【詳報】ウクライナ侵攻49・11月2日~8日(日本時間)の動き

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 ロシア軍のエネルギー施設への攻撃により、ウクライナの市民が停電や断水に苦しんでいます。ゼレンスキー大統領は6日夜のビデオ演説で、首都キーウを中心に450万人以上が電力を使えない状態にあると明らかにしました。南部ヘルソン州でも、州都ヘルソン全域を含む約10地域が停電や断水に陥っているといいます。

(タイムスタンプは日本時間、括弧内は現地時間)

【プレミアムA】「死の通り」 ブチャ 生存者の証言

大量虐殺の悲劇に見舞われた街ブチャに「死の通り」と呼ばれる場所があります。生存者が語るロシア占領下の「絶望の1カ月」とは。金成隆一記者が住民の証言を丹念に集めました。現地からの写真や映像とともに伝えます。

■■■11月8日(日本時間)■■■

19:44(モスクワ8日13:44)

和平交渉に善意以外の前提条件はない ロシア外務次官

 ロシア国営ノーボスチ通信は8日、ロシアのルデンコ外務次官がウクライナとの和平交渉について「ウクライナが善意を示すという主要な条件を除き、我々は何の前提条件も提示していない」と述べたと伝えた。ロシアが交渉に前向きだとの姿勢を演出しようとしたものだ。

 ロシアは一方的に併合宣言したウクライナの4州について「割譲」するつもりはない。一方、和平交渉の開始についてウクライナ側は、ロシア軍がウクライナ領から完全に引き揚げることを条件としている。ロシアが全面撤退しない限り、交渉は不可能だ。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領と和平交渉はしないとする大統領令にも署名している。

19:40(キーウ8日12:40)

ゼレンスキー氏「ウクライナ支援、継続を」

 ウクライナのゼレンスキー大統領は米国で中間選挙の投票が始まった8日、ソーシャルメディア「テレグラム」を更新した。バイデン米大統領や民主党共和党、米市民に対し、「私たちの国の領土保全を完全に取り戻すことができるその日まで、ウクライナに対する絶え間ない支援を維持するよう、強く求めます」と記した。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルの調査によると、米市民の約3割がウクライナ支援について「やりすぎだ」と回答。特に共和党員では48%がそう答えたという。3月時点で「やりすぎだ」と答えたのは米市民全体、共和党員ともに6%だった。

 ゼレンスキー氏は投稿でバイデン氏らを名指しし、「みなさんが支持しているのは一国やその指導者だけでなく、あなたと同じように、自由を尊ぶ数百万人の市民だと知っておいてほしいのです」と訴えた。

15:46(ロンドン8日06:46)

ロシア、ウクライナ南東部で「竜の歯」設置か

 英国防省は8日、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリ周辺で、ロシア軍が「竜の歯」と呼ばれる防御用障害物の設置を始めたとみられると発表した。

 「竜の歯」はピラミッド型でコンクリートなどで造られ、地上に設置して装甲車両などの移動を妨害するために使われる。ロシアの支配下にあるマリウポリから北西方向の2カ所に設置されているとみられ、同省は、ロシアが一方的に併合を宣言した中南部ザポリージャ州や南部ヘルソン州の防衛強化のためと分析している。

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏は10月、ウクライナ東部ルハンスク州に防衛線「ワグネルライン」を建設すると発表している。ロシア側はウクライナ軍の前線突破を防ぐため、周到な準備をしているとみられる。

10:00(ワシントン7日20:00)

米シンクタンク、戦況分析で「ロシア兵の手紙」

 米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)は7日の戦況分析で、多数の死傷者が出ているなどと、ロシア軍の内情を告発したロシア兵の手紙を取り上げた。

 手紙はロシア海軍太平洋艦隊第155歩兵旅団の兵士が書いたとされ、ロシアの軍事ブロガーが7日に公表した。

 手紙は、ウクライナ東部ドネツク州パブリウカで「理解不能な攻撃に投入され」、自分の隊だけで4日間で死者、負傷者、行方不明者は計約300人に上ったとしている。また、「責任を問われることを恐れ、公的な数値を使ってこのことを隠している」として、東部軍管区のムラドフ司令官らを批判。独立した調査の実施を求めた。

 一方、ロシア国防省はこの日、声明を出して手紙の内容を否定。海軍歩兵の損失は戦闘員1%と負傷者7%で、相当数がすでに任務に復帰しているとした。

 ISWは、「国防省が軍事ブロガーに反応するのは異例」とし、「パブリウカの戦闘が、コメントしなければならないほど悲惨なものだったことを示している」と解説した。

06:00(平壌06:00)

北朝鮮がロシアとの武器取引を否定

 北朝鮮からロシアに「相当数…

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2022年11月3日16時22分 投稿
    【解説】

    ロシアがいったん「無期限停止」を表明していたウクライナからの穀物輸出合意への復帰を発表しました。考えられる理由は2点でしょうか。ウクライナとトルコが、ロシアが離脱後も輸出を継続する構えを示したこと。そして、トルコがロシアに合意継続を強く働き

    …続きを読む
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