世界遺産・苔寺が水路を復元へ 応仁の乱で一時荒廃、往時の姿が念頭

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日比野容子
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 苔(こけ)寺として知られる世界文化遺産・西芳寺(さいほうじ、京都市西京区)が、近くを流れる西芳寺川から境内の池へ水を引き入れていた水路の復元に乗り出す。往時の姿をよみがえらせるとともに、水のせせらぎを感じて心を整える空間にしたいという。

 西芳寺は731年に行基が開山したと伝わり、作庭の名手でもあった高僧・夢窓疎石(むそうそせき)が臨済宗の禅寺として1339年に再興した。室町幕府将軍の足利義満や義政が度々寺を訪れて座禅に励み、西芳寺を模して金閣や銀閣を造営したとされる。応仁の乱以前の寺の姿を伝える史料には、西芳寺川から境内に水を引き入れて池を作っていたことなどが記されている。

 応仁の乱で境内のほぼ全域が焼失し、度重なる川の氾濫(はんらん)や山崩れの被害も受け、白砂青松で知られた庭は荒廃した。次第にコケで覆われるようになったが、緑のじゅうたんを敷きつめたような美しい苔庭は「わび」「さび」の趣を出し、国内外から観光客が訪れている。

 西芳寺は2031年に開山1300年を迎える。その記念事業として文献に記録が残る水路の復元をめざすことを決めた。現存する水路は幅が狭いうえ、地面よりかなり深い部分を流れているため水の存在を感じにくいが、地表面近くに水路を復元することでかつてのような水の流れを感じやすくなる。

 復元に向けて京都市文化財保…

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この記事を書いた人
日比野容子
京都総局
専門・関心分野
オーバーツーリズム、歴史文化、医療・介護、クラシック音楽、スキー、料理、欧州事情など