クマの主食ドングリの作柄、昨年より良好 警戒ゆるめず対策を

佐藤美千代
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 クマの主食になるドングリの作柄は今年、昨年より良いことが県の調査でわかった。従来、凶作の年にはエサを求めるクマが大量に出没している。県は、里山などに定着しているクマの存在も考えられるとして、山すそを中心に警戒を続け、カキの木の伐採など対策を徹底するよう呼びかけている。

 調査結果は9日、市町村や関係機関の担当者が集まる、県の野生動物被害防止対策会議で報告された。県森林研究所が7~8月、県内各地で3種類のドングリの実り具合を調べ、豊作、並作、不作、凶作の4段階で評価した。

 ブナは調査した15カ所中7カ所が凶作で、県全体は「不作」。ミズナラは16カ所中、凶作はゼロで全体は「並作」。コナラは11カ所中1カ所が凶作で、全体は「並作」。

 3種類とも不作だった昨年より良い結果で、作柄のパターンが似ている2007年と09年の秋は、クマの出没が少なかったという。

 会議では、出没や捕獲の状況も説明された。今年は1~8月に225件の目撃情報があり、66匹が捕獲された。いずれも「準大量出没年」とされる昨年の同期間の152件、42匹を上回っている。

 昨年は8~11月に人身被害が発生し、1人が死亡、8人がけがをした。今年は6月に富山市で男性1人が襲われ、全治1カ月の重傷を負っている。

 クマ対策に詳しい、自然博物園ねいの里の間宮寿頼・館長補佐は、今年のドングリの作柄から、大量出没の可能性は低いものの、「クマの動きの予想は非常に難しく、状況に合わせた対策が必要」と説明。庭先のカキの木や生ごみの除去を徹底し、ヤブを刈り払うなど「クマを引き寄せず、潜ませない環境作りをしながら、すみ分けを」と述べた。(佐藤美千代)

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