2018年10月

上岡敏之指揮のブルックナー:交響曲第9番 ニ短調

●10月27日(土曜日)14:00より、サントリーホールにて、新日本フィル定期演奏会●

①ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調
②ブルックナー:『テ・デウム』
ソプラノ:山口清子、アルト:清水香澄、テノール:与儀巧、バス:原田圭
合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)


①と②を連続して演奏。第2楽章後に合唱団が、第3楽章後にソロの歌手が登場。
あまり聞く機会のない『テ・デウム』が聴き応え十分。
今月はブル9の実演が3回。12日もサントリーホールでしたが、座席の位置が15メートルほど異なるのが残念至極。
三者三様それぞれアプローチが異なるので聴き比べがいろいろと面白い。
オケの底力が、ハイドンやモーツァルトの交響曲などとは異なり明瞭に出てしまう。また、ホルンは8人ですので、どのオケでもエキストラが必要で、様々な事情もあるでしょう。 



ブル9は、全体的には中庸テンポ(60分ほど)
第1楽章を除けば、上岡敏之としては、端正な正攻法で、多少「肩透かし」気味?・・・・・・ 

 ◆第1楽章:ソナタ形式(「アーチ型」という人もいる) 楽章567小節中、提示部226、展開部194、再現部98、コーダ49らしい。 第1楽章は重厚感もあり、テンポが遅いのでスケール感もあるとも言える。 冒頭はかなり弱音で遅い入り。第1主題もテンポが遅い。 第2主題は遅めのテンポでカンタービレ豊か。第2主題の終わりにホルンのゲシュトプフの音はなかなかにグロテスクな響きで印象的。 第3主題は中庸なテンポ。 展開部も遅いので聞き慣れない音もところどころ聴こえてくる。 コーダの頂点は迫力十分。
◆第2楽章:ABAの複合三部構成。 第1楽章が遅いので、第2楽章は中庸なテンポでも速く迫力あるように感じる。 その点では、12日インキネン指揮の演奏と似ている。 端正で切れ味良好。
◆第3楽章:ABABAの構成 中庸なテンポであまり「上岡節(かみおかぶし)」が感じられない。(少なくとも小生には)
この楽章は、どちらかと言えば、タンタンとした現代風で、ブロムシュテットに似ている。



★CDの聴き比べは、こちら

第3楽章終了後、ソロの歌手が登場すると、『テ・デウム』

『テ・デウム』は久しぶり(2016年以来、その前は2013年、その前は、2010年
ソロの歌手も合唱団も上手で、素晴らしい。
第5曲「主よ、御身により頼みます」では第7交響曲第2楽章の旋律が明瞭で印象深い。

終わりよければ全て良し、かな?


●ブル9は12月2日にゲルギエフ指揮(ミュンヘン・フィル)の演奏も聴く予定。今年は5度実演で聴けるということになる。



アイキャッチ上岡敏之7





ブルックナー: テ・デウム / 交響曲 第9番(原典版)


ブルックナー:テ・デウム


ブルックナー:テ・デウム、他


ブラームス:ドイツ・レクイエム、ブルックナー:テ・デウム


ブルックナー:交響曲第8番、テ・デウム


ブルックナー:交響曲第7番「テ・デウム」


ブルックナー:交響曲第5番



 

鈴木雅明指揮のメンデルスゾーン

●10月26日、金曜日、19時より、サントリーホールにて、読響定期演奏会●

①J・M・クラウス:教会のためのシンフォニア
②モーツァルト:交響曲 第39番 変ホ長調
③メンデルスゾーン:オラトリオ『キリスト』作品97  ★合唱:RIAS室内合唱団(④も)
④メンデルスゾーン:詩篇第42番『鹿が谷の水を慕うように』作品42

 冊子によると鈴木雅明は2003年のモーツァルトのミサ曲以来15年ぶりの客演らしい。(その前が2000年のバッハ:『マタイ受難曲』、メンデルスゾーン編曲版、いずれも聴いた記憶あり。『マタイ』は外国人のコンマスだった。客演か?)

①名前しかしらない作曲家。ずいぶんとフーガを多用するので、知らないとバッハかその一族の作品のよう。曲想もあるせいか?勢いがあり、オケも鳴りが良い。

②直前にアントニーニの指揮で古典派を演奏したせいか?オケの響きが素晴らしい。
短めのアーティキュレーションでスイスイ進み小気味よい。
第3楽章はかなり速めのテンポで在京オケの定期演奏会でこれほど速いメヌエットは初めて(かも)。
今日はこの快演を聴けただけでも十分満足。

★全然進んでいませんが、39番のCDの聴き比べは、こちら


後半のプログラムはおそらく初めて聴くので演奏に関してはコメント不可。

③『パウロ』、『エリア』に次ぐ3番目のオラトリオで未完らしい。
第2部では、穏やかなオルガン風の素敵な響きがしてきましたが、オルガンではなくオケが出していた。

④メンデルスゾーンが新婚旅行の滞在先で作曲した曲らしい。
そのせいか?冒頭はずいぶんと明るい響き。中盤以降は歌詞の内容もあり、だいぶ厳しい曲想になる。

この2曲のためだけにベルリンから合唱団を呼んだわけでもないでしょうが、さすがに合唱団はうまい。
★合唱団による無伴奏のアンコールあり。バッハ。


27日サントリーホールでブルックナーの『テ・デウム』演奏がありますが、歌ってもらったら、さぞかし上手いだろうな、と感じました・・・・・・・


●11月24日には、近所のさいたま芸術劇場で『クリスマス・オラトリオ』があるので楽しみ。
9月の演奏会のアフタートークで鈴木優人が「11月なのになんでクリスマス・オラトリオなのか」とつっこんでいたが・・・・・・・






わが魂の安息、おおバッハよ!
鈴木 雅明
音楽之友社
2004-04-01

バッハからの贈りもの
鈴木 雅明
春秋社
2002-08-01






大昨曲家 メンデルスゾーン (大作曲家)
ハンス・クリストフ ヴォルプス
音楽之友社
2004-09-16








ブロムシュテット指揮のステンハンマル:交響曲 第2番 ト短調

●10月25日(木曜日)19:00より、サントリーホールにて、NHK交響楽団定期演奏会●

①ベートーヴェン:交響曲 第6番 ヘ長調 op.68 「田園」
②ステンハンマル:交響曲 第2番 ト短調 op.34

①ベートーヴェンの交響曲は、ところどころティンパニがバッチリ決まるものの、全体的には穏やか。
曲想に合わせたのか?中庸なテンポ。よく言えば「泰然自若」風。
インテンポかと思いましたら、第1楽章か第2楽章で遅めのテンポのところでテンポが緩むので???
先月スダーン指揮の東京交響楽団の定期演奏会でも聴きましたが、今回は2階席正面のせいか、木管群が臨場感豊か。座席によってもだいぶ響きが異なる。

ステンハンマルは名前はよく見ますが、おそらく意識して聴いた記憶なし。そこでこの曲も近所のさいたま芸術劇場資料室で試聴。パーヴォ・ヤルヴィ指揮のCD(下の写真)があった。
冊子解説にもあったように「ドリア旋法に基づく音階が使われ、半音階進行が意識的に避けられている」のでずいぶんと聴きやすい。時代をだいぶ逆行した作風。
第1楽章の展開部はそれなりに劇的。演奏楽器を多少変えて?すらも再現部はわかりやすい。
第2楽章 アンダンテながらドイツ音楽風な?重厚感?
第3楽章 さすがにスケルツォは、それなりに「スケルツォ」風。
第4楽章 前半のフーガはブルックナーの交響曲第5番の終楽章の二重フーガを思い起こさせるようなフーガで徐々に盛り上がる。全休止後、ピチカートでまるで異なる曲想で続くのは摩訶不思議。
とは言え、曲の出来は終楽章が一番良いのでは????

ドイツやフランスの周辺国の作品がじわりじわりと注目されるようになりつつある昨今、21世紀になり、クラシック音楽界にもようやく「ポスト・コロニアリズム」の時代到来か・・・・・

パーヴォ・ヤルヴィも録音しているということは後にパーヴォもN響定期で取り上げるかも?????
聴きやすい曲なのでそれなりの人気はでるかも?????



ステンハンマル:交響曲、ピアノ協奏曲集 (Stenhammar: Symphonies and Piano Concertos)









ステンハンマル:交響曲 第1番、2番、セレナーデ (3CD)



ステンハンメル:交響曲第2番

Stenhammar;Symphonies 1&2



ヘルベルト・ブロムシュテット自伝 音楽こそわが天命


大野和士指揮のツェムリンスキー:抒情交響曲 op.18

●10月24日(水曜日)19:00より、東京文化会館にて、都響定期演奏会Aシリーズ●

① シュレーカー:室内交響曲
②ツェムリンスキー:抒情交響曲 op.18
●ソプラノ:アウシュリネ・ストゥンディーテ  ●バリトン:アルマス・スヴィルパ



①シュレーカーの作品はあまり演奏会で聴く機会がない。オペラ『烙印を押された人々』をDVDで見て以来10年以上は経過。CDも家にはなさそうなのでさいたま芸術劇場の資料室で聴いてきた。
だいぶ聴きやすい。
実演では臨場感もあり、後期ロマン派風でかなり濃厚なロマンチックも感じられ、美しくもある。

②抒情交響曲は、2010年以来のようでかなり久しぶり。
ベルクの『抒情組曲』はツェムリンスキーの作品から影響を受けているとか、タゴールは日本に何度か来日しているとか、岡倉天心がインドのタゴール家に10ヶ月も滞在したなど完全忘却。
2人の歌手は上手いし、第4楽章なども後期ロマン派風で大変に美しい。

 新ウィーン楽派とは異なるアプローチで新しい表現を目指した作曲家の作品は、新ウィーン楽派ほど極端な作風ではないので、リバイバルが近いかも?????

2019年4月にはツェムリンスキーのオペラが新国立劇場で上演される。




ツェムリンスキー:歌劇「フィレンツェの悲劇」&メーテルランク歌曲集( Zemlinsky: A Florentine Tragedy & Six Maeterlinck Songs)


ツェムリンスキー:歌劇《フィレンツェの悲劇》Op.16(1916)


ツェムリンスキー:歌劇「フィレンツェの悲劇」







20th Century Classics-Franz Schreker


Orchestral Works 2


Schreker: Orchestral Works



Schreker: Chamber Symphony


シュレーカー:歌劇《烙印を押された人々》 [DVD]









タゴールの世界: 我妻和男著作集


タゴール詩集 ギタンジャリ―歌のささげもの


タゴール詩集 迷い鳥


タゴール詩集―ギーターンジャリ (岩波文庫)


原典でよむ タゴール (岩波現代全書)


人類の知的遺産〈61〉タゴール (1981年)







第864回 定期演奏会Aシリーズ


ジョヴァンニ・アントニーニ指揮のハイドン:交響曲 第100番

●10月21日、日曜日、14時より、東京芸術劇場にて、読響日曜マチネシリーズ演奏会●

①ヴィヴァルディ:ドレスデンの楽団のための協奏曲
②ヴィヴァルディ:マンドリン協奏曲 ハ長調  ★マンドリン:アヴィ・アヴィタル(③も)
③バッハ:マンドリン協奏曲 ニ短調
④ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲ハ長調   ★リコーダーもジョヴァンニ・アントニーニ
⑤ハイドン:交響曲 第100番 ト長調 



★16日に素晴らしいベートーヴェン:交響曲第2番を聞かせてくれたジョヴァンニ・アントニーニ。その後急遽チケット購入。在京オケであれほどのベートーヴェン初期交響曲を演奏できる指揮者とオケのコンビは、パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団以外に思い浮かびませんが、N響定期演奏会で演奏される可能性はかなり低い。
次回はいつ聴けるか不明ですので、ハイドンの交響曲くらいしか身近な曲はありませんが、聴いてきました。

①も②もおそらく初めて聴く曲でしょうが曲想からヴィヴァルディとすぐにわかる。
と思っていたら、②は映画『クレーマー、クレーマー』で使用され日本でも一世風靡とのこと。
映画を見たのがあまりに昔なので映画あまり思い出せない。

③バッハにマンドリン協奏曲があるのかも知らずに聴くと、冒頭からチェンバロ協奏曲と同じ音楽なので、後に冊子解説を読むとチェンバロ協奏曲第1番をアヴィ・アヴィタルが編曲したものらしい。
冊子解説にもあったように「バッハの音楽には楽器に依存しない普遍性がある」(アヴィ・アヴィタル)
そう言えば、Worldbeat BachというCDをよく聴いていた時期もあるにはあった。最近ご無沙汰。
ワールド・ビート・バッハ








★アンコールは民謡風に始まり、興味深い曲と感じていたら、後半むやみやたらに盛り上がる(超絶技巧でもあるのでしょう?)演奏後は歓声。クラシック演奏会では珍しい。やはり民謡を参考にしたアヴィ・アヴィタル自身の作品らしい。

④おそらく初めて聴くのでコメントは特になし。通奏低音のチェロを弾く主席の響きも明瞭。ちょうど今、NHKのFM放送(『キラクラ』)で演奏者の遠藤真理が通奏低音はあまり慣れていないのでアントニーニにいろいろと教えて頂いた、と言っていた。

⑤ジョヴァンニ・アントニーニは冊子解説によるとハイドン生誕300年の2032年までに手兵のオケとハイドンの交響曲を全曲録音するらしい。曲も多いがあと14年もある、長大なプロジェクト。
古楽器演奏に際立つ特徴をすべて備えた演奏で素晴らしい。テンポ感も速すぎず絶妙。
速めのテンポでも第1楽章や第4楽章の展開部の前に明瞭な「間」があるのは独特。

日下紗矢子に「日本は遠いな」と言ったアントニーニ。今回は20年ぶりの来日らしい。2年に一度程度の割合で来日してくれると嬉しい。


★演奏会後、20時10分より知人のクラシック・ファンに誘われ浦和のユナイテッド・シネマで『2001年宇宙の旅』鑑賞。終了23時10分すぎ、帰宅は0時直前。さすがに旧浦和市内も交通量が昼間と大違いで道路はガラガラ。信号を気にせずに自転車でスイスイ。

曜日と時間帯のせいもあり映画館もガラガラ。
映画館で映画を見るのは何年ぶりかすぐに思い浮かばない。(METのライブビューイングは除く)
50年前の映画ですが、現代にも通用する問題提起が多い。
DVDなどで数回は見ていますが、映画館では音響が圧倒的。見るたびに不明な(あるは疑問な)点が増加する。
誰かCGを多用してリメイク版を制作しないかな?(冒涜だというキューブリック・マニアも多くいるでしょうが・・・・)













IMG_4710.JPG


 
記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

人気ブログランキング
プロフィール

mp1922

カテゴリ別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ
  翻译: