2010年10月

2010年10月31日

WBCスーパーバンタム級 西岡VSムンロー観戦記+亀海

リングを降りる時こそ涙しながらコーナーポストを叩いて悔しがっていたムンローだが、その前は悪びれず西岡に拍手を送り、たたえ、観客にも両手をあげて応えていた。
世界を争うトップコンテンダーとして全力を尽くしたという自負心があったからこその行動だろう。
「オレ達はベストパフォーマンスを見せたぞ」と言ったところか。
プロのアスリートはこうでなければいけない。
変なマイクパフォーマンスは無用。
この日のふたりはまさに二つの拳のみで格闘家のなんたるかを示してくれたと思う。
西岡、ムンロー、あっぱれであった。

さて試合の方だが西岡の底知れぬ強さ、巧さが体現される結果であった。

私の採点は公式採点と同じ119-109であった。

この試合まず突出した武器を持つことの優位性をまざまざと示した。
初回からムンローは仕掛けて行く気はあった。
右ガードを上げ、巻き込むような左で前進を試みていた。
西岡の右ジャブがまず機能しており、この右の注目をする人が多いと思うが、私は違う。
1Rに何度が左を顔面に放っている。
ガードの上、あるいは当たりは浅かったが、これでムンローの警戒心はあらわになっていた。
なんかちょっとびびって前進を躊躇しているように見えた。
左への過剰なまでの警戒心により、西岡の右ジャブ、左ボディーが機能しだしたと考える。
4Rあたりちょっとふっきれたようにムンローが出てきた。
この時、中盤に西岡の左が爆発するな、予想通り6RKOだな、と思った。
実際5R左が当たり、一回目のチャンスを迎えた。
ムンローも頑張る。
このラウンド以降もムンローは益々プレスをかける。
西岡の右は食っても大丈夫と踏んだか。
左に対するガードは固定したまま突っかかる。
とすると今度はボディを打たれだす。
西岡のボディは怖い。
ボディというと削るためのパンチというイメージだが、西岡の場合はピンポイントで急所を襲うのでKOに結びつきそうな代物だ。
耐えるムンローのタフマン振りも特筆に値する。
左はレバー、右はストマック、何発食ったろうか。
それでもムンローは前進する。
しかし動きが直線的であった。
いや西岡のサイドステップが絶妙だったからそう見えたか。
上記まず西岡の突出した左が右を生かしたと書いた。
あともう一つこの試合で論じるべきは足さばきだ。
右へ左へ縦横無尽だ。
このポジションニングチェンジもムンローにトラブルをもたらしたのは言うまでもない。
足のスピードも凄かった。
ウィラポンに初めて臨む頃は、タッタカタッタカよく動き回り、ハイスピードコンビを放つ、まさに「スピードキング」であった。
しかしアキレス腱断後は、どっしり構え、最低限のサイドステップにとどめ、ハイスピードコンビよりも一発ズドン型に変化して行った。
スピードキングっていうキャッチフレーズではないでしょと思っていたもの。
この日は違った。
最近のどっしりズドンのモンスターレフト型に加え、時折10年前のフットワーク、ハイスピードコンビも見せてくれた。
なんとも言えないこの引出し・・・・
中間距離だとカウンターに備えガードを上げているところにボディー、ゴリゴリ突っかかっていったらフットワークでかわされる。
ムンローもお手上げだ。
12Rは圧巻。
ムンローも捨て身できたが、左が爆発、あとは猛烈連打。
そしてゴング。

この試合、突出した左、相手の反応を見ての試合の組み立て、若い頃のスタイルを織り交ぜる引出し力、まさに西岡の強さのすべてを見せるような趣きであった。
いやもっと上があるか。
欧州のタイトルを総なめしてきた強豪相手にこうもワンサイドで勝つのだから後はビッグマッチへの出場しかない。
ムンローも事前のメディアの報道等から実直な人柄が想像できたが、ボクシングを見ていてもいかに地道な鍛錬を積み上げてきたか、精神面でもこの試合に賭ける想いが強いものだったか、良く分かる。
タトゥーだらけの体だが、あのボクシングスタイル、どんぐり眼を見れば、貧しいながらも清く地道な人生を送ってきたかが想像される。
ほんとムンローは良く頑張った。
英国のファンも暖かく迎えてくれるはずだ。
技術的には接近に持ち込む過程でもう少し低い姿勢で行きたい。
体が立ち過ぎているように見えた。
あと左のショートストレートが欲しい。
フック系の外からパンチ一本だったので西岡に完全に読まれていた。
今一つの細やかなスタイルの確立が課題であろう。

まぁ何にしてもこういう試合を世界タイトルマッチというのだろう。
両者に拍手を送りたい。

さて亀海だ。
コロコロ倒しまくって、遊びまくって、なぶり殺しかと思っていたが、さすがにこのレベルになるとそういかないか。
しかしアルファロを完全に呑んでかかっていた。
試合もワンマンショーであった。
中南米の伸びるパンチにもショルダーブロックは機能していた。
たまに被弾していたが、問題なし。
この試合で亀海は中南米のパンチを体感してまた一歩成長したのでは。
パンチの大きいアルファロだから・・・という人もいるかも知れないが、日本人にないタイミングの持ち主であることは間違いない。
あの音の聞こえてきそうな暴風フックのなかに二ヤつきながら入っていってしまうのだから本当に「見えている」のだろう。
もう世界しかないだろうが、誰を狙うのか。
カーンの階級アップとかのタイミングを待つのだろうか。
ここは帝拳の腕の見せ所だ。

いやぁ皆凄いものを見せてくれた。
ジョーさん、浜田さん、香川さんの解説もさすがだったし、飯田さんの理知的なコメントも良かった。
満足度の高い興行だった。

帝拳さん、今後もよろしく!

2010年10月24日

祝 西岡防衛

試合終了したところ。
西岡が判定で防衛。
実力が数ランク違ったと思う。
ムンロー、良く頑張った。

戦評については後日。

2010年10月23日

WBCスーパーバンタム級 西岡VSムンロー展望+亀海

いよいよ明日に迫った。
西岡のほかにもロマゴン、リナレス、亀海、山中・・・
タイトルマッチ以外でも世界ランカー対決、元二階級世界王者等々なんとも贅沢な興行である。
皆すばらしいカードばかりだが、ここは西岡を中心に論じる。

予想は、

西岡の6RKO勝ち

である。 

まずは両者の戦力比較から。
西岡について。
何も言うことはない。
とにかくすぐれた動体視力に裏付けられたあの左の異様な当て勘。
若いころから何であんなに左が当たるのかと思っていたもの。
相手がオーソドックスでもサウスポーでも関係ないと思う。
ムンローについて。
なかなか良い選手である。
ごつい体でファイター気質とは言え、実際はかなりテクニカルな選手だ。
腕っ節は強いのだろうが、敢えて力を込めず、パパパッと回転力重視のパンチの出し方だ。
接近すると頭をつけて体で押すようにして左右のボディを執拗に放つ。
このパンチは重そうだ。
黒人にありがちなピョーンというバネは感じないが、質実剛健といったたくましいスタイルだ。
タフネスとスタミナはわからないが、かなりの実力者だ。

展開について。
ムンローは挑戦者決定戦では序盤は慎重に距離を取っていたが、今回は初回からガンガン来るであろう。
西岡はメキシカンのようにどっしり構え、ためて強いパンチを打ってくるタイプには滅法強い。
カウンターを取りやすいからだ。
西岡のカウンターを封じるにはとにかく忙しく上体を動かしながら突進し、手打ちの回転の速いコンビを打っていくしかない。
そこはムンローも認識しているはず。
しかもムンローはそれができるタイプだ。
初回からスピード重視のショート連打でペースを取りに来るだろう。
おそらく序盤、西岡は後手に回るだろう。
ただへんてこりんなタミングも一瞬のバネも持たないムンローの動きは前半で読めると思う。
そして6R左の肩越しのズドンでカウントアウトとなると予想する。
ただムンローが予想外に耐久力、スタミナ、集中力、闘争心に恵まれた選手であれば、モンスターレフトにたびたびたじろぎながらも少差の判定をものにする可能性もある。
西岡としてはあせらず丁寧に左を放つタイミングを測ることがキーだろう。
両選手の健闘を祈る。

あと楽しみなのは亀海VSアルファロだ。
亀海の大勝はほぼ間違いないと予想するが、亀海のディフェンス技術が中南米人のパンチについてどのくらい絹するのかが楽しみだ。
あのショルダーブロック、L字ガードだ。
日本人相手では完璧に機能していたが、独特のタイミング、伸びを持つ中南米人相手にも同じように機能するのだろうか。
アルファロはパンチの伸びは怖いが一発一発の間が長いのでおそらく機能するだろう。
しかしショルダーではじいたつもりが、テンプルにガツンなんてこともあるかも。
ここは亀海の本物度が試される。
予想としては亀海が、洋介山戦の時のように1Rから毎ラウンドダウンを奪うような展開の末、8RTKOと見る。
多分2,3Rで終わらせられるだろうが、色々練習の成果を試すべく、敢えて長引かすだろう。
まさになぶり殺しみたいな試合になると見る。
亀海はメディアのコメント等から非常に理知的に見えるが、本性は非常に冷酷で残虐な選手だ。
クールな頭脳にサディステイックな性格。
まさにボクサーというか戦闘マシーンになるために生まれたような男だ。
亀海、魅せてくれ!

ロマゴン、リナレスは圧勝だろう。
山中も頑張れ!

明日が待ち遠しい。

ビッグ・ユー、柳隼人、というか木村隼人の敗戦に思う

ビッグ・ユーこと柳隼人こと本名木村隼人がモービル・マーチンにKO負け。
これでAJバナル戦に続いて2連続KO負けである。
隼人は15歳でタイでプロデビューし、17歳のころにはタイのランキング(低レベルと思われる)に入っていた。
颯爽と凱旋帰国、国内デビューという算段であったが、なんとプロテストB級に落ちてしまう。
怒った横浜さくらジム側は韓国で腕を磨かせる道を選ぶ。
その後期待通り、韓国王者になる活躍を見せる。
たまに帰国して韓国選手として試合をこなし、専門家筋でも上々の評判であった。
結構強気なマッチメークが多かったように思う。
韓国での敗戦もタイトルマッチとか同等レベルの試合だったはず。
そして強豪バナル・・・
マーチンだってアマで実績残してきた選手だ。
もう少し考えたマッチメークをしても良かったのではないか。
やみくもにサバイバルゲームをやる必要はないと思う。
隼人クラスの素材であれば、上を見据えて、じっくり技術練習をし、軽めの相手でチェックし、またその後練習で補修するということもありだ。
ポイントとなる試合は年1、2回で良いのではないか。
どんな選手にして、どのタイミングで上にチャレンジするか計画を立てて、やっていくべきだと思う。
まだ20歳くらいだから出直しはきくが、きつい試合続きで擦り減ってやしないか心配である。
勢いでやるのはここまで良いと思う。
今回の敗戦を機に帰国し、日本のライセンスを取得し、しっかりした育成プログラムを策定して出直してほしいものだ。
無理に最強後楽園とかビータイトとか企画物に出場する必要もないと思う。
ここはじっくり自分のボクシングを組み立て直して欲しいものだ。

2010年10月17日

WBO、IBF加盟の動きについて(私見)

WBO、IBF加盟の議論が急展開の様子。
関西の方では加盟賛成意見を出すようだ。
高山はじめ何人かの選手はJBC管轄外の活動を行っている。
実際、高山は王座挑戦が濃厚、山口もあと一息のところにある。
そのほかボックスファイトなる新団体も旗揚げした。
ここからWBOインターなんとか王座とかに挑む奴も出てくるかも。
ボクシング以外の格闘技では統括コミッションがないこともあり、早くからプロモーションごとの独自の興行、独自の王座を認定していた。
日本のボクシングにもそのような波が迫っている。
ある有望選手にスポンサーが着き、独自にプロモーションして行く世界だ。
「秩序なんて邪魔くさい、要するに世界王者になりたいんだ」という考えの人たちも多いだろう。
ラスベガスのメガファイトを見ていても、タイトルの賭け方とか見ると疑義だらけだ。
しかしハイレベルの試合で世界中を十分魅了していること、けた外れのマネーが動いていることがすべてを帳消しにしている。

さて前置きが随分長くなってしまった。
個人的には、

「条件付きながら加盟賛成」

である。

世界タイトルの希少性とか言う方もいるが、ベルリンの壁崩壊により、東欧の選手達が大挙してプロ入りしてきた。
要するに競技人口が増えているわけだ。
またレベルアップも顕著だ。
暫定とかも含めたら、マネジメント次第では世界王座につくチャンスは増えているのは事実だ。
しかしレベルも急上昇しているので王座に獲得が簡単になったわけではない。
中量級以上なんかアジア人の入り込む余地などないくらいだ。
世界王座は増えてもふた昔前よりも王者になるのは大変なんじゃないかな。
日本の生んだ世界王者でライト級以上の方々は多分今のレベルではとても王座に付けないだろう。
ただ軽量級においては相変わらずアジアと中南米という図式は変わっていないので、王座が増えた分、中身がやや薄くなっているかも知れない。
ここには確かに問題がある。
亀田兄弟含め、軽量級の有望選手は皆世界王座についてしまうのではないかという感があり、たしかに「世界王者の希少性」とか「秩序」から言ったら問題がある。

安直な、でっちあげみたいな世界王者はいらない。

そこでJBCには第三者機関の設立を検討していただきたい。
ボクシング界以外の外部の識者中心に組織される審査機関の発足を考えるのはどうか。
まだ思いつきの域は脱していないのだが・・・
たとえばボクシング界からは興行に直接携わっていない識者、専門誌の記者や評論家を、外部からは格闘技にこだわらず、他の競技の団体役員の方、学識経験者等等から人を集め、挑戦試合の妥当性についての意見を出すとか・・・
人集めのコストはとか、興行、つまりビジネスにどこまで介入できるのかとか、法的な問題はあろう。
ただ挑戦できる王座は増えるかも知れないが、挑戦するにはそれ相応の秩序は保ちたいというものだ。

このWBO、IBF加盟問題については言い出したらきりがなくなる。
また機会を見て書いてみたい。
今日のところはこの辺で・・



2010年10月11日

ボクシング悲喜こもごも

石田が正規王座奪取に失敗。
というかこの王座決定戦の存在を知っていた人が何人いるのだろうか。
直前まで二転三転である。
開催日程すら不透明であった。
そもそもコットがスーパー王者になったのに、なぜ石田が正規王者に昇格できないのか。
興行側の都合で「もう一回」なんて許されるのか。
普通なら頭にきて練習に身なんか入らない。
こんな状態でのコンディション調整は困難を極める。

ほんと石田選手お疲れ様でした。

試合内容はかなりの接戦だったようだ。
石田が「両者の顔を見ればわかる」とコメントしていた通り、見方によっては石田の勝ちだったのかも知れない。
しかし結果がすべてだ。
この後近々に再戦のチャンスが訪れればよいのだが、スーパーウェルターというクラスなのでどうか。
また王者が変わったりすれば、再戦は一層困難になってしまうかもしれない。
もしこのまま石田に再戦のチャンスが訪れることなく引退となったらどうなるのか。
世間一般的には石田が暫定ながら世界王者だったことすら認知されないまま忘れ去られるだろう。
一般社会では世界王者だったか否かは引退後の扱いは全然違う。
天と地だ。
昔ワタナベジムで修行中だったころ、大和とのスパーリングに来ていた田端が、井岡(伯父さんのほうね)がストロー級(当時の呼称)王者になったのを見て、「オレなんでこんなに大きくうまれちゃったのかな」とか漏らしていたのを思い出す(この二人のスパーはカネとれたな)。
石田は「仮に引退することになっても胸を張って引退したい」なんて言っていたが(某一般紙)、そんなこと言わず再戦の機会を作ってやりたいものだ。
かなりの難関であろうが・・・

一方で一翔が日本王座決定戦に快勝し、12月23日には世界に挑むという。
こっちはこっちでトントン拍子である。
うまいこと王者のスケジューリングも交渉しやすい階級でもある。
ニーニョはキャリアがあり、難敵ではあるが、こりゃ超一流!というわけでもなく大きなチャンスである。
うまいこと気流に乗っている。
手頃な体格で生まれ、かつタイミングにも恵まれている。
これも巡り合わせ。
(現時点では個人的には一翔不利だと思うが)

階級によっては世界挑戦すら大変な労力、いや運が必要になってくる。
なんとも言えない気分である。



2010年10月03日

WBAスーパーバンタム級 李、ビッグアップセット!!!

驚いた!!
3-0判定勝ちとは!!

李選手、おめでとう!!
へたれ予想すみませんでした。

先日の大毅VS坂田といいどうもいかん。
内山、河野の試合展開予想はまずまずであったが。
まだ画像とか見つけていないので、機会があったらよくチェックしてみたい。

ところで横浜光ジムはどうなるのだろうか。



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