★前置き

念のために言っておく。
俺はブラックホールが「あの世」である…なんて言いたいわけじゃない。
ブラックホールが「あの世」への入り口であるとか、ブラックホールの中が「あの世」かもしれない…なんて言いたいわけじゃない。

ただ、どんなに技術が進歩したとしても、決して見えないモノがあるということを示したい。
いずれ科学技術が発達すれば、何でも見えるようになるというわけではない。
技術的にではなく、原理的に見えないモノもあるのだ。

だが、原理的に見えないからと言って、「それ」が無いとは言い切れない。
ブラックホールの中だって、決して見ることはできないが、確かに「中」は存在している。

だとしたら、「あの世」や「死後の世界」だってそうかもしれない。
それは決して見えないが、確かに「それ」は存在しているのかもしれない。

・・・

前述のとおり、「特異点」が「事象の地平線」の向こう側にあるのなら、それを「見る」ことは絶対にできない.。
しかし、「特異点」を「知る」ことならできるかもしれない。

だが、「知る」ためには、どうしても「∞(無限大)」の問題を回避しなければならない。
そのためには、いったいどうしたらいいんだろうか。

現在のところ、アインシュタインの「一般相対性理論」に対する否定的な材料は見つかっていない。

水星の近日点移動の問題。
アーサー・エディントン(イギリスの天文学者、天体物理学者)が皆既日食の観測の際に確認したとおり、「重力」によって光が曲がって観測されること。
いわゆる「重力レンズ効果」。
2015年、「重力波」が直接検出されたこと。
スマホの地図アプリやカーナビが「使い物」になること。

いずれも「一般相対性理論」の正しさを示す事例だ。
少なくとも、マクロの世界を記述する理論として、「一般相対性理論」は有効なのだ。

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マクロの世界の理論が「一般相対性理論」なら、ミクロの世界の理論は「標準模型」だろう。
たとえば「欧州原子核研究機構(CERN)」等による素粒子実験が示すとおり、「標準模型」の正しさも実証されている。

標準模型の図③


だが、「標準模型」は完璧な理論ではないはずなのだ。
その理由を2つだけ示したい。

1つめは、「標準模型」の枠内では「暗黒物質(ダークマター)」や「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」を説明できないことだ。

2013年、「欧州宇宙機関(ESA)」は人工衛星「プランク」による観測結果を発表した。
それによれば、宇宙のエネルギー組成のうち、「暗黒物質」の割合は26.8%、「暗黒エネルギー」にいたっては68.3%を占めており、「標準模型」で説明できる「普通の物質」は、たったの4.9%しかないのだ。

こういう数字を示されると、現在までの素粒子実験の結果が「標準模型」の正しさを証明するばかりであったとしても、やはり「標準模型」は不完全であると言わざるを得ないだろう。

2つめは、「標準模型」が「重力」を説明できないことだ。

アイザック・ニュートン(イングランドの自然哲学者、数学者、物理学者、天文学者)以来、物理学者は、「物質」と、その間に働く「力」とによって、自然現象を理解してきた。
当然、素粒子の間にも「力」が働いている。
すなわち、「標準模型」は素粒子を羅列しただけの理論ではなく、その間に働く「力」を説明する理論でもある。

自然界には、「強い力」、「電磁気力」、「弱い力」、そして「重力」という4つの基本的な力が存在している。
これらの4つの力のうち、「強い力」と「電磁気力」、「弱い力」は「標準模型」の枠内で説明することができる。
だが、人間にとって、いちばん身近なはずの「重力」が、「標準模型」には含まれていないのだ。

日常生活で身近に感じる力は「電磁気力」と「重力」だ。
それほど身近な「重力」を無視している「標準模型」に意味があるのか?と言われてしまうかもしれない。

だが、「重力」は他の3つの力に比べて遥かに弱い。
そのため、最先端の素粒子実験において、「重力」の影響は無視してもかまわない。
したがって、「重力」を含んでいない「標準模型」でも、素粒子実験の結果が説明できるのだ。

しかし、宇宙全体に目を向けたとき、「重力」を無視するわけにはいかない。
宇宙がどのように生まれ、これからどうなっていくのかは、「重力」が決めているからだ。

・・・

繰り返しになるが、「事象の地平線」の向こう側にある以上、ブラックホールの「特異点」を「見る」ことは絶対にできない。
だが、それを「知る」ことならできるかもしれない。

ブラックホールの「特異点」は、すべてが凝縮した超ミクロの「点」であり、「∞(無限大)」の「重力」を持っている。
だからこそ、それを「知る」ためには、素粒子の理論と「一般相対性理論」との統一・融合が求められている。

それは現時点では成功していない。
だが、いずれ統一がなされたとすれば、われわれは「事象の地平線」の向こう側を「知る」ことができるに違いない。

人間の脳ではイメージできないものがある。
だが、イメージできないからと言って、「それ」が存在しないわけではない。

ブラックホールの「事象の地平線」の向こう側は、決して「見る」ことはできないが、そこには「特異点」という「得体の知れない何か」がある。

それは「あの世」や「死後の世界」だって同じかもしれない。

それがどんな世界なのか、「見る」ことはできないが、「この世」の地平線の向こう側には、「あの世」という「得体の知れない世界」が存在するのかもしれない。

(おしまい)

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