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2014/01/31

ソロイスト 不具合認定で交換

冬期用グローブ ソロイストのレビュー記事を書いた後で、ブラックダイヤモンドの日本代理店であるロストアローのお問い合わせ窓口にメールで問い合わせてみました。内容は、1度の使用でノーズワイプのコーティングがはがれてしまったが、この部分の耐久性はどの程度を見込んでいるのかということと、はがれた後の保温性能や撥水性能は問題ないのかということです。


ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。



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1度使用しているので新品に交換してもらえると思っていたわけではなく、単に事象の報告と気になったことを確認したいというレベルでしたが、ユーザーサポートのほうから現物を確認したいので送ってほしいとの連絡がありました。確認のうえで、製品の不具合であれば無償交換しますとのことだったので、とりあえず指定されたあて先に問題のグローブを送付したところ、製品の不具合であるということで新品のソロイストに交換となりました。


実際にノーズワイプで鼻水を拭くと汚らしいのであまり使うことはありませんが、ノーズワイプがまだら模様になっているよりもやはりきれいなほうが気持ちはいいです。2代目ソロイストのノーズワイプが再びあっというまにはがれないことを祈るばかりです。


2015年3月現在、交換してもらったソロイストは親指部分のはがれもなく、冬季グローブとしての役目をしっかりと果たしてくれています。



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2014/01/30

「積雪期登山のマナー」記事の反響

「積雪期登山のマナー」記事の最後に「ご賛同いただける方はポチッとお願いします。」と書いて日本ブログ村のクリックボタンをつけておいたので、inポイントの数で大体の賛同者数がわかります。また、日本ブログ村のoutポイントからブログを訪れた人の大体の数もわかります。もっとも、どちらのポイント数もこの記事だけのポイントというわけではないので、厳密性はありません。





で、記事をアップしてから5日間のinポイントが360、outポイントが3060ということで、約12%の賛同が得られたということになります。多いのか少ないのかわかりませんが、多少なりとも賛同していただける人がいるということはうれしいことです。これを機に、すこしでも山での迷惑行為が減少すればいうことはありません。


<追記>
1月31日17時30分時点で、約13.6%とアップしました。皆様どうもありがとうございます。

山に遊んでもらっている者として、これから新しく雪山に入ってきた人が、あまりの汚さにがっかりするなどということがあってはいけないと思います。先に雪山の魅力を楽しませてもらっている者は、次の人にその魅力を守り伝える義務があるはずです。どうか山でのマナー向上にこれからもご協力よろしくお願いします。


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2014/01/28

まさかの独りラッセル: 伯耆大山夏山登山道

2014年1月27日 鳥取県大山町 伯耆大山 単独日帰り


久しぶりに月曜日が空いたので、晴れの天気予報を信じて伯耆大山に行ってきました。最近、まともに山写真を撮っていないので、夜明けの剣ヶ峰と雲海狙いです。


早くから寝ればよかったのですが、なんやらかんやらで気がつけば23時。午前1時に出発予定だったので、30分ほど座ったまま仮眠をとっただけでの強行軍になってしまいました。


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4:00 南光河原駐車場を出発しました。前の日にわりと降雪があったみたいで、けっこうさらさらの雪が積もっています。


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夏山登山道の登山届けポストのところから、いきなりまっさらな新雪の登山道が始まります。


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最初のうちはまだ前日のトレース跡がわかる程度の積雪でしたが、30分も歩くとまったくトレースがわからないほどの積雪になってしまいました。トレースをたどると膝下ぐらいですが、一歩はずれると股下まで沈みます。暗闇の中、アックスで進行方向の雪を突き、下が固いトレース跡を探しながらの独りラッセルが続きます。


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6:04 どれほど進んだのか、いったいどこにいるのかもわからないまま、さすがに疲れて休憩したくなってきたとき、目の前に五合目の道標が現れました。自分では三合目ぐらいかと思っていたのですが、思ったよりも進んでいました。


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道標のすぐそばには深い落とし穴がありました。五合目あたりから六合目にかけて、落とし穴がたくさんあるので注意が必要です。一度、右足が穴にはまってしまい、足を抜くのに苦労しました。


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6:28 五合目で休憩したかったのですが、どうせなら六合目の避難小屋まで行ってからにしようと思い、あたりがほんのり明るくなってきた頃にやっと六合目避難小屋に着きました。避難小屋はかなり埋まっており、そのままでは腹ばいでないと入れない状態だったので、入口に降りこんだ雪を掻き出すのに少し時間がかかってしまいました。山頂まで2時間半で登るつもりが、思わぬラッセルで時間を費やし、すでに六合目で2時間半もかかっています。


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上空は雲ひとつないきれいな空が広がっており、きっと弥山から美しい剣が峰の夜明けが見られたことでしょう。夜明けの写真はあきらめざるを得ません。残念です。


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6:54 もはや急ぐ必要もないので、しっかりと行動食をとり、防寒対策にフリースとハードシェルを着用して出発しました。


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6合目から上の稜線は、風が新雪を吹き飛ばしてしまったようで、硬い半分凍結した雪の斜面になっていました。その分クランポンの爪がザクザクと心地よくささります。


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朝日が日本海から押し寄せてくる雲海を赤く染めます。


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影大山が雲海の上に伸びていました。


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8:00 頂上台地に入ったところで、PowerShot S110の電池が切れました。寒さ対策にジャケットの胸ポケットに入れていたのですが、満充電の電池に交換するのを忘れていました。予備電池に交換すると、なんとこちらも空っぽ!? 充電済みのつもりが空っぽの電池を持ってきていたのでした。しょうがないので、一眼レフで記録写真も撮影します。


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8:12 山頂避難小屋はなんだかよくわからない白い異物のようになっていました。さすがに厳冬期の山頂です。


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弥山山頂に立つと、朝日を浴びて輝く美しい剣が峰の姿がありました。雪庇が発達し、シャープな稜線のラインが明暗のコントラストをくっきりと切り分けていて、その美しさは言葉にできないほどです。


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剣ヶ峰の背後には雲海が広がり、わずか1700mの山とは思えない高度感です。


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久しぶりにセルフショット。6000m峰といっても信じてもらえそうな雰囲気です。


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40分ほど撮影してから避難小屋に行きました。1階の正面入口前まで雪洞が掘られていたのですが、入口ドアは凍結していたのか開けることができませんでした。寒暖計は-10度でした。


2階入口は開きましたが、クランポンをはずしたり、靴を脱いだりするのが面倒なので、小屋の脇で行動食を食べて少し休憩してから、早々に下山することにしました。


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弓ヶ浜上空の雲海はすっかりなくなっていましたが、その分地上の様子が良く見えました。


寝不足の上に2時間半の独りラッセルでかなり消耗してしまったらしく、体が疲れていて、その上左膝が痛くなっていつものようにさくさく下ることができません。膝をかばいながら、ゆっくりゆっくり下り、駐車場についたのは12時を回っていました。


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久しぶりのいい天気で、伯耆富士のきれいな姿を見ることができました。


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2014/01/26

冬期用グローブ BDソロイスト レビュー

2013年正月の仙丈ヶ岳登山で指先の冷たさにけっこう苦しめられたことから、グローブも新調することにして、冬シーズンが終わった同年4月に購入したのがこのグローブです。-26度まで対応するということで、防寒性能にはかなり期待してました。


購入時に、TNFのケルビングローブと迷いました。店頭で試着してみた感じが、ケルビングローブのほうが暖かそうに感じたからです。ケルビングローブはゴアテックスシェルにゴアテックスインサートも内蔵されていて、防水に関しては完璧といってもいい内容ですし、中綿は光電子プリマロフトとボアフリースが採用されていて、ほぼ弱点はなさそうなグローブです。その分お値段も高くて、ソロイストよりも4,000円アップになります。



少々高くてもケルビングローブにしようかなんて思っていたのですが、昨年4月の時点でケルビングローブのLサイズの店頭在庫がすでになかったので、必然的にソロイスト一択となったわけです。もっとも、時期が時期だけになにもいやいや買う必要はなかったわけで、ソロイストの購入は熟考の上納得して購入しました。


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まずシェルですが、ソロイストは4ウェイストレッチナイロンシェルが使われていて、ゴアテックスのような防水透湿素材ではありません。しかし、厳冬期の使用を考えれば、防水透湿素材であれば安心ではありますがどうしても必要ということでもなく、事前に防水スプレーでもしておけばほとんど心配する必要はありません。また、インナーに防水透湿性に優れたBDRYインサートを採用しているとあったので、ゴアテックスのような完全防水ではないにしても、それなりに防水性能はあるらしいという安心感もありました。それよりも、4ウェイストレッチ素材というのが、手指を動かすときにストレスにならず、手指の動かしやすさはケルビングローブよりもいいと感じたのが決め手のひとつです。


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次に、中綿はプリマロフトワンが使われていて、保温性能は問題なさそうだということに加えて、インナーグローブがセパレートという点がポイントになりました。ケルビングローブは光電子プリマロフトということで、プリマロフトの保温力に光電子の遠赤外線効果もあるらしいので、少しは暖かさが違うのかもしれません。しかし、それほど大きな違いはないだろうと判断したわけです。それよりも、ケルビングローブはインナーグローブ一体型なので、万一インナーが濡れてしまうと乾かすのは難しそうですが、インナーが取り外し可能なソロイストなら就寝時に胸の中にでも入れておけば乾かすことができるかもしれません。


そういうわけで、ソロイストを厳冬期用グローブとして装備に加えたわけですが、結果は期待通りでした。昨年、あれほど苦しめられた指の冷たさは、今年はまったく感じることなく仙丈ケ岳登頂を果たすことができたのです。インナーグローブ単体でみると、こんなもので大丈夫なのかと不安になりそうな感じですが、ダウンと同等の保温力があるというプリマロフトは、十分な暖かさを発揮してくれました。クランポンの脱着操作などもソロイストをつけたままできましたし、冬用のグローブとしてはいいコストパフォーマンスだと思います。あとは、この性能が長くもってくれればいうことなしです。


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ただし、一点だけ残念なことがありました。それは親指についているノーズワイプの表面処理が、いとも簡単にはがれてしまったことです。鼻水を拭きまくったということではなく、単にこすれてはがれただけのようです。このグローブは、山頂アタックのときにしか使っていないので、ストックのストラップにこすれたわけでもなく、特に何かが当たっていたということはありません。しかもまともに使用したのは今回が初めてです。それなのにこの有様です。購入後半年ほど使っていないとはいえ、籐かごの中にいれて日の当たらない室内に保管していたので、特別劣化するような条件だったとも思えません。半年程度で劣化するようなものなら現実的に使い物になりませんから、まさかそんなものを商品化するほどお馬鹿なメーカーでもないとは思いますが。


このウレタンコーティングのような表面処理があるのとないのとで保温性能や防水性能に違いがあるのかどうかわかりませんが、水分がしみこみやすくなるのではないかという気がします。厳冬期なので、あっというまに凍り付いてしまうでしょうからそれほど問題にはならないかもしれませんが、親指が冷たくなる原因になりはしないかと少し気になります。そのあたりのことは、使っていくうちにわかるでしょう。


なお、販売代理店に連絡したところ、不具合認定で新品に交換となりました。記事はこちら。

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2014/01/24

積雪期登山のマナー

お正月の仙丈ヶ岳登山で、とても不快で残念な気持ちにさせられたことがあります。それは、登山者の立小便。


無雪期と違ってあたり一面真っ白ですから、立小便の跡は見たくなくても目に付きます。戸台から仙丈ヶ岳山頂までのあらゆる場所でたくさんの小便跡を目撃しました。


登山の途中で尿意を催すのは避けられませんから、それを我慢しろというつもりはありません。しかし、せめて登山道から少し外れたところへ行って、他の登山者の目に付かないところでするという配慮ぐらいあってしかるべきではないでしょうか。それを、おそらく登山道から一歩も踏み外すこともなくただ横を向いて登山道脇に放尿したと思われる小便跡がいくつも見られました。もしも登山道から外れてしようとして滑落したらどう責任をとるのかなどと食って掛かる人もいそうですが、そんな急傾斜の場所はそれほど多くはありません。10分や20分は我慢できるはずです。危険性の少ない場所をみつけて、そこですればいいだけのことです。最悪、登山道脇の木の根元の登山道とは反対側でして、上から雪をかぶせておくだけでも、登山者の目に触れないですむのです。まさかその程度のこともできないで厳冬期の3000m峰に登りに来た人はいないでしょう。それ以前に、出発前にトイレでしておくぐらいのことはできますよね。


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この小便跡ですが、もっとも最悪だったのが長衛小屋のすぐ前で小便をした馬鹿者がいたことです。たとえ日が昇る前に通ったとしてもそこが小屋の前だということは誰でもわかりますが、どういう理由でそんな場所で立小便をしたのでしょうか。僕にはまったくその人の思考回路が理解できません。


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また、白岩第二堤防の上は柵がめぐらされていて、戸台からの距離的にちょうど休憩場所にいいのですが、そこにも数箇所の小便跡がありました。誰もが休憩するのにいい場所だなと思うような場所ですら、ところかまわず放尿するのはどういう神経なのでしょうか。ほんのわずか階段を下れば立ち木があったり、山陰のような場所があるのですから、せめてそういうところですれば誰も不快な思いをしないですむのです。


尿意を催したら即その場で放尿するというのであれば、野良犬と同じです。理性のある人間なら、もう少し他人や環境に配慮するべきでしょう。


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2014/01/23

山小屋通信簿: 長衛小屋

山小屋通信簿は、清潔さや快適さなどの一般的な項目の他に、ヤマふぉと派の観点から撮影山行基地としての評価も加えた山小屋の評価です。各評価項目を5段階で審査し、合計点数の平均(端数は四捨五入)が総合評価です。

評価項目
●清潔度:小屋内の部屋や食堂、トイレ、布団など、清潔に保たれているかどうかももちろんですが、小屋周辺の状況やごみの処理なども含みます。
●快適度:小屋内で過ごす時間を快適に過ごせるかどうかです。乾燥室の場所や利用時間、自炊場所の有無と位置、談話室の有無と居心地、本や暖房などの設備をチェックします。
●ホスピタリティ:宿泊や幕営の申込み、売店の対応など従業員の応対をチェックします。
●食事のうまさ:朝食夕食だけでなく、昼食メニューなどボリュームや味をチェックします。ただし、食べたものにもよるのでかなりいい加減です。基本的にあまりグルメではないので、味については甘い評価かもしれません。
●施設充実度:宿泊客以外の登山者が利用できる設備についての項目です。小屋前のテーブル&ベンチ、水場、屋外トイレ、雨をしのげるひさし付きベンチがそろっていると評価5です。1種類を1ポイントとして評価します。
●ロケーション:写真を撮るためのベースとして、立地条件などを評価します。ただし、立地条件は変更しようがないので、3以上の評価とします。

評価基準
5:非常に優れている
4:良い
3:問題ない
2:いま一歩
1:改善が必要



●長衛小屋
清潔度:5
快適度:5
ホスピタリティ:5
施設充実度:5
食事のうまさ:-
ロケーション:3
総合評価:4.2


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南アルプス北沢峠にある北沢駒仙小屋が長衛小屋と改名され、2013年に建て替えられたばかりの新しい小屋です。宿泊したのは2014年1月2日の夜で、年末年始は素泊まり専用となっているようです。なので、食事はとっていませんし、食堂も見ることはできませんでした。


入口を入ると、正面に売店を兼ねた受付があり、右手に食堂、左手にテント泊申込書を書くためのカウンターがあり、カウンターの後に談話室があります。このカウンター上にデジタルフォトフレームを利用した天気予報の画像が流されています。


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談話室には薪ストーブが設置されていて暖まれるし、漫画や雑誌が並んだ本棚もあります。その奥には乾燥室があり、そこにも専用の大きなストーブが設置されていました。


宿泊した日は、午後3時ごろチェックインしましたが、その時点では宿泊者は僕だけでした。にもかかわらず、乾燥室に乾かしたいジャケットなどを持っていくとすぐにストーブに火を入れてくれたり、2階の宿泊場所のストーブにも火を入れてくれるなど、サービス満点でした。乾燥室に靴を入れるのは禁止している山小屋が多いのですが、「靴は持ち込まないほうがいいですか?」と聞いたところ、快く許可してくれました。まあ、宿泊者が少なく積雪期だったから特別ということかもしれません。


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この小屋のいいところは、コインシャワーがあることです。1回500円が必要ですが、山でシャワーが使えるのはありがたいことです。お正月のこのときも使用不可の表示は出ていなかったので、もしかしたら使えたのかもしれません。


自炊は談話室でいいとのことで、薪ストーブのある暖かい場所でゆったりと食事ができました。ストーブの上にかかっているヤカンに入っているお湯も自由に使っていいとのことだったので、大変助かりました。朝はポットに入ったお湯がテーブルに用意されているなど、たいへんホスピタリティの優れた山小屋です。ご主人はどちらかというと無口な感じの方ですが、気遣いの細やかな優しい方でした。ただ、談話室で自炊していいというのは積雪期だけのことだと思います。積雪期は素泊まりのみとなっているので食堂は閉鎖されていますし、宿泊客も少ないので談話室を開放しているのだと思います。無雪期の場合は、どこで自炊をするのかはわかりません。たぶん、外なんだろうなあという感じですが。


屋内にも当然トイレはありますが、積雪期は使用できないとのことで、宿泊者もテント泊者と同じ屋外のトイレを利用します。小屋の入口から雪のない軒下を通ってトイレまで行けるので、小屋に備え付けのサンダルで行けるところがいいところです。


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宿泊場所は小屋の2階になっていて、中央の廊下を挟んで上下にカイコ棚になっています。しかし、畳敷きだし、奥行きも十分あって快適です。


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上段へは梯子ではなく階段が数箇所設置されているので、上り下りも楽チンです。布団は、敷き布団、掛け布団、毛布が各1枚なので、明け方近くなってくるとさすがに寒かったです。なので、積雪期はダウンパンツとダウンジャケットは必携です。


施設に関しては、無雪期であれば、ベンチ、テーブル、水場、屋外トイレ、庇付きベンチとすべてそろっています。積雪期はトイレだけ使用可能です。水は、小屋前を流れる小川で汲むことができます。


ロケーション的には、北沢峠から10分ほど歩かなければならないことと、谷間にあり展望がないこと、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳とも登頂するのに数時間かかることなどから、撮影基地としてはあまり向いていません。



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2014/01/20

山食を考える: ライトミールブロック

行動食シリーズ第五弾は、ライトミールブロックです。


登山をするようになって、早い段階から利用していたのがこのトップバリューブランドのライトミールブロックです。イオン系のスーパーで購入することができます。もちろん、一番最初に利用したのはカロリーメイトでしたが、イオンでライトミールブロックを見つけて以来、こちらを愛用しています。


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一番の理由は、カロリーメイトよりも安いから。カロリーメイトが安くても150円ぐらいするのにたいして、ライトミールブロックは128円と低価格です。バリエーションもどんどん増えて、写真にあるチーズ味、チョコ味、ブルーベリー味、フルーツ味のほかに焼きいも味とかメープル&くるみ味、抹茶味、ココナッツ味なんてのもあったのですが、最近は写真の4種類しか見かけなくなってしまいました。特にメープル&くるみ味と焼き芋味は絶品で、メープル&くるみ味はメープルシロップをかけたホットケーキのような味だし、焼き芋味は本当に焼き芋かと思うぐらいのおいしさで、これが入手できなくなったのはとても残念です。


1箱4本入りで400kcal(1本100kcal)と高カロリーのわりに低価格だし、味のバリエーションも多くて飽きないのがいいところ。内袋の印刷文字の色が製品によって異なるので、紙箱からだしてもおおむね区別はつきますが、完全に個別に色分けしているというわけではないので、物によってはどの味だったか判別が付かなくなるのがちょっと困ります。まあ食べてからのお楽しみということですね。


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2014/01/18

厳冬期対応登山靴 スカルパ モンブランGTX レビュー

地元の1200m級の雪山で2度慣らしをしてから、正月の仙丈ヶ岳で本格デビューを飾ったモンブランGTX。昨年は、シリオ712GTXでかなり足指に冷たい思いをしたので、今年ははたしてどうだろうかと不安半分期待半分の山行となりました。


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結論から言うと、買ってよかった! 昨年のシリオ712GTXではウールソックスの2枚重ねであったにもかかわらず痛くなるほど足の指が冷えてしまい、小仙丈ヶ岳山頂に10分いるのが限界だったわけですが、今年は気温は若干高かったようですが風が猛烈に強い状況で、条件としては大差ない感じでした。ソックスはウールの厚手1枚だけでしたが、立って歩けないほどの強風下でも3033mの仙丈ヶ岳山頂でも足の指が冷たさを感じることはまったくありませんでした。保温力は厳冬期の3000m峰でもまったく問題なしです。シリオ712GTXもモンブランGTXと同じゴアテックスデュラサーモが使われていますが、断熱材の厚さがちがうのかもしれません。シリオ712GTXはもともと四季を通じて八ヶ岳を楽しむのがコンセプトの靴ですから、あまり厚い断熱材だと夏場は蒸れて履けないということになりかねませんしね。


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足首前部分は、アッパーのスウェード皮と一体になったタンの内側に柔らかい素材のタンがもう一枚ついています。シリオ712GTXでもタンはアッパーと一体型ですが、この内側のタンというのはありません。おそらくこの柔らかい素材のタンがフィット感や快適性に重要な役割をはたしていると思われます。とくに足首部分の押さえが効くことで、靴の中で足が前後に動くのを効果的に抑制してくれているように思われます。そのため、指先が靴に触れて爪が黒くなってしまうようなことが起こりにくいのでしょう。下山時の急斜面でも指先の心配はまったくありませんでした。


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足首後部分には、ネオプレーンゴム製のカフが付いていて、雪の進入などを効果的に防いでくれるようです。まあ、ゲイターをつけていればあまり心配はありませんけど。むしろ、靴内の暖かい空気が逃げたり、冷たい外気が進入するのを防ぐ効果のほうが大きいと思われます。足首の前後についている大きめのループも履くときに便利でした。手袋をしていても簡単に指が通ります。


凍結した急斜面をクランポンのつま先の爪を立てて登るような場合でも、靴底がしっかりしていてたわむことがないので、足裏全体に体重が分散できて足が疲れにくかったです。こういうシチュエーションでは、シリオ712GTXはやや剛性が弱いみたいで、つま先に少し力が入ってしまい疲れやすいのですが、モンブランGTXはその意味でも優秀な靴です。


広い河原を長時間歩き続けても、足が痛くなることはありませんでした。これはインソールのスーパーフィートのおかげもあるかもしれません。しかし、硬いソールの厳冬期用登山靴のわりには足首が比較的柔らかく、それほど歩きにくさを感じることはありませんでした。


やはり、冬には冬の登山靴、ということのようです。中途半端に4万円ぐらいの残雪期対応の登山靴を買って、あとから厳冬期用の靴を買うぐらいなら、始めから厳冬期用の登山靴を買っておくべきだと思います。買い換えればトータルで10万円コースですが、始めから厳冬期用の登山靴を買っておけば、6万円もかかりません。うまくセールの時期に買えば、5万円ぐらいでおさまります。日帰りの低山から始めるにしても、厳冬期だとそれなりに気温が低いときもありますから、断熱性能がしっかりしている靴にしておくにこしたことはありません。いつか3000m級の山に登るようになっても使えますし、そこまで行かなくても足が冷たくならない靴であるのに何のデメリットもありません。冬山で使う道具にはしっかりと投資をしたほうがいいです。足指の冷たさが解消されれば行動に制限がなくなりますし凍傷の心配も必要ありません。なにより、結果的に節約になります。


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2014/01/15

テント場通信簿: 長衛小屋キャンプ場

テント場通信簿は、清潔さや快適さなどの一般的な項目の他に、撮影山行基地としての評価も加えたテント場の評価です。各評価項目を5段階で審査し、合計点数の平均(端数は四捨五入)が総合評価です。

評価項目
●清潔度:テント場にごみが放置されていないか、清潔に保たれているかどうかを評価します。
●快適度:整地の状況、地面の状況、サイトのゆとり度、トイレや水場への距離などテント場での生活が楽で快適かどうかを評価します。
●施設充実度:トイレ、水場、ベンチとテーブル、炊事棟、売店の有無を評価します。1種類ないごとに-1です。
●ロケーション:写真を撮るためのベースとして、立地条件などを評価します。ただし、立地条件は変更しようがないので、3以上の評価とします。

評価基準
5:非常に優れている
4:良い
3:問題ない
2:いま一歩
1:改善が必要



● 長衛小屋キャンプ場(冬期)

清潔度:5
快適度:4
施設充実度:3
ロケーション:3
総合評価:3.8

南アルプス北沢峠にある長衛小屋のキャンプ場は積雪期にしか利用したことがないので、積雪期限定での評価です。


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テント場は谷間にあり、比較的フラットな場所です。広さもけっこうあり、年末年始でもぎちぎちに混みあうという経験はありません。


テント場の脇を小川が流れており、冬場はそこを水場として利用します。テント場内にホースで引いた水場があり、無雪期はそこを利用するようですが、積雪期は凍結していて使用できないためのようです。水質に問題はないと思いますが、上流に仙水小屋があり、登山道も並行してついているので、生水を飲むのは避けたほうがいいと思います。もっとも、年末年始の寒さの中で凍るような生水を飲む気にはなれないと思います。


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トイレは、長衛小屋の隣にある屋外トイレが利用できます。テント場の目の前にあって便利です。男女共用ですが、長衛小屋の宿泊者も利用するため、小屋のほうで管理はきちんとされているようです。2013年~2014年の年末年始で利用したところ、個室が洋式便器に変更されていて、使いやすくなりました。ペーパーも完備されています。便座クリーナーも設置されていましたが、残念ながら中身はすっからかんでした。トイレ前にある手洗い用の水場が冬期は凍結で使えなくなるため、水場まで行って手洗いをするかウェットティッシュなどを自分で用意しなければなりません。なお、年末年始以外の小屋が営業していない期間の積雪期にトイレが使えるかどうかはわかりません。

*補足*
コメントでいただいた情報によると、便座クリーナーは凍結のため使用できなかったということだったようです。また、屋外トイレは、小屋の営業期間外でも利用できるようです。



年末年始は長衛小屋が営業しているのでお菓子や飲み物などは購入できますが、食事類の提供はしていません。食事代わりになるのは「おでん」だけです。あとは、ビール、ソフトドリンク類、お菓子などが販売されています。小屋の1階にあるロビーは、300円以上の買い物をした場合に1時間利用できます。


ロケーション的には、北沢峠から少し離れたところにあり、谷間ということで展望はありません。唯一小仙丈ヶ岳が見えるぐらいです。朝夕の山岳風景や、星景写真など撮影するためには、まだ暗いうちに登山をしなければならず、撮影基地としてはこれといっていいところはありません。ここはシンプルに、仙丈ヶ岳と甲斐駒が岳への登山基地として考えておいたほうがいいでしょう。


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2014/01/14

ライペンX-ライズ2 レビュー

年末に購入したテント ライペンX-ライズ2を早速正月の仙丈ヶ岳登山で使用しました。


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長衛小屋(旧北沢駒仙小屋)のテント場で使用しましたが、設営がすこぶる簡単で楽でした。


取説には本体の四隅と張り綱4本の計8箇所でペグダウンするように書かれていましたが、谷間のテント場ということで張り綱4本のみのペグダウンで手抜きをしたおかげであっというまに終了しました。おそらく、10分程度で終了しているはずです。もっとも、雪がサラサラふかふかだったので、水をまいたりして整地するのに手間がかかったので、張り終えるまでのトータル時間はそれなりにかかりました。


2~3人用テントということでサイズが大きく、いままで使っていたメスナーテント1~2人用と比べると、就寝時の余裕は圧倒的です。テントの両側に荷物を並べても中央部分には余裕があり、いままでのようにキツキツの隙間に寝るという感じはありません。縦方向も10cm長いおかげで、目の前にテントの幕があるという圧迫感も感じませんでした。居心地はよかったです。


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このテントの入口は、一般的な上から開くタイプの開き方もできますが、下から開くこともできます。


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下から開く場合は左右どちらかの角から開くという形になるため、入口の下側全体を持ち上げるようにして開くことはできませんが、この開き方でも出入りにそれほど困ることはなく、降雪時には助かります。今回は2日間降雪がありましたが、テントを出入りするときに雪が大量に入って困ったということはありません。入口をぱっとはぐって足だけ外に残して腰から体を入れて入り口のジッパーを下ろせば、下側だけ開いた状態になるので、雪は入ってきません。それから、足をパンパンとはたいて靴の雪を払ってテント内に足を引きこんでしまえばもはや雪の心配はありません。テント内でゆっくりと靴を脱いでテントの隅においておけばいいだけです。


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積雪期は無雪期と違って靴が泥で汚れているということがないので、前室で靴を脱ぐという考え方は必要ありません。極論すれば靴ごとテントに入って、中で脱げばいいのです。入口のメッシュをテント内に広げておいてその上で靴を脱げば、少しぐらい靴に付いた雪が落ちたとしても、メッシュを持ち上げて入口からテントの外に持ち出してはたいてやるだけで雪を出すこともできます。ブラシなどがあればテント内に落ちた雪を掃きとって捨てることもできますし、前室がなくても問題なしです。


ただ、シングルウォールの弱点である断熱性能はやっぱり劣っていて、お湯を沸かしたりしているとテント内で霧が発生しました。これは、昨年2月の石鎚山でメスナーテントをフライなしで使用したときに最初に発生した現象ですが、テント内の気温が外気温と大差ないために発生したものと思われます。昨年のお正月にメスナーテントで北沢駒仙小屋のテント場でお湯を沸かしたりしたときには発生しなかったことから、やはりダブルウォールテントだとそれなりに断熱効果が高いようです。


ダブルウォールの場合は、換気口から入ってきた冷たい外気がまずフライとテントの間の空気層で暖められてからテント内に入ってくることでテント内の空気が急激に冷却されないのに対して、シングルウォールの場合は、冷たい外気が直接テント内に流入することによってテント内の空気が一気に冷却されてしまうために霧が発生するのだと考えられます。まあ、霧が発生したからといって特別困ることはありませんが、そういうことからもシングルウォールテントは寒いというのが実感されました。


事実、テント場での気温は昨年よりも高かったにもかかわらず、テント内で過ごしていたときは昨年よりも寒いと感じました。テント内ではダウンジャケットなど着ていればいいことだし、食事が済めばさっさと寝袋に入るので、少々寒くてもそれほど困ることはありませんが、快適性を求めるのであれば冬用外張りが必要かなと思います。もっとも、外張りを携行すると重さが増すので、軽量なシングルウォールとしてのメリットがなくなってしまうのが痛いところです。



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2014/01/12

山食を考える: クリフバー

行動食お試しシリーズ第四弾は、CLIF BAR。


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単価が250円と高いのでいままで敬遠していたクリフバーですが、正月の仙丈ヶ岳登山で試してみました。


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クリフバーのいいところは、他のバータイプのものがおおむね180~200kcalであるのに対して1袋当たりのカロリーが約250kcalありボリュームも少し多いので、腹持ちがよく満腹感があるという点です。


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今回試したのは、チョコレートチップス、チョコレートアーモンドファッジ、クランチピーナッツバターの3種類です。基本的にどれも似たような味でしたが、甘ったるくなくそれなりにおいしく食べられました。ただ、ややねちっこい食感で、しっかりと噛んで飲み込まないといけないため、食べるのに少し時間がかかります。停滞時のランチなどは、これ1袋で十分でした。


最初に食べたクランチピーナッツバターは、バックパックに入れておいたものをそのまま食べたので、カチカチに硬くて歯が折れるかと思いました。スニッカーズは同じように寒さで硬くなっても口の中に入れればすぐに柔らかくなりましたが、こいつはなかなか柔らかくなってくれません。冬場は、あらかじめジャケットのポケットに入れておくなどして暖めておかないと、たいへん食べにくいと思われます。


好日山荘などで個別に買うと1個250円と高いので、10%オフセールのときにまとめ買いしておいたほうがいいですね。アマゾンなどの通販で12袋入りのパックを買えば単価は200円を切ります。iherbという米国の通販サイトでは、日本語のHPが開設されており、12袋入りが16.64ドルで送料も4ドルと安いので、日本円で約1700円程度で購入することもできます。これだと1袋142円程度となりかなりお得です。


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2014/01/10

謁見! 南アルプスの女王様: 仙丈ヶ岳その4

2013年12月31日~2014年1月3日 長野県伊那市 仙丈ヶ岳(3,033m) 単独テント泊



2014年1月2日午前11時40分。小仙丈ヶ岳から仙丈ヶ岳への稜線に足を踏み出しました。初めての道は無雪期でも多少はどきどきしますが、標高が高い上に積雪期で強風も吹いているとあって、気持ち的にはかなり緊張していました。


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しばらくはほぼ平坦な稜線を進みますが、あいかわらずガスがすっきりと晴れてくれなくて、ときおりホワイトアウトに近いぐらい視界が悪くなることがあり、そのたびに緊張してしまいます。天気図から想像するかぎり今日は天候悪化の可能性は限りなく低いとわかっていても、気象予報士でもない自分の判断が絶対的に信じられるというわけではないので、やはり目の前の状況によって気持ちは揺らぎます。


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やがて、平坦な稜線の突端まで来ました。ここからいったん鞍部に下り、目の前に見えるピークに登り返します。当初、このピークが仙丈ヶ岳本峰かと思っていたのですが、地図と照らし合わせればどうやらこれは違うようです。鞍部から登り返した後、ぐるっと右へ回るようにしていった先に目指す3033mのピークがあるのです。ガスが切れ、視界がパーッと開けた瞬間、目の前のピークの向こうに仙丈ケ岳の一部が見えました。南アルプスの女王様は、簡単にその姿を見せてくれません。謁見を許されるには、まだ目の前のピークを越えるという試練をクリアしなければなりません。


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鞍部へ降りるルートは、岩の露出したやや急傾斜の尾根になっていました。クランポンの爪を引掛けて転倒しないように慎重に下ります。そして、約100mの標高差の登り返しに向かいます。この登り返しの斜面は、風下にあたるらしく風が弱くて助かりました。ここを登りきってピークの西側を回りこんだところで、ようやく南アルプスの女王様の姿を見ることができました。しかし、すぐにガスの中に姿を隠してしまいました。


そして、ピークへつながる最後の尾根を登ります。ピーク直前のこの尾根は、最初はふかふかの雪が積もったリッジが30mほどあり、そのあと岩の露出した小ピークを越えるようになっており、ここが最後の難関といってもいいでしょう。とりたてて危険というほどのものではありませんが、両側の切れ落ちた尾根なので、万一滑ったり転んだりすると滑落する可能性は高くなります。


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ふかふかの雪が積もったリッジを渡り、岩が露出した小ピークを越えると、目の前に仙丈ヶ岳が姿を現しました。さあ、あとはあの頂へ向かうだけです。


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そして、最後の斜面を登ります。


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12:53 厳冬期3000m峰の初登頂です。小仙丈ヶ岳から1時間程度とみていましたが、想定よりも少し時間がかかりました。


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ひとまず記念撮影。山頂はそれほど風は強くありませんでした。


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振り返ると、最後の小ピークを越えてくる登山者がいました。



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歩いてきた稜線がガスの中から姿を現しました。


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北側のカールの底には仙丈小屋が見えました。あの小屋の3階は避難小屋として開放されているはずです。可能であれば仙丈小屋を利用して、仙丈ケ岳から朝焼けの北岳と富士山の姿を撮影したいものです。来年はそれに挑戦してみるというのもいいかもしれません。しかし、写真を拡大してみても、小屋の周囲にトレースは見当たりません。ここを冬期に利用する人はいないのかもしれません。カールの底に降りていくとなると雪崩のリスクもありますから、途中の稜線でテント泊したほうがまだ安全ということでしょうか。


13:00 さあ、長居は禁物です。何が起こるかわからない厳冬期の3000mで、のんびりしているわけにはいきません。とにかく、ホワイトアウトしても問題ない6合目より下へ一刻も早く降りることにします。


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山頂手前のふかふか雪のリッジで、少しの間ホワイトアウトしそうになりヒヤリとしましたが、無事視界が回復し下山を急ぎます。


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途中で見つけた足跡です。降雪後に人が歩いたことで圧雪されて硬くなった足跡だけを残して、柔らかい新雪が風で削られた結果、足跡だけが盛り上がった状態で残ったものなのでしょう。雪山独特の不思議な造形です。


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13:39 小仙丈ヶ岳まで戻ってきました。甲斐駒はガスで隠れてみることができませんでした。今日は甲斐駒に登る予定でしたが、仙丈ヶ岳にして正解だったのかもしれません。


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14:08 大滝の頭が見えました。ここまでくればもう安心です。暴風雪になってももう大丈夫です。


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14:22 暑くなってきたので四合目で休憩がてらハードシェルとフリースを脱ぎました。


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14:46 二合目を通過します。


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15:04 登山口まで降りてきました。登頂に5時間近くかかったルートを、わずか2時間で降りてきました。雪山は本当に登りに時間がかかります。


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テントに戻ってみると、入口の通路が雪に閉ざされ、テントの周囲にシュカブラができていました。テント場にもけっこうな風雪があったようです。


今日で3泊目になるので、長衛小屋に3泊目の申込に行ったのですが、つい誘惑に負けて素泊まりで申込をしてしまいました。仙丈ケ岳登頂で消耗していたのと、今晩は晴れるはずなので放射冷却でぐっと冷え込むことを考えると、暖かい布団でゆっくり眠りたいという欲望に勝てませんでした。まあ、ブログねたにもなるしいいかなと。素泊まり5000円なら高くもないし。それにしても、テント場はそこそこにぎわっているのに、この時点で宿泊者は僕だけでした。その後もうひとり増えましたが、結局ふたりだけでした。正月2日の夜だというのにこんなに空いているなんて予想外でした。そういえば、31日に申込をしたときも、素泊まり空きありますという表示が出ていましたから、この小屋はけっこう穴場なのかもしれません。食事がないというのも理由のひとつなのでしょう。



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2014年1月3日午前8時30分。すっきりと晴れ渡った空を見て、今日は甲斐駒に登ってもよかったかなあと若干後悔したりもしましたが、昨日の疲れも残っていますし、左膝に少し違和感も出ていたので無理は禁物です。快晴の下、長衛小屋をあとにしました。


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北沢峠に設置されていた温度計は-8度をさしていました。ショルダーベルトにつけていた腕時計の温度計は-4度。いつもおおむね4度ぐらいの違いがあるようです。腕につけていなくても体の近くにあると、やはり温度は高めに出てくるようです。そういえば、仙丈ヶ岳の稜線で-8度だったので、実際には-12度ぐらいあったとすると、天気予報どおりだったようです。

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13:50 長い長い河原歩きを経て、ようやく駐車場にたどり着きました。スカルパ モンブランGTXは、靴底が硬いわりに長い河原歩きでも足が痛くなることも無く、始めから終わりまですこぶる快適でした。


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駐車場からすぐの急坂道は雪も解けていて、何の問題も無く上ることができました。日差しの暖かさといい、まるで春のような陽気でした。

おわり。


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テント場ー仙丈ヶ岳jpg
2014/01/08

謁見! 南アルプスの女王様: 仙丈ヶ岳その3

2013年12月31日~2014年1月3日 長野県伊那市 仙丈ヶ岳(3,033m) 単独テント泊



2014年1月2日午前3時。寝袋から這い出して外を見ると、やっぱり雪が降っています。前線は通過しているはずなのになぜ? まだ低気圧の影響が強いということなのか、それとも前線の通過が遅れて天候の回復も遅れているのか。どちらにしても、これでは日の出や朝焼けは期待できません。なので、明るくなってから出発することにして、もう少し惰眠をむさぼります。


6時前に起きて食事をとり準備をしていると、少し外が明るくなってきたようです。雪もだいぶん小降りになってきた感じがします。テントの外に出てみると、わずかに青空も見え隠れしていました。ようやく天候が回復し始めたようです。これなら、お昼ごろには青空が出るに違いない。そう確信して出発することにしました。


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8:00 出発時間としてはちょっと遅いのですが、今日はピークハントが主目的の山行にするつもりなので、スケジュール的になんとかなるでしょう。昨年、途中撮影などしながら小仙丈ヶ岳まで4時間半ほどかかっています。撮影なしならもっと早いはずです。


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登山口には新雪が積もっていて、トレースはややあやふやな感じになっていました。今日はこのコースを登った人がいないようです。昨晩だけで10cmぐらいの積雪はあったようなので、ラッセルにならなければいいけれどと少し心配しつつ足を踏み入れました。


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幸い、トレースはしっかりしており、ラッセルが必要になるような場所もありません。気温が-5度程度と、それほど低くなかったので、少し登り始めるとすぐに体が温まり、汗をかき始めました。このまま行くと大汗をかいてまずいので、立ち止まってソフトシェルの下に着ていたフリースを脱ぎました。


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8:51 二合目で北沢峠からの登山道に合流しました。尾根に出たところですぐに後から3人のパーティーが登ってきました。男性1、女性2のパーティーですが、彼らもここで休憩に入ったので、簡単にドリンク休憩をとって彼らよりも先に出発しました。


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9:35 四合目です。昨年はここまでずいぶん時間がかかったように感じましたが、今年はなんだかあっという間です。昨年はここでも休憩をとりましたが、今年はそのまま通過します。


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10:02 大滝の頭に着きました。ここは休憩にいい場所ですが、昨年同様風が強く立ち止まるにはつらい状況だったので、そのまま通過することにしました。大滝の頭の少し手前、登山道の傾斜がなくなってフラットになった直後の場所のほうが風が無くて休憩に適していました。昨年の記憶では、大滝の頭からもう少し登ったところのほうが風が当たらないので、手前の場所を通り過ぎてしまった場合は、大滝の頭よりももう少し上で休憩したほうがいいはずです。


大滝の頭からひと登りして、尾根がフラットに広くなっているところで少し風が弱くなっていたので、とりあえず防寒対策だけしておくことにしました。休憩しようと思っていた場所は、ここよりももう少し登って傾斜が急になり始めたあたりですが、そこが必ず風が当たらないという保証はないので、防寒対策はできるときにしておいたほうがいいという判断です。一度脱いだフリースを着て、さらにハードシェルも着用しました。ここから上、5合目あたりで森林限界を超えると、そこからは吹きさらしの稜線です。ここでハードシェルを着用しておかないと、強風で一気に体温を奪われる可能性があります。強風の中で凍えながらあわててハードシェルを着ようとして、風に飛ばされでもしたら万事休すです。


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防寒対策ができたところで、再び登ります。登山道の傾斜が増し、新雪でふかふかになった場所が出てきたので、少しラッセルも強いられました。しかし、雪が吹きだまるということは、風が弱いという証拠。思っていたとおり、このあたりは風が当たらず休憩するには最適です。登山道脇の木の下の雪を少し掘り下げるようにして休憩スペースを作り、腰を下ろして行動食をとりました。この先、もしも天気予報どおり風速が20m毎秒を越えるような状況だったら、行動食なんかのんびり食べることはできそうに無いので、ここでしっかりととっておくことにしました。出発前、ショルダーベルトにつけている350mlのポットが空になったので山専ボトルからお湯を補充し、シャリバテ対策として行動中でも簡単に食べられるコンデンスミルクのチューブをシェルのポケットに入れておきました。


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10:55 六合目に着きました。このあたりはすでに森林限界を超えています。風もかなり強くなってきました。天候はまだ回復の兆しを見せず、稜線の先はあいかわらずガスの中です。


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六合目から少し登ったあたりでガスが突然切れ、青空が出現すると同時に、白い稜線もはっきりとその姿を現しました。しかし、このあたりから風との戦いが始まります。吹き付ける風が次第に強さを増し、登るほどに歩くのが困難になってきます。風に混じって飛んでくる凍った雪粒がばちばちとシェルをたたく音がうるさいほどです。


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小仙丈ヶ岳直下の斜面はガチガチに凍りついていて、一面風に削られた風紋が広がっていました。そして、このあたりでもっとも風が強くなりました。ときおり襲ってくる台風のような風に立っていることも困難で、たまらず耐風姿勢で耐えるしかありません。


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写真では風の強さがわからないので、動画を撮影してみましたが、右手で持っていたため、下ばかり写ってしまい失敗でした。まあ、風の音だけでもその強烈さはわかると思います。


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11:37 小仙丈ヶ岳に立つことができました。昨年より1時間遅く出発したのに、昨年とほぼ同じ時刻に着きました。昨年はこの時点で手足の指がキンキンに冷えて冷たさよりも痛さを感じていましたが、今年はまったく寒さを感じません。手袋はブラックダイヤモンドのソロイスト、靴はスカルパのモンブランGTXとグレードアップしたのが功を奏したようです。体のほうも、ゴアテックスのハードシェルが風から体温を奪い取られないようにしっかりと守ってくれています。これならまだ先を目指すことができるはずです。


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しかし、ここから先は未知の世界です。さらに高度が上がるわけですから、風がますます強くなるということも十分考えられます。狭い稜線の道、凍結した場所もあれば、岩場もあるでしょうし、ふかふかの雪がたまっているところもあるかもしれません。足を滑らせれば転倒ではなく、滑落に直結する危険性も高くなります。けれども、寒さの心配も無く、天候も回復してきているとなれば、仙丈ヶ岳を目指さない理由はありません。石橋をたたいて渡る慎重さは必要ですが、たたいてばかりいては渡ることはできません。リスクをとらなければ、望む結果は得られないのです。覚悟を決めて、僕は仙丈ヶ岳に向けて歩き始めました。


つづく。


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2014/01/07

謁見! 南アルプスの女王様: 仙丈ヶ岳その2

2013年12月31日~2014年1月3日 長野県伊那市 仙丈ヶ岳(3,033m) 単独テント泊 



2014年1月1日午前2時40分。腕時計のアラームが鳴り、真っ暗なテントの中で上半身を起こしました。あちこち筋肉痛があり、疲れも残っているようで体がだるく感じます。まあ、いつものことですから、朝食を食べお茶を飲んだりしているうちに、徐々に体も目覚めて回復してくることでしょう。


そんなことよりも天気です。昨日の夕刻から降り始めた雪は、はたして止んでいるのでしょうか。テントの入口を少し開いてヘッドライトで外を照らしてみると、白いものがたくさん目の前を通り過ぎていくのが見えました。止むどころか、少し勢いが強くなっているように感じます。


「う~ん」 どうしたものかと考えてみましたが、簡単に結論は出ません。基本的に写真目的の登山ですから、雪が降っていれば朝焼けなどの風景は見ることができないし、山そのものも見えないのは明白で、そうであればあえて登る理由はありません。しかし、わざわざ南アルプスまで来てキャンプして帰るというのではあまりにも馬鹿馬鹿しい。とはいえ、天気予報の風速予報では、今日から稜線の高さでは台風並みの強風が吹き荒れるらしいので、そんな暴風雪の中登頂していったいどうするのかとも思います。いや、登頂できればまだしも、遭難でもしたら一大事です。


ひとまず、明け方には雪が止む可能性もあるので、食事をとり出発できる状態にはしておくことにしました。ぬるくなったポットのお湯を沸かしなおして、朝食には毎度のラーメンです。今回は棒ラーメンではなく、カップヌードルリフィルを持ってきました。お正月ということで、スライス餅のパックもあります。通常のパック餅と違って、厚さ3mmぐらいにスライスされているので、お湯に入れて1分ほどで柔らかくなり、とっても便利でした。餅ラーメンにすることでカロリーも高くなるし、あまり腹もちのよくないラーメンの弱点を補うこともできるので、これはいい選択でした。


食後のお茶を飲み始める頃には、外がうっすらと明るくなってきました。しかし、雪の勢いは弱まる気配はありません。ひとまず、早朝出発というのはキャンセルにして、7時過ぎまで様子を見ることにしました。朝日が昇ればガスが切れて天候が変わるというのもよくあることです。じっと座っていても寒いので、寝袋にもぐりこんでうつらうつらとしているうちに、いつの間にか7時30分になっていました。テントにぱらぱらと何かがあたる音が聞こえます。そとを覗いてみると、やっぱり雪は降り続いていました。


今日はだめだ。ここでやっと気持ちが決まりました。停滞決定です。1月1日と2日の2日間を行動予定日として組んでいますから、1日停滞してもまだあと1日チャンスはあります。最悪、予備日を1日とっているので、4日に下山すればさらに1日チャンスは増えるわけで、暴風雪が予想される仙丈ヶ岳に無理して登ることはありません。そういうわけで、僕は再び眠りに落ちました。


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気がつくと午前11時を回っていました。外を覗いてみると、やっぱり雪は降り続いています。停滞して正解だったな。


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そう思いながら外に出てみると、テントの周囲にはさらさらの新雪が10cmほど降り積もっていました。ほおっておくと入り口が埋もれてしまうので、トイレから帰ってきてから雪かきをしました。


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テント場は、お昼前だというのに意外ににぎやかで、晴れていれば誰もいない静かな状態のはずですが、やはりこの天候では停滞を決めた人が多かったようです。ところどころで撤収しているテントもあり、登頂をあきらめて早めに下山することにした人もいるようです。


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ところで、今回もってきて便利だったのが、100円ショップで買ったブラシとチリトリのセット。手のひらに納まるぐらいの大きさなので邪魔にならないし、平べったいので収納もしやすく持って来るのに不都合はありませんでした。テント内に入り込んだ雪や落ちてきた結露を掃き集めてテント外に捨てるのに非常に役に立ちました。この写真に写っている白いのはテント内壁から落ちてきた結露の結晶です。冬山ではテント内で雪が降りますから、こういう掃除道具が必要になります。停滞しているとすることが無いので、つい掃除なんかしてしまうのですが、普段の生活でもこうであればいいのにと我ながら思います。今回は本は持ってこなかったので、寝るか食べるか掃除をするかの三択しかありませんでした。


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掃除の後は昼食ですが、動いていないのであまり腹は減っていません。なので、コーヒーと行動食で簡単に済ませました。僕はもっぱら紅茶派ですが、たまにコーヒーも飲みます。なぜ紅茶派かというと、使った後のティーバッグがクッカーの掃除に役立つからです。紅茶はウーロン茶の親戚みたいなものですから、油汚れの除去能力はなかなか優れていて、ラーメンなどの油がついたクッカーもティーバッグでぐるりと拭いてやるだけで見事に脂分が落ちるのです。掃除の終わったティーバッグは、食べ終わったアルファ米のパックに入れてジッパーを閉じておけばしずくがこぼれることもないし安心です。なので、食事のあとは紅茶を飲みますが、今回はクッカーを使わない昼食なので、コーヒーでいいかというわけです。

昼食後、することが無いので昼寝です。正月から食っちゃ寝の生活ですが、場所が場所だけにあまりだらけた生活をしているという気持ちにはならないのがいいところ。むしろ、じっと苦難に耐えている的な心情です。実際、結露したマットの上に座ってしまって、ダウンパンツのお尻の部分が濡れてしまったらしくて、寝袋の中で寝ていてもお尻だけが妙に冷たいという感触があり、快適に眠ることができませんでした。幸い、ハクキンカイロを2個持ってきていたので、お尻の冷たいところにあてがってやればとりあえず冷たさを緩和できたので、眠れないということはありませんでした。しかし、今後はこのマットの結露対策を考える必要があります。ゴアテックスのハードシェルパンツをはいていればいいのでしょうが、ダウンパンツの上にハードシェルパンツをはいて寝袋に入るのはごわつきそうだし、ダウンパンツを脱いで外に出ると寒さが余計に厳しく感じそうなので、テント内で厚着をするのはできれば避けたいところです。今後の検討課題ができてしまいました。


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夕方、長衛小屋の天気予報を見に行くと、1日の午前3時に日本海上に寒冷前線があり、午後9時には太平洋上へ抜けるという予報になっていました。雪が降り止まないのは当然です。しかし、今晩中に抜けてくれるのであれば、明日は高気圧が接近してくるわけですから、当然天候は回復に向かうはずです。


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2日の天気図では西から高気圧がやってきています。午前9時の段階では信州上空はまだ低気圧の影響が残り、等圧線が混んでいるので朝から快晴というわけにはいかないでしょうし風も強そうですが、時間と共に回復していくと考えられます。であれば、やはり明日がアタックチャンスというわけです。西から来る高気圧の後ろには低気圧がいないので、3日のほうが天気がよさそうですが、先のことはどうなるかわかりませんから、行ける時に行っておくべきです。というわけで、明日は決行決定です。


しかし、その夜はあいかわらず雪が降り続き、風も強まってきました。ずっと吹き荒れるというわけではありませんが、ときおりテントを大きく揺らすような風がテント場を吹き抜けていきます。寒冷前線の通過が遅れているのだろうかと心配しながら眠りについたのでした。

つづく。


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2014/01/05

謁見! 南アルプスの女王様: 仙丈ヶ岳その1

2013年12月31日~2014年1月3日 長野県伊那市 仙丈ヶ岳(3,033m) 単独テント泊 


1年前、行動食をテントに置き忘れるという大失態で登頂を断念せざるを得なかった仙丈ヶ岳に、今年再び挑戦することにしました。登山天気予報では、正月はどうやら悪くない天気のようです。気温は2,900mで-12度と、まあそんなところかなという感じですが、気になったのは風速。12月31日はまだ15m毎秒ぐらいの予報なのに、1月1日からはいきなり22m毎秒を越える数字があがっています。風速20mを越えると普通に立って歩けない状態ですから、3,000mの稜線でそんな風を受けて大丈夫なのだろうかと、想像するだけで気持ちが萎えます。まあ、天気予報は外れることも多いので、良いほうに外れることを願いつつ、12月30日のお昼過ぎに岡山を出発しました。


昨年同様、伊那市内にある菊の湯という銭湯でひと風呂浴びるつもりが、なんと休業! 昨年は大晦日でも営業していたのに残念。それではと、高遠にあるさくらの湯へと向かうも、こちらは営業時間内に間に合わず。結局、入山前に体を清めることはできませんでした。そのまま、戸台への途中にある道の駅で車中泊し、翌朝4時30分に戸台へと向かいました。


道の駅から戸台までは1時間近く要したように思っていたのですが、わずか30分で着いてしまいました。昨年は道が一部通行止めになっていて、河原を迂回して戸台大橋の下からもとの道へ戻るというルートだったし、雪もあったのでかなりゆっくりと走ったために時間がかかったように感じていたのかもしれません。今年は戸台までの林道に雪はなく、心配していた戸台の駐車場へ下りる急坂も土が出ている状態でした。予想外に早く着いてしまったので、車の中でのんびりと準備をしたのですが、それでも5時30分には準備が整ってしまいました。


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6:00 予定を30分早めて出発です。まだ真っ暗な河原を、トレースをたどって歩きます。

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6:49 前方の空が赤く焼け始めました。もっと空いっぱいに広がってくれればいいのにと思いながら歩いていましたが、残念ながらこれ以上朝焼けが広がることはありませんでした。ところで、今年は空家の前からトレースが左岸のほうに向かっていました。昨年は右岸についていましたし、地図に載っているルートもこのあたりは右岸を通っています。左岸に渡るのは白岩堤防を過ぎてからですが、今年はなぜこんなところから左岸に渡っているのでしょうか。ちなみに、下山時に本来の右岸ルートをたどったのですが、空家の少し上流のあたりで渡渉箇所が2箇所あり、そのどちらもわりと渡りにくい状況だったので、渡渉箇所を避けるという意味ではここから左岸に渡ったのは正解でした。


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7:00 白岩堤防が見えてきました。白岩堤防は右岸のほうを越えていくのですが、トレースはずっと左岸をたどっています。左側のがけ下に雪が積もっている土手のような場所がありますが、本来のルートはあの土手の上を緩やかに登っていきます。なので、このあたりで右岸に渡らないとあとあと面倒なことになりそうです。とはいえ、とりあえずトレースを信じて左岸を進むことにしました。


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結局、堤防直下のところまでトレースは続いていて、ここでようやく右岸へと渡渉していました。


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で、心配したとおり遥か頭上の土手の上にある本来の登山道まで、雪の積もった急斜面を無理やり登るという結果になりました。やっぱり、もっと手前で渡渉しておくべきでした。と、愚痴ってみても仕方ありません。えっちらおっちら急斜面を登って、正しいルートに合流です。


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7:20 白岩第二堤防上で休憩をとりました。ここから谷の正面奥に見える頂は、右端の双耳峰のようなのがおそらく双児山でしょう、そして、中央が駒津峰で左端に甲斐駒が見えているはずですが、残念ながら雲の中です。


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15分の休憩の後、再び雪の積もった河原歩きです。ここから先はただひたすら河原を進むだけです。


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9:30 だいぶん谷が狭まってきた頃、丸太橋に着きました。これを渡ると丹渓山荘まではすぐです。


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9:40 丹渓山荘下に到着です。退屈な河原歩きはここでおしまい。ここから先はいよいよ八丁坂の長い登りが始まります。


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休憩に入ったところで尿意を催してしまったので、丹渓山荘下にあるトイレと思しき小屋に行ってみたところ、やはりトイレでした。いや、「だった」と言うほうが正しいのでしょう。


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一応、個室と男性小便用とに別れているようですが、床板ははがれ、便器はなく、ほとんど廃屋でした。それでも、そこいらで野良犬のように立小便をするのははばかられるので、床を踏み抜かないように気をつけながら用をたしました。女性の場合、緊急避難用に利用することはあっても、ここをあてにするのはやめたほうがよさそうです。


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10:20 行動食をたべたり、クランポンをつけたりして思ったよりも時間を使ってしまいましたが、丹渓山荘脇から八丁坂に取り付きました。ここの取り付きとルート設定はもう少しなんとかならなかったのかと思います。たいした高度差はありませんが、傾斜のきつさと歩きにくさは長い八丁坂の中でも一番の難所です。実際、ここ以外に緊張するような場所はありません。


歩き始めてすぐに足の違和感を感じました。足自体の違和感ではなく、靴が緩いのです。休憩時に靴は脱いでいませんから、突然緩くなるなんてことはないはずです。しかし、実際のところ靴の中で足が動いてしまう状況になっています。原因をいろいろと考えてみたところ、クランポンを装着して靴の重さが増したから、いままであまり感じなかった緩さを感じるようになったというのがひとつ。次に、ソックスがへたってしまい、靴との間に隙間ができたというのがもうひとつの原因。おそらくその両方なのでしょうが、主因は後者にありそうです。ソックスは、今回新しく購入したスマートウールのマウンテニアリング用厚手ソックスで、おろしたてです。内側がパイル地になっていて、厚手ながらソフトでフィット感も良かったのですが、どうやらそれが裏目に出て、履き始めてわずか数時間でへたりが出てロフトが減少したようです。実際、テント場で靴を抜いだところ、履くときには足を包み込むようにフィットしていたはずのソックスが、ワンサイズ大きくなったようにぶかぶかでした。触った感触も少し薄く感じます。登山用のソックスは、パイル地のものよりも太目の糸で編み上げたようなタイプのほうがいいのかもしれません。


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丹渓山荘上の急斜面をクリアし、沢沿いの道を登っていくと、登山道が沢を横切る場所がありますが、ここから八丁坂の本番が始まります。ジグザグと長いトラバースの組み合わさったルートを、重い荷物を担いで黙々と登ります。


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11:16 ようやく急坂を登りきりました。昨年は丹渓山荘からここまで1時間10分ぐらいかかりました。途中2度ほど休憩をとっていますが、今回は休憩なしで1時間をきりました。荷物の重さはほぼ昨年と同じですから、今年は調子がいいようです。やはり、12月に入ってから3度雪山に行ったことが効いているようです。


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12:06 途中林道との合流地点が日当たりが良かったので、ここでお昼休憩をとることにしました。森の中など日陰だと上にジャケットなどを着ないと寒い状況でしたが、さすがに日が当たるとそのままで問題ありません。このときの気温は-3度。上はTNFパラマウントタンク+モンベルスーパーメリノウールEXP+ソフトシェルジャケット、下はモンベルジオラインEXP+ハードシェルパンツというウェアリングでしたが、風が無かったこともあって行動中は少し汗ばむ感じがありました。


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休憩場所の正面には、たぶん鋸岳だろうと思われるピークが青空に聳え立っていました。


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13:08 南アルプス林道沿いにある大平山荘に着きました。戸台からここまでの所要時間は、昨年と同じ7時間です。昨年はここまで来るのに相当しんどい思いをしましたが、今年はルートを覚えていることもあり、荷物が重いことは同じでも、精神的にかなり楽でした。


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13:25 大平山荘からひと登りで北沢峠に出ました。正式にはこもれび山荘(旧長衛荘)前が北沢峠で、登山道が林道と合流する場所が北沢峠ではないようですが、事実上の北沢峠といってもいいでしょう。


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13:40 長いアプローチがようやく終わり、長衛小屋(旧北沢駒仙小屋)テント場に着きました。幕営場所は、先人が残してくれた場所をそのまま利用させてもらうことにしました。3泊の予定ですが、天候によってどうなるかわからないので、とりあえず2泊で申し込みました。雪がさらさらで整地やペグダウンに苦労しましたが、水をまいて雪を固めてなんとかテントを張り終えました。やはり水場があるとなにかと助かります。


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テントを張り終えると、ひとまずティータイムです。重いものは早く処理するということで、デザート用に持ってきたソフトイチジクを試してみました。味はそれなりでまずくはないし食物繊維と栄養補給にはよさそうですが、定番化させるかというと微妙なところ。


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夕方になると日が翳って冷え込んできました。シングルウォールテントは、やはりダブルウォールに比べて冷えます。食事を終えたらさっさと寝袋にもぐりこみました。明日の天気はどうなるやら。3時に起きて、星が見えているようなら4時には出発。曇っていてもひとまずGO。雪の場合は、明るくなるまで様子見と決めて、眠りにつきました。

つづく。


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