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2017/06/03

GW涸沢山行番外編~雨晴海岸

涸沢から下山した後、富山を経由して帰りましたが、5月5日の午前中に雨晴海岸に立ち寄りました。涸沢には持って行っただけで一度も使わなかった70-200ミリの望遠レンズを、ここでやっと使うことができました。写真はクリックで拡大します。

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夜明け前の雨晴海岸です。水平線に雲があるので、日の出が見られるかどうかビミョーな感じです。


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次第に明るくなってきました。もうすぐ日の出です。


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水平線から太陽が顔を出しました。なんと、だるま太陽を見ることができました。


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一隻のボートがサンロードを横切って通り過ぎます。


ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。



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剱岳や立山がきれいに見えてきました。何度もここを訪れていますが、これほどすっきり姿が見えたのは初めてのような気がします。





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日の出直後。太陽は剱岳の左後方から登ってくるので、残念ながら朝焼けの赤い剱岳を見ることはできません。


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金色の海原を海鳥が滑るように飛び去って行きました。


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午後になって剱岳や立山に光が当たるのを狙っていたのですが、あいにく曇り空になってしまいました。山にも雲がかかります。


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さすがにそうそう思い通りの写真は撮れません。残雪をまばゆく輝かせる洋上のアルプスの姿は、今後のお楽しみということになりました。


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2017/05/26

14年ぶり、そして初めての雪の涸沢: 涸沢岳・北穂高岳その7  

2017年4月29日(土)~5月4日(木) 長野県松本市 涸沢岳(標高3110m)・北穂高岳(標高3106m) 


5月4日(木) 下山編 
下山する最終日も、昨日と同じく早起きしました。昨日は雲が出ていてきれいな星空を撮れなかったのですが、今日は星が見えています。カメラと三脚をもってそろりとテントを出ました。


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昨日は撮っていないアングルを探して少し歩いてから、テント村越しに北穂高岳を正面に見る場所に三脚を据えました。また15ミリ魚眼レンズでの撮影ですが、やっぱりこの写真も16ミリで撮っておいた方がよかったなと思います。テントの光がにじんで見えるのは、ソフトフィルターを使っているからですが、明るい人工光がある場合は、使わない方がよかったなと思います。それに、この写真はピントが少し甘く、いってみれば失敗写真なのですが、このアングルは唯一この写真しか撮っていないので、とりあえず現像してみました。クリックで写真拡大します。


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夜明けが近づいてきたので、昨日と同じ場所に移動して撮ってみました。こちらはソフトフィルターは外してます。すでに多くのテントが活動を開始しているので、テント村もにぎやかで活気があります。トイレに行く人のヘッドランプが光跡になって写るので、わりと面白い写真になりました。クリックで写真拡大します。


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光跡をもっとたくさん入れて朝のにぎやかさを出そうと思い、バルブモードで撮ってみました。しかし、それほど多くの人が出歩いているわけではないので前の写真と大差なく、長い時間シャッターを開いても思ったほどの効果が得られないばかりか、かえって星の写りが悪くなっただけでした。クリックで写真拡大します。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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6:45 テントを撤収して出発します。フラットでいい幕営場所でした。


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あずき沢を見ると、すでに登山者がアリの行列のような状態です。


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北穂沢も同様です。今日下山でよかったとつくづく思いました。


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テント村に別れを告げます。


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さあ、サクサク下って行きましょう。


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奥穂高岳に見送られながら下ります。来年か再来年には、リベンジに来たいものです。


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7:43 横尾本谷との出合で小休止しました。まだ8時前だというのに、すでに汗が流れるほどの暑さです。


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横尾本谷は、あいかわらずデブリに埋め尽くされていました。


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休憩を終えて、横尾谷を下って行きます。すでに雪はグズグズです。


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8:50 斜面のトラバース区間が終わり、河原の道に下りてきました。屏風岩を目の前に見ながら、休憩がてらクランポンを外しました。


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9:14 横尾橋を通過します。


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来たときと違って、横尾は人があふれていました。人ごみを避けて公衆トイレの脇で少し休憩しました。


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喧騒の中でも、山も空も静かで美しいことに変わりありません。


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9:51 徳澤を目指して歩き始めました。


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梓川の水は透明できれいです。


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美しい風景をしっかりと目に焼き付けて、先を急ぎます。


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途中、子ザルが数匹いるサルの群れがいました。親ザルはどこかふてぶてしいのですが、子ザルはやっぱりかわいいです。


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10:51 徳澤に着きました。名物のソフトクリームを食べようとみちくさ食堂に入ってみたら、カウンター前に列ができていたのでやめました。小屋の前の丸太に座って、涸沢で買ったパンで早めの昼食にしました。


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11:35 ちょっとゆっくりしすぎたので、重くなってきた腰を上げて出発します。


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徳澤のキャンプ場も大盛況ですが、もともと広大なので、まだまだスペースの余裕はあるようです。


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12:42 明神で再び休憩していきます。ここまで来ると、登山者だけでなく観光客もけっこういて、明神館の食堂は20分待ちの状態だったようです。


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河童橋周辺もけっこうな混雑でした。


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13:42 バスターミナルに着くと、建物をぐるりと取り囲む人の列がありました。バス待ちの行列です。うんざりしながらバス停の位置を確認しに行くと、長蛇の列は沢渡行のもので、アカンダナ駐車場行は20mほどの列になっているだけでした。すぐに並んで、14時のバスに乗ることができました。


予定外の長期山行になりましたが、久しぶりに涸沢を訪れることができたし、雪の涸沢も経験できたし、泊まってみたかった穂高岳山荘にも泊まれたし、それなりに充実した山行でした。奥穂高岳に登れなかったのは残念でしたが、必ずリベンジしに戻ってきたいと思います。


今年は期間中ひどく冷え込んだ日はなく、モンベル ダウンハガー800#1の寝袋でほぼ快適に過ごせました。もっとも、寝ているとたまに寒いかなと感じることがあり、念のために持って行っていたモンベル ダウンブラケットを寝袋の中で使用していたので、気温の確認はしていないものの、氷点下になるぐらいまで冷えた日もあったみたいです。それでも、コンフォート温度がマイナス5度の寝袋で少し寒いとたまに感じる程度なら、おそらくマイナス2度ぐらいだったのではないかと思います。一番冷えたと思われる5月1日はもっと下がってたかもしれませんが、幸いにも小屋泊だったので、タイミングがよかったようです。

おわり。

20170504横尾


20170504徳澤

20170504明神

20170504上高地


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2017/05/24

14年ぶり、そして初めての雪の涸沢: 涸沢岳・北穂高岳その6  

2017年4月29日(土)~5月4日(木) 長野県松本市 涸沢岳(標高3110m)・北穂高岳(標高3106m) 


5月3日(水) 北穂高岳編 
前の日は午後からずっとのんびりしていたので、この日はアラームでちゃんと目が覚めました。午前3時。普通なら寝不足で起きれない時間ですが、19時前には寝袋にもぐっているので睡眠時間は十分です。とはいえ、ぐっすり眠れたわけでもないので、それほどすっきりと目が覚めたというわけでもありません。眠りが浅かったので目が覚めただけというのが正直なところです。


とりあえず、ポットの白湯を飲んで体温を上げ、体も目覚めさせます。なぜこんな時間に起きたかといえば、星景写真を撮るためです。僕の登山はもともと写真を撮るのが目的なので、山に来るとどうしても早く起きなければなりません。


カメラと三脚をもって外に出ました。空にはたくさんの星がきらめいていました。この時期の夜明けは5時前ですが、高感度のカメラはその1時間ぐらい前から空の明るさを拾ってしまいます。すでに3時を回っているので、あまり時間がありません。急ぎ足で前日に撮影した場所に行きました。


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すでに明かりの灯っているテントも多く、北穂高岳の斜面とあずき沢にはヘッドライトの明かりも見えます。


4時ごろになると肉眼ではよくわからないものの、空の色が明るく写るようになり星の光が弱くなってきたので、テントに戻りました。朝食を食べて一息ついてから、もう一度テントの外に出てみると、夜明けが訪れていました。


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5時。北穂高岳を赤く染め上げて太陽が顔を出します。テントから出て赤く染まる頂をたくさんの登山者が静かに眺めていました。


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奥穂高岳も朝日に染まります。


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北穂高岳のズーム。ここまでの3枚はコンデジでJPEG撮影したもので、記憶色に近づけるためにパラメーターを調整してあります。RAWで撮影してればもう少しよくなると思いますが、JPEGだとこのあたりが限界のようです。


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こちらは一眼レフで撮影したもの。さすがにもともと画質が良くレタッチ耐性も高いので、記憶色の再現もうまくいきました。クリックで拡大します。


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5:52 今日は北穂高岳に登ります。連休後半が始まる日なので、それなりに登山者が増えることを想定して、早めに出発して戻ってくることにしました。午前中に戻ってきて、12時までに撤収して出発できるようなら、18時の最終バスに間に合いそうなので、今日のうちに下山するつもりです。


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涸沢小屋を過ぎると、デブリの横を登って行きます。ひと抱えもふた抱えもありそうな大きな雪の塊が折り重なっているデブリをみると、さすがにこんなのに巻き込まれるのは勘弁してほしいと思います。


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6:40 振り返ると涸沢の奥に前穂北尾根が壁のように立ちはだかっているのが見えます。こういう風景を見ると、日本アルプスに来たことを実感します。


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あずき沢の向こうには、要塞のような奥穂高岳の絶壁が聳えます。


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空には薄く高層雲が出ていますが、天気は上々で、富士山も見えていました。


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前穂北尾根の6峰だったかにあるタヌキ岩もよく見えます。本当にタヌキが立っているみたいな形です。


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北穂沢を詰めていくと、ようやく山頂が見えてきました。


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徐々に傾斜がきつくなってきます。


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涸沢に入ってから今日で4日目ということで、高度順応ができたのか今日は体がよく動きます。とくに急がなくても前を行く登山者にいつの間にか追いつき、先行します。先日エベレストで亡くなったスイス・マシンことウーリー・ステックがアイガーをフリーでガンガン登って行く動画をふと思い出して、今日の調子ならあんなスピード登山もいけるかもなどと調子に乗ってガンガン登って行ったら、途中で息が切れて死にそうになりました。やっぱ図に乗ってはいけません。




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松濤岩下まで登って来ました。


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松濤岩のすぐ前が山頂です。さあ、あと一息。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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8:19 北穂高岳に登頂です。14年ぶり、積雪期には初の登頂です。


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朝早いためか、単独の男性が一人いただけで、思っていた以上にがらがらの山頂でした。自撮りしていたら単独の男性から撮りましょうかといわれましたが、ただの記録写真なのでありがたい申出は辞退して、さくっと自撮りで終わりました。


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その後山頂からの風景を楽しみます。こちらは滝谷の岩壁越しの奥穂高岳。コンデジながらよく写っているので、これ以降槍ヶ岳の写真までクリックで拡大できるようにしてあります。


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奥穂高岳から前穂高岳へとつながる吊尾根ですが、おもっていたよりも高低差が大きいことを知りました。


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前穂高岳は個人的に好きな形の山です。奥穂高岳とともにまだ登っていないので、今年は登っておきたい山の一つです。


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こちらは常念岳。こちらもまだ未踏です。


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昨年の正月に登った蝶ヶ岳。


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大キレットの先に槍ヶ岳。これも拡大できます。


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ひととおり風景を堪能したら、北穂高小屋に向かいます。雪の下から掘り出したばかりの小屋へは、雪の壁に挟まれた階段を下りて行きます。


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GW前までは完全に雪に埋まっていただろう小屋は、きれいに掘り出されていました。ここまで除雪するのはさぞ大変だったことでしょう。


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コンデジと大差ないのですが、いちおう一眼レフで撮った写真も載せておきます。大キレット越しの槍ヶ岳です。


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槍ヶ岳と後立山連峰。クリックで拡大します。


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槍ヶ岳アップ。左後ろに見えているのは左側がおそらく水晶岳で、右側が真砂岳かな。クリックで拡大します。


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滝谷の岩壁と笠ヶ岳、遠方は白山。クリックで拡大します。


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撮影したあと小屋前のベンチで休憩していると冷えてきたので、小屋に入ってホットミルクで温まりました。


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9:23 北穂高岳山頂でかれこれ1時間ものんびりしていたので、そろそろ下山することにします。


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まだ午前中の早い時間ですが、山頂下あたりから雪がグズグズになり始めていました。


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10:36 途中1回だけ休憩を入れたものの、1時間10分ほどで涸沢小屋まで下りてくることができました。


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10:41 テントに戻ってきたのは思っていたよりも早い時間でした。いまから急いで撤収すれば12時前には出発できそうです。どうしようかと考えましたが、いま北穂高岳から下りてきたばかりでけっこう疲れていて、すぐにパッキングに取り掛かる気力がわきません。とりあえず、カフェオレを作って飲みながら考えました。


12時に出発したとして、上高地に着くのが18時前ぐらい。最終バスが18時なので、ぎりぎり間に合うタイミングですが、途中でばてたりしたらアウト。14年前に来た時もぎりぎりのタイミングで、徳澤あたりから足を棒にして一生懸命歩いたものの、わずかに間に合わず小梨平でテント泊することになりました。あわてて下山する理由もないし、途中でテント泊するぐらいなら、涸沢でもう1泊して下山したほうが、パッキングやテント設営を1回余分にしなくて済みます。


しかし、問題は食料が足りないことです。もともと3泊4日の予定で、予備の食料は2食分しか用意していません。つまり、すでに5日目になっているため、本日分の食料しか残っていないのです。朝はもう食べてしまったので、残っているのは1食分の食料だけ。涸沢にもう1泊するとなると、このあとの昼、夜、そして明日の朝の食事のうちの2食分を確保する必要があります。


とりあえず、売店に行ってカップ麺以外に何かあるか探してみたところ、パンがありました。このパンが良心的で1個200円でした。カップめんが4倍近い価格なのに、パンはせいぜい2倍ぐらいと不思議な値付けです。食料調達のめどが立ったので、涸沢でもう1泊することに決定です。予備の食料は今晩食べることにして、明日の朝用にカップ麺、行動食としてパンを二つ買いました。


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そして、昼食として涸沢ヒュッテの名物 おでんを注文。おいしくいただきました。


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夕方になると、テントの数はさらに増えて、奥と下方向へテント村が拡大していました。


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もう17時前だというのに、まだ登山者の姿が途切れません。ちなみに、テント受付は17時までとなっています。


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テント泊の受付をするテントの前を通った時に、何か写真が張り付けてありました。なんだろうと思ってみると、あずき沢と北穂沢の登山コースが赤線で明示してありました。


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あずき沢は、ザイテングラート沿いを登って、途中からは真ん中あたりを登っていいようです。


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北穂沢は、今日登ったコースと同じコースになっていました。なんとも親切なことです。明日から一気に登山者が増えるので、そのためのサービスなんでしょう。


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夕食後、一眠りしてから、今宵も星景写真を撮ろうと出かけてみましたが、あいにくの曇り空でした。テント場が広がって16ミリでは収まりきらなかったので、いままで出番がなかった15ミリ魚眼レンズを使ってみましたが、こういうアングルで使うとやはり魚眼の歪曲が不自然です。全部が治まりきらなくても16ミリで撮っておけばよかったと、下山してから後悔してます。もう少し魚眼レンズの効果的な使い方を見極める必要があると思います。そんなこんなで、テント場の夜の雰囲気だけカメラに収めて、この日はさっさと引き上げました。

20170503北穂高岳

つづく。

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2017/05/21

14年ぶり、そして初めての雪の涸沢: 涸沢岳・北穂高岳その5  

2017年4月29日(土)~5月4日(木) 長野県松本市 涸沢岳(標高3110m)・北穂高岳(標高3106m) 


5月2日(火) 涸沢岳編 
穂高岳山荘の前まで戻ってきて、このまま下山するか涸沢岳に登るか考えましたが、まだ時間も早いことだし涸沢岳に登って行くことにしました。


涸沢岳に登る途中、ヘリポートのすぐ上のところに、香港から来たという3人組がいました。男性2人と女性1人のパーティーですが、どうやら女性は登山経験が少ないらしく、ロープで確保されていたものの涸沢岳の斜面を登るのが恐ろしいらしく、腰が抜けたように座り込んで固まっていました。残りの二人がいろいろと声をかけていましたが、やはり経験不足はどうしようもありません。結局彼女は小屋に戻ったらしく、後から二人だけが登ってくるのを見かけました。


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途中、休憩しながら先ほど撤退してきた奥穂高岳の取り付き部分をしげしげと眺めてみました。(写真はクリックで拡大します)


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僕が撤退した場所は赤丸の場所です。その上に広がる雪壁を安全にこなす自信がなかったわけですが、距離にして50mぐらいあるでしょうか。こうして遠くから見ていると、なんだか登れそうな気がしてきます。涸沢岳から下りたらもう一度行ってみようかなどとバカな考えも浮かんできますが、冷静に考えて何も状況は好転していません。


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そのうち、登山者が問題の雪壁に現れました。この人はどうやら経験豊富らしく、一本アックスで登っていました。


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8:40 涸沢岳山頂に着きました。わずか20分ほどで登ることができたので、なんだかあっけない感じでした。


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槍ヶ岳、北穂高岳と記念撮影。


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奥穂高岳、前穂高岳、ジャンダルムとも記念撮影。


そして、この後は一眼レフで撮影した涸沢岳からの写真です。この時間になると、コンデジで撮っても大差ないのですが、せっかく持って行ったのでとりあえず使ってみました。横位置写真はクリックで拡大します。


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奥穂高岳を中心に、左に前穂高岳、右にジャンダルム。


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ジャンダルムをクローズアップ。


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マッシブな奥穂高岳。


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北穂高岳から大キレットを経由して槍ヶ岳まで続く稜線。槍の右奥に後立山連峰。


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槍ヶ岳のクローズアップ。後立山連峰も各山の特徴が分かります。


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富士山と南アルプス北部の高峰を後ろに従えた前穂高岳。南アルプスの大きな鞍部は北沢峠でしょう。左に甲斐駒ケ岳、右に北岳、間ノ岳が並んでいます。


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日が当たるようになった涸沢。テントの数がまだ少ないですね。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




涸沢岳山頂の絶景をしばらく独り占めしたところで、単独の登山者が登ってきたので席を譲って下山しました。


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下山途中で岐阜県警のヘリコプター「らいちょうⅡ」が飛んできました。


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前穂高岳をバックに飛ぶ「らいちょうⅡ」。


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穂高岳山荘のヘリポートに着陸して、救助隊の隊員を降ろしたようで、すぐに飛び去って行きました。


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涸沢岳から下山して、小屋に置いていた荷物をもって外に出て下山準備をしていると、再びヘリコプターがやってきました。


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ごく短時間、ヘリポートに着陸していましたが、常駐隊員の交代のようです。


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すぐにまた飛び去って行きました。


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10:47 下山準備が整ったので、出発します。下山ルートは、あずき沢ではなく途中までザイテングラートを下ります。積雪量は少ないながらも、古い雪の上に新雪がある状態で気温が上がっているので、雪崩れを警戒しなければなりません。登ってくる人もみな途中からザイテングラートを登ってきています。白出のコルからザイテングラートにのるまでのトラバース区間がけっこうな高度感で、少し背筋が寒くなりかけました。


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ザイテングラートにのってしまえば、高度感はあるものの前を向いて立って歩ける状態なので、まっすぐ下って行くだけです。


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ただし、後半は斜度がきつくなり、雪もゆるんでクランポンが滑り始めたので、前を向いて下りることができず、バックステップでの下降を余儀なくされました。


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だいたいこれぐらいの斜度です。40度ぐらいでしょうか。


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先行者もバックステップで下っています。


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ハイマツでコースが寸断されていた場所から急傾斜の雪壁を下りて、あずき沢に出てきました。まだ雪崩の危険はなくなったわけではないので、いそいで下ります。


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登ってきたときに休憩したザイテングラートを乗越す場所まできました。同じコースで戻るか、それともこのままあずき沢をまっすぐ下りるかですが、キャンプ場からあずき沢を上がってくる登山者が多く、山岳救助隊が登行を禁止していないようです。それほど雪崩の危険が高くないと判断されているみたいなので、あずき沢をまっすぐ下りることにしました。


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ザイテングラートの下半分のあたりからすでに雪はグズグズでしたが、このあたりになるともう融けかけのシャーベット状態でした。それでも大きな踏み抜きがないだけましで、広い雪原のどこでも自由に下っていけます。ところで、写真で見ると緩くて広い斜面のように見えますが、下り斜面を写すときにどうしても斜面下方向にカメラを向けると、斜面と光軸が平行に近くなり、平坦に近い斜度のように見えてしまいます。なので、本当はカメラは水平に向けて撮るのがいいのですが、そうすると空が大きく写って斜面がわずかしか写らないことになってしまうので、このあたりは致し方ないところです。


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カメラを水平に近い状態で斜面上方向をとると、こんな感じです。これだとそこそこの傾斜があることがわかると思います。登りの場合も、カメラを上に向けて撮ると、やっぱり緩い斜度に見えてしまいます。


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途中シリセードなど織り交ぜつつ、ようやくキャンプ場の端までたどり着きました。


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12:16 テントに戻ってきました。昨日の雪でテントの周囲が埋もれた状態になっていました。昨日戻ってきていないことがすぐわかる状態ですから、長くほおっておくと遭難したのではと通報される可能性もあります。すぐに雪をはらって整地しなおしておきました。


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本日の行動はこれにておしまいです。テントに寝転んで、お茶を飲みながら風景を楽しみます。テントに寝転んで前穂高岳と北尾根を眺められるなんて、幸せなロケーションです。


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軽く一眠りしたあとでテントから出てみると、白出のコルに太陽が沈もうとしているところでした。


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カメラをもって散歩に出てみたら、いつの間にかテントの数がすごいことになっていました。


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ヒュッテのテラスもにぎわっていますが、まだ空席もあるので混雑というほどではないようです。


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こいのぼりが奥穂高岳を目指して悠然と泳いでいました。


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午後4時になっても、まだ登山者の姿はとぎれません。


ここからは、一眼レフで撮影した写真です。横位置写真はクリックで拡大します。


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白出のコルに沈もうとする太陽が、雪原を銀盤のように輝かせます。絞りを絞り込んで太陽の光条を強調しました。先のコンデジ写真と比べると、太陽周辺や雪面の光っている部分が白飛びしていません。ダイナミックレンジが広い大型センサーの優位点です。


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コンデジの24ミリではテラスとこいのぼりを同時に入れ込むことができませんでしたが、16ミリだと難なくおさまります。


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21:31 今度は白出のコルに沈む月です。あいにく雲があって星空があまり見えませんでした。


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前穂高岳上空の星空です。左下の光はヒュッテの明かりです。


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寝静まるテント村。東の空になりますが、明るいのは安曇野や松本の光のせいだと思われます。


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22時をまわりましたが、明かりのついているテントもちらほら。涸沢の夜が更けていきます。

20170502涸沢岳
奥穂高岳へ登るときはGPSの電源を入れ忘れていたので、トラックデータの赤線は後で書き込んだものです。なので、正確ではありません。

つづく。


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2017/05/18

14年ぶり、そして初めての雪の涸沢: 涸沢岳・北穂高岳その4  

2017年4月29日(土)~5月4日(木) 長野県松本市 涸沢岳(標高3110m)・北穂高岳(標高3106m) 


5月2日(火) 奥穂高岳編 
夜が明けました。同室の宿泊者がまだ寝ていた相方にご来光が見えるよと起こしに来た声で目が覚めました。4時にセットしていた腕時計のアラームはまったく効果がなかったようで、すっかり寝過ごしてしまいました。昨夜吹き荒れていた吹雪は、静かになっています。以下の写真はクリックで拡大できます。


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急いでダウンジャケットとダウンパンツを着て、カメラをもって外に出てみると、まぶしい太陽が周囲の山々を照らし出していました。奥穂高岳がすっきりと青空にそびえています。


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奥穂高岳の左奥には前穂高岳。


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前穂高岳のクローズアップ。


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こちらは笠ヶ岳。昨日はガスに隠れて姿が見えませんでしたが、今日はすっきり。こちらもまだ登ったことがないので、近いうちに訪れてみたい山です。


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笠ヶ岳の背後には、白山も見えています。


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北穂高岳も見えています。


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涸沢岳と北穂高岳。


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常念岳の後ろから登った太陽は、すでに正視できないまぶしさです。


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涸沢カールの奥底には、まだ朝の光が届いていません。


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風はおさまったとはいえ、時折雪煙を舞い上げるほどの風が白出のコルを通り抜けていきます。雪煙が舞う瞬間を待って何度もシャッターを切りました。クリックで写真が拡大するのはここまでです。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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眼前にそびえる奥穂高岳。今日はこの岩壁に挑みます。


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朝食の時間が近いづいてきたので部屋に戻り、パッキングをしていると朝食の時間になりました。食堂は2階の廊下奥から下りて行きます。昨晩と同じ人数の席が用意されているので、朝食なしで早出したひとはいないようです。GWというのに、宿泊者はわずか10名。読み通り、前半は平日が2日あるためガラガラでした。


食事を終えて部屋に戻り、パッキングを終えて外に出ました。担いできた大きなバックパックは小屋の廊下に置かせてもらい、アタック用の小型パックにカメラや水、行動食など必要なものだけを入れてきました。


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奥穂高岳は無雪期にも登ったことはなく、これがまったくもって初めての挑戦です。白出のコルからの取り付き部分が一番難しいらしいということで、どこをどういう風に登って行けばいいのか、下からじっくりとルートを見定めます。青線のようなコースで登ったわけですが、実際とは少し違うかもしれません。赤線部分は鉄梯子です。この岩場の上に急傾斜の雪壁があるそうですが、ここからはその様子を見ることはできません。なので、岩場を抜けたらいきなりぶっつけ本番となります。


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岩場のすぐ下まで来ました。ここから取り付きます。この斜度と高さは剣岳のカニのタテバイを思い出します。斜度も難易度もカニのタテバイのほうが上だと思いますが、ここも決してお気楽に登れるほどやさしくはありませんでした。なんといっても、カニのタテバイのような補助となる鉄杭や鎖はほぼありません。途中に鉄梯子が2か所と、2か所ぐらいワイヤーや鎖が張られているだけです。それに、雪と氷が絡んでくるわけですから、緊張感はカニのタテバイよりも強かったかもしれません。


途中、狭いテラスのような岩の上を横に移動する場所で、その岩の上にべったりと氷が張り付いていました。上の鉄梯子を登りきったところだったように記憶していますが、定かではありません。万一滑って落ちてはたまらないので、アックスで氷を叩き割って足場を確保しようとしたのですが、力を入れてアックスを振り下ろしてピックをたたきつけてもまったく歯が立ちません。ピックの切っ先は突き刺さることさえできずにはじかれました。このとき、やばいかもしれないという漠然とした不安を感じてしまいました。安全を確保するためにやろうとしたことができないということで、かなり焦ったのだと思います。しょうがないので、岩の角にピックをひっかけて確保し、慎重に右足を氷の上に載せて滑らないことを確認して、体を移動させて氷の上を渡ったのでした。


そのあとは、さらに狭い足場の岩を回り込んで雪壁に出てすぐ上の岩に戻るのですが、この雪壁がなかなかしびれる斜度でした。朝早い上に吹雪の後なので先行者の足跡がわずかに残っていただけでした。雪も比較的硬く、つま先をけりこんでもつま先をねじ込めるほどのステップを作ることはできなくて、ほぼ前爪だけで登るような状態です。こうなると、昨日クランポンに不安を感じたことを思い出してしまい、さっきの氷のところで感じた不安感との相乗効果でますます気持ちは焦ります。


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なんとか岩に乗り移り、岩場のほぼ一番上までやってきました。そして、すぐ上にある雪壁を見上げた瞬間、この先は行ってはいけないと感じました。それが弱気ゆえのものなのか、なにか予感するものがあったのかはわかりません。目に飛び込んできた雪壁は、いままで見たこともない急傾斜の雪壁でした。ほぼ垂直にしか見えないこの雪壁をまったく確保なしにフリーで登るなんて、考えただけでぞっとします。先行者は右手にアックス、左手にも何かをもっていて、両手両足を使って登っていますが、僕はアックス1本だけです。ダブルアックスなら常に三点支持を確保しながら登ることができますが、アックス1本ではアックスを差し替えるときに2点支持になってしまいます。いまいち信用できかねるクランポンの前爪だけで、おそらく50度を越えているであろう雪壁の途中で一瞬でも立たなければいけないというのは、さすがに躊躇してしまいます。


先行者が何度もつま先を蹴り込みなおしたり、アックスを刺しなおしたりしながら、なんとも危うげな動作で少しづつ登って行くのを見ていると、こちらまでドキドキしてきます。最初のインパクトが大きすぎて動揺しているということもあるでしょうから、とりあえず一度座って気持ちを落ち着かせることにしました。さいわい、今いる場所は荷物を降ろして座ることができるくらいのスペースがあります。後続の登山者もいないので、しばらくはゆっくりすることができるでしょう。


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腰を下ろすと、正面に涸沢岳があり、右手奥に北穂高岳が見えていました。


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笠ヶ岳もまぶしく輝いています。この写真の左下に、いま登ろうとしている雪壁の下部が写っていますが、そこにネットが張ってあるのがわかります。これがないと万一滑落した場合、そのまま白出沢に落ちて、何百メートルも落ちてしまうということですが、それほど危険な場所ということでもあるわけです。ただ、このネットで絶対止まるのかどうかは、落ちてみないことにはわからないのです。


風景を眺めながら、安全に登って降りてこられるかどうか、いろいろと考えました。しかし、どう考えても何の保証もないことにかわりはありません。経験したことのない急傾斜の雪壁をフリーで登るというリスク、途中三点支持ができなくなる1本アックス、性能に一抹の不安を残すクランポン、ステップのない真っ新に近い雪壁、戻ってくる頃には逆に柔らかくなって足場が不安定になりそうな雪の状態など、不安要因がたくさんあり過ぎる一方で、安心できる材料といえば天候が崩れる心配はなさそうというぐらいしかありません。


再び雪壁を見上げてみましたが、行けそうだという気持ちはまったく湧いてきません。数分経ってもまだ姿の見えている先行者の様子からしても、一筋縄ではいかないだろう場所であることは明らかです。下山しよう。これ以上行けば、戻れなくなるかもしれない。今の自分の技量でこの壁にとりつくのは、無謀な行動だと判断しました。経験をつんで安心できる装備を揃えたうえで、この壁に恐怖を感じなくなる時に再び挑戦すればいいことです。それよりも、まずは無雪期に一度登ってコースの状況を確認しておいたほうがよさそうです。ということで、初めての奥穂高岳登山は撤退という結果になりました。

つづく。


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2017/05/15

14年ぶり、そして初めての雪の涸沢: 涸沢岳・北穂高岳その3  

2017年4月29日(土)~5月4日(木) 長野県松本市 涸沢岳(標高3110m)・北穂高岳(標高3106m) 


5月1日(月)
昨晩から降ったりやんだりの繰り返しだった雪は、朝になっても相変わらずでした。とりあえず朝食をとり、いつでも出られるように準備しながら天候の回復を待ちました。


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稜線は分厚いガスの中に隠れて見えません。風もそれなりに吹いています。停滞か、強硬か、なかなか判断はつきません。


8時頃、雪がやみました。天候が回復したわけではありませんが、風もそれほど強くなく、この分なら穂高岳山荘まで上がるぐらいは問題ないと判断。急いで出かける準備を整えました。


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8:38 穂高岳山荘の建つ白出のコルに向けて出発します。昨日と打って変わって登って行く人は見当たりません。誰もいないとさすがに不安になりますが、自分の判断を信じていくことにしました。ガスで視界が良くないので、目標物の何もないあずき沢直登コースではなく、昨日多くの登山者が登っていた涸沢小屋経由のコースで行くことにしました。


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涸沢小屋の横まで来ると再び雪が降り始めました。雪かきをしていたスタッフさんが奥穂高岳方面ならテラス下を通って、反対側からコースに入ってくださいと案内してくれました。案内に従ってテラス下を通って、小屋の反対側へと向かいます。


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涸沢小屋からは急傾斜の雪壁をトラバースしながら登って行きます。上から下山してくる登山者もあり、すれ違いを慎重にこなしながら進みます。


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斜面のトラバースの先には、さらに傾斜のきつい雪壁の直登がまっていました。気温はそれほど低くないので、雪はそれなりに柔らかかったものの、踏み抜きもなく足場はあまり心配しなくても大丈夫でした。


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雪壁を登り始めたころから雪が強くなり始めました。さらにガスも出て視界が効かないなか、そこらじゅうにあるトレースを見極めながら、とにかく上を目指して登って行きます。


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ガスが引いて視界が戻ってくると、上からパーティーが下ってきているのが見えました。その後ろに見えている岩は、ザイテングラート下部の岩です。出発してから1時間が経っていてそろそろ休憩したいところですが、この場所のすぐ右側には大きなデブリがあり、雪崩の発生する斜面でのんびりと休憩するわけにはいきません。ザイテングラートは小尾根なので、そこまで行けば安全に休憩できます。ひとまず、休憩はお預けにしてザイテングラートを目指しました。


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20分後、ザイテングラートのすぐ下まで登ってきました。あとちょっとです。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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9:52 ようやくザイテングラートの上にでました。決して平たんな場所ではありませんが、とりあえず雪崩の心配をしないですみます。バケツを掘ってバックパックをおろし、涸沢を見下ろしながら座って休憩することができました。


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これはザイテングラートのすぐそばにあったデブリです。涸沢小屋からのルートは、このデブリの末端のすぐ下を横切るように登ってくるので、けっこうドキドキものでした。


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ザイテングラートまで来ると、それまで姿のなかった先行者の姿がありました。どうやらあずき沢を直登してきたパーティーのようです。小屋に着いてからわかったことですが、てっきり4名のパーティーだと思っていたら、香港から来た3名に単独の女性が追い付いて4名パーティーのように見えていただけでした。先頭を行く香港からの登山者はとてもペースが遅く、別に急いだわけではないのですがすぐに彼らに追い付いてしまったので、トレースをかえて先行させてもらいました。


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登るにつれて斜度が増し、風と雪がきつくなってきました。その上ガスも濃くなってきて上も下も視界がなく、どこまで行けば白出のコルに出られるのかまったくまかりません。風に乗って雪が吹き付けてきて顔が痛いので、できればゴーグルをつけたいところですが、GWにゴーグルがほしいと思ったことが今までなかったので今回ももってこなかったことが悔やまれます。


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11:45 ガスが少し薄くなったとき、ようやく白出のコルが見えました。吹雪のような天候の中でスタッフが除雪作業をしているのがちょっと驚きでしたが、これぐらいの吹雪はたいして珍しくもないということなのかもしれません。


この少し前、まだ白出のコルの下まで来ていることがわからない状態で、上から小さな雪の塊や雪粒がパラパラと斜面を転がり落ちてきて、これは雪崩の前兆に違いないと思ってあわてて横方向に逃げました。雪山に登るようになって、この時ほど危機感を感じたことはありませんでしたが、なんのことはない、除雪機が吹き飛ばした雪が斜面を落ちてきただけだったようです。


ところで、この最後の登りがけっこう大変でした。白出のコルに近くなると傾斜が一番きつくなるわけですが、気温も下がり風も強くなるため、雪が固くなりつま先を蹴りこんでステップを作ることができなくなりました。当然、クランポンの前爪だけで登ることになるのですが、これがふくらはぎにけっこう負担が大きく、しばらく登るとふくらはぎが痛くなってきます。ふくらはぎの負担を軽くしようと膝をつくと、荷重が前爪から抜けるうえに荷重のかかる方向も斜面に平行になってしまうため、ずるずるとつま先が滑り始めてあわてるということの繰り返しでした。


今回装着していたクランポンは、グリベル G12エアーテック ニューマチックですが、岩場のある縦走で引っかかりにくいように爪が少し短くできています。つま先がずるずるするのがそのせいなのか、それとも急傾斜で膝をつけばクライミング用のクランポンでも同様になるのかはわかりませんが、急傾斜の雪壁をのぼるのに一抹の不安を感じたのは確かです。これまで立山や仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳で使ってきましたが、いちども不安を感じたことはありませんが、さすがに奥穂高岳は甘くないなと感じました。


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白出のコルに登ると、突然強風に見舞われました。雪煙を巻き上げて殴りつけるような強風が体を揺さぶる中、早く暖かい穂高岳山荘に入ろうと入口に向かいました。


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急いで玄関ドアを開けようとしたその時、玄関の扉にクランポンは外で外してくれと注意書きが書いてあるのに気が付きました。入口前はどういうわけか風が巻いていて、吹きさらしのコルよりももっとひどい状況でしたが、クランポンを外せというなら仕方ありません。竜巻のように雪が舞うなかでクランポンを外そうとしましたが、凍結した雪が紐に付着していてグローブを付けたままではなかなかひもを緩めることができません。しばらく紐を外そうとひっぱたり押したりしていましたが、どんどん寒くなってくるしこのままではいつまでも埒があきません。どうせ、すぐに小屋の中に入れるのだからと、グローブを外して素手で紐を外しましたが、ほんの数分の作業でも指先がちぎれそうなほどの痛さを感じて、小屋に入ってもしばらくは指が思うように動かすことができませんでした。


ようやく動くようになってきた指で装備を外し、宿泊の申し込みをして部屋に上がろうとしていた時に、途中で追い越した4名が小屋に入ってきました。外国人なので、玄関に書いてあった張り紙は当然読むことができず、クランポンを装着したまま小屋に入ってきた彼らですが、小屋のスタッフは特に注意することもなく迎え入れ、暖かい玄関ホールでゆっくりクランポンをはずしていました。バカ正直に極寒の外で素手になってクランポンを外した自分の苦労はなんだったんだと思いましたが、悪条件化でクランポンを外す術を考える必要があるということがわかっただけ、いい経験になったと思うことにしました。


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部屋に行ってみると、8人部屋を4名で使うゆったりとした状況でした。外は強風が唸りを上げて吹き荒れており、もう一歩たりとも外に出たくないという状況です。ダウンジャケットとダウンパンツに着替えて談話室に行き、ポットのお湯でカフェオレを作って飲みながら、置いてあった漫画を読みながら夕食の時間を待ちました。


夕食後、風は相変わらずゴーゴーとうなっていましたが、ガスが切れて太陽が顔を出し始めたので、一眼レフをもって撮影に出ました。岐阜側から猛烈に吹き付けてくる雪交じりの強風のために西を向くことができず、カメラで顔を覆いながら撮影していました。以下の写真はクリックで拡大します。


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ヘリポートから撮影した奥穂高岳です。右側が岐阜側、つまり西になります。強風が奥穂高岳の斜面を駆け上がり、稜線の左の信州側に雪煙を巻き上げていました。昨日涸沢から見た雪煙はこれだったようです。


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ジャンダルムから飛騨側に切れ落ちる岩稜の向こうには青空が広がっていました。


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白出沢を猛烈なスピードでガスが吹きあがってきます。


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涸沢岳は、静かに夕闇に沈もうとしていました。


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時折ガスが晴れて北穂高岳が顔をのぞかせてくれました。


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ほんのわずかな時間ですが、笠ヶ岳の向こうに沈む夕日を見ることができました。


40分ほど小屋の周辺で撮影をしていたらすっかり体が冷えてきたので、小屋に戻って漫画の続きを読んだあとに布団にもぐりました。

つづく。


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2017/05/11

14年ぶり、そして初めての雪の涸沢: 涸沢岳・北穂高岳その2  

2017年4月29日(土)~5月4日(木) 長野県松本市 涸沢岳(標高3110m)・北穂高岳(標高3106m) 


4月30日(日)
まだ暗いうちに起床。時間はよく覚えていないのですが、4時ごろだったと思います。


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朝食を食べた後、5時半にはテントを撤収。せっかくきれいに整地したのに一晩で使わなくなるなんて、なんとなくもったいないと思ってしまいます。


トイレの前のベンチに荷物を置き、出発の準備を整えます。


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朝日に輝く白い峰は前穂高岳かな。


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6:00 準備を終えて、涸沢に向けて出発します。横尾橋はクランポン禁止なので、出発時にクランポンをうっかり装着しないように注意が必要です。


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橋を渡ると、フラットな広い谷に沿ってトレースが続きます。左手前方に屏風岩の巨大なフェイスが見えてきました。


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やがて屏風岩のそそり立つ岩壁が次第に近づいてきました。屏風岩というよりもドームといったほうが似合っているように思います。


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さらに進んでいくと、屏風岩の奥に真っ白な頂が見えてきました。北穂高岳でしょうか。


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7:23 ずっと谷沿いの斜面をトラバースするように歩いてきましたが、ようやく谷に降りてきました。夏道だと本谷橋がかかっている場所です。夏道はここから右岸に登り、高巻くように道が付いていますが、積雪期は雪渓に埋まった横尾谷をそのまま進んでいくようです。


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横尾谷を詰めていくと、正面に北穂高岳が大きく立ちふさがってきます。


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途中で休憩をとっていると、屏風岩の方からドーンという大きな音が響き渡りました。何かと思って音のした方を見ると、屏風岩の上の方で雪崩が雪煙を上げながら滝のように流れ落ちているのが見えました。まだ8時だというのにもう雪崩が起きるのかと、ちょっと不安になりましたが、あの急傾斜の岩壁に積もった雪なら、ちょっとした気温の上昇でも雪崩れるだろうことは容易に想像ができます。横尾谷の両側にはそこまで急峻な場所はないし、木々もたっぷりあるので、あまり心配する必要はなさそうです。


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8:13 横尾本谷と涸沢の出合に着きました。右手方向にある横尾本谷から押し寄せた大量の雪崩の跡が出合を覆い尽くしています。、これから向かう左手方向の涸沢からは目立つようなデブリはなく、比較的歩きやすそうです。


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デブリに埋め尽くされた横尾本谷の奥に見えているのは、南岳でしょうか。


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ここでもまた、ドーンという巨大な音で前方を見上げると、北穂高岳の東壁から雪崩が滝のようになって落ちていくのが見えました。広い涸沢とはいえ、いつ巨大な雪崩に襲われるかわかりませんから、周囲に気を配りながら登って行かなければなりません。もちろん、ビーコンのスイッチはオンにしています。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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横尾本谷との出合から涸沢に入り、一段登ったところから大きく視界が開けました。正面に見えるのは前穂高岳北尾根です。右奥の前穂高岳まで峻険な岩稜が連なります。


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右手の北穂高岳の山腹には、大規模な雪崩の跡もありますが、トレースのあるところまでは達していません。だからと言って絶対に巻き込まれないという保証はないので、あまり安心することはできません。


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このあたりは山腹に立木があまりないので、雪崩れは容易に発生するようです。


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大きくカーブする涸沢を詰めていくと、前方にそびえる岩の尾根が見えてきました。奥穂高岳です。ここからはスケール感が大きくなるためか、歩いても歩いても進んでいないような錯覚にとらわれます。その上、標高が高くなり空気も薄くなるためか息が切れ、少し歩いては立ち止まって息を整え、また歩き出すということの繰り返しです。


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9:31 ようやくゴールが見えてきました。中央に見える雪の丘の上に涸沢ヒュッテの屋根がわずかに見えています。


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涸沢ヒュッテの横には元気に泳ぐこいのぼりも。


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10:07 強烈な日差しと薄い空気に体力を削られながらも、ようやく涸沢のキャンプ場にたどり着きました。結局、クランポンを装着することなしにツボ足のまま涸沢まで登ってきました。思っていた以上に体力を使った感じで、足腰にもけっこうな疲労感が感じられます。わずかですが、筋肉痛もあるようです。


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とりあえず、テントサイトを探しにキャンプ場内に入ってみると、小屋から比較的近くて、中央の通路から少し奥穂高岳側に入った場所にいい具合の場所を見つけました。広さも余裕があるし、風よけの壁もまだきれいに残っています。テントサイトはここに決まりです。


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きれいに整地して、11時過ぎにはテントを張り終えました。


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一息入れながら奥穂高岳への登山ルートを確認してみると、どうやら涸沢小屋から登って行く夏道と同じルートでザイテングラートまで行き、そこから先はあずき沢を直登しているようです。登ってくる途中で大きな雪崩を2度も見ているので、あずき沢の直登には一抹の不安もありますが、危険な状態ではないのでしょう。


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雪崩れのことよりも、稜線に舞い上がる雪煙のほうが気にかかります。写真にも写っていますが、奥穂高岳の稜線から白い雪煙が高く舞い上がっています。キャンプ場にいるとそれほどでもありませんが、どうやらかなり強烈な西風が吹いているようです。


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こちらは北穂高岳。雪煙が舞い上がっているようには見えませんが、それでも同じぐらいの標高なので、風はやっぱりきついのでしょう。


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北穂高岳への登山コースは、なんと下の方が雪崩に覆われています。そのデブリの跡に沿って登山者が上り下りしているようで、本当に大丈夫なのかと驚いてしまいました。


予定では、涸沢にテントを張って、そのまま穂高岳山荘へ行って一泊、翌日奥穂高岳に登って涸沢に下山、そのまま北穂高岳に登って北穂高小屋に宿泊、翌日は涸沢で1泊して、次の日に上高地へ下山ということにしていましたが、体力的にやっぱ無理だなと感じます。時間的にこれから穂高岳山荘へ登ることは可能ですが、疲労感がけっこうあり気持ち的にあまり気が進みません。


とりあえず、テントの受付を済ませておこうとキャンプ場入り口にある受付テントに行ってみると、誰もいないしテントも閉められたままです。山小屋で受付しているのだろうと思って涸沢ヒュッテに行ってみると、なんと14時からキャンプ場の受付テントで受付を行うとの札が玄関にぶら下がっていました。


穂高岳山荘に上がるのに2時間半ぐらいかかることを考えると、遅くとも13時には出発したいところです。14時の受付を待っていたら遅すぎます。受付しないでそのまま行くという手もありますが、やはり手続きはきちんとしておきたいところです。


どうしたものかと考えながらヒュッテの中に入ってみると、玄関に設置されたテレビで天気予報が流されていました。明日5月1日はどうやら雨のようです。とすると、今日穂高岳山荘に泊まっても、あすは荒天で登頂は無理そうです。2日は晴天予報になっているので、登るのなら2日のほうが適しています。しかし、1日に荒天の中を穂高岳山荘へ登ることになり、それはそれでやばそうです。であれば、2日の早朝に涸沢を出発して、日帰りで奥穂高岳に登るというのが一番現実的かもしれません。1日の天気次第でどうするかを判断すればいいわけで、テントの受付のことなども考えると、今日はおとなしく涸沢で泊まるのが最善だという結論に達しました。


ということで、本日の行動はこれにて終了です。とりあえず、おなかも空いてきたので涸沢ヒュッテの展望テラスで穂高の山々を見ながらランチをとることにしました。


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ランチとして選んだのは、これ。カップヌードル シオ。 長らく食べていないので、テラス横の売店で見つけた時に思わず手が伸びてしまいました。カレーが1000円もするのに比べると、400円とそれなりにリーズナブルです。それでも、下界の3倍ぐらいしますから高いといえば高い。とはいえ、白い北穂高岳を正面に見ながらカップヌードルを食べることができるのですから、付加価値と考えれば400円も妥当と思えてしまします。


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3分経つのを待ちわびて、わくわくしながら蓋をとると、あれ? スープがない。この写真は、スープを飲んでしまったわけではなく、蓋をとった直後の状態です。売店のお姉さんがお湯の分量を間違えたのか、はたまた意図的に少なめに入れたのかわかりませんが、スープはカップの半分ぐらいしかありませんでした。当然、麺も十分柔らかくなっていなくて、いわゆる固麺状態です。まあ、食べられないわけではないので、このままおいしくいただきました。ちなみに、涸沢ヒュッテは水が豊富で、水場でも凍結防止で水を流しっぱなしにしてあるぐらいですから、節水のためにお湯を少なくしたというわけではないはずです。まあ、湯気でよく見えなかったか、勘違いしたということにしておきましょう。


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ラーメンを食べながら、四方の風景を楽しみました。こちらは正面となる北に見えていた北穂高岳。


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西には奥穂高岳。


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背後にあたる南側には前穂高岳。


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そして、東には涸沢と屏風岩、その奥には常念岳から東天井岳への稜線も見えています。


ランチを終えてテントに戻り、少し昼寝をとったあと、早めの夕食をとりました。


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夕食後、テントから外に出てみると、前穂高岳の山頂を夕陽がほんのりと赤く染めていました。


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太陽は稜線の向こうに沈んでしまい、3000m峰に囲まれた涸沢カールには、夕闇が足早に忍び寄ってきます。空には夕陽を浴びてわずかに赤みを帯びた雲が、家路を急ぐかのように足早に飛び去って行くばかりです。昼間あれほどぽかぽかだった空気も、いつの間にかひんやりとした冷気にかわっていて、涸沢が夜の闇に包まれようとしていました。

20170430涸沢


つづく。


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2017/05/09

14年ぶり、そして初めての雪の涸沢: 涸沢岳・北穂高岳その1 

2017年4月29日(土)~5月4日(木) 長野県松本市 涸沢岳(標高3110m)・北穂高岳(標高3106m) テント・小屋泊単独行 


毎度のことながら、GWの予定が決まるのは出発予定日の2日ぐらい前です。というのも、天気予報の10日間予報でGWの天気がほぼはっきりするのがそれぐらいのタイミングだからです。


今年も直前まで北に行くか南に行くか、はたまた北の北か北の南かといろいろと逡巡していました。今年の希望としては、積雪期にまだ行ったことのないところに行きたいということで、後立山連峰、槍ヶ岳、涸沢、塩見岳などが候補になっていました。最終的に涸沢に決めたのは、平日を含むGW前半だけなら大混雑が予想される涸沢でも比較的空いているに違いないと推測したからです。


休日の繁華街のような山にわざわざ行くほど人ごみが好きなわけではないので、基本的に連休の涸沢に行こうなんて思うことはないのですが、涸沢の魅力は十分理解しています。14年前の2003年9月、紅葉の時期に訪れたときの感動はいまでも鮮やかに記憶に残っています。なので、雪のある時期に再訪したいという思いはずっとありました。今年のGWは後半に休日がまとまっていて混雑は後半に集中する可能性が高いため、混雑がないのなら行かない理由はないということで涸沢行きを決めたわけです。


取引先には4月30日から5月7日までお休みすると伝えていたものの、4月29日に仕事が入らなかったので、出発日を急きょ1日繰り上げて4月28日の夜に出発しました。


天気予報では4月30日が快晴ということだったので、29日に涸沢入りし、30日に奥穂高岳と涸沢岳、5月1日に北穂高岳に登って、2日に下山という予定でした。ただし、1日はあまり天気が良くないみたいなので、状況次第で1日は停滞し、2日に北穂、3日に下山ということも考慮に入れて計画をたてました。


4月28日に急きょ出発することにしたため準備が追いつかず、出発したのは22時を過ぎてしまいました。そのため、関が原を通過するころには睡魔に襲われてしまい、2時前に養老SAに入って仮眠をとりました。


4月29日(土)
起きたのは5時過ぎ。養老SAから平湯までまだ3時間以上もかかるということで、29日中に涸沢に入るというのは難しいかなと思いつつも、とりあえず出発。東海北陸道を経由して9時ごろ平湯のアカンダナ駐車場に入り、急いで準備を整えて9時50分発のバスで上高地へ入りました。


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10:42 上高地バスセンターから歩き始めます。GW期間とは思えないほど人の少ないバスセンターでした。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




歩き始めると、久しぶりの大荷物がずしりと体にのしかかります。バックパックはいつものオスプレー イーサー85ですが、どうも荷物が重くなると支えきれなくなるのか全体的に下に伸びたようになり、背面長のサイズ調整をミニマムにしていても大きくなったように感じてしまって、フィット感があまりよくありません。15kgぐらいまでならいい感じなのですが、20㎏を越えてくると具合が悪くなります。背面長は47㎝ぐらいなので、ちょうどMサイズとSサイズの中間ぐらいになり、大荷物で垂れ下がってくるとMサイズだと若干大きく感じるわけです。今度買い替えるときは、もっと作りのしっかりしたグレゴリーなども候補に入れてみようと思います。まあ、オスプレーでもSサイズにしておけばちょうどいいのかもしれませんが。


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河童橋にはそれなりに観光客が群れていましたが、聞こえてくるのは中国語らしき言葉が多く、中国か台湾あたりの団体さんがいたようです。


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小梨平から森の中の道を抜け、やっと梓川沿いの道にでました。ここからは明神岳がよく見えます。ここまでくれば明神まであと少しです。


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11:32 明神に着きました。とくに急いだわけではありませんが、コースタイムより10分早く着いたので、その分少しゆっくり休憩をとることができました。


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11:53 明神を出発し、つぎの経由地 徳澤をめざします。上高地から、明神、徳澤、横尾と、それぞれ約1時間の距離に休憩できる場所があるので、長い道のりながらそれほど苦難の道という感じはありません。


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徳澤の手前で梓川沿いに出てくるのですが、河原に臨時の歩道が作られていました。


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どうやら崖崩れで危険なため、臨時の歩道を河原の中に作ったようです。


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12:40 徳澤に着きました。広い芝生のキャンプサイトには、まだ雪がたくさん残っていました。雪がなくなったところを中心にテントが張られていましたが、まだまだ余裕のスペースです。


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みちくさ食堂で休憩をとりました。上高地では日差しがあったのですが、いつの間にかどんよりとした曇り空になっていて、歩くのをやめるとすぐに肌寒くなってきます。


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食堂に入って、ホットミルクで温まりました。食堂の隅には火の入った暖炉もあり、やはりこの日はそこそこ気温が低かったようです。


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13:11 休憩を終えて、次の経由地である横尾を目指します。


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徳澤を過ぎると、それほど標高が上がったわけではないのに、河原の残雪も多くなり、なんとなく冬の名残が色濃くなってきます。


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左手には前穂高岳が見えてくる頃ですが、雲が低く垂れこめて山頂部は見えません。そのうち、ぽつぽつと雨が落ちてきましたが、すぐにやんで、しばらくするとまた降るという状況になってきました。本降りになると困るので、新村橋を過ぎて少しいったあたりでバックパックのレインカバーを装着しました。ついでに、レインウェアも着ておこうと思ったのですが、そういえばレインウェアなんて持ってきていないぞと愕然としました。しかし、積雪期はゴアテックスのハードシェル上下が行動着であるため、レインウェアを着る必要がなく、レインウェアを持ってきていないのはあたりまえ。いままで積雪期に雨にあったことはないので、ちょっと焦りました。とりあえず、パンツはすでに着用しているので、ジャケットを着ておきました。


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長い森の中の道を抜けると、河原に設けられた道に出てきました。前方の山にはガスがかかり、天気が悪くなってきているように見えます。


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石ころで歩きにくい河原の道を重荷にあえぎながら歩き続けていくと、遠くに吊り橋が見えました。横尾まであと少しです。


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14:24 やっと横尾に到着です。到着する少し前からちらほら白いものが舞い落ちるようになってきました。この時期に雪かよと思いながらも、雨にならなかっただけましだと思い、横尾山荘の軒先に荷物を降ろして休憩をとりました。


問題は、涸沢まで行くかどうかです。状況的には天気もあまり芳しくないし、今から登ると到着が17時をまわってしまうので、常識的には横尾どまりが正解です。しかし、明日の快晴の日を無駄にしたくないという思いもあります。


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行くべきか行かざるべきかと考えていると、雪が本格的に降り始めました。雪というよりも霰にちかい感じです。すぐに止むかなと様子をうかがっていると、なんと今度はけっこう強い雨にかわってきました。この時点で涸沢行きはなしです。問題は、横尾でテント泊にするか小屋泊にするかです。このまま雨が降り続くようなら小屋泊でいいかと思いながら、横尾山荘に入ってコーヒーを飲みながら様子をみていたところ、しばらくすると雨が上がったので、テント泊にすることにしました。


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横尾のテントサイトは、まだ完全に雪に覆われていました。テントの数が少なかったので、テントを張る場所はかなり自由に選べました。結局、トイレやほかのテントからやや離れた木の横にテントを設営しました。


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正面に前穂高岳を望むいいロケーションですが、あいにくガスで展望はいまひとつでした。

つづく。


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