロメ。ただサロメには大物が欲しいですねぇ。