東アジアでみる同性婚事情 法制化した台湾、足踏みの日本の違いとは

有料記事ダイバーシティ・共生

聞き手・畑山敦子
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 同性婚を認めない民法の規定をめぐり、各地の地裁、高裁で違憲判決が続いています。一方で、同性婚の法制化に向けた動きは鈍いままです。同性婚法制化に踏み切る国・地域は欧米で広がり、アジアでも初の台湾(2019年)に続く国が出てきています。社会背景の比較を通して浮かび上がる、日本で足踏みが続く理由とは。日本に必要なものとは――。

 東アジアのフェミニズム、クィアを研究する福永玄弥さんに聞きました。

 ――同性婚が法制化された台湾で、日本と比べて注目すべき要因とは。

 民主化を進めてきた台湾では、戦前の日本統治時代や解放後の国民党による権威主義的な政治に戻るのではなく、民主的な政治を目指す機運が1980年代以降、高まりました。それは、女性運動やフェミニズムの広がりにもつながりました。当初、女性運動と同性愛解放運動との間で緊張関係も見られましたが、同性愛者の権利侵害が社会問題化する中で、2000年代以降、両者の関係は好転し、フェミニストが性的マイノリティーの権利を重視するようになりました。

 政治の領域では、先進的なジェンダー平等を目指すために、ジェンダーだけでなく、性自認や性的指向の権利保障を含む必要性が議論されるようになり、同性婚の法制化にもつながりました。

 台湾も日本同様、伝統的な家族観を壊すのではないか、という意見は根強く、世論調査でも同性婚に反対する意見も少なくありませんでした。ただ、法制化当時の蔡英文政権を始め、与野党を問わず、同性パートナーシップの権利保障を明確に支持し、議論をまとめて法制化しました。

ジェンダー平等か、ダイバーシティか

 一方、日本でジェンダー平等…

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この記事を書いた人
畑山敦子
デジタル企画報道部|言論サイトRe:Ron
専門・関心分野
人権、ジェンダー、クィア、ケア
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