2013年12月31日~2014年1月3日 長野県伊那市 仙丈ヶ岳(3,033m) 単独テント泊
1年前、行動食をテントに置き忘れるという大失態で登頂を断念せざるを得なかった仙丈ヶ岳に、今年再び挑戦することにしました。登山天気予報では、正月はどうやら悪くない天気のようです。気温は2,900mで-12度と、まあそんなところかなという感じですが、気になったのは風速。12月31日はまだ15m毎秒ぐらいの予報なのに、1月1日からはいきなり22m毎秒を越える数字があがっています。風速20mを越えると普通に立って歩けない状態ですから、3,000mの稜線でそんな風を受けて大丈夫なのだろうかと、想像するだけで気持ちが萎えます。まあ、天気予報は外れることも多いので、良いほうに外れることを願いつつ、12月30日のお昼過ぎに岡山を出発しました。
昨年同様、伊那市内にある菊の湯という銭湯でひと風呂浴びるつもりが、なんと休業! 昨年は大晦日でも営業していたのに残念。それではと、高遠にあるさくらの湯へと向かうも、こちらは営業時間内に間に合わず。結局、入山前に体を清めることはできませんでした。そのまま、戸台への途中にある道の駅で車中泊し、翌朝4時30分に戸台へと向かいました。
道の駅から戸台までは1時間近く要したように思っていたのですが、わずか30分で着いてしまいました。昨年は道が一部通行止めになっていて、河原を迂回して戸台大橋の下からもとの道へ戻るというルートだったし、雪もあったのでかなりゆっくりと走ったために時間がかかったように感じていたのかもしれません。今年は戸台までの林道に雪はなく、心配していた戸台の駐車場へ下りる急坂も土が出ている状態でした。予想外に早く着いてしまったので、車の中でのんびりと準備をしたのですが、それでも5時30分には準備が整ってしまいました。
6:00 予定を30分早めて出発です。まだ真っ暗な河原を、トレースをたどって歩きます。
6:49 前方の空が赤く焼け始めました。もっと空いっぱいに広がってくれればいいのにと思いながら歩いていましたが、残念ながらこれ以上朝焼けが広がることはありませんでした。ところで、今年は空家の前からトレースが左岸のほうに向かっていました。昨年は右岸についていましたし、地図に載っているルートもこのあたりは右岸を通っています。左岸に渡るのは白岩堤防を過ぎてからですが、今年はなぜこんなところから左岸に渡っているのでしょうか。ちなみに、下山時に本来の右岸ルートをたどったのですが、空家の少し上流のあたりで渡渉箇所が2箇所あり、そのどちらもわりと渡りにくい状況だったので、渡渉箇所を避けるという意味ではここから左岸に渡ったのは正解でした。
7:00 白岩堤防が見えてきました。白岩堤防は右岸のほうを越えていくのですが、トレースはずっと左岸をたどっています。左側のがけ下に雪が積もっている土手のような場所がありますが、本来のルートはあの土手の上を緩やかに登っていきます。なので、このあたりで右岸に渡らないとあとあと面倒なことになりそうです。とはいえ、とりあえずトレースを信じて左岸を進むことにしました。
結局、堤防直下のところまでトレースは続いていて、ここでようやく右岸へと渡渉していました。
で、心配したとおり遥か頭上の土手の上にある本来の登山道まで、雪の積もった急斜面を無理やり登るという結果になりました。やっぱり、もっと手前で渡渉しておくべきでした。と、愚痴ってみても仕方ありません。えっちらおっちら急斜面を登って、正しいルートに合流です。
7:20 白岩第二堤防上で休憩をとりました。ここから谷の正面奥に見える頂は、右端の双耳峰のようなのがおそらく双児山でしょう、そして、中央が駒津峰で左端に甲斐駒が見えているはずですが、残念ながら雲の中です。
15分の休憩の後、再び雪の積もった河原歩きです。ここから先はただひたすら河原を進むだけです。
9:30 だいぶん谷が狭まってきた頃、丸太橋に着きました。これを渡ると丹渓山荘まではすぐです。
9:40 丹渓山荘下に到着です。退屈な河原歩きはここでおしまい。ここから先はいよいよ八丁坂の長い登りが始まります。
休憩に入ったところで尿意を催してしまったので、丹渓山荘下にあるトイレと思しき小屋に行ってみたところ、やはりトイレでした。いや、「だった」と言うほうが正しいのでしょう。
一応、個室と男性小便用とに別れているようですが、床板ははがれ、便器はなく、ほとんど廃屋でした。それでも、そこいらで野良犬のように立小便をするのははばかられるので、床を踏み抜かないように気をつけながら用をたしました。女性の場合、緊急避難用に利用することはあっても、ここをあてにするのはやめたほうがよさそうです。
ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。
10:20 行動食をたべたり、クランポンをつけたりして思ったよりも時間を使ってしまいましたが、丹渓山荘脇から八丁坂に取り付きました。ここの取り付きとルート設定はもう少しなんとかならなかったのかと思います。たいした高度差はありませんが、傾斜のきつさと歩きにくさは長い八丁坂の中でも一番の難所です。実際、ここ以外に緊張するような場所はありません。
歩き始めてすぐに足の違和感を感じました。足自体の違和感ではなく、靴が緩いのです。休憩時に靴は脱いでいませんから、突然緩くなるなんてことはないはずです。しかし、実際のところ靴の中で足が動いてしまう状況になっています。原因をいろいろと考えてみたところ、クランポンを装着して靴の重さが増したから、いままであまり感じなかった緩さを感じるようになったというのがひとつ。次に、ソックスがへたってしまい、靴との間に隙間ができたというのがもうひとつの原因。おそらくその両方なのでしょうが、主因は後者にありそうです。ソックスは、今回新しく購入したスマートウールのマウンテニアリング用厚手ソックスで、おろしたてです。内側がパイル地になっていて、厚手ながらソフトでフィット感も良かったのですが、どうやらそれが裏目に出て、履き始めてわずか数時間でへたりが出てロフトが減少したようです。実際、テント場で靴を抜いだところ、履くときには足を包み込むようにフィットしていたはずのソックスが、ワンサイズ大きくなったようにぶかぶかでした。触った感触も少し薄く感じます。登山用のソックスは、パイル地のものよりも太目の糸で編み上げたようなタイプのほうがいいのかもしれません。
丹渓山荘上の急斜面をクリアし、沢沿いの道を登っていくと、登山道が沢を横切る場所がありますが、ここから八丁坂の本番が始まります。ジグザグと長いトラバースの組み合わさったルートを、重い荷物を担いで黙々と登ります。
11:16 ようやく急坂を登りきりました。昨年は丹渓山荘からここまで1時間10分ぐらいかかりました。途中2度ほど休憩をとっていますが、今回は休憩なしで1時間をきりました。荷物の重さはほぼ昨年と同じですから、今年は調子がいいようです。やはり、12月に入ってから3度雪山に行ったことが効いているようです。
12:06 途中林道との合流地点が日当たりが良かったので、ここでお昼休憩をとることにしました。森の中など日陰だと上にジャケットなどを着ないと寒い状況でしたが、さすがに日が当たるとそのままで問題ありません。このときの気温は-3度。上はTNFパラマウントタンク+モンベルスーパーメリノウールEXP+ソフトシェルジャケット、下はモンベルジオラインEXP+ハードシェルパンツというウェアリングでしたが、風が無かったこともあって行動中は少し汗ばむ感じがありました。
休憩場所の正面には、たぶん鋸岳だろうと思われるピークが青空に聳え立っていました。
13:08 南アルプス林道沿いにある大平山荘に着きました。戸台からここまでの所要時間は、昨年と同じ7時間です。昨年はここまで来るのに相当しんどい思いをしましたが、今年はルートを覚えていることもあり、荷物が重いことは同じでも、精神的にかなり楽でした。
13:25 大平山荘からひと登りで北沢峠に出ました。正式にはこもれび山荘(旧長衛荘)前が北沢峠で、登山道が林道と合流する場所が北沢峠ではないようですが、事実上の北沢峠といってもいいでしょう。
13:40 長いアプローチがようやく終わり、長衛小屋(旧北沢駒仙小屋)テント場に着きました。幕営場所は、先人が残してくれた場所をそのまま利用させてもらうことにしました。3泊の予定ですが、天候によってどうなるかわからないので、とりあえず2泊で申し込みました。雪がさらさらで整地やペグダウンに苦労しましたが、水をまいて雪を固めてなんとかテントを張り終えました。やはり水場があるとなにかと助かります。
テントを張り終えると、ひとまずティータイムです。重いものは早く処理するということで、デザート用に持ってきたソフトイチジクを試してみました。味はそれなりでまずくはないし食物繊維と栄養補給にはよさそうですが、定番化させるかというと微妙なところ。
夕方になると日が翳って冷え込んできました。シングルウォールテントは、やはりダブルウォールに比べて冷えます。食事を終えたらさっさと寝袋にもぐりこみました。明日の天気はどうなるやら。3時に起きて、星が見えているようなら4時には出発。曇っていてもひとまずGO。雪の場合は、明るくなるまで様子見と決めて、眠りにつきました。
つづく。
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