国会関与なしの武器輸出 「民主主義のあり方と根本的に相容れず」

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聞き手・田嶋慶彦
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 英国、イタリアと共同開発中の次期戦闘機をはじめ、政府はさまざまな「武器」の輸出規制の大幅な緩和を次々と進めています。輸出解禁への転換に国会の議決は必要なく、実際に輸出する場合も国会が関与する仕組みはありません。中京大国際学部の佐道明広教授(安全保障論)は「民主主義のあり方と根本的に相いれない」と指摘しています。

 ――武器輸出への日本の国会の関与をどのように見ていますか。

 日本では安保政策全般への議会の関与が限定的です。安全保障に関することは、国会の事前承認を待たずに速やかに決めなければいけないものがありますが、議会を通じた国民への情報伝達が不十分になってしまっていると言えます。

 武器輸出を制限している「防衛装備移転三原則」と運用指針の昨年の改定の過程を見ても、与党のいわゆる「防衛族」議員だけで議論していました。2022年末の安全保障関連3文書の策定の際も、一部の与党議員のみに情報が独占され議論され、政策が決まってしまっています。

 ――何が問題でしょうか。

 国民全体に、どういう議論を経て安全保障政策が決定されているのかが伝わりません。安全保障に関わることなので、全ての情報が開示されるべきではないでしょう。しかし、武器輸出の制限緩和で言えば、国際的な基準などを国民に伝えた上で、なぜ輸出が必要なのか国会を通じて説明する責任が政府にはあります。実際に輸出する際も国会の関与は定められていません。

佐道さんは武器輸出に一定の理解を示していますが、日本の国会関与の現状を「民主主義のあり方とは相いれない」と指摘します。米国や英国の国会関与の仕組みをひもときながら、記事の後半で紹介します。

 国民から見れば、何だかよく…

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