第5回不妊手術かかわった医師「当たり前だった」 黒板に書き出した対象者

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 「立法当時の社会状況をいかに勘案しても、正当とは言えない」。最高裁大法廷は3日、障害者に不妊手術を強いた旧優生保護法(旧法)を憲法違反だった、と断じた。最高裁が法規定を「できた時点で違憲」と明示したのは初めてだった。

 同法は新憲法下の1948年、衆参両院で全会一致で可決、成立した。戦後の人口急増などを背景に「不良な子孫の出生防止」を掲げた同法に、批判の声が広がることはなかった。

 日常の医療行為だった――。精神科医の岡田靖雄さん(93)は当時の医療界の雰囲気をそう語る。

不妊手術の実態は

 旧法に基づく手術の実施件数が年1千件を超え、ピークに達したのは55年。岡田さんはその少し後の58年から66年まで、日本の精神科病院の草分けとして知られる東京都内の病院で勤務した。院内では、医師が年に1、2度、医局の黒板に手術の対象者を書き出していた。

 岡田さんによると、同院は「…

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この記事を書いた人
渡辺洋介
東京社会部
専門・関心分野
戦争、平和、核問題、東日本大震災
米田優人
東京社会部|東京地裁・高裁
専門・関心分野
司法、刑事政策、消費者問題、独禁法