外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2020年12月

今年のつぶやき4

初めての試みですが、一年の終わりを迎え、今年をつぶやいてみたいと思います。

コロナで振り回され、地球上のすべての人にとって忘れることができない2020年となりました。多くのニュースがコロナ関連でありましたが、あえてコロナが与件となり、不安と大きな変化の中で過ごさざるを得なくなったという意味から様々な現象が起きたのもこれまた無視できない事実。とすればコロナは社会や経済に構造的変化を与えたのかもしれません。ポストコロナは社会現象にも変異種がいろいろ出てくるでしょうが、亜種ならぬ亜流と主流はよく見極めることも大事になってきそうです。

では今年のつぶやきをお送りします。

マネー好きには歴史的な一年
日経平均は3月の底値から9カ月弱で約11000円、幅にして60%以上上昇、NYダウも概ね11000望緇困掘△修良63%程度、史上最高値を付けた金は4割上昇、ビットコインにおいては4.7倍に跳ね上がっています。コロナでそんな景気良い話がある筈がないと思った多くの売り方は買戻しをせざるを得なかったのが今年のマネー相場でありました。

その原動力は中央銀行による超低金利への長期コミットメント、政府がばらまいた各種支援金、そして在宅の時間を利用して投資をする「新カウチ族」の登場でありました。お金を使いたくてもロックダウンで人にも会えなければ洋服も靴もいらない、レストランに行けなければフードデリバリーという名の出前を頼むしかなく多少高い値段払ってでも懐は全く痛まないというのが今年の特徴だったと思います。

しかし、そろそろ考えなくてはいけないのは確定申告。政府支援金を貰ったはいいけれどそれは所得で税金がかかります。北米では日本のような「特定口座源泉徴収アリ」はないので20年末で多額の利益を上げた人は確定申告の際に多額の税金が発生します。そのために現金をご用意しなくてはいけないことで市場に与えるインパクトは無視できないと思います。終わりなき祭りはありません。宴の終わりにストーリーが生まれるのが歴史です。

安倍晋三氏のみそぎ
今年、様々な政治の話題があった中で奇妙に印象的だったのがスポットライトが消えた石破茂氏でありました。世論からはあれだけ高支持率だったのに場外に押しやったのは恐ろしいまでの二階権力でありました。石破さんが好きが嫌いかは別にして政治って誰が決めるのだろうと改めて考えさせられました。私は石破さんは次の選挙に向けて自民を割るぐらいの心構えがあるのか、見てみたいと思います。

多くの方はそれじゃ小沢一郎氏と同じじゃないか、とおっしゃるかもしれません。しかし時代も世代も変わりました。自民じゃなくても他に良いところがあればいいと思う新世代は着実に増えています。菅首相については私は当初から評価も期待も低かったのはこのブログをお読みの方はご存じかと思います。人事をやったことがある人ならわかると思いますがNO2はNO1には不向きなのです。裏方は表舞台を得手としていないのです。役者で裏方から大物になった人なんて一人もいません。仮に人事部長が決める首相人事なら菅総理は絶対にありません。私は麻生さんに1年中継ぎをしてもらい、次の総裁選までに競争力ある人材を育てるべきと申し上げました。なぜ麻生さんかといえば自民党は人がいるようで安倍さんが育てなかったツケが廻ってきたのです。

衆議院解散なんていう強気の姿勢はもはや風前の灯火で菅政権をどう失速させないかという守りの状態でありますがその中で菅総理が一番ナーバスになっています。各種世論調査でズバッと数字を見せられた今、菅さんは氏の政治生命で最も弱い状態になっています。そして派閥もないため消去法の選択で首相となった今、逆境には弱いということをさらしてしまいました。安倍さんは桜問題を踏まえてどうされるかわかりませんが、許されるなら外務大臣にでもなって外交だけでもサポートすべきだと思います。それが本当のみそぎではないでしょうか?

ひろの一年
しっかり乗り越えた、これが私の1年です。業績は年初目標を達成できませんでしたが種まきだけは十分にさせてもらいました。大崩れさせなかったというのが自己評価です。不動産事業が生業ですのでコロナが直撃し、一部のテナントには政府支援策が打ち出されるはるか以前に「賃料最大100%減額」など様々な支援策を打ち出しました。想定外だったのはそんなことをいち早くしたことでいろいろな方の評判になり、あちらこちらからお褒めを頂いたことでしょうか?ありがたく思います。

私どもの経営支援先事業は売り上げ前年比3-6割増となりました。昨年末に買収した日本の教科書輸入販売事業も逆風の中、積極営業攻勢をかけ、カナダの最東部プリンスエドワードから最西部のBC州ビクトリアまで販売網拡充をするなど十分に種を蒔きました。新規不動産開発事業も3本が進み、来年は佳境を迎えます。うち一つは小型ながら多分、世界でも前例がないスキームを編み出し、顧客と同意しましたので実験的事業を開始します。

多分、私の一年はクレージーだったと思います。一日も休まず会社に行き、週6日働き続けたのは単に業務のボリュームが多いというよりこの空隙こそ攻めの時と考えたのです。そして新たなる時代のデファクトスタンダードを考え巡らせながら先手先手で勝負をかけてきました。多くの事業者は守りの1年でした。もちろん、厳しい向かい風でしたがそれ以上に順風を吹かせれば追い風になります。例えばクレームに対して顧客の期待を超えた対応を即座に行う、そして顧客第一主義の姿勢を見せました。経営者はビジネスという戦場にいる以上、どんな弾が飛んできても前に進む覚悟を持ち続けなくてはいけないのです。

後記
私の人生観を通じた2020年は「大きく変わる前触れ」。コロナだけじゃなく、アメリカ大統領選挙にみたバトル、嵐の活動休止やAKBの紅白落選、有名人の自殺にみる音楽や芸能の変化、英国のEU離脱、香港弾圧、更には原油価格がマイナスになるという珍妙な事件もありました。すべては「今まであったことがそのまま続くわけではない」ことを示したと思います。大事なのは惑わされず、自分をしっかり持って信念を貫くことではなかったかと思います。本当に厳しい一年でしたが、全ての人にとって大きな教訓となったことも事実です。まだこの先はわかりませんが、しっかりと気持ちを持ち続けていきたいと思います。

多くの読者さん、そして数多くのコメント、うれしく思います。特に常連さんの辛口コメントやひとひねりした見解に私自身このブログの本当の面白さはコメントにあり、だと思っています。ありがとうございました。そしてよいお年を。

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また明日お会いしましょう。




新・個人主義4

東大名誉教授の上野千鶴子氏が「おひとりさまの老後」という書を発刊したのが2011年。その後、おひとりさまシリーズとして「男おひとりさま道」「おひとりさまの最期」を次々と出しました。私も読みましたがその頃からお年寄りが一人でも生活できる実感が出てきた時でもあります。

食事はスーパーのおひとり様用総菜コーナーで購入すればよいし、重いものはアマゾンやスーパーの宅配で調達、ネットという便利なものでほとんどの生活は不自由せず、出かけるときは病院に行くときだけなんていう方もいらっしゃるのかもしれません。

老人の一人住まいで困るのが掃除と何か壊れた時の対応。ひと昔前には街中にはナショナルショップ(今のパナソニックショップ)のような電機のよろず屋さんがあり、「電球買うから電球の交換もお願い」と言えたのですが、今はなかなかそういう時代でもなく、この辺りが不便なところなのかもしれません。

しかし、お年寄りですらおひとり様で悠々自適に過ごせるのであればそれが全世代に伝播しないわけがありません。

日本で個人主義が概念として伝わったのは明治維新の頃とされますが、それが直ちに水平展開されたとは思えません。特に戦時中は全体主義的な傾向、戦後の高度成長期における集団主義では個人主義を意図的に隠す必要すらあったかもしれません。ところがバブル崩壊後、軽薄短小、多品種少量生産が普及したところから若者を中心に個人主義が芽生えてきます。

しかし、当時の個人主義は大枠からは外れないながらも流行ばかりを追わない個性を見せ、いわゆる画一的なブランド商品の押し売りが崩れ始めた頃であります。糸井重里氏風に言えば「ちょっぴり自己風」(これ、私が作ったキャッチです)だったと思います。特にファッションでその兆候が見え始めたのが90年代でした。

音楽の世界では芸能事務所とテレビ局やメディアの連携もあり、なかなか崩れませんでしたが、ここにきて一部人気グループの凋落が明白になってきています。この背景は音楽個人主義が本格的に浸透してきたためですが、個人的にはiPhoneと白いイヤホン、それに音楽のストリーミング再生という技術が「こんな曲もあるんだ」という発掘につながったのでしょう。最近では「オリコンの没落、ビルボードの躍進」(=人気曲の選出方法を多面的で複雑化させた)が指摘され、音楽個人主義を後押ししているとされます。要は一部の企業による操作が出来なくなり、本当に自分が好きなのは何なのか、個人が探せる時代になったともいえます。

そんな着実な個人主義が今後更に進展する可能性があるとみています。それは「コロナが変える世界」の一つで仕事のやり方や人との付き合い方の変化を見て取っています。以前にも指摘しましたが、コロナとは無関係にフェイスブックは本当に活用されているのか、という疑問があります。私の周りでは登録はしているけれど積極活用している人が少なくなってきているのです。一部では「関係の薄い人とは切る」という明白な行動をしている人もいます。かつては「お友達の数」が多い、少ないの議論をしたと思いますが、今では別に5人でも10人でもいいしっかりつながっている方がいい、という時代になってきていないでしょうか?

つまり、モノと情報があふれる時代に於いて人々は腹いっぱい食わされ、消化不良を起こし、「何か変だ」と思い始めたのが昨今の動きではないかと思うのです。

リモートワークが普通になっても都心に住みたい人もいれば田舎に引っ込む人もいます。レストランで食べる選択肢とデリバリーしてもらう選択もあります。旅行だってそのうち実際に行くだけではなく、VR旅行が可能になりそうです。フィットネスはジムに行かなくてもアップルをはじめ各種フィットネスアプリを使って自宅でやるかもしれません。

つまり、そこは人と繋がる必要が無くなってきているのです。言い方は悪いのですが、上野千鶴子氏が「おひとりさまシリーズ」をお年寄りをターゲットにして書いたのは衣食住といった基本生活の確保という最も単純モデルであったけれどそれから10年近くたってどんな人にもおひとりでも満足を与えられる社会が出現したと言えないでしょうか?

私はこれぞ「新・個人主義」の始まりだと思っています。だからこそ、ビックデータのように人々の行動規範をベースに個人の行動を予測されるのを嫌い、偏屈になる人だって当然出てくるわけです。ただ、偏屈とは迎合しないという観点であれば「世の中総偏屈主義」にすらなり得るともいえます。

カナダに29年も住んで個人主義のメッカ故に強烈な個性を持つ日本人に囲まれながら自分もいつの間にかその色に染まってしまった経験を感じながら日本でもそんな社会が遠からずやってくるのだろうと思わずにはいかないのです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

習近平国家主席の死角4

習近平体制は盤石なように見えます。多少のざわつきは力づくで弾圧し、何もなかったかのようなふるまいをします。中国の報道官の発言を見ていると実に対立的で独善的、非協調的で中国を中心に世界が廻るという中国天動説であり、これは中国の長い歴史にほぼ共通する価値観と位置づけであります。

香港だろうが、チベットだろうが、南沙諸島だろうが怖いところ知らず。今では世界のコロナワクチン開発競争で中国陣営への供給を通じて世界の中国ファン層をより増やそうという外交戦略を着々と進めています。

他方、経済は小平氏が唱えた社会主義市場経済を1992年より採用しており、国有企業と私企業が微妙な関係を維持しながら双方が両輪の輪のような役目を担ってきたのがこの28年でありました。私は中国共産党がそう簡単に崩壊するなどとは思っていないし、仮に崩壊するのであればある日突然消え去るのではなくその予兆というものがどこかで見えるのだろうと考えています。

過去、数十年、中国という国を横目で見ながら思ったことは外敵に叩かれれば叩かれるほど強くなる体質である点でしょうか?中国は歴史的にも外交は一時期を除けば下手ではありません。朝貢という貢物の外交を通じた独特の手法の片鱗は今でもアフリカ諸国やベネズエラをはじめ、イタリアなどの欧州、そして今ではトルコを取り込むべく政策にも見て取れます。

トランプ大統領が中国を締め上げたことは確かに影響があったように見えますが、中国はしたたかであり、それぐらいではへこたれなかった、そしてここでアメリカの代表選手の交代があったとしても中国はさして何も恐れていないというスタンスにみえます。

ところが、中国のもう一つの歴史は国内の分裂であります。つまり、内部にこそ、その最大の敵は存在すると考えるべきでしょう。直近の分裂は戦後の共産党と国民党の分裂です。日本は中国との戦争の際は国民党と戦っていました。今の共産党とは戦っていません。ところが戦後、毛沢東率いる共産党は国民党を台湾に追いやり、本土制覇をします。これはほんの一例でこんな歴史が過去延々と繰り返されてきたのです。

中国共産党はそもそも毛沢東氏がベースを作り、小平氏がそれを進化させたといってもよいのですが、同氏が1997年に死去してからグリップが効かなくなったように見えます。それがいわゆる閥の顕在化であり、上海閥、団派(共青団)、太子党という三大閥同士の権力闘争であります。太子党の習近平氏がトップについてからはこの内部の力関係の制圧と粛清に力を注いできたのはご承知のとおりです。

私がもし、習近平氏に隙があるとすれば派閥闘争をしている間に小平氏が唱えた社会主義市場経済における私企業の躍進ぶりに無頓着だったという点であります。国営企業がインフラを主体とした伝統的企業が主流であるのに対して中国人の資質的に得意とみえるコンピューター、IT、そしてデジタル社会が国家の新たなるインフラとなることを放置しすぎたかもしれません。

アリババ社の金融子会社、アント社の上場をその2日前に食い止めたのはアリババ社の創業者であるジャックマー氏の共産党への批判的声明があったからとされます。マー氏のその後の動静についてはあまり聞こえてきません。完全に監視され、国外にも出られず、行動を起こせない状態にあると一部で報じられています。

アントの上場中止を指示したのは習近平氏、一方、アリババが巨大すぎて潰せないというのもまた事実。しかし、習近平氏がマー氏と業務改善命令で手足を縛られたアント社を締め上げたことで中国国内を二分化するきしみ音の素地を作った可能性があります。実質国営企業のファーウェイを除く中国の巨大IT企業、テンセント、バイドゥ、京東といった創業者たちが同じような加速度的成長の道を歩む中、「その向こうの壁」を見せつけられた今、仮に私企業軍団が反旗を翻せば共産党の一党支配体制は統制を失わせるに足る十分なパワーがあります。

それは今日においてどんな武器や軍隊よりも強く、強大な情報網とデータを通じて人民のマインドへの圧倒的影響力を持てるからです。

それに対して中国政府は独占禁止法の改定を21年早々に行い、巨大企業への政府の関与を深める工作に踏み切ります。それが政府対私企業の戦いの火ぶたとなれば盤石の習近平体制に国内の不和というクラックが生じる点は否定はしません。内部分裂は中国の歴史なのです。

ブラックホールは内部崩壊によって生まれます。巨大になり過ぎたとき、外圧にはめっぽう強くなるけれど内部が蝕まれているということはしばしば起きるものです。フランスの宗教革命もそうでした。絶対はなく、それは思わぬところからそのきっかけが生まれるのがこれまた世の性ともいえるのでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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ディスインフレの中での資産形成4

いつもの年よりは少ないかもしれませんが、ボーナスが入り、どうしようか、と考えている方も多いのだろうと思いますが、アンケート調査によると38%が貯金と答えています。使うにも制限が多すぎる昨今、とりあえずは貯金しておこうか、ということでしょうか?

日本で貯金と言っても実際には金利もほとんどない時代が延々と続いているのでとりあえず、銀行という金庫にしまっておく、と考えてよいかと思います。また老後のためにとっておくのはある程度の歳になって貯金が「これしかない」というリスクを回避するためでしょう。

日銀の黒田総裁はインフレ率2%を半ばあきらめていますが、私が見る日本の構造的ディスインフレの背景としては ゝ蚕儚弯靴砲茲訃ι焚然焚射遏´企業の価格競争 需要減(成熟社会と人口減による)ことが主因だろうと思います。ただ、それ以外にあと二つ、異論があるとは思いますが、付け加えさせていただければ だ府の政策 グ拌悗留洞舛あるかと思います。

い寮府政策の一例は左派的ともとれる携帯電話の引き下げ政策やコロナの現金給付政策です。産経の田村秀男編集委員も指摘しているのですが、引き下げた携帯使用料分が他の消費に回らず、貯蓄に回るというものです。コロナの現金給付も麻生大臣が指摘したように消費には廻っていません。菅総理肝いりのこの政策は一般受けはよいのですが、何を企て、それが思惑通りになるシナリオがあるのか、であります。菅総理が老後の生活を支援するため、というならシニア割引制度にすべきでしょう。

もう一点、この携帯電話引き下げについてはNTTなどが発表した価格引き下げ案がネットによる申し込みを原則としており全国約8000店ある携帯ショップの存在を完全否定してしまうのです。これで数年のうち、携帯ショップの過半は消える運命となるわけでそのビジネス機会と雇用の喪失は一応、頭に入れておく必要があるでしょう。

ディスインフレ社会になって20年以上たつ中、政府による消費刺激策はあまりにも多く出現しましたがどれも需要増を長く維持することはありませんでした。一方、携帯電話料金の引き下げは直ちに統計上のデフレ要因に反映されるので黒田総裁としては「うーん、逆風が強まる」と警戒感を示しているのではないでしょうか?

為替については「市場に聞け」ですので大ぼらを吹くわけにはいかないのですが、2021年度は米ドルが対主要通貨で減価する予想が強まっています。理由は財政問題、利回り低下によるアメリカの長期国債への魅力低減、国力や威信への疑問、更には二分化、多分裂化する国内情勢もあります。そうなれば円は買われやすくなり、円ドルで100円突破はあり得ることになります。

これは輸入品の価格低下をもたらしますのでディスインフレ要因になります。つまり、どう見ても日本を取り巻く環境はインフレではなく、ディスインフレないしデフレであります。よってタンス預金だろうが、貸金庫だろうが、金利のつかない普通預金や定期預金でも長期的に見ればお金の価値はさほど下がらないのかもしれません。

そうだとすれば投資をしましょう、資産形成をもっと考えましょう、という機運が出てこないのです。言い方を変えると日本の場合は貯金を殖やすのではなく、「減らさない」という観念で捉える向きが強くそれに従えばデフレ万歳になってしまうのです。

北米にいる私からはそのような見方はもちろんないわけで「お金には24時間365日、働いてもらいます」という姿勢であります。つまりロボット君やコンピューターだけではなくお金も「働かせ倒してなんぼ」なのです。北米でも金利はほとんどつかないので株や不動産への投資は堅調ですし、自分で銘柄選びができなければ投資信託がそれなりの成果を生んでくれています。

私もほったらかしにしているカナダの老齢年金の投資信託がありますが、十数年で2倍ぐらいにはなっています。顧客の90歳を超えたカナダ人のおじいさんがビットコイン投資をしているのにはたまげましたが、国民全般に投資という意味をよく理解し、積極的にお金を入れているともいえそうです。

資産形成をしたい、老後のためにもっと積極的にお金を運用したいと思わせるには物価が下がるような政策は真逆の効果となるため、本来なら政府は消費を増やすために知恵を絞らねばならないのです。

例えば年式が15年以上経った車には環境税と称して所有税がかかるとか、コンパクトシティ化を推進するために集落に住んでいる住民に近隣の街への移住促進政策をするとか、確定申告で電子申請は税額控除額をもっと増やす、空き家には空き家税をかけるなど異論はあるのは分かっていますが、いくらでも知恵は出てくるのではないかと思います。(当地では空き家には空き家税がかかります。)

個人的には日本がディスインフレを脱却できるとは毛頭思っておらず、物価が2%になるのは太陽が西から登るぐらいの話だろうと思っています。それを本気で変えるならば使わない社会から使わざるを得ない社会への構造的転換が不可欠であり、国民のマインドをそっくり入れ替えるほどの力技が求められると思っています。タンス預金は不利だと思わせるほどの施策ははたして生み出せるのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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仕事の中での男女差4

オリジナルの雇用機会均等法が成立したのは1985年、それ以降35年に渡り、様々な形で男女均等政策が進められてきたのですが、結果だけ見れば世界に比べて日本は遅れているとされます。例えば女性の役員の比率は5%にも満たないのはなぜだろうと思いませんか?

そもそも雇用機会均等法は待遇や処遇が男女格差なしですよ、というものであって女性の立場が不平等に扱われていればそれを修正し公平にしましょう、ということです。それ故に、公平になったから必ずしも女性の役員が増えるというロジックにはなりません。

いわゆる企業人は社内での出世競争において男女共に平等に戦うわけですが、ハンディがない女性の方が不利になるという見方だってできなくはありません。ゴルフだって女性は赤ティーを使う人が多いのは体力差のハンディがあってのこと。男女格差をなくすというのは社会的政治的な平等意識であって生物学的には差があるのは致し方ないところであります。

では日本の女性は強くなったのか、と言えば二極化が目立ってきたような気がします。本気で頑張っている女性が増えてきた半面、堕落してしまった女性も増えた気がします。統計がないので感覚的ですが、そんなに外していないと思います。

理由は何でしょうか?女性の社会進出という言葉が重かったのではないかと思っています。それが叫ばれたころにはすべての女性にチャンスが廻ってきたのですが、いざ、そこで勝負を挑めばなかなか成果が上がらない、あるいは勝負を挑むことすら諦めてしまった人もずいぶんいらっしゃいます。「ガラスの天井」なんて言いますが、私に言わせれば目の前の自動ドアが開かなくてぶつかったようなものであります。

批判を承知で言えば、女性の社会進出への精神的移行がまだまだ十分に育っていないからと考えられないでしょうか?女性がどう生きるべきかを学ぶのはまずは母親です。自分の母親の生き方、考え方をみて自分もそれを真似ながら自分なりのスタイルを構築します。

よって政治家が「今日から女性の社会進出です、企業は女性の役員を増やしましょう」と言っても潜在的人数がそもそも全然育っていないのなら掛け声倒れにならざるを得ないのです。

ではどれぐらい時間がかかるか、と言えば私は3-5世代ぐらいは要するとみています。今はまだ2世代目から3世代目に入るところですから欧米並みになるにはまだ数十年かかるかもしれません。アメリカはなぜうまくいったかと言えばベトナム戦争で男が足りなくなったことが主因のひとつであります。その点からいえば終戦後、日本の女性は強かったんじゃないでしょうか?

とはいえ、女性に対する社会的位置づけが変わってきてるのは確かです。例えば全国の短期大学が次々と閉鎖されています。日本における短期大学の社会的認識があまりにも「性別意識を伴うもの」であったことは否めません。これが修正されていることは喜ぶべきことでしょう。

次にコロナでオンライン業務になって一番打撃を受けたのは誰か、と言えば企業の一般職ではないかと察しています。一般職は総合職の人の支援が主体になりますが、オンラインとなれば物理的な支援が激減してしまいます。よってその多くを占める女性も企業での活躍を目指すには総合職か、限定的総合職(地域限定、職務限定など)など男性と同じ地位での役割がいよいよ求められることになります。

これは結構なのですが、私がいつも気にするのはそれ以外の方。「仕事が出来るオンナ」はごくごく一部であります。感覚的に過半以上を占めるであろう他の方々がどうキャリアアップを図るか、ここを補強する必要があります。

海外にいて直ぐに思うことは2つ。1つは前近代的な夜のビジネスを一気に制限し、安易な生き方を締め出すこと。これは実はものすごく簡単な方法があり、営業許可を限定できる法制化を各都道府県で進めればよいだけです。2つ目は女性向けの生涯教育と社会人としての暴風雨に耐えうるプロフェッショナル教育を学校時代から進めることであります。それはメンタルな強さであり、自分の足でしっかり立てる女性を育てる具体的プログラムをきちんとプランすることが重要ではないかと思います。

海外では女性が強い背景は宗教的背景もあると思います。儒教とイスラム教は性別差が出やすい半面、キリスト教、ユダヤ教は出にくいと思います。また体力的能力を要するものは男性、頭脳や緻密さ、正確さを求められるのが女性という棲み分けがある程度あり、女性がのびのび仕事が出来る環境があることは特筆すべき点かもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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今週のつぶやき4

英国とEUの自由貿易協定が合意に達したというニュースを耳にして12月24日はエープリルフールだったかと思ったのは私だけではないでしょう。なんだか、神がかりのような合意はサンタのビックプレゼントで当事国だけではなく、世界が安堵していると思います。しかし、英国もいつも期限ぎりぎりでハラハラさせるのはそれまでに本気を出さず、最後になって慌てるからなのか、そもそもの国民性なのか、粘って最良の条件を勝ち取ろうとしているのかのどれかです。私の知る英国はもちろん、最後の粘り勝ちです。このような英国人を表す最も的確な英単語はStingy(ケチ)であります。私が初めて訪れた外国が19歳の時の英国、そして覚えたのがStingyなライフ。それから妙な癖が。渡航先を間違えたかもしれません。笑

では今週のつぶやきをお送りします。

掉尾の一振はあるのか?
年度末の株価は何となく浮かれムードもあり、株価が上がりやすいというアノマリーがあります。これを掉尾の一振というのですが、私は日経平均27000円を付けると予想していました。ここにきて若干一進一退の動きが続きますが、私はまだいけると思っています。欧米の市場のムードは年明けまでは大丈夫で特段、悪材料が出てくるとも思えません。コロナ変異種のニュースはワクチンの普及とオフセットの関係でよほどのことがない限り打たれ強くなってきています。

このところの株価予想を私は何処で判断しているか、というと実は資源価格に重きを置いています。特に銅、銀、原油の三つは製造業の基礎的資源です。特に注目しているのが銅で電気自動車の本命は電池じゃなくて銅の産出会社と言ってもよいぐらいです。また銅は一般的な経済復興で欠かせないものだし、、銀は金と比べて産業用の用途の比率が大きく、金銀比率が専門家の間では着目されます。銀価格は今年すでに2倍になっていて強気筋は更に2倍になるとみているほどです。(いくら何でも強気すぎですが。)原油は1-2カ月前に市場の懐疑的見方に対して私は上がると申し上げましたが想定通りの展開となっています。

つまりITではなくてオールドエコノミーが着実に回っているということです。株価を見てもNASDAQ銘柄はなかなか新高値がつかなくなっていますが、バリュー株は結構、盛り返している銘柄は多いものです。その流れを取れるなら日本株は次の節目が来るまでは大丈夫なはずで年末ぐらいはほっとさせてくれるのではないかと期待しております。

日本人が大好きな「謝罪の流儀」
日経ビジネスが毎年恒例の「謝罪の流儀」の特集を組んでいます。本音を言えば日経ビジネスの特集の中で一番嫌いなテーマであります。他人の謝罪を「ざまぁみろ」的に見立てることもできる日本のユニークな習慣に更に輪をかけてこってりと日経ビジネス風解説フレーバーを加味しております。

企業の謝罪には辞任が伴うことが多いのですが、議員の場合はなかなか辞めないもので安倍さんも菅さんも今週謝罪していましたが、もちろん辞めません。お一人だけ吉川貴盛元農水大臣が議員辞職をされました。貰っちゃったんだけど返すつもりだった、とは今年の流行語にしたいぐらいです。この方、まだ70歳だったんですね。私は85歳ぐらいだと思っていました。悪さをするとしわが増えるのでしょうか?

日本のニュースを見ていて思うのは大げさな謝罪会見を開かざるを得ない状態まで放置する傾向が何十年経っても変わらないことの方が重大です。日経ビジネスもしょうもない特集を毎年同じトーンで繰り返すのではなく、なぜ、謝罪せざるを得ないのか、悪さが勝手にできてしまうその仕組みに問題があることをなぜ報じないのかと思います。コンプライアンスとは何のためにあるのか、企業はそれを叫んでも表面上、やっていることにしているというのが手に取るように分かってしまうのです。それを知らない裸の王様はあなたです、社長さん。

商品数を減らせ!日本のマーケティング思想180度転換を
Zoomで某財閥系大手商社の本社の部長さんと1時間半ほど近況の情報交換をさせてもらいました。いろいろな話題が飛び交ったのですが、特に印象に残ったのがコンビニ戦略の転換です。コロナで内食が主流となったことでコンビニの売れ筋が明らかに変わってきたと。コンビニはお一人様の生活インフラというイメージが強かったのがコロナ禍でご家族のためへシフトだと。おにぎりが売れず、弁当よりも少人数家族向けの内食パックが圧倒的に不足でそちらの開発にシフトしているとのことです。

コンビニと言えば酒。種類は限定され、銘柄は二の次、まずは「あってよかった飲みたいお酒」だったものもより充実。酒のつまみはよっちゃんいか的な乾き物ばかりだったところにメスを入れているそうです。一部のコンビニはPBの〇〇シリーズでよりハイグレードなものを提供しています。

私の一言目の反応は「あぁ、コンビニもコストコ化したのね」であります。コストコは同じ品種は原則一つだけに厳選するポリシーです。これで売り場を確保するのです。コンビニはそもそも狭い売り場にたくさんの種類を置くのでコストコ化は当たり前のポリシーだったのですが、売れ筋ランクで勝負するから同じ商品がいつもあるとは限らない弱点がありました。それよりもこの戦略はスーパーマーケットに対して声を大にして言いたいです。同じような商品をメーカーからの圧力かもしれませんが、どどっと置いていると消費者は迷うんです。酒コーナーのビールや発泡酒、どうにかならないのかと思います。この辺りがビジネスの潮目だと思うのですが。

後記
三菱UFJ銀行の半沢頭取誕生のニュースはある意味、私にとっての「ほっこり」でありました。原作者池井戸潤氏と三菱銀行で同期、池井戸氏は半沢直樹の名前をこの半沢氏からとったとされています。なんだか半沢直樹VR(バーチャルリアリティ)シリーズでも出してくれたら面白いですよね。冗談のような話は13人抜き頭取就任の半沢氏や冒頭の英国EU合意だけじゃないことを祈ります。きっと私たちにも良い話が転がってきます。(誰ですか、宝くじを買いに走っている方は?)

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

一人っきりのクリスマス4

この時期になると頭から勝手に曲が流れてくるんです、山下達郎のクリスマスイブ。よりによってなんでマライアキャリーのように明るいクリスマスソングではないのでしょうか?

この歌、1983年12月にリリースされているのですが、販売会社が本気で売る気がなかったため、毎年、時期になるとちょろ出ししていたのですが、87年にJR東がCMで使って大ブレイクし、今日に至るまでJポップに於いてクリスマスソングの代表曲であります。

ただ、この曲の歌詞はあまりにも寂しいのです。

雨は夜更け過ぎに 雪へと変わるだろう
Silent night. Holly night
きっと君は来ない
一人きりのクリスマス・イブ
Silent night. Holly night

これがなぜ、日本のクリスマスソングの代表曲なのか、男の哀愁(CMでは逆になっています)が絵になるのか、よくわかりません。ただ言えることは一人っきりのクリスマスが日本では当たり前になりつつある現実は直視しなくてはいけないのかもしれません。80年代ぐらいまではこの曲のように寂しいという表現がぴったり来ていたのですが、今では女子会、おひとり様クリスマス、男の世界では「クリスマス、俺には関係ない」というのが当たり前になりつつあります。

この行動変化は恋愛率が下がっていることも当然影響します。2020年の恋愛事情調査によると彼氏がいない女性は6割、彼女がいない男性が7割となっています。この1割の差は何だろうと思うのですが、多分、女性の見栄と恋愛の定義があいまいなのだろうと思っています。それにしても2/3に恋愛相手がいないわけですから一人っきりのクリスマスイブは当然の帰着点であります。

では結婚する気はあるのか、と言えば女性は9割、男性は85%がそう思っています。思うけれど実現しないのが結婚であります。理由は女性は現実的であり、その男性の人生を見てしまうからであります。損得勘定が先に来るといった方がよいでしょうか?それこそ恋愛は顔かたちが勝負だけど結婚となると年収、勤め先、実家の資産…といったマネー先行であとは性格などの一致性、最後が顔かたちなのだと理解しています。

一方、男性にも言い分はあります。先日もある適齢期の独身男性と話をしていて「結婚する気は?」と聞けば「全くありません。今は彼女より仕事で一旗揚げたい」です。また「自分のお金を相手に半分取られるって何なんですか?」と言われたらグーの根も出ません。

これ、社会秩序の崩壊ではないかと思うのです。そもそも恋愛をしなくなった理由に男性の女性化(ジェンダーレス)が進行していることも事実です。先日もあるテレビに有名ユーチューバーが出演していたのですが、男か女かずっとわからなかったのです。(あとで男と判明しました。)化粧して、ファッションがジェンダーレス、しゃべり方もソフトタッチです。この場合、女性は男性を求めるのではなく、お友達感覚になりやすいでしょう。極論すればオトコもクマのぬいぐるみと同じじゃないか、と言えなくもありません。

よって婚姻率は当然ながら下がります。統計が出ているのは令和元年までですが、その年は「記念すべき年」なので「日付調整婚」が増え、前年比増となっていますが、年間婚姻数は60万組を切っています。2001年が80万組でしたからトレンドとしては着実に下がっています。分母となる子供の数が減っているので婚姻数も減るわけですが、個人的な予想としてこの60万組は5-10年後には40万組を割るとみています。

「なんで結婚しないの?」と一定年齢から上の方は思うでしょう。私はそんな声に対して「結婚の価値観が変わったんだから押し付けちゃだめ」と申し上げています。

では更に話を進めると政府が一番気にする指標、出生数が「2021年に80万人割れか」と日経が報じています。これは国立社会保障人口問題研究所が17年に示した最も新しい推計よりも12年前倒しだそうですが、それでもこの記事は20年の出生者数が84.8万人を基準に算出しています。私は11月15日の「東アジアの怪、なぜ出生率がそこまで低い?」で予想しているようにこの数字は甘く、82万人台ぐらいで着地すると予想しています。とすれば日経や人口問題研究所の予想を更に超える出生率の低下があり得るということです。

どうしたらよいのでしょうか?私は人口減は避けられないと申し上げています。しかし、どうしてもそれを政府が止めたいのであれば一つだけ方法があります。それは「生きる喜び」と「共に歩む愛を育む土壌」を作ることです。それは託児所じゃないし子供の医療費でもないし、出産費用でもないのです。政府のセンスのなさは格別であります。変えなきゃいけないのは若者に夢と希望とチャンスを与えることです。なぜ、アメリカでは子供が多いのか、それはきちんとした人生を踏み外さない限り得られるオポチュニティがあるからではないでしょうか?

日本の若者は未来に対する夢なんてないに等しい状態です。1年後より今。それしか見えていません。だから年金だって払わないですよね。というか払えないし、払ってもこれだけ?と言われます。社会参加意識がほとんどなく、自分のことは自分でしか救えないと思っています。厭世観そのものなんです。

一人っきりのクリスマスはある意味、日本が80年代の寂しいという思いから選択肢がなく、自分だけの世界に閉じこもる社会に変貌させてしまったという意味で山下達郎氏のこの曲の解釈も変わってしまったのかもしれません。今ならどんな歌詞をつけるのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。
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