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【石川】ブルーベリー収穫 人手不足 一大産地の能登町

2024年9月13日 05時05分 (9月13日 10時26分更新)
復興支援の一環で、ブルーベリーの収穫を手伝うわかさ生活の社員ら=11日、石川県能登町上町で

復興支援の一環で、ブルーベリーの収穫を手伝うわかさ生活の社員ら=11日、石川県能登町上町で

◇「減」摘み取り体験者
◇「増」 農家作業「支援を」

 ブルーベリーの一大産地の石川県能登町で収穫作業が大詰めを迎える中、能登半島地震の影響で一部の観光農園が人手不足に悩まされている。摘み取り体験に訪れる観光客が減少して、農家自らが収穫する量が増えたためだ。そんな負担を和らげようと支援を続ける企業もあるが、来季以降の客足の回復は見通せず、綱渡りの状況が続いている。(奥川瑞己)
 町ブルーベリー普及センターによると、約90のブルーベリー農園がある同町では、計約13ヘクタールの土地で約1万6千本が栽培され、年間生産量は約25~30トンを誇る。一部は観光農園として営まれ、県内外から訪れた客が摘み取って、持ち帰るなどしていた。
 客足が減ったことについて、センターの中山幸永所長(61)は「余震や道路状況の悪化、宿泊施設の休業が影響した」と指摘。集客が見込めない分、青果卸売会社への出荷量を増やしたり新たな販路を開拓したりして収益の確保に努めてきたが、「客に摘み取ってもらえない分、生産者が収穫しなければならず、労力がかかっている」と窮状を説明する。
 ひらみゆき農園(同町笹川)では観光客が例年の約3割に落ち込んだ。栽培する約3割を観光客に摘み取ってもらっていたといい、平美由記代表(46)は「収穫メンバーは確保できたが、ことしは豊作なのも相まって、収穫できても等級別に仕分ける選果が間に合わなかった」と話す。
 みづきブルーベリー武藤農園(同町福光)では新型コロナ禍前に年間約2500人が訪れていたが、今季は1割以下の約200人にまで減り、武藤利夫オーナー(69)は「パートを雇って対応している」とする。
 そんな中、ブルーベリーを用いたサプリメントを企画販売する「わかさ生活」(京都市)は、町内の農家とも取引していた縁から収穫支援に取り組んでいる。11日には社員7人が両農園を訪れて、熟れ具合や傷の有無を確かめて摘み取っていた。収穫支援は9月下旬まで行う予定で、同社営業担当の根本萌華(もえか)さん(22)は「震災後の能登の現状も伝えていきたい」と話していた。
 中山所長は「アクセスが良くならんと、客は戻ってこん。(現状が)2~3年は続くかもしれない」と予想し、「来年以降も支援が必要だろう」とみる。同社広報は「一過性ではなく継続的な支援が必要」として、今後は町内のブルーベリー商品を自社サイトで取り扱うことも計画しているという。

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