【そもそも解説】セキュリティークリアランスなぜ導入?調査の対象は

有料記事そもそも解説

長崎潤一郎
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 経済安全保障上の重要情報へのアクセスを国が認めた人に限る「セキュリティークリアランス(適性評価)制度」。国はなぜ導入をめざしているのか。導入されると働く人にどういう影響があるのか。いちから解説します。

 Q 適性評価制度ってどんな制度なの。

 A 国の安全保障に関わる重要情報を保全すべき対象に指定し、その情報に接する必要がある公務員や民間企業の従業員らの身辺を調査したうえで、情報にアクセスする権限を与える制度だよ。権限の有効期間は10年。情報を漏らした場合の罰則として5年以下の拘禁刑や500万円以下の罰金が設けられている。

 日本では2014年に施行された特定秘密保護法で同様の制度が導入されているよ。ただ、防衛・外交・スパイ防止・テロ防止の4分野が対象で、経済安全保障に関する情報は明確に規定されていなかった。今回の法案で経済分野に対象を広げようとしているんだ。

 Q どういう狙いがあるのかな。

 A 政府は「安全保障の概念が経済技術分野にも拡大している」(岸田文雄首相)と説明しているよ。人工知能(AI)や先端半導体などは民用と軍用の線引きがあいまいで、国家を挙げた開発競争が激しくなっている。中国のように政権が「軍民融合」の旗を振って、民間が持つ先端技術を兵器開発に生かす動きもある。日本は経済分野を含めた情報保全の仕組みを導入済みの同盟国や同志国と足並みをそろえることで、政府間の情報共有が進むことを期待しているんだ。企業にとっても先端技術に関する国際共同開発・研究に参加しやすくなるメリットがあると強調しているよ。

 Q 適性評価ではどんなことを調べるの?

 A 家族や同居人の国籍、本…

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この記事を書いた人
長崎潤一郎
経済部|首相官邸担当
専門・関心分野
エネルギー政策、税制