2016年11月

2016年11月26日

WBOスーパーフェザー級 ロマチェンコVSウォータース 展望

これまた注目の好カードだ。
ハイテクマシーンかアックスマンの野生かということだが、

ロマチェンコの大差判定勝ち

を予想する。
大方の予想も同様のようだ。
ロマチェンコは巧みな足裁きとハンドスピードを生かした複雑かつハイテンポのコンビネーションボクシングが身上だ。
プロ転向当初より若干重心を下げ、パワーパンチも意識するようになってきている。
ただ敗れたサリド以外の相手は強くても変なことはやってこないタイプばかりであり、はたしてどの程度進化しているかは疑問だ。
真のスーパースターは弱みを見せないものなのだが、この選手の場合は変則アタック、ラフアタックは苦手だ。
拳を痛めた時の立ち振る舞いも”戦士”っぽくない。
ハイテクマシーンなのだが「戦士」ではないと思う。
サリドの一戦で決めつけるなとか、あれから経験を積んでいるとかいう人もいようが、あの一戦で見せた弱みはボクサーとしてよりも戦士としての根本的な部分のものであり、おそらく何ら変わっていないと思う。
したがって今でも無名でも変な相手に足元をすくわれる可能性もあり、まだスーパーチャンプとは言えないと思うし、多分そこまではいけないであろう。
一方のウォータースは遠い間合いからでもピンポイントで強打を叩きこめる感覚とスピード、伸びはまさに持って生まれたものであり、驚異である。
ボックスもうまい。
ただ体が堅く、一発一発の間が長い。
パンチの強弱に乏しく、かつショートの間合いが苦手で、どことなく大雑把だ。
感性に任せた攻めで今一つ戦略性を感じられない。
恐いがある意味攻略しやすいタイプだ。
ロマチェンコにしてみたらカモもカモである。
試合は1Rから一方的なものになろう。
アックスマンの一発一発の合間にパチャパチャしたコンビが間断なく降り注がれよう。
場合によっては途中でストップなんてこともあるかもしれない。
ただそこは野生の強打者、たまにロマチェンコをナーバスにさせる強打をヒットさせるのではないか。
ジャストミートすれば面白いが、それは困難であろう。
普通に考えればロマチェンコが安全策を取って悠々判定勝ちを収めよう。

2016年11月23日

世界ライトヘビー級 コバレフVSウォード 観戦記

注目の無敗対決は僅差でウォードが勝利、王座奪取。
判定に関してはコバレフを支持する声も多い。
私の採点では115-112でコバレフ。
最近いくつか際どい試合もあったが、内容的には「見方によっては・・・」というものであった。
しかし今回の試合についてはどう見てもコバレフの勝ちに見えた。
前半はコバレフの圧勝ペース。
中盤からもつれ出し、終盤はウォードというものであったが、前半の大量リードでコバレフが逃げ切ったのではないか。
終盤、ウォードと言ってもどちらとも言えない展開であった。
コバレフ側が不満をぶちまけるのもわかる。
さて試合を振り返ってみよう。
コバレフがプレッシャーをかけ、ウォードがジャブでさばきに行く展開は予想通りであったが、コバレフの右カウンターが冴え渡り、ウォードはジャブを出すも合わされまくっていた。
コバレフはフェイントも巧みで、うまくウォードのジャブを誘い出し、そこに右を合わせに行っていた。
作戦もさることながら恐るべしは反射神経の良さだ。
同じく反応の良いウォードの上を行っていた。
2Rにはものの見事ダウンを奪う。
その後もほぼ一方的展開。
中盤からウォードもジャブだけでは通じないと見たか、距離を詰めて、フック、アッパーを交えるようになる。
8Rあたりからややコバレフもペースダウンし、やや精度を欠いてきた。
そこにウォードは接近しながら左フック、アッパーを見せパンチにし、左ジャブ、右ショートを当てる、あるいは見せパンチと見せかけ、そのまま左フックを叩きこむことに成功。
上下のダブルも冴える。
ようやく活路見出した格好。
前半のコバレフのカウンターの速さはウォード陣営にとっては想定外だったのではないか。
コバレフはプレス&右カウンターがはまりすぎ、やや単調になったか。
もう少しジャブとか上下の散らしもおりまぜれば、ウォードの立ち直りを潰す、あるいは遅らすことができたかもしれない。
9Rからは明らかにウォードのペース。
しかし圧倒的というものではなく、コバレフの強打を取ることもできそうなラウンドもあった。
こうして試合は終了。
終盤はともかく、前半圧倒的優勢に進めたコバレフの勝ちは動かないと見たが、判定は全ジャッジ1ポイント差でウォードを支持。
どうも納得いかない判定だ。
再戦必至か。
再戦となると今回大いに学習したであろうウォードの方が優位かもしれない。
面白そうだから再戦はぜひやって欲しい。
それにしても技術レベルの高さは今年屈指であった。
さすがはP4P上位の選手同士の戦いだ。
まさにスタンディングオベーションもの。
すばらしいパフォーマンスを見せてくれた両選手に拍手、また拍手だ。


2016年11月20日

極真空手全日本選手権観戦記

極真会館(松井派)に入門して1年になる。
正直極真の試合自体は関心ない。
しかし極真空手というか大山空手は私の世代では特別な存在だ。
体の動くうちに弟子入りしたかったところだ。
6月の体重別から新ルールが導入されただけに、注目度の高い大会となった。
ルール改正が行われ、単なる我慢比べからの脱却を図っているものの、やはり顔面パンチなし、掴み厳禁というのでは実戦から程遠いのは誰の目にも明らかだ。
ただ支部の先生方、先輩方が数多く参戦する大会であり、海外からの刺客も多く、どんなもんかTVながら観戦してみた。
率直な感想を言うと、やはり面白くなかった。
細かい禁止事項が多い、新ルールの運営が不明確に感じられる等、他流派、他格闘技から見たら理解不能な部分が多く、完全にガラパゴス化しており、内輪の大会という観がある。
なるほどキックや総合に参戦してももうひとつ結果を出せない選手が多いわけだ。
ただ極真ブランドはあまりにも大きい。
色々な疑問点は感じつつもやはりそこは「極真」だ。
それだけで良いかという気分になってしまうのも事実。
さて肝心な試合の方に移る。
なんとここ10年くらい海外勢が決勝進出しており、ほとんど海外勢に王座を持っていかれているそうだ。
今回鎌田翔平が優勝したが、3年ぶりの日本人王者とか。
道場でのスパーで感じていたのだが、正直北欧系が絶対優位の競技であると印象を持っていたが、やはりロシア、ウクライナあたりの選手が常に上位に進出しているようだった。
今大会でもっとも印象に残った選手は、ザリヤンだ。
中量級の選手ながら世界大会でも5位入賞した猛者だ。
170僉75圓箸いβ粒覆ウソのように異様にフィジカルが強く、パンチ、キックともパワー、スピードもあり、しかも強打が断続的に飛んでくるのである。
準々決勝で高橋佑太に不思議な技ありを取られて敗退したが、実力的には一番だったのではないか。
重量級でもこんなのが出てくるのだから、世界大会では日本人選手が歯が立たないのも道理。
今回ルール改正したのも従来のルールでは最初から結果が見えているからなのだろう。
その高橋だが、巨体に似合わず動きが軽く、胴廻し蹴り、後ろ蹴り、踵落としといった大技が巧く、ローキックとかあまり使わない。
適度にフットワークを使い、器用に大技を繰り出す。
劣勢になっても大技で新ルールによる技有りを量産していた。
そのほか上田幹雄も上段膝蹴りを器用に使い、新ルールによる技有りを取っていた。
北欧系と戦うにあたり、この二人のようにむやみに打ちあわず、新ルールを活用した技有りをかすめ取るしか勝機はないかもしれない。
この新ルールによる技有りだが、上段だったら効かないヒッティングでも残心を取れば技有りになり、全般を通して劣勢であっても「勝てる」。
正直実戦的とは言えない。
なお残心とは技を出した後、例えば拳を握った右手を引き、左手を開いたまま前方に突き出し、「セイヤ!」と気合を出すことと思っていただければ良い。
要するに単なるアピールだ。
高橋とか上田とかアウトボクサー型で上段の見せ技に長けたタイプが優位と思われる。
海外勢の戦いぶりを見ていると、新ルールによる勝ちを狙っているように見えた選手は皆無というか、あまり頭になかったのかなという感じであった。
今回ベストフォーは全て国内勢であったが、ルール改正に救われた面もあり、今後が大変であろう。
そんななかで優勝したのは鎌田だったのだが、この選手はフィジカルが強く、ひとつひとつの技に小手先観がなく、まさに本格派であった。
蹴りもロー、ミドル、ハイと偏りなく使いこなし、自分の間合いをキープする距離感の良さも光っていた、
全日本無差別級初優勝というのが嘘みたいな強さであった。
この選手も先の世界大会ではあっさり敗退していたというからやはり海外勢は強いのだろう。
風貌も内山のような硬派な風情であり、そこらのお兄ちゃんみたいな高橋や上田とは風格の点でも一線を画していた。
準決勝で惜しくも高橋に敗退した荒田も良かった。
ローが多彩で、直線的なロー、廻して蹴るロー、タイミングをずらすロー等幾種類も使いこなすテクニックには唸らされた。
顔面パンチが返ってこないからこそ発達した多彩なローなのだろう。
今回上位進出した選手の共通点をあげるとするとサイドの動きが巧みなことか。
ルール的に下がるのは見栄えが良くないが、打ち合いながらも左右に動くことによってあいてのヒットポイントをずらしつつ自分の攻撃を当てていた。
この辺はパワーのある海外勢対策もあろう。
ただ従来のルールでは結局最後は捕まったということか。
今回優勝は鎌田であったが、海外勢から勝ちを拾いやすいタイプは高橋や上田みたいな方かなと思った。
ちとセコイがルールはルールだ。
来年4月に体重別の世界大会があるというが、国内勢が新ルールを活用してどこまでいけるか楽しみではある。

2016年11月13日

パッキャオ復帰、ドネア陥落

パッキャオ復帰戦なんて相手がバルガスということもあり、あまり関心は湧かなかったし、ドネア、ゾウの試合もどうもうひとつというとこだった。
まさかドネアが足元をすくわれるとは思わなかった。

バルガスVSパッキャオ
パッキャオが挑戦者ではあったが、どちらが主役かは明白。
位置づけはパッキャオの復帰戦ということだけだった。
コンディション調整とかが危ぶまれたが全く問題なし。
バルガスはリーチを生かし、迎え撃ちを狙っていたが、パッキャオの変幻自在の足裁きに対応できない。
パッキャオも無理をせず、フットワーク&軽打によるポイントアウトスタイルを貫き、圧勝。
それにしてもあれだけのジグザグフットワークを使っても息の乱れもないし、バランスも崩さない。
才能と言えばそれまでだが、どうやってあのスタミナを維持しているのだろうか。
あとはもっと旬な強豪とやってもらいところだ。

ドネアVSマグダレノ
番狂わせが起こるとしたらこのカードとは言われていたが、現実のものになった。
私の採点では114-114のドローであったが、どちらの土俵かと言われたら、マグダレノということになる。
ドネアは文句言っていたというが。
全般的にはドネアが空回りしたという展開。
ただマグダレノが決定的に支配していたかというのも疑問。
ドネアの方がヒットした強打は多かったと思う。
マグダレノの方は効かせたパンチはあまりなく、たじろがせた程度のヒッティングに終わっていたように見えた。
ただうまくドネアのプレスをやり過ごし、打ち終わりに良い右フックを当てていたし、フットワークも良く、ドネアがもうひとつついていけていないという感じであった。
私の採点ではたまたまドローになったが、終了の瞬間は「ドネア、ひょっとしたら負けたかな」と思ったのも事実。
ドネアは完全に黄昏期に入った。
体がまったく動いていない。
いや、それ以前に体が緩い。
長年のリングキャリア、猛練習により、あちこち痛めているのであろう。
肩の手術をしていたが、それ以外にも膝とか腰とかも痛めているのでは。
故に以前のような質の高い練習ができていないのではないか。
パンチに対する反応も悪くなっている。
フットワークを使ったハイテンポなコンビは影をひそめ、プレスをかけ、右ストレート、左フックを強振するのみ。
それでも速いマグダレノにパワーパンチをヒットできるのだから、そこはかすかながらも閃光の片鱗は残っているか。
今回はマグダレノがうまく戦ったというよりもドネアが衰えたということが正しいと思う。
もうここまでか。

それにしてもいつまでパッキャオ頼みが続くのであろうか。

2016年11月07日

WBOフェザー級 バルデスVS大沢 観戦記

やっぱこうなったかという感じ。
何もさせてもらえなかった。
7Rまで良く持ったというよりもバルデスが遊んでいたのではないか。
それともまだ粗さがあったのか。
一発足りと打たれないようにという美学でもあったか。
開始直後からもうダメと思った人がほとんであろう。
何せひとつひとつの動きからしてモノの違いがわかるのだから。
1Rどう出るか楽しみにしていたのだが、正攻法で行くとは。
それで勝てると思っていたのであろうか。
それとも何か仕出かそうとしても隙がなくて行けなかったのか。
バルデスは序盤からダイナミックなボディフックを放ってくる。
柔軟な身体の持ち主であることがわかる。
ただ精度は今一つか。
全体的に荒削り感が見てとれる。
4Rのダウンは必然。
こんな感じで貰うであろうと予期していた通り。
予想と違ったのは、一気にたたみかけられなかったこと。
遊ばれていたのではないか。
で、7Rにジ・エンド。
大沢には全く勝とうと言う意志が感じられなかった。
せっかくの大舞台なのだから何をしてでも勝とうとして欲しかった。
あまり酷評する記事とかなかったようだが、皆優しくなったんだね。

パッキャオとかドネアについては後日。

2016年11月06日

WBOフェザー級 バルデスVS大沢 展望

パッキャオ復帰戦のセミということでWOWOWでも生放送されるという。
大きな舞台ということで頑張って欲しい。
正直ミスマッチということになりそうだ。
大沢なんて国内でも無名。
なんで世界上位なのというところ。
軽量級の層の薄さだ。
大沢は良く言えばまとまった選手だが、悪く言うと何もない選手だ。
8連続KOとか言っているが、パワー、テクニック、スピード何をとっても特筆すべきものはない。
打つ時、特にジャブを打つ際に体が開き気味なのが気になる。
ここにバーンと貰わないか。
ただ基礎体力はそこそこで、結構もみ合いに強いし、そのごちゃごちゃのなかから離れ際とかにパンチを決めたりする巧さはある。
しかし東洋レベルか。
基本何もない選手だ。
一方バルデスは本格派と言える。
メキシカンらしくしっかりした構えから相手の打ち終わり、あいているところにビシビシ打ち込んでくる。
どのパンチも小手先感がない。
ガツガツ打つだけでなく、相手のプレスが強い時は足を使ってサイドへ動くなどまずは万能型と言える。
正直大沢とはモノが違う。
パワー、テクニック、スピードと全ての面で数段上である。
大沢としてはまともにやりあってはたまったものではない。
序盤で沈められる可能性も大いにある。
活路としてはもみ合いに持ち込むことか。
と言ってもフィジカル的にも勝てそうになく、結局ダメかな。
策謀で勝ちに行くしかないわけだが、大沢にそんな引出しがあるようには見えない。
やはり厳しいか。
もう判定は捨てて、ボクシングの試合にしないで勝つか反則負けのハチャメチャファイトを仕掛けるしかない。
おそらく最後の試合、なんでもいいからやって欲しい。



2016年11月03日

私的名選手列伝(ボクシング編)〜村田英次郎〜

バンタム級OPBF王者にしてWBA、WBCともに世界1位を張っていた名選手だ。
今のような時代なら間違いなく世界王者になれた思う。
2つ3つのベルトも行けたのではないかな。
彼が活躍した80年代と言えば、団体も少なく、複数王座制もなかった。
価値観も防衛回数にあり、各階級とも王者は粒ぞろいであった。
私も当時は全階級の世界王者どころか主だった上位ランカーをそらんじられるほどであった。
またバンタム級は妙にレベルが高く、日本人には手が届かないような時代であった。
そんな時代に村田はトップコンテンダーとして活躍し、ピントール、チャンドラーといった歴史に名を残す名王者と五分の勝負を演じていた。
ボクシングスタイルは右のスタイリッシュなカウンターパンチャーだ。
アップライトに構え、ジャブで距離を測り、右クロスを叩きこむ非常に格好の良いスタイルであった。
このように書いてくると、不運の名選手ということになってくる。
確かにそう言った面もあったが、個人的にはあまり村田を評価していない。
どうももうひとつなのである。
当時世界王座に挑戦したときも絶対負けると思っていたし、おそらく世界には手が届かないであろうと思っていた。
まず上への右しか武器がない。
左フックとかボディブローとか打っていた記憶があまりない。
突っ立ったままで柔軟なボディーワークもなく、動きがぎこちないのである。
またパワーもなかった。
どうしても世界基準には見えなかった(当時としては)。
武器が限られ、どことなく単調で相手に読まれやすいスタイルに思えた。
また4度の世界戦で名王者相手に2度引き分けているが、村田寄りの採点で実質的には負けていたと思っている。
チャンドラーには結局、引分け試合含め、3度挑むことになるのだが、内容は悪くなる一方であった。
最後の試合となったチャンドラー第3戦の時は、スタイルを変え、ややクラウチング気味な構えから攻めのボクシングで行ったが、全然歯が立たなかったどころか、パンチの出し方とか見てもとても世界基準のスタイルには見えなかった。
突如けなしているかのような文章になってしまったが、要するにそれほど当時の世界王者はレベルが高かったのである。
しかし東洋では頭ひとつもふたつも抜けた存在であった。
OPBFタイトルは確か12度くらい防衛したと思うが、苦戦したことはなかった。
当時ライバルと称された磯上ともお互い底が見えてしまった後とは言え、得意の右でバッサリ葬っている。
やはり実力者であった訳だ。
世界王者イコール希少価値であった当時、簡単に世界挑戦できるような時代でなかったこともあり、25歳くらいで引退してしまった。
結局時代に恵まれなかったということか。
あの時代はほんと今とは全然違ったよなぁ・・・・

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