「再生請負人」冨山氏がみたジャニーズ性加害問題「じくじたる思い」

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聞き手・村井七緒子
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 ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受けて、経営者らが会員の日本取締役協会は、「未成年者に対する性加害問題と企業のコンプライアンス姿勢に関する緊急声明」を出した。企業は今後、この問題にどう向き合うべきか。「じくじたる思いがある」という企業再生に詳しい冨山和彦会長に聞いた。

 ――なぜ緊急声明を出したのですか。

 「故ジャニー喜多川氏による未成年者への性加害という問題が、有名な芸能事務所のスキャンダルという『個別事件』として注目を集めるなかで、問題の本質がぼやけてしまう懸念がありました。これは企業のガバナンス(統治)にかかわる問題であり、それを伝えるために声明を出しました」

 ――問題の本質とは。

 「未成年者への性加害は、世界的には極めて重大な問題です。特別な権力関係をてこにした性加害は、未成年に対して起きやすい。なおかつ人格形成期における被害は、まさに『魂の殺人』とも言われる大きなインパクトがあります」

 「少なくとも欧米では、グローバル企業がうわさレベルであっても性加害の疑いをもたれている芸能事務所と契約して所属タレントをCMに起用する状況はありえず、厳しい対応が求められます。たとえば(米資本家のジェフリー・エプスタイン氏が少女たちへの性的虐待の罪で起訴された)エプスタイン事件では、米マサチューセッツ工科大メディアラボ所長だった伊藤穣一さんが結果的に地位を失いましたが、彼は性加害に関与しておらず、寄付をもらっていただけです。資金提供する側ではなく、受け取る側でもアウト。それくらい、この問題はシビアなんです。それに比べたら、私たちは本当に緩い。ぼーっとしてたってことですよ、我々は」

「問題意識を持たずスルーしていた」

 ――企業のガバナンスにはど…

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この記事を書いた人
村井七緒子
経済部|AI・デジタルプラットフォーム担当
専門・関心分野
AI、デジタル政策、人権
ジャニー喜多川氏の性加害問題

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