三重大会で、海星の身長2メートルのエース右腕、増地咲乃介(ますじ・さくのすけ)投手(3年)が昴学園の「下克上」を許さず3回戦進出に貢献した。1点差に迫られた8回、なお2死一塁のピンチに救援で今夏初登板。1回1/3を0に抑え、テレビドラマ「下克上球児」のモデルになった東拓司監督(46)が率いるシード校の反撃を封じた。父や姉も身長185センチ超えという超大型右腕が、26年ぶりの夏の聖地へ引っ張る。

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海星の背番号1が、満を持してマウンドに上がった。先発の豊田捷人投手(3年)が8回に1点差に迫られ、なお2死一塁のピンチ。2メートルの身長を誇る増地がマウンドで仁王立ちした。

「2回から準備をしていたんで、どうなろうが行ける準備はしていました。絶対抑えてやるっていう気持ちでやってました」

三重・松阪市のドリームオーシャンスタジアムの気温は33度。7回裏と8回表に両軍で足や手をつった選手が出たことで、それぞれ約20分中断するほどの酷暑だった。だが、窮地での今夏初登板でも、エースの心と体に乱れはなかった。

先頭に四球を与えたが動じず、次打者を遊飛に抑えて無失点。9回は1つ四球を出したが1回1/3を無安打でまとめ、勝利の瞬間はほえまくった。「真っすぐのスピードと切れはいつもよりよかった。フォーク以外は全部投げました」。2メートルから投げ下ろす真っすぐを軸に、タテとヨコの2種類のスライダー、カーブ、ツーシームをちりばめ危なげなし。昨年人気を博したテレビドラマ「下剋上球児」のモデルにもなった昴学園・東監督の「下克上」を許さなかった。

185センチの父と170センチの母から生まれ、姉も193センチの長身だという。「背は高校1年で止まりました」と笑うが、ドジャース大谷を上回る高身長にプロも熱い視線を送る。現在は最速138キロだが、体重95キロの恵まれた体は伸びしろたっぷり。「まだ能力的にプロに行けるレベルじゃないんで、大学で4年間頑張ってから行きたい。体がデカい分、使い方とかも全然できてない。ここから体の使い方とか、体を大きくしたりして出力を上げていくイメージ」と大卒でのプロを夢見て計画を立てている。

22日の3回戦で今夏初先発する予定だ。「相手に合わせて、しっかり投球できるように頑張っていきます」。同じ2メートルの長身、千葉学芸のエース、菊地ハルン投手(3年)は県4回戦で涙をのんだ。今度はまっさらなマウンドで、26年ぶりの甲子園を目指して腕を振る。【伊東大介】

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