●今回もゲルギエフ指揮(マリインスキー)の実演前に聴いておいたCDです。
⑮ストコフスキー指揮:ロンドン響 ★1964年9月17日、ライブ録音。
①14:27②04:51③12:00④09:25
★ストコフスキー(1982~1977)82歳時の3度目の録音。(西側初の1939年盤や1958年盤もありますが、私は未聴)
「聴かせ上手」なストコフスキーの面目躍如たる演奏で、大変に面白く聴けます。
①若干速めのテンポではありますが、力強くもある。提示部は、「不穏感」漂う響き。
②ストコフスキーは、マーラーの交響曲の録音もいくつか残していますが、ムラヴィンスキーよりは諧謔性があるような印象ですが、それほどでもありません。
③比較的速いテンポながら、流麗で美しい。
④速めのテンポで、グイグイ進む。フィナーレ直前や、フィナーレでは、ティンパニが派手に鳴り、外面的効果は絶大。聴衆の「ブラボー」と拍手入。
⑯ハイティンク指揮:コンセルトヘボウ管 ★1981年5月録音
①17:59②05:22③15:40④10:33
★構築感があり、テンポも遅めのせいもあり、スケール感がある立派な演奏。最後の最後に大きめのアゴーギクがあるのは興味深い。
①提示部は、慎重すぎる?との印象も受ける遅めのテンポ。ピアノの音で始まる展開部は次第に速めのテンポへと変化しますが、提示部が遅かったので、行進曲までの変化が明解でわかりやすい。クライマックスは比較的抑えめ。
②中庸なテンポで、諧謔性も感じられる、マーラー風演奏。
③遅めのテンポ。弦の響きが立派で見事。「パニヒダ」の旋律も明瞭。
④やや速めのテンポで、勢いよく、イン・テンポで進む。フィナーレではティンパニが良く鳴り、最後の最後で大きく、テンポが落ちる珍しい解釈で堂々と終わる。
⑰ビシュコフ指揮:ベルリン・フィル ★1986年5月録音
①14:47②05:56③15:29④12:10
★1985年1月、ムーティの代役でベルリン・フィルを指揮し、大成功。同年のベルリン・フィル演奏旅行まで指揮(カラヤン監督時代は初めてらしい)同年5月フィリップス社と専属契約した34歳時のデビュー盤。当時の関係者の期待も大きかったのでしょう。
全体的にはスマートな演奏ですが、所々、若さが幸いしてか?、かなり大胆な解釈をオーケストラに要求しており、大変に興味深い演奏。録音もオーケストラも良いので聴き応え十分。
①正攻法で、比較的流麗で、展開部は迫力も十分。
②ビシュコフもユダヤ系らしく、最もわかりやすく、大胆な解釈。曲自体がマーラー風ですが、さらにマーラーを全面に押し出したようなアイロニー豊かな演奏。とりわけ、コーダのオーボエ・ソロは止まりそうなくらいテンポが落ちて、その後テンポアップで終了。
③弱音を重視した痛切な「レクイエム」風演奏。半ば過ぎのゆったりしたオーボエ・ソロが味わい深い。
④3分すぎの打楽器の強打は強烈。その後のゆったりしたホルンも見事。その後、中間部は弱音重視の味付け。コーダは遅めのテンポで堂々とした力強い演奏。
●ビシュコフは、2010年2月にN響に客演したので、私も実演を聴きました。来年4月にも客演するようです。詳細は、こちら
⑱アシュケナージ指揮:ロイヤル・フィル ★1987年3月録音
①16:31②05:15③14:43④10:55
★「全ての楽章において中庸を得た名演である」(諸井誠)
正攻法の演奏で、外面的な派手さも皆無で、真面目で丁寧な演奏。録音も良い。
①展開部は迫力十分。
②あまり諧謔性が感じられない、几帳面な演奏。
③弦の響きも美しく、最後はお祈りのように静かに終わる。
④丁寧ながらも迫力に欠けることもない必要十分な演奏。
★なお、このCDの余白には、比較的聴く機会の少ない、10分に満たない「5つの断章、作品42」が収録されていますので、お買い得。
⑲インバル指揮:フランクフルト放送 ★1988年11月23、24日録音
①15:54②05:33③14:18⑤10:47
★精緻で、全体的にはどちらかと言えば、現代的でスマートですが、一方で所々メリハリやアゴーギクもある興味深い演奏。
①提示部は、比較的弱めに始まるので、展開部の行進曲以降の盛り上がりが一層印象深い。
③ラルゴは、緻密な演奏ですが、前半の弦によるクライマックスは迫力十分。
④中庸なテンポで入り、次第にテンポが速まりますが、1分50秒あたりからは、さらにテンポが速まり、3分過ぎの打楽器の強打までアッチェレランドで、すごい迫力。(この解釈は珍しく、昨年12月14日の実演でも同じでした)
中間部では穏やかになり、フィナーレは、バランスも良く、迫力も十分。
★2011年12月12日、東京文化会館でのライブ録音がもうCDとして発売されているようです。
⑳ショルティ指揮:ウィーン・フィル ★1993年、2月6、7日ライブ録音。
①15:28②05:19③12:26④10:17
★ライブ録音ながら、雑音もなく、明暗が明解なわかりやすい演奏。
①鋭角的な入りですが、提示部は比較的陰鬱さを醸し出す音色。
②中間部はともかく、メリハリが明解で、マーラー風の諧謔性を強調しない几帳面な演奏。
③比較的静かな、弦の響きが良く、美しくもある「レクイエム」風?演奏。
④やや速めのテンポで、力強く、キレ味も鋭い。3分過ぎの打楽器は強烈。
フィナーレは多少遅めのテンポで、堂々と派手に鳴る。
●20年ほど前の話で恐縮ですが、サントリーホールで聴いたショルティ指揮(シカゴ響)のショスタコーヴィチの交響曲第8番の実演は、かなり忘れがたい強烈な演奏でした。
●その5へ続く
(その1)はこちら、
(その3)は、こちら
★曲目解説はこちら
⑮ストコフスキー指揮:ロンドン響 ★1964年9月17日、ライブ録音。
①14:27②04:51③12:00④09:25
★ストコフスキー(1982~1977)82歳時の3度目の録音。(西側初の1939年盤や1958年盤もありますが、私は未聴)
「聴かせ上手」なストコフスキーの面目躍如たる演奏で、大変に面白く聴けます。
①若干速めのテンポではありますが、力強くもある。提示部は、「不穏感」漂う響き。
②ストコフスキーは、マーラーの交響曲の録音もいくつか残していますが、ムラヴィンスキーよりは諧謔性があるような印象ですが、それほどでもありません。
③比較的速いテンポながら、流麗で美しい。
④速めのテンポで、グイグイ進む。フィナーレ直前や、フィナーレでは、ティンパニが派手に鳴り、外面的効果は絶大。聴衆の「ブラボー」と拍手入。
⑯ハイティンク指揮:コンセルトヘボウ管 ★1981年5月録音
①17:59②05:22③15:40④10:33
★構築感があり、テンポも遅めのせいもあり、スケール感がある立派な演奏。最後の最後に大きめのアゴーギクがあるのは興味深い。
①提示部は、慎重すぎる?との印象も受ける遅めのテンポ。ピアノの音で始まる展開部は次第に速めのテンポへと変化しますが、提示部が遅かったので、行進曲までの変化が明解でわかりやすい。クライマックスは比較的抑えめ。
②中庸なテンポで、諧謔性も感じられる、マーラー風演奏。
③遅めのテンポ。弦の響きが立派で見事。「パニヒダ」の旋律も明瞭。
④やや速めのテンポで、勢いよく、イン・テンポで進む。フィナーレではティンパニが良く鳴り、最後の最後で大きく、テンポが落ちる珍しい解釈で堂々と終わる。
⑰ビシュコフ指揮:ベルリン・フィル ★1986年5月録音
①14:47②05:56③15:29④12:10
★1985年1月、ムーティの代役でベルリン・フィルを指揮し、大成功。同年のベルリン・フィル演奏旅行まで指揮(カラヤン監督時代は初めてらしい)同年5月フィリップス社と専属契約した34歳時のデビュー盤。当時の関係者の期待も大きかったのでしょう。
全体的にはスマートな演奏ですが、所々、若さが幸いしてか?、かなり大胆な解釈をオーケストラに要求しており、大変に興味深い演奏。録音もオーケストラも良いので聴き応え十分。
①正攻法で、比較的流麗で、展開部は迫力も十分。
②ビシュコフもユダヤ系らしく、最もわかりやすく、大胆な解釈。曲自体がマーラー風ですが、さらにマーラーを全面に押し出したようなアイロニー豊かな演奏。とりわけ、コーダのオーボエ・ソロは止まりそうなくらいテンポが落ちて、その後テンポアップで終了。
③弱音を重視した痛切な「レクイエム」風演奏。半ば過ぎのゆったりしたオーボエ・ソロが味わい深い。
④3分すぎの打楽器の強打は強烈。その後のゆったりしたホルンも見事。その後、中間部は弱音重視の味付け。コーダは遅めのテンポで堂々とした力強い演奏。
●ビシュコフは、2010年2月にN響に客演したので、私も実演を聴きました。来年4月にも客演するようです。詳細は、こちら
⑱アシュケナージ指揮:ロイヤル・フィル ★1987年3月録音
①16:31②05:15③14:43④10:55
★「全ての楽章において中庸を得た名演である」(諸井誠)
正攻法の演奏で、外面的な派手さも皆無で、真面目で丁寧な演奏。録音も良い。
①展開部は迫力十分。
②あまり諧謔性が感じられない、几帳面な演奏。
③弦の響きも美しく、最後はお祈りのように静かに終わる。
④丁寧ながらも迫力に欠けることもない必要十分な演奏。
★なお、このCDの余白には、比較的聴く機会の少ない、10分に満たない「5つの断章、作品42」が収録されていますので、お買い得。
⑲インバル指揮:フランクフルト放送 ★1988年11月23、24日録音
①15:54②05:33③14:18⑤10:47
★精緻で、全体的にはどちらかと言えば、現代的でスマートですが、一方で所々メリハリやアゴーギクもある興味深い演奏。
①提示部は、比較的弱めに始まるので、展開部の行進曲以降の盛り上がりが一層印象深い。
③ラルゴは、緻密な演奏ですが、前半の弦によるクライマックスは迫力十分。
④中庸なテンポで入り、次第にテンポが速まりますが、1分50秒あたりからは、さらにテンポが速まり、3分過ぎの打楽器の強打までアッチェレランドで、すごい迫力。(この解釈は珍しく、昨年12月14日の実演でも同じでした)
中間部では穏やかになり、フィナーレは、バランスも良く、迫力も十分。
★2011年12月12日、東京文化会館でのライブ録音がもうCDとして発売されているようです。
⑳ショルティ指揮:ウィーン・フィル ★1993年、2月6、7日ライブ録音。
①15:28②05:19③12:26④10:17
★ライブ録音ながら、雑音もなく、明暗が明解なわかりやすい演奏。
①鋭角的な入りですが、提示部は比較的陰鬱さを醸し出す音色。
②中間部はともかく、メリハリが明解で、マーラー風の諧謔性を強調しない几帳面な演奏。
③比較的静かな、弦の響きが良く、美しくもある「レクイエム」風?演奏。
④やや速めのテンポで、力強く、キレ味も鋭い。3分過ぎの打楽器は強烈。
フィナーレは多少遅めのテンポで、堂々と派手に鳴る。
●20年ほど前の話で恐縮ですが、サントリーホールで聴いたショルティ指揮(シカゴ響)のショスタコーヴィチの交響曲第8番の実演は、かなり忘れがたい強烈な演奏でした。
●その5へ続く
(その1)はこちら、
(その3)は、こちら
★曲目解説はこちら