武器輸出への国会関与は「商機」を逃す 元防衛官僚の研究員指摘

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聞き手・田嶋慶彦
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 政府は武器輸出の制限緩和を進めてきましたが、実際に輸出する際、国会が可否に関わる仕組みはありません。それでも、防衛省で輸出実務を担った経験がある「アジア・パシフィック・イニシアティブ」の小木洋人主任研究員は、武器輸出への国会関与を強めることに「バランスを欠く」と否定的です。民間の「商機」などを理由に挙げました。

 ――各国の武器輸出の規制はどのようになっているのでしょうか。

 国際的には「ワッセナー協約」という枠組みがあり、武器や(軍事に使われる可能性がある)機微汎用(はんよう)品の輸出を管理しています。これは紳士協定ですが、武器や大量破壊兵器の拡散を責任ある国々が規制し、無用に広がらないようにするものです。その下に、各国それぞれの事情により国内手続きを定めているという構図です。

 日本では「外国為替及び外国貿易法」(外為法)が外国との貿易全般を規律しており、武器を含めて特定の貨物の輸出を規制しています。その外為法は、第1条に「我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し」と書いてあります。その目的を達成するため、政府は私人や企業の輸出を規制しています。

 一方、米国では「武器輸出管理法」という個別の法律があります。国によって様々な態様があっていいと思います。

 ――武器輸出に議会の関与は必要だと考えますか。

 外為法に基づく輸出管理は国際的な平和や安全の維持という目的のために私人・企業の経済活動に一定の制約をかける枠組みです。個別の許可判断は行政の裁量にゆだねられているので、外為法のつくり上、一度行政にゆだねた裁量の内容を個別に議会がチェックするという建て付けにはなっていません。

小木さんは「経済活動の自由」とのバランスで武器輸出への国会の関与を考えるべきだと主張します。そして、政府の組織を強化する必要性を説きます。記事の後半で紹介しています。

 武器の場合、従来は旧「武器…

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