今,はまっています。三上延さん著,「ビブリア古書堂の事件手帖」に。もう3周目に入っています。バイクで出かける時間がありませんorz
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 今年に入って小説や漫画の実写化において,原作改変の問題が起こっています。そのときに過去の例として取り上げられた作品の1つが本作です。興味がわいたので電子書籍で買ってみました。越島はぐさんのイラストが素敵です。右下の紫陽花が伏線になっています。後に出てくる重要人物の肖像画に紫陽花が描き込まれています。アニメのオープニング同様,表紙の出来映えというのは読み手を引きつける重要なものだと思います。

 主人公は五浦大輔という就活中の青年です。母親からはプー輔と呼ばれています。過去のある事件をきっかけに活字が読めなくなっています。立派な体格をしていて,柔道の有段者です。しかし中身は文系という感じの人です。亡くなった祖母の本の鑑定をきっかけにヒロインと知り合い,ビブリア古書堂のアルバイトになります。柔道の経験を生かして,体を張ってヒロインを守る場面もあります。

 ヒロインはビブリア古書堂の店主,篠川栞子さんです。表紙の絵の通り,読書こそ我が人生という感じの美人です。本に関わる話をするときは生き生きとしますが,普段は大変な人見知り。特に初めて会う人とコミュニケーションをとるのが苦手です。本に関しては該博な知識を有し,並外れた洞察力を生かして本に関わるトラブルを鮮やかに解決していきます。しかし得意分野以外ではポンコツ(妹談)。ガールズ&パンツァーの西住みほと似たところがあります。本の話が止まらなくなって,ついて行けなくなったアルバイトに逃げられたことがあります。その栞子さんの話を喜んで最後まで聞いてくれる人が五浦大輔くんその人なのです。

 それにしても栞子。栞子,しおりこ・・・この名前を見た瞬間に心を持って行かれました。ヒロインの名前って大事だなあ。

 基本,私はあまり推理小説は読みません。オリエント急行の殺人なんか素晴らしいと思いますが,読了してトリックがわかってしまうと,スーッと興味が薄れてしまいます。

 事件手帖という言葉が表題にあるので,一応推理ものです。しかし,人物の描写が細やかで,しかも別の話に再登場するケースが多々あり,準レギュラーとも言うべき人物がたくさん登場します。読む者をあきさせない工夫が随所にちりばめられており,何回も見返すことができます。1回や2回ではすべてを理解しきれない自分の読解力にも問題があるのですが。

 何より栞子さんと大輔君の普段のやり取りが微笑ましいです。最後は結婚するのですが,大輔君は思いを寄せながらも栞子さんをサポートすることを強く心がけていて,なかなか本音を出せません。それに対し,栞子さんが突然積極的になるときがあって,その変化と大輔君の戸惑いが面白いです。

 コミック化もされています。こちらはナカノさんという方が執筆されています。小説の2巻分を全6巻で漫画として描かれています。原作に忠実に描かれており,小説同様に楽しめます。栞子さん以外の人々が絵で見られるのはいいですね。こちらの栞子さんは小説判よりも少し若く見えます。無邪気なところもある人ですから,これはこれでありかと。
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 栞子さんと大輔君の物語は7巻で一応完結し,第2期が始まっています。ここでは二人の娘である扉子が物語の中心になります。扉子も本に関する膨大な知識とたぐいまれな洞察力を母親から受け継いでいます。もちろん容姿も♪読書に没頭すると下手な口笛を吹くところまで遺伝しています。これのせいで篠川母娘は仕事をさぼっていると,すぐに大輔君に見つけられてしまいます。こういう細かい設定が随所に見られ,この作品を繰り返し読みたくなる要素になっていると思います。
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 扉子にも事件解決能力は多分にありますが,若い故の経験不足なところは母親が補っています。3つ連続して事件が起こったら,はじめの2つは扉子が解決し,3つめは栞子さんが締めるという感じでしょうか。

 真ん中に描かれているのは扉子で決定として,下の二人は?ネコと見つめ合っている,右の人が栞子さんかな?栞子さんは猫好きです。すると左は栞子の母親である,篠川智恵子ですね。と思うと,左の女性の方が不敵な表情をしているように見えます。ああそうそう。この巻に出てくる高校生時代の智恵子は,黒い冬服でした。彼女は栞子を上回る知識と洞察力を持っています。しかし,10年間家族をほったらかして失踪していたので,残された子どもとして栞子さんは母親に対して反感を持っています。また相手を傷つけるような商売を厭わないところがあり,依頼人を納得させて本によって起こったトラブルを本によって解決し,人間関係を修復しようとする栞子は彼女に対し,複雑な思いを持っています。それでも実の母親なので時々仕事の手伝いをしています。

 これ以上語るのは無粋でしょう。メディアワークスの初めてのミリオンセラーなので,とっくに読んだ方もたくさんいらっしゃるでしょうし。何より私がまだまだわかっていない部分があると思うので,もう何周かは読むと思います。

 映像化作品については,どこから入ったかによって印象が変わる部分があるでしょうね。宮崎駿さんの未来少年コナンは,アニメのコナンが私にとってのコナンです。うる星やつらは高橋留美子さんの漫画よりも押井守さんのアニメの方が好きかなあ。伊藤和典さんという稀代の脚本家がタツノコにいたということもあったのだと思います。最初に見たものの印象は大きいと思います。

 ちなみにビブリアのドラマがデイリーモーションに上がっていたので,1話を再生してみました。大輔くんと栞子さんの出逢いの部分。栞子さんが入院していないやん!最初はアームチェア・ディテクティブっぽく,大輔君が足で集めた情報を元に解決する鮮やかさがよかったのに。2人のイメージも小説と全然違うし。見ないことにします。私はあくまで小説の「ビブリア古書堂の事件手帖」のファンですから。本も漫画も映像作品も,見る見ないはそれぞれ選択できるわけですから,楽しみ方も人それぞれでよいと思います。

 最新刊は今年発売なので,まだまだ続きそうです。また生きる楽しみが増えました。最新刊で好きな場面は,稀覯本が並ぶ書棚の前で本に夢中になっている篠川三代の女性たちを大輔君が連れ戻すところです。大輔君の苦労はこれからも続くことでしょう。それも愛情の一部として楽しんでいる大輔君はナイスガイです。

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