遺伝子に働く薬、脳に直送 東京医科歯科大が技術開発

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瀬川茂子
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 薬を届かせにくい脳に、「核酸医薬」という新しいタイプの薬を効率的に届ける技術を東京医科歯科大などのチームが開発した。これまでは、脳が持つ「血液脳関門」という仕組みで薬が遮断される問題があった。アルツハイマー病などの新しい治療薬の開発が可能になると期待される。13日、米専門誌に発表する。

 アルツハイマー病やパーキンソン病などは、特定のたんぱく質が脳に蓄積するのが原因とされ、遺伝子に働きかけて特定のたんぱく質の合成や蓄積を阻害する核酸医薬という新タイプの治療薬が期待されている。

 しかし、こうした薬を脳に届かせたいと思っても、人体が脳を毒から守るために持つ血液脳関門を通過するのが難しかった。そのため、腰椎(ようつい)の隙間から針で薬を入れるなどしてきたが、患者の負担が大きかったり、副作用の危険があったりした。

 チームは、核酸医薬の一種「ヘテロ核酸」を開発し、それにさまざまな分子をくっつけることで血液脳関門を通過できないか調べた。動物実験の結果、コレステロールを結合させると脳関門を突破でき、ヘテロ核酸が神経細胞でたんぱく質の合成を抑えることを確認した。横田隆徳教授は「患者の負担が少ない治療薬開発の可能性が出てきた。アルツハイマー病やパーキンソン病などさまざまな病気の治療薬開発につなげたい」と話した。

 核酸医薬は、DNAやRNA…

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この記事を書いた人
瀬川茂子
科学みらい部|大阪駐在
専門・関心分野
生命科学、災害、科学全般