画面越しの殺害、封じる心 カメラマンが見たウクライナのドローン戦

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聞き手・小村田義之
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 ウクライナを飛び交うドローン。ウクライナ軍の部隊に同行した報道カメラマンの横田徹さんに、ドローン戦のリアルを聞いた。

タブレットに映し出された爆弾投下

 ――横田さんは長年、戦場取材を続けていますが、先日もウクライナ東部の最前線に入ったそうですね。

 「25年以上、世界各地の戦場で取材し、ウクライナには5回入りました。戦争の長期化に伴い、西側の軍事支援が細り、ウクライナ軍は砲弾が足りなくなって、ドローンが主流になっています。この間、ドローンの技術もかなり進歩していると聞きました」

 「今春のある夜、東部の最前線でウクライナ軍のドローン部隊に同行し、ロシア軍の陣地から約5キロまで接近しました。そこからドローンを飛ばし、ロシア軍がいる建物や塹壕(ざんごう)を爆撃します」

 「司令部につくと、いきなり『日本のスマホを使っているなら、すぐに切ってくれ』と言われました。スマホから出る外国の電波がロシア軍に把握されると、『外国人が来るような重要拠点なのか』と思われて、攻撃対象となるためだと言います。司令部の撮影も『やめてくれ』と。日本の新聞や雑誌でも、写真を見れば司令部がどこにあるかとか作戦内容が簡単にわかってしまうからです」

 ――兵士は、どんな人たちでしたか。

 「ドローンを操る兵士は、I…

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この記事を書いた人
小村田義之
政治部|戦略機動キャップ
専門・関心分野
政治、外交安保、メディア、インタビュー
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    小泉悠
    (東大先端科学技術研究センター准教授)
    2024年7月4日10時7分 投稿
    【視点】

    実に生々しい話でした。 ドローン戦争というと人間の介在しない、無機的なものと思われがちですが、攻撃する方もされる方も生身の人間であるということがよくわかります。 思えばこれは潜水艦でもミサイルでも同じことで、直接に敵を目視しない戦闘が可能な

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年7月7日23時32分 投稿
    【視点】

    戦争を否定するわけでもなく、称賛するわけでもなく、正面から見据えた素晴らしい記事。一方では19世紀のような塹壕で生身の肉弾戦をやっており、他方でドローンとタブレットでゲームのように相手を倒すという21世紀的な戦争もやっている。こうしたちぐは

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