第5回完璧主義の私がうつ病に 研究職を外れ、手に入れた世界

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藤波優
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 出産ギリギリまで研究を続け、産後3カ月で博士論文の審査に合格。岡山市の増田皓子さん(36)は、「履歴書にブランクがない女」だった。

 京都大で太陽の研究に没頭し、そのまま博士課程に進んだ。博士1年で「京都大学優秀女性研究者賞」を、3年で学内の優秀な理学系の女性研究者に贈られる別の賞を受賞。学会や観測のため、海外にもたびたび行った。

 そんな、研究者としての将来を嘱望されていた時期に、大学時代の同級生と結婚した。

 「博士論文を早めに仕上げて、秋ごろに出産すれば、半年後に保育園に預けてブランクなく研究を続けられるはず」

 最新を追いかけ続けなければならない研究者にとって、ブランクは致命的。任期制のポスドク(博士研究員)になってからの出産では、次のポストを得るために成果を出すのが難しいかもしれない。計画通り、博士3年の10月に女の子を産んだ。

 「履歴書上は、いつ子どもを産んだかわからないくらい。当時は、『自分ってスゴイ』と思っていました」

 だが、思い描いていた通りのキャリアが送れたのは、ここまでだった。

なぜ、女性にばかり負担が集中するのか。科学医療部の藤波優記者が、ポッドキャストでも報告します。

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完璧主義という女性は、理想の母親像とのギャップに悩みます。そして、単身赴任生活が始まります。

 初めは母乳が出ず、娘は体重…

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この記事を書いた人
藤波優
科学みらい部
専門・関心分野
研究環境、アカデミック・ハラスメント