自民総裁選、宮城の有権者の思いは 立憲代表選、県内でも討論会

自民立憲

福留庸友 吉村美耶 阿部育子
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 12日に告示され、過去最多の9人が立候補した自民党総裁選(27日投開票)。次期衆院選も控える中、県内の有権者はどういう思いで臨むのか。一方、すでに告示された立憲民主党代表選(23日投開票)では県内でも演説会が予定されている。

 仙台市青葉区自由民主党宮城県連支部では、午前10時から県連の総裁選挙管理委員会が開かれた。候補者決定の連絡が党本部から入ると、投票用紙の束を郵便局に運び出した。今回、県内では党員・党友合わせて1万3206人が投票権を持つ。

 投票は26日までに郵便局に届いたものが有効で、27日に党県連支部で開票される。委員長の野田譲・仙台市議は「候補者の様々な施策を見る機会があると思うので、棄権することなく投票してほしい」と呼びかけた。

 投票権を持つ党員らは何を重視して投票するのか。派閥の裏金事件や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を巡る党への不信感を念頭に、ある県連幹部は「今まで悪かったことを変えるのは当たり前」と強調。「デジタルやAIを活用し、新たな日本の姿を示せる人を選びたい」と力を込めた。

 ベテランの仙台市議は世代交代を重視。若手候補に投票する。「党が生まれ変わる大きなチャンスだ」。中堅市議は「不信感を払拭(ふっしょく)できるか、実行力、実現力があるかを見極めたい」と言う。

 若手市議は「国家観を重視する。国にしか出来ない外交や国防でしっかりビジョンを示せる人を選ぶ」。2児の父で、子育て・教育支援の政策も重要視したいという。

 今回の総裁選では、過去最多の9人が立候補。県選出の国会議員の対応も割れ、土井亨氏(衆院1区)は高市早苗氏、桜井充氏(参院宮城)は林芳正氏、秋葉賢也氏(衆院比例東北)は河野太郎氏の推薦人となった。

 こうした状況に「候補者数が少し多い。日頃の活動で評価された人が出るべきだ」と苦言を呈する人も。「国会議員の票が割れて地方票の重みが増す」との声も上がった。

 事実上の首相選びとなる総裁選に、党員以外の宮城県民は何を思うのか。県内の介護職の40代男性は「ただ顔を変えるだけでなく、中身の伴った総裁選を」と求めた。「人気取りではなく、国民の視線に立った政策にしてほしい。過疎地域や賃金格差にもきちんと目を向けてほしい」(福留庸友、吉村美耶)

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 7日に告示された立憲民主党の代表選でも、候補者4氏が全国を回っており、討論会や街頭演説でそれぞれの重点政策を訴えている。県内では15日、JR仙台駅東口で立会演説会を開く予定だ。

 国会議員(衆参136人)、地方議員(1236人)、衆参の公認候補予定者(98人)、党員・協力党員(約11万5千人)が有権者となる仕組み。県内の有権者は、国会議員が4人、地方議員が29人で、県連に登録している党員・協力党員の数は約3700人。投票はポイントに換算され、総計の過半数を獲得した候補者が当選する。

 推薦人名簿によると、県選出の国会議員のうち、鎌田さゆり氏(衆院2区)は野田佳彦氏、岡本章子(衆院比例東北)、石垣のりこ(参院宮城)両氏は吉田晴美氏の推薦人となっている。(阿部育子)

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 今回の自民党総裁選や立憲代表選を巡っては、演説中の政治家が襲撃される事件が近年相次いだことの影響も出ている。

 2018年は仙台市で総裁選候補者が集まった演説会が開かれていたが、21年の総裁選では新型コロナの影響で地方遊説などが中止に。今回は仙台市ではなく、福島市での開催になった。党関係者によると、仙台市中心部では、十分な警備体制を敷いた上で、数百人の聴衆を収容できる場所が見つからなかったという。

 立憲が15日にJR仙台駅東口で予定している立会演説会は、当初は西口付近で開く予定だった。だが、手荷物検査場や金属探知機の設置などについて県警からの指摘があり、東口に変更した。

 県警によると、安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を受け、警察庁が要人警護の運用をまとめた「警護要則」に基づき、警護計画は警察庁と都道府県警が連携して作ることになった。県警幹部は「近年の大きな事件を受けて警護強化に取り組んでいる。緊張感をもって臨む」としている。(福留庸友、阿部育子)

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この記事を書いた人
福留庸友
仙台総局|おもに行政担当
専門・関心分野
東北、東日本大震災、メディア論
自民党総裁選挙2024

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