旧優生保護法訴訟、福岡の原告も和解へ 国と合意

上月英興
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 旧優生保護法(旧法)下の障害者らへの強制不妊手術の訴訟で、国と原告・弁護団が最高裁判決を受けて、全面和解に向けた合意書に13日、調印した。福岡県内で係争中の訴訟も和解する見込みで、原告は安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 県内では、聴覚障害のある夫婦2組がそれぞれ国を相手に係争中。この日は原告が弁護団と福岡市内で調印の様子をオンラインで見守り、手話で思いを語った。

 先に提訴のあった訴訟では、福岡地裁が今年5月、旧法を違憲と認めて約1600万円を支払うよう国に命じる判決を出したが、国が控訴している。

 原告の女性(82)は「提訴してから本当に長かった。少しほっとしている」。夫は係争中の2021年5月に亡くなっており、「主人と(合意を)見られなかったのは残念。帰ったら天国にいる主人にきちんと報告します」と誓った。

 後に提訴のあった訴訟の70代の原告女性は「人生の中で忘れられない日になった」。何も知らないまま夫は手術され、女性は悔しくて橋から川に飛び込もうとしたこともあったという。「まだ手術のことを言い出せていない人がたくさんいる。その人たちも救ってほしい」と語った。

 弁護団によると、合意に基づき、各訴訟の原告に国が1600万円程度を支払うなどの内容で和解が成立する見込みという。(上月英興)

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