JUGEMテーマ:建築
私は、冷静なる判断で、断熱と気密の強化をまた本当の意味で有効な24時間換気(まがい物が非常に多い)と快適な冷暖房の普及には、まだまだ時間がかかると思っている。国策的な省エネ気運は、確かに追い風にはなっているが、結果として中途半端なものを沢山産んでしまっている。かつては信念のある少数派の仕事だったこれらの手法が、手を替え品を替え、売らんかなの住宅業界全体に波及し始めている事は喜ばしい事かもしれないが、逆に本物が埋没芝締めている。住まい手である消費者のリスクは以前より高まっていると言わざるを得ない。
私は夏向き冬向きの前に、断熱・気密・24時間換気と言う三原則は万国共通で、基礎性能として確保出来なければならないものだと言いたい。省エネと快適性能は矛盾しないから、このテクニックをつかって、その気候風土に会った工夫満載の住まいを構築していく必要があると思う。断熱の力点や開口部の仕様や大きさ、そして確保される換気量はその場所固有のバランスが会って良いのである。夏向きか冬向きのどちらかに特化出来る事は住まいづくりを明確にする。しかし、私が拠点を置く福岡などは、真冬日も真夏日もあるエリアである。その条件下のオールシーズンの快適性には、かなりの微妙なバランスが必要だが、これから先、私たちはさらに進化しなければならず、中途半端なものとの差別化をどうしていくかが、課題だと言わざるを得ない。JUGEMテーマ:建築
◆応援よろしくね!!読んだらココをポチッとお願い!!→およそ20年前に、九州で断熱だ、気密だと騒いでいると、よく奇異な目で見られた。しまいには、当時話題になり始めていた「シックハウス」と関連づけられて、「お前たちのやってる事が健康被害を産んでいる」と真剣に非難されてものだった。明確な計画換気もなく、気密性能も中途半端な曖昧模糊とした住まいを作り続けている人たちに、そう言われる事は屈辱以外の何ものでもなかったが、当時今のような時代がやってくるとは想像出来なかった事である。「高断熱・高気密」を散々非難してきた人々は、さすがにその言葉は使えないのか、特に名称を語らずに、省エネを大上段に掲げながら、同じようなものをつくり始めていたりするが、私に言わせればやはり一本筋が通らない分、中途半端なものが多い。変な部分でメディアに踊らされ、意味なく外張りに固執したり、もう15年前に教訓的に体験した夏場のオーバーヒートを未だにしていたりと、結果的に中途半端なものが、住まい手である消費者に不利益を産んでいる。(つづく)JUGEMテーマ:建築
◆応援よろしくね!!読んだらココをポチッとお願い!!→正直なところ、一番の理想は、夏には夏向きの家に住み、冬には冬向きの家に住む事が、自然の摂理に従って素直に暮らす一番の方法かもしれない。ブルジョア階級が夏は高地に避暑に出かけ、冬は暖かい場所に移動するが、悲しきかな時間も場所もない小市民の私たちには、夏も冬も快適な住まいが求められているのである。兼好法師のつれづれなる一言「住まいは夏を旨とすべし」は、日本の家屋をずっと開放型の住まいにとどめさせるに十分な魔力を持って室町時代以降君臨しているが、それは法師が「冬は着込んで寝ちまえば、なんとかしのげるから」とギリギリの居住性を語っている事はあまり知られていない。
近年、どちらかと言うと冬の寒さ対策のために、感覚的に断熱材が導入され、知らず知らずのうちにすきま風を止めるレベルで気密性能も上がって来た事で、住まいの性能は冬に照準が当てられ、夏の事が少しなおざりにされてきた。確かに、生命に危険すら伴う北方の気候に対して、南方はまあいい加減につくっても死にはしないという部分があったのかもしれないのである。(つづく)JUGEMテーマ:建築