【そもそも解説】相次ぐ事件や事故…「保育の質」どうすればあがる?

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西村圭史
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 岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」の柱の一つに「幼児教育・保育サービスの量と質の強化」を掲げています。保育の「量」は待機児童問題の解消のために施設を増やすことなどで改善されてきました。しかし「質」はなお課題で、昨年には静岡県内の認定こども園で送迎バスに置き去りにされた女児が死亡するなど事件や事故も絶えません。改善するにはどうすればいいのでしょうか。「保育の質」をめぐるそもそもを解説します。

Q 保育の「質」とはどういうことですか?

A 保育園で過ごす時間は、子どもたちの成長や発達の基盤になります。そのため、子ども一人ひとりに寄り添った保育が重要で、それが保育の「質」とされています。

 質の高い保育をするには、子どもが興味を持ったことや、やりたがることに、保育士が十分に向き合える時間や余裕が必要です。

Q 今は保育の質が低いのですか?

A 日本には1人の保育士がみる子どもの人数を国が定めた「配置基準」があります。0歳は3人、1~2歳は6人、3歳は20人、4~5歳は30人です。先進国の中では保育士1人がみる人数が多く、4~5歳は1948年の基準制定から一度も改善されていません。

 実際、保育園や幼稚園などで2021年に起きた事故は2347件で、前年から300件以上も増えています。事故や事件が絶えないのが現状です。保育の現場からは「子どもに寄り添った保育ができない」「安全が守れない」といった、「配置基準」の見直しを求める声が出ています。

Q 保育士を多く配置できないのでしょうか?

A 配置基準より多くの保育士…

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