相互RSS募集中です

カテゴリ:経済の記事一覧

韓国の地方銀行で「延滞率上昇」がじわり……と進行中。不動産景気が上向かないまま、地方景気は壊死するのか

カテゴリ:経済 コメント:(35)
全国各地で「お金がなくて返せない」…地方銀行の経営悪化、「恐怖」(韓国経済新聞・朝鮮語)
地域経済の支えの役割をしてきた地方銀行が「延滞の沼」に陥った。 高金利長期化の中で地方景気が凍りつき、相次ぐ廃業に追い込まれた地方自営業者と建設·製造·流通企業が返せなかった借金が増えたためだ。 不動産プロジェクト·ファイナンシング(PF)の不良による後遺症も、そのまま不良につながったという分析だ。 融資返済猶予のような一回限りの対症療法ではなく、干上がった地方経済を生かすための支援対策を出さなければならないという指摘が出ている。

8日、金融監督院によると、釜山、大邱、慶尚南道、光州、全羅北道、済州の地方銀行6行の今年第1四半期の延滞貸出額は1兆3771億ウォンと集計された。 金融監督院が関連統計を公開した2008年以後、最大値だ。 COVID-19事態で景気が萎縮した2020年第1四半期(9855億ウォン)より深刻な状況だ。

景気低迷が目立った地域の地方銀行の延滞率が急騰する傾向を見せている。 全北銀行と済州銀行の今年第1四半期の延滞率はそれぞれ1.57%、1.21%に達することが分かった。 新型コロナウイルス感染症事態直後の2020年第1四半期(それぞれ0.74%、0.40%)と比べて2倍以上高い。 自営業者は借金の泥沼に陥った。 地方銀行6行の個人事業者向け融資の平均延滞率は0.86%で、金融危機時の08年第4四半期(0.84%)を上回った。 家計向け融資の延滞率も歴代最高水準(1.01%)だ。 (中略)

江原道原州で食堂を経営しているA氏は最近、店をたたむことにした。 売上がますます減って稼いだお金で利子も返済しにくい状況に置かれたためだ。 済州島で宿泊施設を運営していたB氏は今年初めに廃業した。 彼は「コロナより恐ろしい高金利という言葉を実感した」と吐露した。 (中略)

不動産プロジェクトファイナンシング(PF)の不良化の影響で破産した中小建設会社も数え切れないほど多い。 建設協会によると、今年に入って先月まで全国で不渡り処理された建設会社は16社だ。 (中略)

金融界では、地方銀行の延滞率上昇傾向が今年下半期にも続くだろうという警告の声が高まっている。 韓国銀行は最近、金融安定報告書で「当分の間、自営業者を中心に延滞率上昇圧力が持続すると見られるだけに、金融当局は債務償還能力が大きく落ちたり再生可能性がない自営業者に対して新しい出発基金などを通じて債務再調整を積極的に推進する必要がある」と指摘した。
(引用ここまで)


 韓国の地方における不動産景気は、もはや見る影もないひどさ。
 先日、大邱のマンションでは「時機ではないので分譲をしない」なんて判断をしていましたね。
 「分譲しない」ではなく、「できない」のではないかって気もするのですが。

 いま強気の分譲価格で売り出しても、すぐに大幅割引にしなければならなくなるのは目に見えています。
 それをやると住民間での軋轢を生むのですよね。

韓国の新築マンションで「新規入居者はエレベーター使用料50万円!」との貼り紙が……なぜこんなことが起こったのか、それは……(楽韓Web過去エントリ)

 だったら分譲せずに静かにしておこうとの判断も当然なのかもしれません。


 韓国において不動産は経済の要です。
 まあ、いろんな国で要とはなっていますが、韓国の場合は重要性があまりにも違います。
 国民の持つ資産の約9割が不動産ともされる中、不動産の売買自体がなくなるのはマネーサプライそのものの低下を招くのですね。
 経済の動脈硬化となりうるのです。

 地方銀行への返済延滞が過去最悪との数字は、末梢血管である地方から経済の血流が詰まってきていることに他なりません。
 記事では「返済猶予のような1回かぎりの対応ではなく、支援対策が求められている」ってしています。

 要するに内需を廻せって話ですよね。
 ……資産が不動産に偏りすぎてて無理ゲーです。
 少なくとも利下げがあるまでは無理。
 9月のFRBで利下げを期待している人もいるんですが、まだアメリカの失業率悪化だけではなぁ。いわゆる「確信」には至らないのでは。
 しばらくは韓国の景気も悪いまま、というわけですよ。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国メディア「サムスン電子は危機に瀕している。10年の成長率は2%ちょっと、AI用HBMの開発にも失敗している」……それでも「あの楽韓Web管理人」がサムスン電子株を買った理由とは?

カテゴリ:経済 コメント:(43)
サムスン電子がHBMの好況に備えられない理由(ハンギョレ)
ユジン投資証券によると、サムスン電子の売上額は、2012年に200兆ウォン(約23兆3000億円)を突破した後、2023年までの11年間の年平均成長率は2.3%だった。ドルベースで換算すると1%に過ぎない惨憺たる成績表だ。

 もっと細かく見れば、問題はさらに深刻だ。サムスン電子のモバイル部門の売上額は、2013年のアップルの売上額の73%の水準だった。ところが2023年には22%の水準まで落ちた。アップルが100点ならサムスンは73点の水準だったが、22点の水準に落ちたというわけだ。

 非メモリー部門の売上額は、2011年は台湾のTSMCの88%の水準だったが、2023年には26%にまで落ちた。 (中略)

 さらに深刻な問題は、サムスン電子の「本陣」と言えるメモリー半導体だ。サムスン電子はDRAM、NANDフラッシュなどのメモリー分野では不動の1位だ。1993年に初めて世界のDRAM市場で1位になって以来、一寸の疑いもなく1位だった。しかし、サムスン電子は人工知能(AI)半導体に用いられる高帯域幅メモリー(HBM)の生産で苦戦している。HBMは、DRAMを8~12枚を積み、中間に4000個ほどの移動通路(TSV=シリコン貫通電極)をあけて作った高性能メモリーだ。 (中略)

 しかし、サムスン電子は準備ができていない。サムスン電子は2019年にHBMの開発組織を縮小した。HBMは性能が優れているが高価だ。そのため、特にHBM市場が大きくなるとは考えなかった。後発走者であるSKハイニックスは、それでもHBMは頑張って売ろうと生産していたが、1位のサムスン電子は小さい市場に関心を持たなかった。ところが、AI半導体市場が突然拡大してHBMの需要が急増すると、SKハイニックスは文字通り大当たりとなった。HBM開発に投資しなかったサムスン電子は当惑するしかなかった。

 問題は時代の変化を読めなかった5年前の判断ではない。市場が確認されてから1年以上たっても、他でもないサムスン電子が一番得意とするDRAM分野で品質を完成させられなかったことが最大の問題だ。
(引用ここまで)


 「売り家と唐様で書く三代目」を地で行くようなサムスン電子のイ・ジェヨン会長。
 記事によると2013年からサムスン電子の売上高は年2.3%、ドル換算では1%しか成長できていないとのこと。
 ちなみに前会長であったイ・ゴンヒが心筋梗塞で倒れたのが2014年。
 実質的にイ・ジェヨンが陣頭指揮を執ってきたこの10年間、そのように過ごしてきたわけですね。

 つまり、新しい稼ぎ場を見つけることができずに現状維持が精一杯である、と。
 その象徴となるのがAIチップに必要とされるHBM、高帯域メモリの開発が遅れていることだとハンギョレはしています。
 ……まあ、ハンギョレは心の底からサムスン電子が嫌いであるっていうのを前提にしても、それなりには筋の通ったことを言っているかな。


 ところでわたくしこと楽韓さん、はじめて韓国株に手を出してサムスン電子を40株ほど買っています。
 81500ウォンの指し値買い、手数料を含めると82307ウォンで約定。
 理由はふたつほどありまして。

 ひとつはサムスン電子の6ヶ月チャートが明白にダブルボトムをつけていたこと。

無題1_20240706134223.png
(チャートの大元画像はSBI証券から引用)

 ちょっと前にサムスン電子の株価がどうこうって話をしていた時に「これ、どうみてもダブルボトムつけてんなぁ」となって気になっていたのですよ。

 もうひとつの理由は四半期決算が目前で、かつNANDフラッシュ、DRAM価格が大幅改善していることもあって、圧倒的な決算になるであろうことが容易に想像できたからですね。
 HBMの開発遅れについてはどちらでもよいというか。
 サムスン電子以外の2社がHBMに注力することによって、通常のDRAMが不足するのではないかとの危惧があります。
 通常のDRAMの欠品が続けばDRAM価格も上昇する。その場合、最大の受益者はDRAMのシェアが大きいサムスン電子となるわけです。
 HBMの開発に成功すればそれはそれで材料となるのでOK。

 といったわけで「テクニカルに株価上昇が見込めたのでちょっとだけ仕込んでみた」わけです。
 ただし、最大でも半年の保持(年内まで)で売り払おうと思ってもいます。

 三代目のイ・ジェヨン指揮下のサムスン電子には明るい未来がありません。いいとこ現状維持まで。
 2027年の大統領選挙では大企業を嫌う左派政権になることがほぼ確実視されています。
 サムスングループは政治的にもまた窮地に追いこまれることはほぼ間違いありません。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国でコーヒー専門店が10万店を突破、あの「世界中のマックの店舗数よりも多い」チキン屋の8万点をはるかに越える自営業者の砦になってしまう

カテゴリ:経済 コメント:(98)
「大韓民国はコーヒー共和国」…10万店を超えコンビニの2倍(ハンギョレ)
 韓国のコーヒー専門店が10万店を超えたことが分かった。比較的に小規模な資本で創業が可能で、特別な技術を必要としないため、参入障壁が低いからとみられる。

 30日、統計庁の「サービス業調査報告書」によると、韓国のコーヒー専門店数は2022年末基準で10万729店で、直前年度の9万6437店に比べ4292店(4.5%)増えた。コーヒー専門店の数が10万店を超えたのは調査以来初めて。

 コーヒー専門店は2016年の5万1551店からわずか6年間で2倍近い水準に増えた。コンビニ4社(CU・GS25・セブンイレブン・イーマート24)の全店舗数が昨年末基準で5万5千店余りである点を考えると、コーヒー専門店がコンビニの約2倍にもなるわけだ。

 コーヒー専門店全体の売上は2022年基準で15兆5千億ウォン(約1.8兆円)であり、関連従事者は27万人だった。従事者1~4人以内の店舗が8万4千店で、多くが小規模形態だ。 (中略)

 廃業率も増えている。行政安全部によると、昨年基準で最近10年間に新規カフェ数は45%増えたが、廃業したカフェ数は181%も急増した。また、ソウル市商圏分析システムを通じて調べてみると、昨年第1四半期に新たに創業したコーヒー・飲料販売店は計5293店だったが、同じ期間に廃業したところも4090店に上った。昨年第4四半期基準でソウル地域のコーヒー・飲料業種の3年平均生存率は51.9%、5年生存率は34.9%に過ぎなかった
(引用ここまで)


 韓国のコーヒー専門店が10万件を超えた、とのニュース。
 21世紀初頭くらいまでは完全にコーヒー不毛の地だったのですが。
 韓国赴任するコーヒー好きは生豆を密輸するくらいの勢いだったのですよね。
 一流ホテルの喫茶スペースでもインスタントコーヒーを堂々と出してきたくらい。
 もちろん、当時の紅茶はティーバッグ。

 豆を挽いてコーヒーを飲むってなったのは日韓ワールドカップを経たあとくらいですかね。
 当時、コーヒーメーカーが急激に高性能化してほぼフルオートでコーヒーを淹れられるようになったこともあって、一気に普及したってイメージ。
 当時のコリアニメさんなんかも「日本は大目にドリップしたのを保温ジャーに入れてるのを売っているけど、韓国はほとんど全部挽きたて淹れたてになった」って話をしていましたっけね。

 そんなこんなでコーヒー消費大国になったのです。


 で、コーヒー専門店が10万店突破。
 チキン店が2022年時点で約8万点だったので、はるかに上回っている。
 以前まではチキン屋orダイだったのですが、最近では選択肢にカフェも入ってきたってところなのか。



 これも自営業があまりにも多い(全労働者の20%以上が自営業者)がためです。
 とにかくなんか創業して、ダメだったらすぐ撤退。フットワークが軽いともいえますが、新年がないともいえますかね。
 一瞬だけ流行ったフルーツ飴とか、台湾カステラとかとにかく飛びつくんですよ。

 個人的には韓国の飲食店の中で、スタバだけは信頼できてたなぁ……。とにかく店内がきれいだった。
 ただ、その後に世界中で韓国のスタバだけが韓国企業運営になったのでなんとも(一応、豆等はスタバ本家から入荷の義務あり)。
 ちなみに独自運営になったせいもあるのか、日本と同じくらいの店舗数があります。

スタバ店舗数 韓国が世界4位=人口2.5倍の日本に迫る(聯合ニュース)

 別に日本を追い抜いてくれてもまったくもって構わないのですけどね。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国メディア「日本の株式市場は年初来で18%上昇、なのに韓国は5%……なにが違うのか」……常に企業が財閥一家の顔色を伺っているところかな?

バリューアップ、日本にはあり、韓国にはないもの【なぜ韓国株だけが上がらないのか③】(韓経ビジネス・朝鮮語)
最近、日経225指数は3万8000~3万9000台で4万高地からは下がったが、依然として年初対比18%以上上昇した水準だ。 バブル経済の時期を越える驚くべき非常事態だ。 一方、コスピ指数は今年に入って5%余りの上昇に止まった。 10年へと範囲を広げれば、日本証券市場の上昇率は圧倒的だ。 2013年アベノミクスで始まった改革が2014年ガバナンス改革、2023年PBR(株価純資産比率)改革を経て証券市場を引き上げたのだ。 (中略)

日本にはあって韓国にはないものは何だろうか。 (中略)

安倍内閣がガバナンス改革に集中したとすれば、岸田内閣は成長性と収益性に集中した。 日本の取引所は23年、PBR改革に乗り出した。 昨年2回も上場企業に直接「株価を上げろ」と圧迫した。 東京証券取引所は1月と3月、東京証券市場に上場した3300社余りの企業に「PBRが1倍を下回る上場企業は株価を引き上げるための具体的な方案を公示し実行してほしい」という内容の公文書を送った。

PBR1倍未満の企業は時価総額が帳簿上の企業価値より低いという意味だ。 投資家らが企業の成長可能性が低いと考えて株式を買わなければPBRが下がる。 (中略)

「日本のソフトなアプローチが成功を収めた理由は、ファミリーのような支配株主がほとんどなく、持分率以上の経済的利益を享受する特定支配株主を代弁する利益集団がないためだ」。

英国のハーミス資産運用のジョナサン·ファインズ首席ポートフォリオマネージャーが、韓国と日本のバリューアッププログラムを分析しながら書いた文の一部だ。

日本とは異なり韓国は「ファミリー」企業がいわゆる「挙手機理事会」を前面に出し、常に小額株主よりは大株主に有利な判断をしてきたということだ。 配当や相続過程で大株主に有利になるよう配当を下げたり、甚だしくは株式価格を下げる判断までしたと見た。 一方、日本は支配株主と小額株主の利益が一致するだけに、小額株主のためのバリューアップ努力が可能だったという分析だ。
(引用ここまで)


 この10年間で日本株(日経平均)は297%上昇したのに比べ、韓国株(KOSPI)は61%の上昇に過ぎない。
 年初来でも日本は18%上昇しているのに、韓国は5%ちょっとの上昇率。
 韓国も株価上昇のための努力はしているはずなのに成果が出ていない、なぜなのか……とする記事。

 3つの原因を挙げていまして。

1・コーポレートガバナンスの変革
2・PBRを1倍以上にするための努力
3・日本には財閥がなく、大株主の利益保護をしていない

 ──といったもの。
 これまで掲げられてきたものの総括的な記事といえるでしょうね。
 最大の要因は3の「財閥がない」という部分。いや、日本でもなくはないのですが。


 大企業のために株価を下落させる、配当を低く抑制するといった施策はされていない。
 財閥の大株主は創業者一族なので、相続対策のためにそうした施策が行われているのですね。
 これがボディブロウのように韓国市場では効いています。
 なにをするにしても大株主の意向を伺わざるを得ない。
 どんな社長だろうとCEOだろうと、そうした圧力の中で自社株買い→消却とかできるわけないですね。

 もうひとつは外国人投資家が触りたがっていない市場であること。
 外国人投資家はそれぞれの国のスペシャリストがいるので、上記のような状況をよく理解しています。
 結果、上位企業に買いが入ることはあるにしても、すぐ売り抜ける。
 あるいは銀行のようにあるていどはコーポレートガバナンスがしっかりしていて、財閥の影響が少ないところに集中してしまう。

 「中国よりも透明性が低い」とされてしまうレベルなので、あとはお察しください。

外国人投資家、韓国の証券市場について「中国よりも透明性が低い」「謎な部分が多い」「公正な競争市場ではない」とぼっこぼこに叩きまくってしまう……まあ、確かにその通りではある(楽韓Web過去エントリ)

 いや、韓国企業も「株主のためのもの」ではあるのですよ。
 その株主が財閥一家だっていうだけでね? 韓国的な公正さは確保されているのです。
 ま、その結果が現在の低迷具合ってわけですが。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国経済:業績回復も株価の伸びないサムスン電子、AIの波に乗りきれず。そして韓国の国内経済は生産・消費・投資でトリプルマイナスを記録……

カテゴリ:経済 コメント:(29)
HBM納品、セキュリティ事故···「内憂外患」三星電子の第2四半期の業績は(京郷新聞・朝鮮語)
サムスン電子の第2四半期の業績が近く公開される。 昨年「最悪の冬」を送った半導体事業はメモリー市場に薫風が吹き、兆単位の利益を出すものと予想される。 だが、高帯域幅メモリー(HBM)NVIDIA納品イシューが解決されていないうえに、最近一連のセキュリティ流出など騒々しい雰囲気まで重なり、サムスン電子が内外の宿題を下半期どんな方向に解いていくか関心が集まっている。 (中略)

サムスン電子の前に置かれた課題も侮れない。 HBM納品問題が代表的だ。 HBMは一般Dラムより少なくとも5倍以上高い高付加価値商品だ。 しかし、三星電子は業界の「大手」エヌビディアのHBMクォーテスト(品質認証)をなかなか通過できずにいる。 ハンファ投資証券のキム·グァンジン研究員は「これに対しサムスン電子はAI発メモリーアップサイクルから過度に疎外された状態」と明らかにした。 後発走者の米マイクロンでさえ、エヌビディアに第5世代HBM3Eの納品を開始した。 三星電子は、第3四半期のHBM3Eテスト通過を目標にしている。

ファウンドリー(半導体委託生産)事業もカギを握っている。 三星電子の最新3ナノメートル第2世代工程収率(良品比率)は50%を下回るという。 1位事業者である台湾TSMCの60~70%に比べて劣る。 これはサムスン電子がこれといった大型ファブレス(半導体設計)顧客会社を確保できない状況ともつながる。 (中略)

慌ただしい雰囲気を静めることも課題だ。 最近、三星電子は一連の情報流出事件を経験した。 26日、証券街で金「ウェハー数十万枚の欠陥が発生し、1兆ウォン程度の被害を受けた」というデマが代表的だ。 会社は「事実無根」という立場だ。 サムスン電子関係者は「会社内外であまりにも『難しい、危機だ』という話が出回ったため、日常的な水準の事件もチラシ形態に変質、拡大解釈されている」と話した。
(引用ここまで)


 ふたつほど韓国経済の話題を。
 韓国を代表する、というかもはや韓国そのものとまで言われているサムスン電子の株価が奮いません。
 ひとつ前の証券市場の話題で「外国人投資家は韓国市場を忌避している」としましたが、その大きな原因のひとつとしてサムスン電子がいまひとつ元気がない。
 株価はメモリ価格の底入れが見えた1年半前くらいから見たら右肩上がりではあるのですが、5万ウォン台半ばから8万ウォン台になんとかたどり着いたていど。

 まあ、それもそのはずで現在のAI狂騒にまったく加われていないのです。
 nVidiaから不合格をつきつけられて、まったく採用が進んでいないHBMに代表されるように、です。
 ちなみにこの「合格できていない」とする報道の後、nVidiaのCEOから「サムスン電子のHBMはテストを続けている」とのコメントがあり、やはりテストに合格できていなかったのだなと答え合わせになっていました。

エヌビディア、サムスン製AIメモリー認証作業進行中-フアンCEO(Bloomberg)

 AIについてどうにかいっちょ噛みできたのは「Galaxy S24がAIプロセッサを搭載した」といったくらいのものですかね。
 アップルどころでなく「AIの波に乗れていない」状況が続いています。
 ただ、メモリ価格は上向いているので業績そのものはまあなんとかなるんじゃないでしょうかね。

 もうひとつの懸念は半導体受託事業ですが、相変わらずTSMCからは圧倒的な差をつけられて、3位集団に吸収されるのも間近かなってところ。

AI Demand Stands Strong Amidst Seasonal Downturn and Slower Recovery for Global Foundry Industry in Q1 2024(Counterpoint・英語)

 24年1Qの世界シェアではTSMC62%、サムスン電子13%、SMIC6%、UMC6%、GF5%。
 ま、正直なところだいぶ苦しい。
 かつてのスマホで世界シェア圧倒的1位になっていたころは「垂直統合が効いている」はずだったのですが、むしろ垂直統合が枷になっている観すらありますね。


 もうひとつは経済全体の回復が遅れているとのニュース。
 5月の経済動向は国内生産、消費、投資のすべてでマイナスを記録しています。

産業・消費・投資「トリプル減少」…半導体の善戦にも回復の勢いが鈍化(ニューシス・朝鮮語)

 何度か「現在の韓国は21世紀に入って以来の不況」との話をしていますが、かつては不況があっても外需が高まることでどうにかなっていたのですよ。
 ただ、今回は世界経済の回復ペースがいまひとつ。だいぶもたついています。
 どのくらいもたついているかというとIMFの世界経済予測で日本の経済成長率は0.9%なのですが、この数字でアメリカ、カナダについで3番目の経済成長率であるとされているほどです。

2024年の経済成長予測(IMFによる)
・アメリカ 2.7%
・カナダ 1.2%
・日本 0.9%
・フランス 0.7%
・イタリア 0.7%
・イギリス 0.5%
・ドイツ 0.2%

世界経済は着実に回復しているが、ペースは遅く、地域によってまちまちである(IMF)

 さらに細い韓国の内需もこうしてペースが上がらない……というか、もはや韓国経済の成長ペースはこのあたりがニューノーマルなのでは、と思えるほどです。

 企業の投資が行われないのは、現在から未来の消費に対して不安があるため。
 投資が行われないとお金の流れが断たれてしまう。銀行からの貸し出しも滞る。
 生産や消費は一時的に落ちこんでもなんとかなるのですが、投資がマイナスはなぁ。

 不動産が伸びないのが特にきつい。
 ムン・ジェイン政権下で不動産関連の景気先取りをされてしまって、もう伸びしろが残されていない感じですけどね。
 こんなところでまで中国の後追いをしなくてもいいようなもんですが。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

外国人投資家、韓国の証券市場について「中国よりも透明性が低い」「謎な部分が多い」「公正な競争市場ではない」とぼっこぼこに叩きまくってしまう……まあ、確かにその通りではある

「韓国、中国より遅れ」…海外投資家らが口を揃えて言った理由(韓国経済新聞・朝鮮語)
モルガンスタンレーキャピタルインターナショナル(MSCI)先進国(DM)指数編入が再び不発に終わった中で、今後再評価のためには資本市場全般に対する手続きと慣行再検討が必要だという説明だ。

30日、資本市場研究院が韓国市場への接近性と関連経験に関するインタビューを土台に作成した「韓国資本市場の市場接近性:海外金融機関の見解」報告書には「韓国市場は謎のような部分が多く、公正な競争市場ではないという感じがする」、「取引指針の透明性が中国に比べても劣る」という指摘が出た。 (中略)

ある市場造成者はインタビューで「先進市場の共通的な特徴が開放された競争と同等で公正に適用される規則と規制」として「韓国市場は競争が制限されており、海外金融会社に対する市場参加機会や規則の適用が同等ではないように感じられる部分がある」と話した。

また別のインタビュー対象は「韓国市場は取引規定や指針が香港、シンガポールなど先進市場に比べて透明ではなく、さらに中国に比べても透明性が劣ると評価される」として「韓国市場は謎のような部分が多く、特にシステムトレーダーには公正な競争市場ではないという感じがする」と指摘した。

当局が外国人投資家登録制を廃止するなど高い進入障壁を低くするために努力しているが、政策の効果が体感されないという反応も出てきた。

海外証券会社の関係者は「外国人投資家登録は廃止されたが、口座開設以後のプロセスは依然として変わっていない。 ところが、韓国ではあたかもこのような問題が大部分解決されたと見なすようだ」と述べた。 (中略)

多くのインタビュー対象者は、空売り禁止についても問題を提起した。 特に空売り禁止の理由と目的自体に対する説明が足りなかったという指摘が出て、疎通の問題も目立つ。

あるグローバル銀行関係者は「どの銘柄を空売りできるのか、どのように空売りができるのかに対する指針が不明確で非効率性が発生する」として「私たちは空売り禁止指針が出てきた原因が何であり、達成しようとする目的が何なのか知りたがっている」と明らかにした。

チェ首席研究委員は「今回のインタビューで海外金融機関は韓国市場接近性の多くの問題が制度や規制自体であるのではなく、制度と規制が適用される透明性、一貫性および予測可能性から始まると強調した」として「MSCI、FTSEラッセルの市場接近性評価は単純に制度や規制の評価にとどまらず、外国人投資家にどのように影響を及ぼすかを評価するだけに、韓国資本市場の手続き、慣行および文化改善に向けた措置も含まれなければならない」と強調した。
(引用ここまで)


 韓国の証券市場に対して、外国人投資家から──

「謎な部分が多すぎる」
「空売り禁止の理由が判然としない」
「空売りできる銘柄とそうでない銘柄の明白な指針が不明」
「中国より透明性が低い」
「競争原則が守られていない」

 ……といった散々な指摘がされた、とのニュース。

 どれもこれもまっとうな指摘ですね。
 一個人投資家としてもSBI証券に口座を持っているので、韓国株について投資しようと思えばできるのですが。
 一度たりともやったことがありません。


 政権の思惑が市場に過度に入ってくることと、どうも「個人投資家なんてどうでもいい」って感じが拭えないのですね。
 韓国社会全体的にいえることなのですが、大手でないかぎりはないがしろにされる。
 個人も中小企業も。

 株についていうのなら個人は大手の食い物にならないようにじたばたするしかないのですが、韓国市場について言うならじたばたのしようがないというか。
 好き勝手やられるだけの市場だって印象です。

 同じようなことをかつてBloombergが指摘しています。
 「透明性に欠ける」「 サムスン物産と第一毛織の強引な企業合併で現在のサムスン電子会長に無罪判決が出たのは驚きだ」といったもの。
 韓国では法の支配ですら自由自在に曲がるのです。
 リスクを背負うに値しないんですよね。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国の不動産開発ローン、企業の延滞率が「尋常でない」レベルに……すくすくと育ってきたなぁ

韓銀「不動産PF・自営業者の延滞率、尋常でない」警告(ハンギョレ)
 韓国銀行が不動産プロジェクトファイナンス(PF)と自営業者への融資に対して「不良リスク」の警告灯をともした。第二金融圏(ノンバンク)と脆弱借主を中心に、ここのところ延滞率が大きく高まっているという診断からだ。

 韓銀が26日に発表した「2024年上半期金融安定報告書」によると、金融会社の不動産PF融資の残高は今年第1四半期末基準で134兆2000億ウォン(約15.4兆円)で、昨年(135兆6000億ウォン)より小幅に減少した。不動産景気の低迷とテヨン建設の不渡り危機で新規融資の取り扱いを自制したためだ。

 しかし、融資の健全性を示す延滞率は上昇傾向が続いている。今年第1四半期末基準で3.6%で、昨年末(2.7%)より1%ほど上昇した。2022年(1.2%)と比べると3倍水準だ。特に、不動産のPF・エクスポージャー(危険露出額)が多い証券会社(17.6%)と貯蓄銀行(11.3%)の延滞率上昇が激しい。

 韓銀は、ブリッジローン(着工前の融資)と本PFは両方とも融資の質が悪くなったと評価した。ブリッジローンが本PFの融資に転換できず満期を延長するケースが多く、これによって貸付期間が延び、金利も上がったということだ。特に、PF融資を基盤に作った流動化証券の支払いを保証した中小証券会社と不動産信託会社の不良が急速に増えていると診断した。流動化証券のエクスポージャーは、証券会社18兆2000億ウォン、信託会社5兆4000億ウォンほど。報告書は「不動産PFの金融圏全体のエクスポージャーは依然として230兆ウォン(約26.5兆円)規模と大きいうえに、不動産景気の不振が続き、建設原価の上昇でPFの事業性もまた低くなり、不良リスクが増大した状況」だとし「一部のノンバンク圏では延滞率が急速に上昇しており、不良資産に対する競売・公売を通じて積極的にリスクを管理しなければならない」と強調した。

 最近の自営業者への融資の延滞率も尋常ではないというのが韓銀の診断だ。報告書によれば、自営業者の延滞率は2022年第2四半期末の0.50%から、今年第1四半期末には1.52%へと3倍ほど上昇した。特に自営業者のうち多重債務者でありながら低所得だったり、低信用者である脆弱借主の延滞率は10.21%に急上昇した。自営業者向け融資のうち、脆弱借主の割合(12.7%)も一般家計向け融資の脆弱借主の割合(6.4%)の2倍だ。家計向け融資の1人当たり平均延滞額は2700万ウォン(約310万円)、自営業者は1億2200万ウォン(約1400万円)に上る。自営業者向け融資の延滞持続率は74.6%で、4人に3人は延滞の連鎖から抜け出せずにいる。自営業者向け融資規模は第1四半期末基準で1056兆ウォン(約121兆円)だ。
(引用ここまで)


 韓国不動産業界の苦境はいまだに続いています。
 去年からこっちの韓国における今世紀最大の不況となった原因の対外要因はメモリ価格の下落でした。
 そして、内需における最大の要因は不動産不況。
 ウォン安もあって資材高騰は続いているのに、不動産そのものが売れない。

 結果、不動産ディベロッパーがPFを返済できずに詰んでいると。
 PFはプロジェクトファイナンスの略で、不動産開発そのものを担保にして金融機関からお金を借りるというシステム。
 まあ、ちょっと考えればわかるのですが不動産価格が右肩上がりで上がり続ける前提じゃないと成り立たない金融商品ですね。

 といったわけで危機を察知していた第1金融圏と呼ばれる都市銀行等はほとんどのPFから撤退済。
 第2金融圏と呼ばれるノンバンクがメインでPF融資を行っています。


 で、その第2金融圏が行っているPFの延滞率がやばいことになっているよ、とのニュース。
 まあ、当然というか。
 去年の今ごろは16%だったのですが、17.6%まですくすくと成長してきました。

 あるていど不動産景気が戻るにはふたつの要素が必要です。
 ひとつはアメリカの政策金利が下がって、韓国のそれも追随すること。
 要するに貸出金利が低くならないと、大きな買い物である不動産景況がよくなるわけがない。

 そしてもうひとつは「あるていど未来が明るい」と信じられること。
 これがないと個人が不動産を購入するのは難しい。
 ただ……合計特殊出生率が0.72の国に明るい未来はあるのか、って話でもあるんですが。
 というか、明るい未来が待ち構えているのであれば、もうちょっと子供を産もうって気分になるよね、そもそも。

 でもまあ、個人の欲望で不動産価格はなんとかなるかもしれない。
 実際、ソウルの新築不動産価格はかなり戻りつつあります。金利が少しでも下がったらちょっとしたバブルが生まれたりするかもしれませんね。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国の最低賃金制度、現実に即した「業種別賃金制度」が導入される方向へ……ただし、「世界最悪の労働組合」はあくまでも反対を貫く模様

37年ぶりに「異なる最低賃金」…早ければ今日結論が出る(ソウル経済・朝鮮語)
来年度の最低賃金の業種区分可否が早ければ27日に決定される。 もし業種区分がなされれば最低賃金制度導入37年ぶりに最低賃金が二元化される最も大きな賃金体系変化だ。

最低賃金委員会は27日、政府世宗庁舎で第6次全員会議を開き、来年度の最低賃金業種区分審議に突入した。

最低賃金業種の区分は法的に可能だ。 だが、最低賃金制度が施行された1988年初年度のみ業種区分がなされた。 今年まで36年間、最低賃金委員会が定めた単一最低賃金が維持された。 これは労働界と経営界の賛否が克明だからだ。 労働界は最低賃金が低賃金勤労者の最低生計水準賃金であると同時に法上平等に支給されなければならないと主張してきた。 経営界は現在の最低賃金水準に耐えられない零細事業場を考慮して最低賃金が二元化されなければならないと対抗する。

同日の会議でも、労働界のイ・ミソン労働者委員(全国民主労働組合総連盟副委員長)は、「差等適用(業種区分)は、いかなる労働者の生活安定を保障しないということだ」とし、「今年の最低賃金労働者は、手取り額が月185万ウォンだが、(この月給で)家庭を作り、生計の責任を負う労働者の賃金をさらに削ろうということではないか」と述べた。 経営界のイ・ミョンロ使用者委員(中小企業中央会人材政策部長)は「限界脆弱事業場勤労者の生計費は全面的に該当事業主が責任を負うことは正しくない」とし、「政府が乗り出さなければならない、今年6兆1000億ウォンと予想される勤労·子供奨励金のような方式で解決される問題」と反論した。 (中略)

カギは業種区分を望む経営界がどんな業種を提案し、どのようにこの業種の必要性を最任委委員に説明するかだ。 昨年の最低賃金審議でも経営界は3業種に対して業種区分を提案したが、表決の末に業種区分をしないことに結論が出た。 最低賃金委員会は勤労者·使用者・公益委員9人ずつ27人で構成された審議機構だ。
(引用ここまで)


 韓国の最低賃金精度がどうやら「A・B区分」のような形でまとまりそうだ、とのニュース。
 まあ、「300万人以上が最低賃金を受け取ることができていない現状」を追認した形ではあるのでしょうね。
 韓国では労働者の7.3人にひとりの割合で最低賃金を受け取れていません。

韓国で最低賃金を受け取れていない労働者、7.3人にひとりで300万人規模だった……もはや「最低賃金とは」ってなる世界ですね(楽韓Web過去エントリ)

 特に地方では最初から「最低賃金は出せない、ボーナスにあたる週休手当も出せない」と労使双方が納得してからバイトするなんて事態にもなっています。

韓国経済:地方のコンビニから「最低賃金なんて守ってられない!」と悲鳴、人を雇えずに店主は1日16時間労働も(楽韓Web過去エントリ)

 実際にこの「業種別最低賃金」が導入されたら、どうにか一息つけるってところでしょう。


 ただ、「世界最悪の労働組合」である民主労総は、この制度導入に対して反対の姿勢を貫いています。

「最低賃金引き上げ」奇襲デモした民主労総組合員23人、全員釈放(ニューシス・朝鮮語)

 ソウルにある労働庁の建物を不法占拠して逮捕されたものの、全員釈放済とのこと。
 同じようなことを何度でもやるでしょうね。

 彼らの世界線では「我々が主張して最低賃金を大幅に上げたのに、それを守らないとはなにごとだ!」ってことになっているのです。
 「守らないほうが悪い」のです。法律的には確かにそうですけどね。
 まあ、そうした理不尽さがまんま韓国社会といわれれば確かにその通りではある。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→