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2012年6月23日土曜日

【読了】中村仁一 『大往生したけりゃ医療とかかわるな ― 「自然死」 のすすめ』



中村仁一 著
『大往生したけりゃ医療とかかわるな ― 「自然死」 のすすめ』
(幻冬舎新書、平成24年1月)

本屋さんで偶然手にとって、一気に読み終えました。

伝統的な宗教に批判的なところもあって、
若干行き過ぎの感もありますが、
色々と考えさせられる1冊でした。


お医者さんの立場から、

7、80年生きて来て、
本人に自覚症状がないうちに進行していたような癌は、

自らの寿命として受け入れて、
下手に最新の医療技術で立ち向かおうとしなければ、

痛みにのたうちまわることもなく、
「自然死」を迎えることができる、

という指摘は、たいへん勉強になりました。



どう死ぬのかという問題は、基本的に、
自分の思い通りになることではありません。

そのためもあってか、
ふだんはあまり詳しく考えないで、

死に直面する状況が生じ、
自分ではほとんど意志を表明できなくなってから、

身近な家族任せ、そして病院任せで、

良かれと思ってしてくれる医療、介護を受けて、
寿命を迎えるというのが

よくあるケースだと思います。



しかし、終末期医療の中には、
寿命を長く保たせることにのみ重点をおき、

患者が、個人としての尊厳を保ちつつ、
心安らかに、穏やかな気持で死んでいくことについては、

必ずしも最優先の課題となっていない面がある、

という指摘も、
お医者さんの立場からいわれると、

ああやっぱりそうなんだ、
と納得できる所がありました。



もちろん
一概には言えないこともあるはずですが、

仮に自分ならどうされたいのか、
そして身近な家族についてどうしてあげるのが最善なのか、

考える上での、一つの良い材料になると思いました。



死の間際において
何を優先すべきなのか、という問題は、

医療というよりは、むしろ
個人の生き方、信条、宗教観といった
「心」の問題、価値観の問題なので、

すぐに一つの結論には絞り込みにくいかもしれません。


むしろ国民ひとりひとりが、よく考えて、
幸福に思えるいくつかの死に様を、
それぞれに選んでいけるようになったら、

いいなと思います。

  翻译: