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2017年6月5日月曜日

【読了】ヘミングウェイ著(小川高義訳)『老人と海』(2014年9月刊行)

アメリカの小説家
アーネスト・ヘミングウェイ
(Ernest Hemingway, 1899年7月-1961年7月)の
小説『老人と海 The Old Man and the Seaを、
小川高義(おがわたかよし, 1956年2月- )氏の翻訳で読みました。

ヘミングウェイ53歳の時
アメリカの週刊誌『ライフ』1952年9月1日号に掲載された作品です。

小川氏58歳の時に刊行された翻訳です。


アーネスト・ヘミングウェイ著
/小川高義訳
『老人と海』
(光文社古典新訳文庫、2014年9月)

ゴールデンウィーク中に、前から読もうと思いつつ、
本棚に積んであった1冊『老人と海』を読みました。

以前は福田恆存(ふくだつねあり)氏の
新潮文庫を手元に置いてあったのですが、

福田氏の訳文は、
私には格調が高過ぎるのか、
ヘミングウェイ自体が私に合わないのか、

少し読みかけては違和感を感じ、
挫折することの繰り返しでした。


福田恆存(ふくだつねあり)訳
『老人と海』
(チャールズ・イー・タトル商会、1953年3月)
 ※三笠書房〔ヘミングウェイ全集10〕1956年2月に再録。◆196頁
 ※河出書房新社〔世界文学全集Ⅱ-18〕1963年に再録。
 ※中央公論社〔世界の文学44〕1964年4月に再録。
 ※三笠書房〔ヘミングウェイ全集7〕1964年12月に再録。◆356頁
 ※新潮文庫(1966年6月)に再録
 ※河出書房〔世界の文学 ポケット版 14〕1967年に再録。
 ※三笠書房〔ヘミングウェイ全集10〕1969年9月に再録。◆244頁
 ※新潮社〔新潮世界文学44〕1970年に再録。
 ※三笠書房〔ヘミングウェイ全集7〕1973年12月に再録。◆432頁
 ※河出書房新社〔河出世界文学大系89〕1980年11月に再録。
 ※文藝春秋〔福田恆存翻譯全集3〕1992年12月に再録。


訳者を変えたらどうだろうと、
小川高義(おがわたかよし)氏の翻訳を手に取ってみると、

よりわかりやすい訳文で、
楽しみながら読み進めることができました。

それでも、
一気に心をつかまれたかといえば
そうではなくて、

釣りをテーマにした小説を読み慣れていないせいか、
新訳でもやはり独特の読みにくさがあって、

時折立ち止まりながら、日を空けて読みついでいるうちに、
いつの間にか読み終わっていました。

硬派な男らしいカッコよさに彩られた
ヘミングウェイ独特の世界に惹き込まれ、
それなりに楽しめたのですが、

私がふだん生きている世界とはずいぶん距離もあって、
まだヘミングウェイのファンになったとは言えません。

恐らく釣り好きかどうかで、
まったく違った評価になる作品だと思うので、
もう少しほかの分野の作品も読んでみたいと思いました。


  ***

ふと思い出したのが、小学校の頃に読んだ
矢口高雄(やぐちたかお, 1939年10月- )氏の
漫画『釣りキチ三平』でした。

確かよく似た作品があったはずだと思い、
調べてみると、

矢口高雄(やぐちたかお)著
『釣りキチ三平(第37-42巻)
 ハワイのブルーマーリン1-6』
 (講談社コミックス、1979年9月-80年9月)

が該当することがわかりました。
2001年に再刊した版がまだ手に入るようなので、
近々手に入れてみようと思います。


矢口高雄著
『釣りキチ三平(海釣りselection 7・8・9)
 ブルーマーリン編Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』
 (講談社漫画文庫、2001年6・6・7月)

細かな内容はすっかり忘れているのですが、
強く感銘を受けたことだけはしっかり記憶に残っていたので、
この機会に読み返してみたくなりました。

2012年11月3日土曜日

【読了】シェイクスピア 『リチャード三世』(福田恆存訳)

福田恆存訳のシェイクスピア、
しばらくストップしていましたが、
夏目漱石と交互に読んでいこうと思いたち、
『吾輩は猫である』を読み終わったのに続いて、

イギリスの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の
史劇『リチャード三世』(初演1591年)を読んでみました。
シェイクスピア20代後半の作品です。


ウィリアム・シェイクスピア著/福田恆存 訳
『リチャード三世』(新潮文庫、昭和49年1月)
 ※初出は『シェイクスピア全集1』昭和35年12月。


福田恆存訳の
『シェイクスピア全集1~15』
(新潮社、昭和34年~42年)も格安で手に入れましたが、

平成16年7月に改版したばかり、
大きめの鮮明な活字が読みやすく、
難しそうな漢字にはルビもふってあり、
持ち運びやすい文庫本で読みました。

このあたりの歴史はほとんど何も知らないので、
巻末の関係系図を行きつ戻りつしながら、
でも流れを切らないように、

多少こんがらがりながらも、
舞台を観ているようなテンポで、
とりあえず全体を通読してみました。



わからないなりに1冊読み終えると、
自分なりの「リチャード三世」像が出来てきて、
少なくともこの時期の王位が、

 ヘンリー六世(在位1422-61/1470-71)
 エドワード四世(在位1461-1470/1471-1483)
 エドワード五世(在位1483.4.10-6.26)
 リチャード三世(在位1483-1485)
 ヘンリー七世(在位1485-1509)

の順に継承されていたこと位は、
実感できるようになりました。

細かな史実と相違するところも当然あるのでしょうが、

イギリス王室史入門としては、
教科書的なものを読むよりは、よほどおもしろいと思いました。


リチャード三世の在位は、
1483年から85年までなので、

1564年生まれのシェイクスピアにしてみれば、
自分が生まれる80年くらい前のことを描いたことになります。

初演時20代後半だったことを考えれば、
記憶を110年ほどさかのぼらせて、史劇に作り上げたことになります。


ちなみに、
今から80年さかのぼると、
昭和7年(1932)5・15事件が起こった年、
110年さかのぼると、明治35年(1902)日英同盟が締結された年になります。

こう考えると、今の我々が、
日清・日露戦争のことを描くような感覚で、
この史劇が描かれたのかな、とも思えます。


初『リチャード三世』の感想は、
これくらいにしておきましょうか。


※森護『英国王室史話〈上〉』(中公文庫、平成12年3月。初出は大修館書店、昭和61年3月)を参照。

2012年4月14日土曜日

【読了】Oscar Wilde, The Picture of Dorian Gray (MMR Elementary)

やさしい英語の本、
アイルランドの小説家
オスカー・ワイルドの小説『ドリアン・グレイの肖像』
を読みました。


Oscar Wilde
The picture of Dorian Gray

Retold by F.H.Cornish
(Macmillan Readers Elementary Lever)
1993年刊(10,956語)


邦訳の書名は知っていましたが、
読んだことはありませんでした。

ワイルドは「幸せな王子」以外はまともに読んだことがありません。

リトールド版ですが、
本作を読んでみての感想。

甘美で退廃的な雰囲気のただよう小説です。

一応女性も出てきますが、
同性同士の感情のもつれを描くのに独特なものがあって、
読後に嫌な感じの残る、不思議な小説でした。


邦訳は、本屋で偶然、

 福田恆存 訳(新潮文庫、昭和37年4月改版)

を見かけたのですが、買う気が起きませんでした。

すごい才能のあることは
よく伝わって来るので、作品によって、
扱う主題によってはより楽しめるように思います。

同性愛的な表現に
共感することはできそうにないので、
童話のように、徹底的に作り話として完結させてしまった方が、
個人的には楽しめそうです。

こういう退廃的な雰囲気が、
かっこいいとされる時代は、
あまり好きではありません。


※計18冊 計156,289語。

2012年2月21日火曜日

【読了】シェイクスピア著/福田恆存訳 『マクベス』



ウィリアム・シェイクスピア著/福田恆存 訳
『マクベス』(新潮文庫、昭和44年8月。平成22年8月改版)
       ※福田訳の初出は、昭和36年11月。


先月の『ハムレット』に続いて、
福田恆存訳によるシェイクスピア全集、
『マクベス』を読みました。

国語として十分にこなれた
訳文のおかげで、手に汗握る展開に、
あっという間に読み終えていました。

何かを語れるほど、
何も知らないので、
まずは淡々と、読み進めていきます。

『ハムレット』も『マクベス』も重々しいお話しですが、

話としてわかりやすいのは、
『マクベス』の方だと思います。

でも、より深いな、
と感じたのは『ハムレット』の方です。

そんな比較論も、
もう少しいろんな作品を読むと、
楽しくなって来るでしょう。

2012年1月8日日曜日

【読了】シェイクスピア著/福田恆存訳 『ハムレット』

年末年始にかけて、
福田恆存さんの訳で、
シェイクスピア『ハムレット』を読みました。
恥ずかしながら、人生初のシェイクスピアです。


ウィリアム・シェイクスピア著/福田恆存 訳
『ハムレット』(新潮文庫、昭和42年9月。平成22年10月改版)
        ※福田訳の初出は昭和34年10月。


シェイクスピアを読みたいな、
と思いはじめたのは、ここ数年のことです。

名前はよく知っておりましたが、
演劇にはあまり興味がなかったこともあって、
手に取ることもないまま、今に至りました。


福田恆存さんの訳は、
はじめのころ一度手にとって、
言い回しが難しそうで敬遠していたのですが、

他の方々の訳本を少しずつかじった後、
再び福田訳を手にとってみると、

不思議と今の私に馴染んでくる所がありました。


歯切れのよいリズムに支えられた
美しく格調高い日本語で、

読み応えのある文学作品として仕上げられており、
繰り返し読むにたる、深さを感じられる翻訳でした。


『ハムレット』を選んだのは偶然ですが、

この人心の闇、複雑さに
なぜかしら惹かれる私がいました。


この機会に、
シェイクスピアの四大悲劇
『ハムレット』『マクベス』『オセロー』『リア王』
を制覇してみようと思っております。
  翻译: