どこからが差別か、境界わけるのは 哲学者が見つめる「ルッキズム」

有料記事Re:Ron発

聞き手・畑山敦子 佐藤美鈴
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ルッキズムの向こうへ⑤ 哲学者・戸谷洋志さん

 人の外見について思いや判断は、誰しも持ちうるもの。それは、どこから差別になってしまうのか――。他者からのまなざしに悩む人を見つめる「SNSの哲学」の著書がある哲学者・戸谷洋志さんに聞きました。

 ――人を外見重視で価値づける「ルッキズム」。ただ、外見についての思いや判断は誰しも持ちうるものです。それが差別となる線引きをどう考えますか。

 たとえば、友達の髪形について「いいね」と言うのはいいけれど、髪形がイケていないから友達のコミュニティーに入れないとしたら、その人は外見で不当に排除されています。外見を理由に得られるはずの権利が得られないことはルッキズムに当たり、批判されるべきです。

 ルッキズムという言葉は多義的です。

 単に「誰かが美しい」と言っているだけなのか、それともその評価によって、美しい人にだけ権利をあたえて美しくない人から権利を奪っているのかということは、吟味する必要があります。「Lookism」(ルッキズム)の「ism」(イズム)は主義や立場と理解されていますが、判断が偏っていることを指すこともあります。外見を不公正に重視し、差別につながることが批判されるべきルッキズムだと思います。

外見で評価する側がもつものは

 ただ、差別とは何かも、ややこしい問題です。

 たとえば就職面接で、その場…

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この記事を書いた人
畑山敦子
デジタル企画報道部|言論サイトRe:Ron
専門・関心分野
人権、ジェンダー、クィア、ケア
佐藤美鈴
デジタル企画報道部|Re:Ron編集長
専門・関心分野
映画、文化、メディア、ジェンダー、テクノロジー
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    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2024年5月8日14時41分 投稿
    【視点】

    ルッキズムという言葉は最近本当に見聞きすることが増えました。「外見だけで判断すべきではない」という「正論」の一方で、他方で「人は見た目が9割」という言説や公共交通機関での美容広告など、ルッキズムを増長し、「こうあるべき」という価値観は社会に

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  • commentatorHeader
    磯野真穂
    (東京工業大学教授=応用人類学)
    2024年5月8日20時47分 投稿
    【視点】

    犬や猫を見ていると、初対面の相手に対し、お尻の匂いを嗅ぎ合うことからコミュニケーションを始めることがよくあります。人間同士でこれをやったら、警察沙汰の大問題ですが、かれらの関係の築き方をみていると、人間はなぜ、外見という内面とは程遠いところ

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