●チャイコフスキーの後期3大交響曲は、名曲過ぎて、定期演奏会ではめったに聴くことができません。
久しぶりに、11月28日、ハーディング指揮(新日本フィル定期演奏会)で聴きますので、良い機会ですので、予習を兼ねて聴き比べをしてみました。(同公演は12月1日、埼玉会館でも演奏されるようです)

★ウィキペディアの曲目解説は、こちら
たいていの解説等にも引用されているので、皆さんご存知かとは思いますが、チャイコフスキー自身が、メック夫人への手紙の中でかなり詳細に述べていますので、その手紙を読んだほうが早いとも言えます・・・・・・・・・・・。




①フルトヴェングラー指揮:ウィーン・フィル  ★1951年1月8~10日、2月16日
チャイコフスキー:交響曲第4番
①19:05②10:10③05:52④09:04

★フルトヴェングラーらしく、ロマンチックで、テンポの揺れも大きい。起伏が激しいので、曲の持つ不安定な精神状態を見事に再現した演奏とも言えましょう。録音もフルトヴェングラー指揮のものとしては良い方。
①序奏は比較的やわらかい金管と、遅めのテンポで入る。
第1主題も遅めのテンポで入りますが、かなり揺れる。第2主題は、第1主題ほどは揺れない。
展開部の後半から、再現部の入りまでアッチェレランドで盛り上がる。その後の第2主題はゆったり。
②遅めのテンポでロマンチック。
③第2部の木管は舞曲風が明解で、楽しそう。
④遅めのテンポで重厚感のある入り。第2主題も遅め。5分頃第1楽章の序奏主題が鳴ると、2度の「間」があり、その後、フィナーレに向かって綿密な設計?のアッチェレランドがあり、見事な盛り上がりで終わる。




②ムラヴィンスキー指揮: ★1957年4月8日、モスクワで録音。メロディア盤
Mravinsky Edition Vol.18 - Tchaikovsky, Glazunov: Symphony No.4
①18:06②09:11③05:32④07:48

★「ロシア的」というよりも、全体的にトスカニーニ風の現代的演奏ですが、所々、アゴーギクも比較的多い。かなり力強く圧倒的な迫力の演奏。

①再現部やコーダの迫力はすごいのですが、マイクに収録しきれないのが残念。
②曲想のせいもあり、ムラヴィンスキーにしては比較的ロマンチック。
③ダイナミックレンジが大きく、メリハリもあり。木管はかなり大きめの音を出すので印象的。
④第1主題の速さは圧倒的。このコンビのグリンカ:《ルスランとリュドミーラ》序曲を思い起こさせる。
ロシア民謡の第2主題も随分速い。
5分過ぎの第1楽章序奏主題は、普通のテンポに戻る。
その後は、再度凄まじい速さでフィナーレ。唖然!!!!!!!!!!






③ムラヴィンスキー指揮:  ★1960年9月14、15日、ロンドンでのセッション録音。(DG盤)
チャイコフスキー:交響曲第4番
チャイコフスキー:交響曲第4-6番
①18:43②09:15③05:48④07:54

★大変に評判の良い最も有名なCD。基本的には1957年盤と大きな解釈の違いはありませんが、1957年盤よりもはるかに録音状態がよいため、ダイナミックレンジの大きさが良くわかり、聴き応えがかなり向上。

①前回の録音よりも少々遅めのテンポですが、他の指揮者たちと比較すると中庸なテンポ。
録音が良いせいか、切れ味鋭く感じられます。
②オーボエ等の木管も良く、味わい深い。中間部のクライマックスも迫力あり。
③1957年盤とほぼ同じ。
④第1主題は相変わらず、猛烈な速さ。フィナーレも速く、バランスも崩れることなく、すごい迫力。これでも1957年盤よりも6秒ほど遅い。






④モントゥー指揮:ボストン響  ★1959年1月28日録音
チャイコフスキー:交響曲第4番&R.シュトラウス:死と変容
①17:28②08:10③05:13④08:41

★モントゥー(1875~1964)74歳頃の録音。速めのテンポで、勢いあり。どちらかと言えば、スマートな現代風の演奏ですが、切れ味鋭く迫力も十分。

①第1主題は、速めで、メリハリもあり、キレも良い。第2主題は、少々遅目でカンタービレ豊か。
再現部も迫力あり。
②やや速めのテンポで、どちらかと言えば、あっさり系。中間部も速めで流麗。
③やや速めのテンポ。
④第1主題は、かなり速めのテンポで勢いあり。第2主題はやや遅めのテンポ。第3主題は中庸なテンポ。
キレも勢いもよく、迫力のあるフィナーレで終わる。



その2へ続く




レコード芸術 2010年 10月号 [雑誌]
★この号の「現代名盤鑑定団」(130)では、チャイコフスキーの交響曲第4番が取り上げられています。
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