「警告」でなく「懲罰」中国側の威嚇拍車 総統就任演説から2日半

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斎藤徳彦=北京 編集委員・奥寺淳
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 中国軍が、台湾周辺を囲むような広範囲での軍事演習に乗り出した。「台独(台湾独立)派」と警戒してきた頼清徳(ライチントー)新総統の就任演説への不満を、今後4年間の任期も見すえて、むき出しの軍事的な威嚇で示した形だ。これに対し、台湾は「横暴」と反発、日米は中台関係の緊迫度が一段と高まることに警戒を強めている。

 「これは『台独』の分裂勢力が独立をたくらむ行為への懲罰だ」

 中国軍で台湾方面を担当する東部戦区は2日間の軍事演習をこう表現した。演習に参加するとみられる、ステルス戦闘機「J(殲)20」やミサイル「DF(東風)」、上陸用の「071型揚陸艦」などの兵器も「ミサイルの雨で独立派を一掃する」といった勇ましい標語とともに紹介された。

 台湾本島をぐるりと取り囲むような軍事演習は2022年8月にペロシ米下院議長(当時)が中国側の猛反発を押し切って訪台した際や、23年4月に蔡英文(ツァイインウェン)総統(当時)が訪米した時にも実施した。将来の台湾の海上封鎖を想定したとみられる配置だ。

 さらに、前2回は含まれていなかった、台湾が管轄する中国沿岸の金門島や馬祖列島といった島嶼(とうしょ)部も演習区域に加えた。台湾当局が島の周りに設定している「禁止・制限水域」を実質的に無効化していく狙いの一環とも受け取れる。

 これまでは「警告」としてい…

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この記事を書いた人
斎藤徳彦
中国総局長
専門・関心分野
国際経済、中国の経済・政治