西十両11枚目、関取衆2番目に年長の碧山(38=春日野)が、部屋付きで今月6日に42歳の若さで亡くなった、岩友親方(元前頭木村山)の教えを胸に奮闘している。この日は一回り年下の26歳、初顔合わせの藤青雲に寄り切られて2勝4敗。それでもこの日も朝稽古で10番、多くの関取が場所中は基礎運動にとどまる中、連日相撲を取る。「汗がすごくて、食べても体重が戻らない」と、若い衆の時から情熱は変わらない。

故岩友親方には突き、押しを基礎から学んだ。碧山は「教える天才だった。親方の言う通りに相撲を取れば勝てた」と、故人に感謝する。前に出る、押し切って勝つことが理想だが、本場所では、それだけでは壁に当たることは、誰よりも故人が理解。全体稽古終了後、個別に呼ばれ「後ろには引くな。ケガする。いなして横から攻めろ」など、具体的な助言が191センチ、180キロの大きな体を、一段と生かす結果に導いた。

今場所直前、都内で行われた葬儀に参列した。「寝ているだけな気がして信じられない。今にも『おっさん頑張ってるな』と、いつものように声を懸けてくれそうで…」と涙を流した。普段は「ダニー」、怒る時は「ダニエル」。そしてブルガリアから日本に国籍を変更してからは「コウスケ(本名古田亘右)」と、常に親しみを持って接してくれた。引退後も胸を出してくれた故人の面影を追い、毎朝の稽古場から汗を流し続けている。【高田文太】

断髪式で師匠の春日野親方(右、元関脇栃乃和歌)に止めばさみを入れてもらう元前頭木村山の岩友親方(2014年4月撮影)
断髪式で師匠の春日野親方(右、元関脇栃乃和歌)に止めばさみを入れてもらう元前頭木村山の岩友親方(2014年4月撮影)
断髪式後の元幕内木村山の岩友親方(2014年4月撮影)
断髪式後の元幕内木村山の岩友親方(2014年4月撮影)
元木村山の岩友親方(2018年2月撮影)
元木村山の岩友親方(2018年2月撮影)
「長瀬智也」風の新しいヘアスタイルで、妻エミさん、長男美太(はるた)くんと写真に納まる元前頭木村山
「長瀬智也」風の新しいヘアスタイルで、妻エミさん、長男美太(はるた)くんと写真に納まる元前頭木村山
故岩友親方の棺を運び出す若い衆と、それを見守る師匠の春日野親方(背中)
故岩友親方の棺を運び出す若い衆と、それを見守る師匠の春日野親方(背中)