鬱の症状を緩和させたいので、精神科医や脳科学者、心理学者の方々が書いた記事などをよく読んでいた時期があります。その中でかなり共通して言われることで面白いなと思ったことがあります。

それは以下の2点です。

① 脳はエネルギー消費を避けるため、常に怠けることを考えている
② 脳は自分を守るためには内臓など他の器官を傷つけることがある

表現方法は違いますが、かなり多くの科学者がこの趣旨のことを主張していて面白いなと思いました。

例えば、① は「酸っぱい葡萄」の逸話に代表されるものです。 美味しそうな葡萄が届かないところにあったら何とか葡萄を狩れるように「知恵」を絞らなければいけないのですが、「どうせ酸っぱいんだ」と思って諦めれば知恵を絞ることによるエネルギー消費が避けられるため、そちらを選ぶというようなことです。そうやって脳に怠け癖がついていくと、脳は少しずつ退化していく可能性があるそうです。

仕事がうまくいかない場合、スキルに問題があるのか、或いはやり方に問題があるのかなど、冷静に分析して対応策を考えなければならないのに、 「上司や同僚に恵まれない」と思うほうが脳にとっては「楽」なので、そちらを選んでしまう、というのもその一例だそうです。

②の「脳は自分を守るためには内臓など他の器官を傷つけることがある」というのは、もっと極端に「脳は自分を守るためなら何でもする」と話す専門家もいます。 例えば、死別などの極度のストレスに晒された時、激しい頭痛に見舞われたり、原因不明の腰痛になったり、声が出なくなったり、病気を発症したりすることがありますが、それは脳が極度のストレスを避けるために、意識を他の器官に向けさせるため、そういった症状を生み出している可能性もあるのだそうです。 精密検査を受けても原因がわからない痛みなどはその可能性が高いそうです。


大きな可能性を持っているのに常に怠けることを考えていて、なおかつ自分が一番大事、それが「脳」という器官だという見解もあります。 

研究途中だったり仮説段階のものもあって、それら全てが科学的に証明されているわけではありませんが、なるほど、と腑に落ちる部分もあります。

特に②の「脳は自分を守るためなら何でもする」という説で、多重人格者のケースとして有名なビリー・ミリガンのことを思い出しました。

ビリー・ミリガンは子供の頃、母親の再婚相手から虐待を受け自殺を試みますが、ビルから飛び降りようとした時に別人格が生まれ、その別人格が自殺を止めます。 その後さまざまな人格に支配され、その別人格が強姦、強盗を繰り返し逮捕されます。 専門家により多重人格者であると判断され、人格の統合のための治療を受けます。  日本のバラエティー番組でも取り上げられたのでご存知の方も多いと思います。

(ビリー・ミリガンの動画は記事の最後に貼っておきますので、ご覧になってみてください。)

自分だけでなく、他の方の死別後の体調不良などの変化とこの「脳の特性」を併せて考えると非常に興味深いと思いました。

死別後の私の最初の体調の変化は声が出なくなったことでした。 声が出なくなった原因はおそらく「どうしてこんなことになったの? 」と聞かれ続けたせいだと思います。

声が出るようになるとすぐに拒食と過食を繰り返すようになりました。 食欲が平常な時は呼吸器系疾患や原因不明の頭痛に悩まされることもありました。 でも、これもすべて「脳」が脳自身を守ろうとしていたのかもしれません。

でも、出来るなら、「脳」には他の身体器官を傷つけて自分を守ろうとするのではなく、もっと健全な形で守ってほしいと思います。

自分イコール脳なのか、或いはスピリチュアリズムで言われるように、魂が本来の自分で脳の司令塔が魂なのか、その辺はよくわかりませんが、心身ともに苦しみ続けるのはやはり辛すぎると思います。


多重人格者、ビリー・ミリガンのケース (英語) 
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