SMAPが転機、嵐で加速 終わり迎えたNHK紅白と旧ジャニの蜜月

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宮田裕介 中沢絢乃 滝沢文那 堀越理菜 平岡春人
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 今年のNHK紅白歌合戦は、旧ジャニーズ事務所(現SMILE―UP.)のタレントの出場が「0」になる見込みだ。国民的番組であることを宿命づけられた紅白にとって、ジャニーズはどんな存在だったのか。歴史を振り返りながら、考える。(宮田裕介、中沢絢乃、滝沢文那、堀越理菜、平岡春人)

 「今年は視聴率が落ちるだろう。1~2%の低下ですめばいいが」。あるNHK幹部は今年の紅白について、そんな不安をこぼす。

 NHKは今年、旧ジャニーズ事務所の性加害問題で、被害者への補償の実行を見極めることなどを理由に、所属タレントの番組への新規出演を見合わせている。結果、紅白も出演は現状ゼロ。しかも、放送時間帯にSnow Manや、King & Princeといった人気グループがネットで番組を配信する。

 目に見える形で若年層が紅白から離れるのではないか――。44年ぶりの「ジャニーズゼロ」がもたらす影響は世間の耳目を集めている。

 テレビは高度経済成長で国民が「一億総中流」に向かう中で飛躍的に発達した。1951年の正月にラジオで始まった紅白も、テレビの本放送が始まった53年の大みそかにテレビに舞台を移した。美空ひばりが大トリを務めた63年には、平均世帯視聴率81・4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録する。

 「紅白歌合戦と日本人」の著書がある社会学者の太田省一さんは、「同じような人がみんなで見ているテレビから流行歌が生まれた。今年の流行歌をみんなで聞いて1年を振り返るのが紅白だった」と語る。一斉に同じ映像を伝達し、国民を一つにまとめるテレビというメディアを通じて、紅白は、文字通り「国民的番組」として君臨していく。

不可欠だったSMAP 「テレビメディア支えたスター」

 旧ジャニーズも、初代ジャニーズが65年に事務所のタレントとして初出場。80年代以降は絶えることなく、アイドルを送り込んできた。ただ、太田さんは、紅白にとって旧ジャニーズが特別な存在になったのは、90年代後半のSMAPの台頭以降だと指摘する。

 すでに、社会の多様化は進み…

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この記事を書いた人
宮田裕介
文化部|メディア担当
専門・関心分野
メディア、放送行政、NHK
滝沢文那
文化部|放送担当キャップ
専門・関心分野
放送・芸能、批評、思想、文学、演劇
  • commentatorHeader
    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2023年12月22日11時0分 投稿
    【視点】

    この記事を読んで改めて思うのだけど、テレビのみならず、日本は過去に味わった「成功体験」から真に脱却すべき時に来ているように感じます。テレビに関して言えば、NHKの放送開始が1953年。その時期に全盛だったのは映画産業でしたが、高度成長期に入

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    松谷創一郎
    (ジャーナリスト)
    2023年12月22日19時35分 投稿
    【視点】

    『紅白歌合戦』は、フォーマットがさほど変化してきてこないこともあり、日本のポピュラー音楽や芸能界を読み取るときに、良くも悪くもひとつの指標となります。  今回のジャニーズ勢の一掃も、長いスパンで考えれば社会(『紅白』)がどのように芸能界に

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