地震から半年、復興道半ば 知事ら「遅い」「町並み変わらず」指摘

能登半島地震

土井良典 久保智祥 上田真由美 赤田康和
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 能登半島地震から半年の1日、岸田文雄首相の肝煎りで立ち上げた復興を前に進める「能登創造的復興タスクフォース」の初会合が輪島市であった。馳浩知事や被災6市町の首長が集まり、現状認識を共有した。

 タスクフォースは、発災から県庁に置かれた国の省庁横断的な組織の態勢を100人から150人に強化。特別な拠点は設けないものの、国の出先機関に人員を振り分ける。

 会合で、泉谷満寿裕珠洲市長は、市内の通水割合が84%で、「いまだに757世帯で水が使えない」と強調。施工業者の応援強化を求めた。大森凡世能登町長は公費解体が進まない状況などを踏まえ、「現状は非常に厳しい。復旧のスピードが上がらない」と述べ、茶谷義隆七尾市長も「町並みが変わらない」とした。

 発言した環境省の職員が「(被災地の)『景色が変わった』と感じてもらえるようにしたい」と意気込む場面もあった。

 会議の議論は非公開だったが、公費解体の問題や宅内配管を含めた水道の復旧、復興プラン策定や区画整理に伴うマンパワー不足、帰還者の増加に対応する福祉医療の態勢づくりなどが課題に上がったという。

 会議で馳知事は復興の遅れの声が出ていることに触れ、「現場で公費解体、上下水道、仮設住宅の入居、これらが進んでいないことに対する率直なご不満だと思う」と発言。会議後、報道陣に「進捗(しんちょく)管理を踏まえて、復興全体を動かしていく政府の方針に感謝している」とタスクフォースを評価しつつも、「被災者からみれば、(復旧復興の現状は)とにかくやっぱり遅い。自分の目の前にあることが片付いて一歩前に進まなければ遅いわけで。リアルタイムの被災者の声を聞き、県の復興プランを実行することで不満を解消する」と述べた。

 タスクフォースの会議は今後未定だが、2週間~1カ月ごとに関係者が集まって開く方向だという。

 この日の早朝、馳知事は県庁で犠牲者への黙禱(もくとう)を捧げ、幹部を集めた訓示で、「県庁の非常事態宣言は解除されていない。被災者に寄り添った対応を」と求めた。(土井良典)

     ◇

 輪島市では、発生時刻の午後4時10分に、坂口茂市長や職員らが市役所内で黙禱。珠洲市では、同4時から始まった市の事務的な連絡調整をする復旧・復興本部会議の中で、泉谷満寿裕市長や幹部職員らが黙禱をした。

 この日、輪島市内を視察した松村祥史防災担当相は視察後、報道陣の取材に応じた。公費解体について、「熊本(地震)と比べると確かに遅れている」と述べた。今後、解体の加速には「宿泊施設が必要」としたが、具体策は述べなかった。

 また、今回の地震で初期の避難所が食料不足など過酷な状況となった問題については、「厳しく受け止めている。今後、改善していかないといけない」と述べた。(久保智祥、上田真由美、赤田康和)

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この記事を書いた人
久保智祥
金沢総局
専門・関心分野
寺社、宗教、文化財、文化、美術
能登半島地震

能登半島地震

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