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2013.04.30 (Tue)

表情豊かな演奏

 生徒が演奏しているのを聴いて「もっと強く」とか「もっと聴こえないくらいに弱く」とか「もうちょっとセクシーに」なんて注文を付けたりするのだが。

 そうすると、どの程度強くしたり弱くしたりセクシーにしたりすればいいのか分からないと云う声をわんさか聞く。

 いったい何をどのように考えればそこに相応しい強さと音色を出すことができるのかと云うと、ただ漠然とここが強くてここが弱いと、例えば属和音が主和音に解決するようなときに属和音が強くて、解決した主和音が弱くなる、と云うような説明だけでは何ら説明になっていなかったりする。

 と云うのも、そのように説明されてそのように演奏しても、きっと先生からは否否そうじゃないよ、と駄目だしされるのがオチなのだ。

 そう云うときに、この音が次にこの音に繋がって行くのを注意して聴いてみて、などと云いながら弾いてみせて、そこにこの音がこんな風に動いて行って低音パートが終始する動きを見せて、この辺で完全に終止すると云うようなことをあまり小難しい言い方でなく説明すると飲み込みのよい生徒はよく分かったりする。

 分かったからと云ってそれがすぐにできるかと云うと全くそんなことはなくて、ひとつひとつの声部を弾いてみて、それが合成されたことを想像しようとして想像ができずに意気消沈する人のなんと多いことかと思う。

 と云うことで、それぞれの声部の音がそれぞれのやり方で最終的に終止する場所に向かって動いて行くと云う感覚が身に付けば、ある音がどの程度に強かったり弱かったり、音色が堅かったり柔らかかったりと云う兼ね合いが分かったりする。

 そうでないと、ただわざとらしく誰かの演奏を真似しただけのような覇気のない、感情の伴わない無意味な演奏になったりする。

 パターン化された演奏、言い訳に満ちた演奏、そんな演奏をするためにそんなに人生の多くの時間を費やしてきた訳ではないだろうと云いたいのだが、なかなかそんなことを云うことができない場合が多い。

 と云うことを南区真駒内のとある場所で考えた。

 春なのにまだ緑は少なかった。

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