かつて
臨死体験について」という記事、
再び、臨死体験について」という記事を書いた。

これらの記事にも書いたとおり、
臨死体験に対する解釈は、「脳内現象説」と「現実体験説」に分けられる。

「脳内現象説」は、臨死体験を「単なる脳内で起こる幻覚にすぎない」と考える。

一方、「現実体験説」は、「臨死体験者は死後の世界をかいま見たのであり、死後の世界はある、死んだ後も人間の魂は生き続ける」と主張している。

ただ、これらの記事に書いた臨死体験事例は、
いずれも「現実体験説」に立たなければ説明のつかない事例だ。

これらの体験事例を取材したジャーナリスト・立花隆氏も、「現実体験説」に立たなければ、これらの事例を合理的に説明できないことを認めている。

・・・

京都大学大学院にカール・ベッカーという教授がいる。
日本語もペラペラ、関西弁を話せるイナセなオジサンである。

ベッカー教授いわく、「日本は臨死体験事例の宝庫」なのだそうだ。
飛鳥時代から奈良時代にかけて浄土教が輸入されて以来、日本の僧侶たちは、数々の臨死体験事例を記録してきた。

それらは仏教的な装飾が施されているものの、その装飾を取り外してみれば、すべてが臨死体験事例として読めるらしい。

例えば、「日本往生極楽記」、「続本朝往生伝」、「拾遺往生伝」などの書物を紐解いてみると、臨死体験の記録で溢れかえっている。

臨死体験事例を収集し、記録する。
そうした日本の伝統は、飛鳥時代から江戸幕府末期まで続いたが、
慶応4年から明治4年までの「廃仏毀釈」によって潰えてしまった。

その後、日本では、「臨死体験なんてオカルトだ!」という風潮が強まったが、
一方、欧米では、臨死体験研究が盛んになっていく。

その皮切りが、「臨死体験について」で登場していただいた、スイス生まれの精神科医 エリザベス・キューブラー・ロス博士と、アメリカ合衆国の精神科医兼哲学者 レイモンド・ムーディ博士である。

彼らの研究成果を引き継ぎ、アメリカには「国際臨死体験研究会」が設立され、
また、コネティカット州立大学の医学部には臨死体験事例が膨大に保存されている。

・・・

ハーバード大学で医学を修め、「脳神経外科医の権威」とまで呼ばれていたエベン・アレキサンダー博士という人がいる。

「脳」を研究しているだけあって、当然のことながら「唯脳論者・唯物論者」であり、
「あの世」など無い、死後の世界など無いと強硬に主張していた人だ。

だが、アレキサンダー博士の主張は、180度、転回することになる。

彼は2008年、急性細菌性髄膜炎に罹り、7日間、こん睡状態に陥った。
その際、アレキサンダー博士は、自ら臨死体験をした。
その後、アレキサンダー博士は、「あの世」や死後の世界があると主張し始めた。

脳科学の権威(=唯物論・唯脳論者)が「あの世」や死後の世界を認めた事実に、
アメリカ国民は衝撃を受けたようだ。
この件は、あちこちのニュースで見ることができる。


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スチュワート・ハメロフ博士というアメリカ合衆国のアリゾナ大学の麻酔科医がいる。
ハメロフ博士は麻酔科医であるだけでなく、心理学や量子物理学も研究しており、人間の「意識」について研究をしている。

ハメロフ博士は「量子」が魂を形成しており、瀕死の状態になると、その「量子」が脳の神経系から離脱し宇宙空間まで飛んでいくと主張している。

つまり「三途の川を見た」などという臨死体験者は、一時、魂が宇宙空間を漂っていたと主張しているのだ。

ちなみに、意識は「量子」から成り立っているという主張は、イギリスのロジャー・ペンローズ(数学者、理論物理学者、宇宙物理学者)の「人間の魂は脳細胞にある微小管に詰まっている」という主張がベースにある。

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エベン・アレキサンダー博士にしろ、スチュワート・ハメロフ博士にしろ、あるいはロジャー・ペンローズ博士にしろ、最先端の科学者の中には、魂や死後の世界について確信を持って語る人がいるということだ。

日本にはごくわずか、ひょっとしたら全くいないのかもしれないが、
冒頭で触れた「往生伝」の伝統は、日本から欧米に引き継がれているようだ。

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