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2024/05/21

1万円台で買えるR値6.2の高断熱エアマット

先日の塩見岳登山で使用した就寝用マットは、新しく手に入れたエアマットです。いままでは、クローズドセルの折りたたみマットと4mm厚のシルバーシートの組み合わせで使っていました。その前は、サーマレストのトレイルスカウトという自動膨張式のマットを使っていましたが、GWの北アルプスで就寝中にパンクしてしまい、夜冷たさで寝られなくなってしまったという苦い体験をしたので、積雪期のテント泊で使うマットはクローズドセルを使うようになりました。


今回、なぜまたエアマットを使ったのかというと、クローズドセルマットの物理的な体積が積雪期のテント泊装備において圧倒的に不利である、つまり邪魔だというネガティブ要素を払拭したかったことと、R値6.2というこれまで使ったことのない圧倒的な断熱性能のマットが1万円台前半で買えるという驚異のコストパフォーマンスを目の当たりにして、どうしても試してみたくなったためです。


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使用したのは、以前スノースパイクを紹介したときのHikentureというブランドのエアマットです。アマゾンでわりとよく見かけるNaturehikeと似ていますが別ブランドです。このブランドは、たまたまスノースパイクを売るために作られたブランドだろうぐらいにしか考えていませんでしたが、いまアマゾンのHikenture storeのフロントページを見ると、ちゃんとデザインされたページが作られており、マット類を中心にそれなりに商品展開されていて、新興のアウトドアブランドとして商品開発を行っているようです。アマゾンでエアマットの検索をしてみても、同じものだろうと思われるものは見当たらなかったので、どこかからOEMで調達したものではなく独自に企画開発をしたマットだと思われます。もっとも、販売元はLSTJPとなっているので、HikentureはあくまでもLSTという会社のブランドということのようです。



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HiketureのR値6.2のエアマットですが、この数値がASTM規格をクリアしているという記載はどこにもありません。なので、この値の信憑性に関しては、若干怪しいところもあります。とはいえ、さすがにここまで言い切って実際はたいした断熱性能がなかったとなれば、すぐにばれてしまいネットで晒されることは火を見るより明らかなので、6.2はなくても雪山で使えるぐらいの断熱性能はあるのだろうと判断したわけです。


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エアマットの難点は、空気を入れて膨らませる作業が大変だということです。内部にウレタンマットが入っている自動膨張式でも最後は空気を入れる必要がありますが、ウレタンが膨らむ分エアを入れる量はたかが知れています。しかし、エアマットは最初から最後まで空気で膨らませる必要があり、小型の電動ポンプを持って行かないと話になりません。しかし、このエアマットは収納袋が空気入れになっていて、わざわざ電動ポンプを持って行く必要はありません。


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実際に収納袋で空気を入れてみたところ、おおむね4回でほぼ充填できますが、この状態ではまだけっこう柔らかいので、底突きしないぐらいまでパンパンにするには、かなり力を入れて空気を入れてやる必要があります。


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三伏峠のテント場で実際に使ってみた感想は、十分実用になる断熱性能と寝心地でした。今回は雪の上にグランドシートを敷いて、その上にテント、テント内に片面アルミ蒸着した別のグランドシートを敷いて、さらに100円ショップの薄い断熱シートを敷いた上にこのマットを置いて使いました。薄っぺらいグラウンドシート2枚と100円ショップの断熱シートではあまり冷たさを軽減することはできていませんでしたが、エアマットの上にいる限り下からの冷たさを感じることは皆無でした。


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エアマットとはいえ8cmの厚さがあり、内部にアルミ蒸着フィルムとアルミ断熱コーティングが施された層が2重になっているので、さすがに冷気を上まで伝えることはできなかったようです。ただし、初日の夜中に少しマットが冷たいなと感じました。おそらく、‐8度まで気温が下がったことで、マット内部の空気も影響を受けたのでしょう。しかし、寝られなくなるほどのことではなかったので、外気温に敏感というほどのことではなさそうです。そうはいっても、‐10度を下回ることもある厳冬期に使うともっと深刻なことになる可能性があり、エマージェンシーシートをマットの上に敷くなどの対策は必要になるかもしれません。


また、底突きしないようにしっかりと空気を入れたマットは、体重をしっかりと支えてくれて、快適な寝心地を提供してくれました。耐久性がどれぐらいあるのかわかりませんが、基本的に積雪期にしか使う予定は無いので、尖った小石がある場所で使わない限り外的要因で穴が開くことは無さそうです。問題は、生地の溶着などがどれだけしっかりしているかです。


とりあえず、積雪期に使う高断熱マットとしては低価格で十分実用的な断熱性能をもった、高コスパのエアマットと言えそうです。しかしながら、どんなに断熱性能が優れていても、エアマットである限りパンクのリスクから逃れることはできません。リペアキットがあっても現地で穴が開いた場所を見つけて修理するなんてことはほぼできないと思った方がいいので、パンクのリスクをどれだけ許容できるかがこうしたマットを利用するかどうかの判断材料となります。キャンプ場での冬キャンプなら、予備のマットを車に積んでおけばいいのでしょうが、登山となるとそうもいきません。本格的な雪山登山の場合は、ハイリスクであることを承知で荷物のコンパクト化を優先するか、リスクを避けてでかいクローズドセルマットを持って行くか、状況やコースに応じて使い分けるしかないのかもしれません。

Hikenture高断熱R6.2エアマット アマゾンのページへ


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2017/03/03

豪華装備の超お買い得3シーズン寝袋: ドイターアストロ-2

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昨年秋に3シーズン用寝袋として購入したのが、ドイター アストロ-2です。もともとは定番ともいえるモンベルのダウンハガー#3を買うつもりでしたが、首周りの保温チューブがないというのがちょっと気になっていました。3シーズン用とはいえ秋の山はけっこう冷えますから、ダウンの量はそれなりでも保温用の装備はほしいところです。好日山荘の15時間限定セールに出ていたアストロ-2を見つけて、その装備の豪華さにびっくりし、しかもダウンハガー#3よりも安い価格(24、948円)で購入できるということで、即決でした。


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なにが豪華装備なのかというと、まずはその構造です。寝袋の構造にはいくつかありますが、現在もっとも保温性に優れた構造とされているのが台形ボックス構造です。これは、イスカのラインナップでもマイナス15度以下に対応するモデルにしか採用されていない構造ですが、アストロ-2ではこの台形ボックス構造(ドイターではトラぺゾイド構造といいます)を採用しているのです。モンベルは#3以下のモデルは、一般的なボックス構造です。


使用されているダウンは、800フィルパワー以上のグースダウン95%/フェザー5%で、ダウンの重さは290gです。イスカの280EXは800フィルパワーのグースダウン90%/フェザー10%で280gとなっていますし、モンベルにいたってはダウン量も比率も非公表です。それに比べると、ダウン量も比率も少し多めに入っており、保温性能に優れた台形ボックス構造との組み合わせで、他のメーカーのものよりも多少なりとも暖かいのではないかと思うわけです。


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また、このクラスの寝袋には通常ついていない、首と肩周りからの冷気の進入を防ぐダウン入りのチューブが装備されています。イスカでいうところのショルダーウォーマー、モンベルではネックバッフルといっているこのチューブですが、ドイターでは3Dウォームカラーと呼んでいます。当然、サイドのジッパー部分からの放熱を防ぐチューブも装備しています。


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さらに驚くのが、顔回りからの冷気の進入を防ぐフェイスチューブというものまでついています。ここまで来ると冬期用の寝袋かと思わせるものがあります。ここまで丁寧な防寒対策がされているというのに、EN13537規格でコンフォート温度3度、リミット温度マイナス2度となっていて、競合する280EXやダウンハガー800#3とほぼ同等の性能となっているのが不思議なところです。機械で測定した断熱性能は同等でも、実際に人間が使って感じる暖かさという点では、フェイスチューブや3Dウォームカラーが付いている分だけ、アストロ-2のほうが優れているのではないかと思うわけです。


足元の部分は人間工学に基づいたデザインのエルゴフットになっていて、足先へのストレスを軽減してくれます。また、隔壁を一つ増やして保温性能を高めているそうです。


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胸の部分の内側にインナーポケットが付いているので、電池などを寒さから守るのにも便利です。ポケットの大きさは16㎝角の大きさです。スマホやコンデジ、電池類なら問題なく入れることができます。


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保管用の立派なストレージバッグも付属しています。モンベルのダウンハガー800#3にストレージバッグが付いているのかどうかは知りませんが、ダウンハガー800#1についていた綿布の簡素なバッグに比べると、ちゃんとした化繊の生地で、一部メッシュになっていて湿気対策も完璧なストレージバッグです。


これだけ立派な装備のためか、総重量が755gあり、この点においてはイスカやモンベルの競合製品の後塵を拝しています。イスカ エア280EXは550g、モンベル ダウンハガー800#3は575gですから、200gばかり重いということになります。フェイスチューブや3Dウォームカラーがある分重くなるのは仕方がないところですが、この差を重視するかどうかですね。


この寝袋を初めて使ったのは、2016年10月末に徳島県の天狗塚から三嶺へ縦走したときの避難小屋泊でした。室内温度は夕方で12度あったので、明け方でもコンフォート温度までは下がっていなかったと思います。外気温は夕方で7度だったので、明け方は2~3度ぐらいまで下がったかもしれません。とにかく、ダウンジャケットなどの防寒着を着ないで山シャツと薄手フリース、トレッキングパンツのままで寝たのですが、まったく寒さは感じませんでした。リミット温度あたりまで下がった時にどうかというのが気になるところなので、そのうち試してみてまたレポしたいと思います。


アストロ-2は、ドイターのHPのラインナップからはなくなっていて、廃番になったのかモデルチェンジで旧モデルになるかのどちらかでセール販売されているようです。いまでも市場在庫はあるみたいで、好日山荘でも僕が買った価格でまだ売られています。アマゾンではさらに安い23,734円になっていますが、楽天の好日山荘だと3月4日から9日までのスーパーセールでポイント10倍の上に、2000円オフクーポンが使えるので、実質2万円ぐらいで購入することができて、超お買い得です。下のリンクは好日山荘の楽天ショップに張ってますので、興味のある方は覗いてみてください。


なお、アストロ-2には、ショート丈のアストロ-2SLというモデルもあり、好日山荘では価格が200円ほど安くなっています。アストロ-2は長さ205㎝、SLは195㎝です。SLのほうには、特に身長はいくつまでという記載がないので、自分で判断するしかなさそうです。まあ、SLは170㎝以下ぐらいの人向けだと思います。


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2016/06/02

暖かくて快適: モンベルダウンハガー800#1

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2015年、GWの立山雷鳥沢で寒くて眠れなかった反省から購入したモンベル ダウンハガー800#1(正確にはULスーパースパイラルダウンハガー800#1)ですが、今年のGWに南アルプス北沢峠でやっとデビューしました。もっとも、実際に初めて使用したのは、2015年秋の剣山-三嶺縦走のときですが、あの時は気温が高すぎてほぼ掛けふとんとしてしか使っていなかったし、本来想定していた使用環境がGWの日本アルプス2000mでのテント泊だったので、事実上のデビュー戦は今年のGWと言ってもいいと思います。


2015年の雷鳥沢との違いは、雪無し、気温は少し高めということです。自分で確認した範囲では4泊中テント内気温が一番低かったのが5月1日の明け方で、枕元においてあった腕時計の温度計で確認した限りでは摂氏3度でした。このときは、ゴアテックスのカバーを使用していましたが、ダウンの上下は着用していなかったためか、さすがになんとなく寒いという感じで目が覚めました。その前に目が覚めた時は摂氏4度で、寒さは感じていません。


もっとも、過去の天気予報を見てみると、4月30日の明け方がもっとも冷え込んだようで、辰野の最低気温が午前4時で氷点下0.2度だったようです。辰野の標高が約720mですから、約2000mの北沢峠でおよそ氷点下8度ぐらいまで下がったことになります。もっとも、この時は仙水峠で寒さに震えていたので、寝袋に潜っていたらどういう状況になっていたかはなんともいえません。


とにかく、防寒着を着用しないで快適に眠れる温度は2~3度あたりということになりそうです。ダウンの上下を着用してみたら寒さはまったく感じなくなったので、この寝袋のコンフォート温度の下限である氷点下5度というのは、防寒着を着用した状態が前提の話ということだと思っておいたほうがよさそうです。


モンベルでは寝袋の使用可能温度をそれまでの独自基準からEN13537(ヨーロッパ規格)に変更したことで、かなり現実的な温度表示になったようですが、それでもやはり少し割り引いて考えておいたほうがよさそうです。氷点下まで下がらないのであれば、コンフォート温度0度の#2の寝袋でもいけそうですが、GWの日本アルプスは氷点下まで下がることも珍しくないことを考えると、#1にしておいたほうが安心です。


特に寒さに弱いと自覚している人は、想定される最悪の使用環境がコンフォート温度内で収まるモデルを選ぶことをお勧めします。リミット温度というのは”一般的に代謝が高く寒さに対する耐性が高い人が丸まった状態で眠ることができるとされる温度”ですが、寒さに対する耐性は人によって千差万別だし、こういう文言が書かれてあるときは、屈強で体格のよい人を想定していると思っておいたほうがいいです。そういう人は一般的にはあまりいません。



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今回、4度では寒くなくて3度で寒さを感じたというように、わずか1度の差で快適に眠れるかどうかが変わってきます。コンフォート温度の下限近くまでは防寒着無しで快適に眠れて、コンフォート温度からリミット温度までの間は防寒着で対応できるというぐらいの寝袋ならおおむね快適に眠れそうですが、防寒着を着てなんとかコンフォート温度内で快適に眠れるという寝袋だと、コンフォート温度よりも気温が下がると快適に眠れる可能性はかなり低くなります。睡眠の質は疲労回復のレベルを左右するので、他の何かを削ってでも暖かく快適に眠れる寝袋を用意するのにこした事はありません。もっとも、コンフォート温度下限近くまで防寒着無しで快適に眠れる寝袋となると、かなりダウン量の多いモデルということになってしまうので、防寒着を着てコンフォート温度下限で寒さを感じないというレベルが現実的なところでしょう。


ダウンハガー800#1の場合は、コンフォート温度-5度にたいして防寒着無しで快適なのは+2~3度だったので、防寒着を着てコンフォート温度下限の-5度で快適かどうかが気になるところです。今回は下限温度での快適さを検証するチャンスを逃してしまったので、今年の冬まで持ち越しということになりました。


ところで、モンベル ダウンハガー800#1を使用した感想ですが、伸縮する生地によって窮屈に感じない程度の包まれ感があり、大きめサイズの寝袋で感じられるようなスースーした感じはありませんでした。競合他社よりも少しダウン量が少なめと見られるモンベル製品ですが、ダウンハガーに限れば伸縮生地が無駄な隙間を作らず、ダウン量の少なさをカバーする暖かさを実現しているようです。また、隙間が少ないながら伸縮生地なので手足の曲げ伸ばしも比較的自由で、窮屈な感じはありませんでした。


12デニール(現行品は10デニール)という薄手の生地ですが、とくに耐久性に不安を覚えるようなこともなく、さらさらとした感触で肌触りも快適でした。


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秀逸だなと感じたのは、肩から頭にかけてきゅっとすぼまるデザインです。普通にジッパーを締めただけでも肩や首周りが包み込まれるようになり、気温があまり低くない場合はフードやネックバッフルのドローコードを引かなくても、冷気が肩や首周りから流れ込んでくるといった感じはありません。寒さに応じてフードやネックバッフルのドローコードを引いてやれば、冷気の侵入はきちんと防いでくれます。


パッキングも、イスカのコンプレッションバッグLサイズに余裕で詰められて小さくできるので、荷物が多くなる積雪期のテント泊でも助かります。少々価格ははりますが、価格に見合った性能の寝袋だと思います。


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2016/01/22

厳冬期でも使えるエアマット: イナーシャ Xライト

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年末年始の蝶ヶ岳登山で初めてイナーシャ Xライトを使用しました。詳しくは、「雪上テント泊の快眠補完計画その1 スリーピングマット再考(イナーシャ Xライト)」の記事を見ていただくとして、簡単に説明しておくと、寝袋の中で使用するタイプのエアマットです。ショップの商品紹介ではイナーティアと書かれている場合もあるようですが、日本国内総販売代理店であるLOTUS社のサイトにはイナーシャと書かれているので、イナーシャが正しい読み方みたいです。


体力が衰えてきたのか年々寒さに弱くなってくるようで、北沢峠で2012年の年末にテント泊をした時はサーマレスト リッジレストソーライトでそれほど寒さを感じずに眠ることができたのに、2015年GWの立山では背中が寒くて熟睡することができませんでした。そういうわけで、マットレスの買い換えを検討していたときに見つけたイナーシャ Xライトを購入してみたわけです。


もともと買い換え候補だったリッジレストソーラーは重さ540gあるのに対して、イナーシャ Xライトは173g。手持ちのリッジレストソーライトスモールの260gと組み合わせても433gで、リッジレストソーラーよりも軽いのです。コスト的にもリッジレストソーラーを買うより安く買えたので、軽いし安いしいいこと尽くめでした。あとは期待通りの断熱性能があればいうことなしです。



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12月31日の蝶ヶ岳山頂避難小屋での宿泊時と、1月1日の徳澤でのテント泊でイナーシャ Xライトを使用しました。間に隙間がたくさんあるので、口で空気を入れるのはかなり楽でした。5回ぐらいですぐに膨らみます。付属のエアポンプは邪魔だし重くなるので持って行きませんでした。このマットは寝袋の中に敷いて寝るのですが、頭の部分の位置をあわせると下側のネックウォーマーチューブをつぶしてしまうことになるので、冷気の侵入がおこるのではないかと心配しましたが、幸い気になるようなことはありませんでした。なお、これ単体で使ったのではなく、下にリッジレストソーライトを敷いて使用しています。


頭と背中とお尻のあたる部分だけにマットが密にあり、他はスカスカですが、思ったよりも寝心地は悪くなく、横向きに寝ても気になるようなことはありません。蝶ヶ岳の避難小屋では板の間の室内ということもあって比較的安眠できたものの、徳澤でのテント泊時は、寝袋の問題なのか体力の問題なのか、とにかく寒くてあまり熟睡できませんでしたが、床や地面からの冷たさを感じることはありませんでした。これなら厳冬期でも十分使えそうです。問題はパンクしないかということだけですが、こればっかりは祈るしかありません。


なお、RECONというカラーモデルがありますが、こちらは同じ価格ながら米国陸軍採用の高強度モデルだそうで、オリジナルのイナーシャXライトが上面35デニール、下面75デニール生地であるのに対して、上下面とも75デニール生地を採用し、岩場などで繰り返し使用できる耐久性があるそうです。価格が同じなのでどうせ買うならRECONのほうがお徳かも。


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2015/11/08

イスカ ノンスリップピローの修理完了

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内部の気密層がはがれて空気漏れを起こしていたイスカ ノンスリップピローを自分で修理してみました。


まず、気密層がはがれて風船のように膨らんでいた部分をハサミで切り開いて、内側の気密層を点検してみたところ、2か所穴があいているのがわかりました。



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修理に使ったのは、100均で打っているナイロン補修シート。貼るだけでOKですが、粘着力がどの程度あるのかわからないので、自転車のパンク修理と同じ要領で、穴の周囲に透明ボンドを500円玉ぐらいの大きさになるように薄く塗り、少し乾きかけたところでシートを貼り付けました。


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1日放置して、空気を入れてみたところ、空気漏れは発生しなかったので、とりあえず修理完了です。


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最後に、ハサミで切り開いた表生地の部分にもナイロン補修シートを貼り付けて完了です。表生地のほうはボンドを使わずにそのままナイロン補修シートを貼り付けたのですが、一度車中泊でつかったら少しはがれかけてしまったので、枕カバーを使うなど一工夫する必要がありそうです。


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2015/10/14

わずか90gの軽量マクラ: プロモンテ ZZマクラ

イスカ ノンスリップピローが空気漏れを起こしたので、新しい枕を買いました。前の記事でも書いたとおり、ノンスリップピローは収納時のサイズも28×8cmとそれなりにかさばるのが気になり始めていたので、もっと小型軽量な枕はないかと探してみたところ、プロモンテのZZマクラという軽くて小さめのマクラが見つかりました。

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ZZマクラの寸法は、32×17cm、90gと小型軽量。対してイスカ ノンスリップピローは30×40cm、190gと、ZZマクラの約2倍の大きさ重さになります。その分、クッション材の量も多く、頭を載せたときの安定感はノンスリップピローのほうが優れています。ZZマクラは、30×20cmぐらいのほうが頭を載せたときの安定感がよさそうかなと感じます。

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ZZマクラは、自然に膨らんだ状態ではノンスリップピローよりちょっと低いぐらいです。写真で見てわかるとおり単3電池が約5cmですから、約7cmの高さがあります。ノンスリップピローは約8cmあります(公式には5cmとなっています)。ただ、ZZマクラのほうがクッション材が少ないようで、頭を乗せるとわりと沈み込みます。高めのマクラがいいという場合は空気を入れて膨らませないと高さを維持できませんが、空気で膨らませるとほぼ空気マクラと同じ感触になり、頭を動かすとボヨンボヨンと反発するので、寝心地はそれほどいいとはいません。少し空気を抜いて、クッション材の反発を感じられるぐらいのほうが寝心地はいいのですが、それだと少し低いかなと感じます。なので、着替えなどを入れた袋を頭の下に敷いてかさ上げしたほうが良さそうです。サイズが小さいので寝袋のフード部分の内側に入れて使うことができ、ノンスリップピローよりもマクラが逃げにくいと思います。



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収納サイズは、ZZマクラが17×約6cm、ノンスリップピローは28×8cmで、圧倒的にZZマクラのコンパクトさが光ります。今まではバックパックの巾とノンスリップピローの巾がほぼ同じなので、パッキング時にけっこうかさばっていましたが、ZZマクラだと隅のほうの隙間に押し込んでやることができます。

ZZマクラの優れているところは、エアーバルブの構造です。ノンスリップピローはねじこみ式なので、空気を入れるとき口から離したら急いでバルブをまわして閉めないと空気が漏れてしまいます。これがけっこう面倒だし、どうしても多少の漏れが起こるので、あまり効率がよくありません。ZZマクラは、押し込んで回す方式です。回転角が40度ぐらいしかないので、口をバルブにつけたままロックすることが可能で、とても効率よく空気を入れることができます。もともと小さいので、たくさん空気を入れる必要もありませんし、自然に膨らんだ状態で十分なので、実際には空気を吹き込む作業は必要ないかもしれません。

とりあえず、新しい枕が手に入ったので、ノンスリップピローは自分で修理を試みてみようと思います。



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2015/10/11

イスカ ノンスリップピローの修理はあきらめました

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8月の山行でイスカ ノンスリップピローの空気漏れが発生したという記事のその後です。この写真を撮った時は、中心部分だけがハクリした状態でしたが、その後どんどんハクリが進んで、いまではほぼ片側一面ハクリした状態になってしまいました。


メーカーに修理可能か問い合わせたところ、モノを見てみないとなんともいえないので送ってほしいとの連絡がありました。ただし、製造後5年以内であれば生地不良等のメーカー側の原因による不具合は無償修理だが、通常使用による穴あきなどユーザー側の原因による不具合および製造後5年を経過しているものは有償修理ですとのこと。さらに、ハクリや加水分解による空気漏れで修理不可の場合は、修理自体を断ることもあるとの回答でした。


製造後の期間は、枕のバルブの対角側ミミ部分に印刷してあるRINナンバーの数字が21101-3以上であれば5年以内とのことでした(8月末時点)。確認してみると、21101-1となっていたので、5年を過ぎているようです。症状からすれば、気密層と表生地のハクリが原因だと考えられるので、修理そのものができない可能性が高く、できたとしても有償です。


送料+修理代が新品の購入費1,900円よりも安くなるとも思えないので、修理するのはやめて新しい枕を購入することにしました。ノンスリップピローはクッション性がよく枕としては気に入っていたのですが、購入時にはコンパクトだと感じていたものの、最近収納時の大きさがけっこうかさばると感じていたところだったので、もう少し小さくて軽いものを探すことにします。


ノンスリップピローは、自分で表生地を切って、内部の気密層との接着を試みて、修理できれば車中泊用のまくらにしてもいいし、無理ならお役御免ということになりそうです。


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2015/08/27

イスカ ノンスリップピローが壊れてしまった

以前紹介した山で使っている枕 イスカ ノンスリップピローですが、先日の裏剱への山行で壊れてしまいました。


インフレータブルの枕が壊れるとは、すなわち空気漏れということですが、今回は穴が空いたということではありません。それなら付属の修理キットで直すこともできますが、この壊れ方は修理キットではどうにもなりません。


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写真を見てわかるとおり、枕の中心部分がぷっくりと盛り上がっています。


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購入時の写真はこのとおりで、中心部分に盛り上がりなど無く、長細いへこみのようなものがある状態です。


真ん中のふくらみはなぜできたのかというと、どうやら内側に空気を漏らさないための気密層があり、外側の生地と接着剤のようなもので貼り合わせられているみたいなのですが、それがはがれてしまったことに起因しているようです。



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テント内で寝ているときに、突然頭の下でパンッ!という小さな破裂音のような音がして、それからシューという空気漏れの音がし始めました。最初はどこかに穴が空いたものだと思って、いろいろと調べてみたのですがわかりません。空気もだいぶ抜けてしまったので改めて空気を入れて膨らませてみたところ、このように枕の真ん中の生地だけがぽっこりと膨らんできたというわけです。気密層と外側の生地がはがれたことで、気密層に穴が空き、そこから漏れた空気が気密されていない外側の生地を通して漏れているというのが空気漏れの原因のようです。


家に戻って水をかけながら空気が漏れているかどうか実験してみたところ、膨らんだ部分から見事に小さな気泡がたくさんでてきました。これは通常の穴空きとは違うので、付属の修理キットでは修理のしようがありません。一応、イスカに修理可能かどうか聞いてみようと思いますが、たぶん無理でしょう。可能だとしても定価1800円よりも高くつきそうなので、買い換えざるを得ないのではないかと思います。


マットレスにしても枕にしても、エアーで膨らませるタイプは、どうしてもパンクのリスクがなくなりません。クローズドセルのようなパンクのリスクの無い枕ってないものでしょうか。



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2015/06/12

雪上テント泊の快眠補完計画その2 寝袋新調(モンベル ダウンハガー800#1)

GWの立山で寒くて眠れない寝袋はお役御免ということで、寝袋の買い換えを決めました。結論からいうと、購入したのはモンベル U.L スーパースパイラルダウンハガー800 #1です。現行のダウンハガー800 #1のマイナーチェンジ前の製品で、早く言えば旧モデルというわけですが、変わったのはほぼ名前だけなので、お買い得でした。今回の寝袋購入の選考ポイントは、以下の3点です。

1: -5℃で快適に眠れる暖かさ(EN規格のコンフォートレベル)
GWの立山は2011年以来毎年訪れていますが、いままでで一番寒かったのはテント内で-7℃でしたが、平均すると-2~3℃という感じです。なので、快適に眠れる温度が-5℃のレベルの寝袋であればまず問題ないだろうと思います。

今までの寝袋の温度表示はメーカーごとにばらばらでしかもデタラメでした。モンベルがいい例で、現在のダウンハガー800#1ではEN(ユーロ・ノーム)規格でコンフォート温度-5℃、リミット温度-12℃となっていますが、モデルチェンジ前の表示では独自基準で快適睡眠温度-9℃、使用可能限界温度-22℃となっていました。これぐらい温度が違うと1クラス違う性能になりますから、いままでの温度表示がいかにデタラメだったかよくわかります。最近はEN規格に基づいた表示が採用されはじめ、モンベルとナンガはEN規格での表示になっていますが、イスカはEN規格の表示になっていません。しかも最低使用温度の記載しかないので不親切です。ただ、おおむねEN規格のリミット温度と同程度の温度になっているようです。

2: 4万円以下の予算で購入可能
特別に4万円にこだわるわけではないのですが、マットのほうも買い換えることになるかもしれないので、そのあたりでおさめたいということです。

3: できるだけ軽い(1kg程度)
今まで使っていた寝袋が約1.2kgなので、どうせなら軽量化したいということで、目標は1kgとしました。


GWの立山でそれほど着込まないで快適に眠れるレベルの寝袋となると、800FPぐらいのダウンが600g程度入っているモデルが必要です。たとえば、イスカの商品説明を見ると、エア630EX(800FP/630g)や700SL(720FP/700g)で「ゴールデンウィークの北アルプス」に適しているという説明がありますから、このレベルのモデルから選ぶ必要があります。


候補にあがったのは、以下の6点。

イスカ: エア630EX、エア700SL





モンベル: ダウンハガー800#1、アルパインダウンハガー800#1





ナンガ: UDD BAG 630DX、オーロラ600DX





性能的にはどれも似たり寄ったりなので、あとは製品ごとの特徴がどの程度ポイントになるかです。


イスカについては、縫製がしっかりしているとか、同程度の寝袋でメーカー別に比較すると一番暖かいという評価があり、メーカーとしても商品としても一番良さそうです。ただ、第一候補にあがるエア630EXは価格が5万円越えとなり高いのがネック。第二候補のエア700SLはダウンが720FPと1ランク下のもので、その分封入量は多いのですが、総重量が1130gとやや重いのがネックです。また、イスカは最低使用温度の表示しかなくて、その温度がEN規格のコンフォート相当なのかリミット相当なのか不明という点が引っかかります。モンベルやナンガの同等製品と比較すると、リミット相当の温度だろうということはおおむね予想できますが、消費者に対する情報開示の姿勢としてはどこか不信感を感じさせるところがあります。


モンベルは、伸縮する生地で包まれ感がありながら窮屈にならずあぐらもかけるというのが魅力です。実際、いままでの寝袋は内部空間が妙に広くて包まれ感はまったくなかったためか、スースーするような感じがあったのは事実です。また、悪天候で停滞するような場合、テント内で寝袋に入ったまま食事をしたりお茶を飲んだりすることもありますが、いままでは脚を伸ばして座らなければならず、けっこうつらい姿勢を我慢しなければなりませんでした。寝袋に入ったままあぐらをかいて座ることができればやはり楽チンです。ただし、アルパインダウンハガーではあぐらがかけるほど伸びないようなので、モンベルで選ぶとするとやはりダウンハガー800になります。価格はやはり4万円越えなのですが、じつはモデル名が変わる前の旧製品ULスーパースパイラルダウンハガー800#1がまだけっこう市場に出回っていて、性能的にはほぼ変わらなくて名前が変わっただけなのに、4万円以下で販売されているので、実質的には一番お買い得感があります。


ただし、モンベルはダウンの封入量を公開していないので、その点がちょっと引っかかる点です。モンベルアメリカのサイトではダウン封入量が「Fill Weight」として表示されているのでまったくわからないわけではないのですが、なぜ日本では表示していないのか理解できません。先日、モンベルショップの店員に聞いてみたら、問い合わせてみますといって電話で確認してくれたのですが、回答は「総重量の半分ぐらいです」というあいまいなものでした。なぜそこまでダウン量を隠したがるのか謎です。UL スーパースパイラルダウンハガー800#1のダウン量をネット検索してみると総重量1011gでダウン量595gだったようです。現在のモンベルアメリカのサイトには、"Weight 1011g Fill Weight 570g"と書かれていて、微妙に違っています。ちなみにモンベル日本のサイトには、ダウンハガー800#1は総重量は984gとなっていて、ここでも一致しません。現行品は生地が10デニールとなっていますが、モンベルアメリカのサイトでは20デニールとなっており、UL スーパースパイラルダウンハガー800#1のネット検索では12デニールという情報もあって、総重量の違いは主に生地の違いが理由だと思いますが、いったいどうなっているんだかという感じです。非公開でちょこちょこ仕様を変更しているのでしょうが、ダウン量を公表しないこととあわせてそのあたりがちょっとひっかかります。


ナンガの場合は、ネットでもよく見かけるオーロラ600DXは価格的には3万円を切る価格で売られているものもあり、表生地に防水素材のオーロラテックス(多孔質ポリウレタン防水コーティング素材)を使っていてカバー不要というのが売りですが、ポリウレタン系の素材は経年劣化ではがれたりしやすいし、生地が40dnと厚く重い上に普通の生地よりも内部結露しやすいらしいので、個人的にはあまり魅力を感じません。すでにゴアテックスのカバーを持っているので、わざわざ防水生地のモデルを買う必要もありません。防水カバーのほうが4シーズン使いまわせるし、必要に応じて使うかどうかを選ぶこともできます。最近の寝袋は生地に撥水加工を施しているものが多く、候補モデルはすべて撥水生地です。なので、カバーをつけてその内側で結露しても、寝袋の生地の撥水性能でダウンが直接水分に触れる可能性は低いのに対して、寝袋の生地の内側で結露した場合、ダウンがその水分を吸収してしまう可能性が高くなりますから、カバーを使用したほうが安心なのではないかとおもうわけです。また、ダウンも760FPだし総重量1250gという重さもネックです。足元が冷たいという評価や縫製やつくりがいまいちというレビューもあったりするので、候補から脱落です。


わりと新しいUDD BAG 630DXはレビュー記事などが見つからないのでなんともいえませんが、4万円越えの価格のわりに770FPというのがちょっとなあと思いますが、超撥水加工したダウンというのが魅力的です。ただ、自分の山行スタイルや過去の経験からしてダウンの撥水加工が必須というほど困っていないのも事実。



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montbell_ULSSdh800#1
検討の結果、モンベル UL スーパースパイラルダウンハガー800#1を購入しました。現行のダウンハガー800#1とは、ほぼ同じ仕様らしいので、性能的には同等品のようです。アマゾンで37,670円でした。ダウン量が若干少ないという点は絶対的な保温性能という点で気になる点ですが、店舗で展示品を触った感じからするとまあ大丈夫そうだなと思えたことと、ネットでの評判も良いみたいだし候補の中で一番軽く価格も安いということで、決定しました。ちなみに、届いた寝袋についていたタグには、「表地 12-denier Ballistic Airlight」と書かれていたので、12デニールのバリスティック エアライトという生地が使われているようです。とすると、

USAモデル: 20デニール生地で総重量1011g、ダウン量570g

日本旧モデル: 12デニール生地で総重量1011g、ダウン量595g

日本現行モデル: 10デニール生地で総重量984g、ダウン量不明

ということになるわけで、USAモデルは生地の重量増分をダウン量を減らして帳消しにしているといえます。また、日本の現行モデルは生地が薄くなったことで27g軽くなったというわけですが、USAモデルと日本旧モデルは8デニール差で25g違うわけですが、日本の新旧モデルは2デニールで27g違うことになり、生地だけでなくダウン量も少し減らされているのではないかと勘ぐってしまうわけです。まあ、計算上20g程度の違いにしかならないので性能的に大差はないのかもしれませんが、モンベルが日本モデルのダウン量を公表したくないわけがここにあるのではと思ってしまうわけです。総重量の半分ぐらいということだと、500g程度しかダウン量がないことになっちゃいますから、イスカやナンガと比べるとどうしても見劣りしてしまいます。その意味では、旧モデルのUL スーパースパイラルダウンハガー800#1は、ダウン量がほぼ600gあって、なおかつ軽量で価格も安くなっているので、かなりいいコストパフォーマンスの寝袋といえるかもしれません。


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スタッフバッグに入った状態では、カタログ値径18×36cmということですが、明らかに長さは40cm以上ありました。また、総重量はスタッフサックや保管用ストレージバックも含めた重さなので、寝袋単体の重さは総重量から50gぐらい軽いようなので、実質1kgを切っていることになります。まあ、使う時は寝袋単体をコンプレッションバッグに入れるのでいいのですが、モンベルのカタログ値ってどうも素直に信用できません。


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今まで使っていたニッピンZOOMと比較してみました。ZOOMは開口部が一番幅広で74cmもあるのに対して、ULSSダウンハガー800#1は二の腕の辺りが一番広く約64cmです。肩から首にかけてすぼまるシルエットになっていて、ジッパーを閉めれば自然に顔だけが出るようなつくりになっています。このあたりは良く考えてつくられていると感じます。逆に言えばZOOMのつくりが雑すぎていまさらながら呆れてしまいます。


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開口部の紐を引いて閉じた場合は、ZOOMは紐がある側だけがすぼまって反対側があまりすぼまらないので、開口部が片側に寄った状態になってしまいます。これでは隙間から冷気が進入したり内部の暖気が逃げてしまうでしょうから、暖かくないのも当然です。


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ダウンハガー800#1のほうは、普通に紐を引っ張れば均等に丸くすぼまってくれて、鼻と口だけがちょうど出るようになります。ちょっと頭のフードがタイトな感じがしましたが、悪くない感じです。


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足元はほぼ円形に近い形状ですが、下側が若干すぼまっていて上が少し広いような感じがするので、寝たときの足の形状に合わせるような縫製になっているのかもしれません。実際に寝てみた感じではとくに窮屈感はなく、自然な感じでした。


中に入ってみた感じは、スーパーストレッチシステムによって適度なタイト感と、ふんわりと包まれているようなフィット感がありました。ジッパーの上げ下げでも生地をかむことなく使いやすかったです。


バリスティックエアライトという12デニールの極薄生地は、触った感じがさらっとして柔らかく、肌触りがいい生地です。表面は世界最高レベルの撥水性を持つポルカテックスという撥水処理をされているとのことなので、あまり神経質にならなくてもよさそうです。ときどき薄すぎる生地は耐久性が不安だという声がありますが、これまでの経験上テント内で寝袋の生地が傷ついたり破れたりするようなことはなかったし、そもそもそのようなものがテント内に転がっていることもまずないので、生地なんて薄くて軽いのにこしたことは無いというのが個人的な意見です。


中に入ってジッパーをあげてしまうと、肩まですっぽりと包まれて、開口部の紐を締めなくてもそこそこタイトに締まった感じがあります。起き上がったときには楽にあぐらをかいて座れたので、テント内での生活が楽になりそうです。あとは期待通りの暖かさがあれば言うこと無しです。


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2015/06/09

雪上テント泊の快眠補完計画その1 スリーピングマット再考(イナーシャ Xライト)

GWに立山から下山して、どこで痛めたのかわからないのですが、右側の大腿筋に痛みがあり、何日間か湿布のお世話になりました。しばらくして痛みは治まったのですが、30分ほど歩いたりすると大腿筋と大腿四頭筋のあたりにしびれたような痛みが出てきたりして、山歩きはしばしお預けです。まあ、軽いウォーキングなどしながらリハビリしていこうと思います。


ところで、今年もGWの立山のテント泊でやっぱり寒い思いをしました。昨年の反省から、いつも使っているダウン量約600gの寝袋はあらかじめゴアテックスのカバーをかけた状態でパッキングしており、テント内でもきっちり防湿対策はしていましたが、昨年同様上からも下からも寒さがしみてきて、快眠には程遠い状態でした。夜間に晴天だったため放射冷却で気温が下がった(テント内で約-4℃)せいでもあると思いますが、こうなるともはや湿気がどうだという問題ではなく、寝袋の性能が完全に追いついていないといわざるを得ません。もともとフィルパワーは不明のうえにあまりフィット感がなくて、内部空間が広めで保温力が高いとはいいがたい寝袋ですが、以前は着こんで寝れば-3℃ぐらいまではそれなりに眠れました。しかし、購入後15年を経た今、ダウンがへたってしまったと考えたほうがいいのかもしれません。もちろん、運動不足による筋肉量の減少などで肉体的な耐寒能力が下がったというのもあると考えられますが、それならそれでもっと保温力のある寝袋にしなければどうにもなりません。


問題は寝袋だけにとどまらず、マットレスの断熱性能についてもどうやら再考の余地がありそうな雰囲気です。背中側からじわじわとしみこんでくるような冷たさも改善しなければ、快適な睡眠を確保できそうにありません。雪山で使っているのはクローズドセルのサーマレスト リッジレストソーライトですが、使い始めの頃はそれなりに満足できていました。しかし、どうも昨年あたりからやや不満を感じるようになって来ました。表面のアルミコーティングがだいぶんはがれてきたので、それが原因で保温力が落ちたのか、はたまた他に原因があるのかわかりませんが、そんなことを考えてもしょうがありません。暖かさ指数が大きいマットレスに買い換えるか、別のマットレスと組み合わせて暖かさ指数を上げるかのどちらかです。


しかし、考えてみればより条件の厳しい年末年始の南アルプスでは、それほどつらいと感じませんでした。ダウン量1000gの寝袋を使っていたので、ダウンの絶対量の多さがロフトのつぶれによる保温性能の低下をカバーしてあまり冷たいと感じなかったとも考えられます。であれば、ダウン量の多い寝袋に換えれば、スリーピングマットそのものは買い換えなくても少しの工夫でなんとかなるかもしれません。


ということで、まずはマットレスをどうするかを検討してみることにしました。


一番手っ取り早いのは、保温性能が高いマットレスを新規に購入することです。スリーピングマットのトップブランドであるサーマレストのマットには、暖かさ指数"R"が表示されています。雪上テント泊に使っているリッジレストソーライトはR2.8ですが、これでやや寒いとなると、いったいどれぐらいのR値が必要なのでしょうか。ネットで調べてみると、雪上でのキャンプはR6.0以上必要だなどという怪しげな話もありましたが、R2.8のリッジレストソーライトでもわりと寝られることを考えれば、R3.0以上あればおおむね大丈夫なのではないかと思うのであります。もっとも、モンベルダウンハガー#0に厚さ32mmのイスカコンフィマットでも寒くてだめだったという記事があったぐらいなので、ほんと人それぞれということのようです。男女差も大きいようですし。サーマレスト プロライトプラスはR3.4、プロライトプラスの女性用モデルはR4.2なので、男性はR3以上、女性はR4以上というのを参考にすればいいのかもしれません。


いろいろと調べてみた結果、候補としては以下のようなものが挙がりました。



 
サーマレスト リッジレストソーラーR(クローズドセル 長183cm厚20mm重540g R3.5 約6,000円)






サーマレスト プロライトプラスS(インフレータブル 長120cm厚38mm重400g R3.4 約12,000円)






イスカ コンフィライトマットレス120(インフレータブル 長117cm厚32mm重490g R不明 約7,000円)



まちがいなさそうなのはリッジレストソーラーです。やはりクローズドセルが一番安心です。スモールサイズがないので自分で120cmにカットしなければなりませんが、そうすれば重さも360gになるのでソーライトより100g増加ですみます。もっとも、厚さが20mmになるのでソーライトよりもさらに収納サイズが大きくなるのは間違いないところ。まあ、外付けするのでそれほど問題はないでしょう。冬装備で少し余裕があればプロライトプラスなどのインフレータブルにするのもありですが、今のところほぼ毎回パッキングに苦労する状態なので、バックパック内にパッキングするのは厳しそうです。



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と、ここまで考えたところで目にとまったのが、Inertia(イナーシャ) Xライトというエアマットです。最初は何じゃこれは?という感じでしたが、寝袋の中で使用するという斬新なコンセプトが目からうろこでした。


冬山でエアマットという発想は基本的にありません。なぜなら、マット内部の空気が冷やされて暖かくならないからです。最近は、内部にアルミシートを入れたりダウンを封入して冬でも使えるタイプが発売されていますが、価格的に高いうえに、根本的にパンクの心配は解消していません。なので、エアマットの類は最初から除外していました。


しかし、寝袋の中で使うのであれば、少なくとも冷えるという問題は解決されます。Xライトのいいところは、背中部分を肉抜きした状態にしたことで、軽量化とともにダウンがつぶれてしまうのを防ぐことができます。寒さを感じやすい背中部分がつぶれなければダウンの保温力がある程度効いてくるので、耐寒性能もアップするはずです。そのほかの部分もエアマットがある分、下のマットからの冷たさを直接拾わないので、寝袋を新調すればもしかするとリッジレストソーライトのままでもいけるかもしれません。パンクの問題は残りますが、試してみる価値はありそうです。もしも思っていた程の効果が無ければ、マットの買い換えか手持ちのプロライトとの組み合わせなどを再検討してみればいいわけです。


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ということで、イナーシャ Xライトを購入しました。価格も上にあげたマットよりもかなりリーズナブルでした。ただ、今はアマゾンも楽天も値上がりしてしまったようです。


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中身は、英語の説明書、専用スタッフサック入りの本体、リペアキット、ポンプが入っていました。


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本体は、重さが173gで、大きさはおおむね500mlペットボトルサイズです。これならパッキングに苦労する必要もなさそうです。


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空気を入れて膨らませ、こんな感じで寝袋内部に敷いて使えばいいようです。最初は、付属のポンプで空気を入れてみましたが、しっかりと膨らませるには約240回もポンプを押さなければならず、口で息を吹き込んだほうが早そうです。


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箱の裏面にかかれているイラストのように、頭とお尻の部分だけがしっかりとしたエアマットの上にのりますが、身長171cmの僕の場合ほぼサイズは合っていました。


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頭の部分の左右にバルブが2つついています。


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向かって右側がポンプ用です。


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左側のバルブは、手前に引き出すと開き、押し込むと閉じ、押し込んで時計回りにまわすとロックがかかるようになっています。


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操作方法はマットのボディに印刷されているのですが、そのまま押し込もうとすると動かなくて、不良品かと思いました。少し反時計回りに回すようにしながら押し込むとするっと入りました。


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2012/06/10

厳寒期用寝袋:プロモンテ エクストリームライトシュラフEL1000A

なんだか最近忙しいです。今月中に確認申請を取らなければならない新築住宅の図面作成で、住宅ローンにフラット35sを使いたいという話になり、適合申請を受けるための技術基準をクリアするためにいろいろと調べながら設計しているのでなかなかはかどりません。そのうえ、井原市などへの出張検査があったり、いきなり耐震診断の依頼が2件同時に舞い込んだりで、てんやわんやです。


そんなわけで、どこにも出かけていないし、写真も撮っていないので、ブログねたに困ります。


と思っていたら、楽天スーパーセールの62%オフで購入した寝袋が届きました。といっても、注文した翌日に届いていたのですが・・・




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プロモンテEL1000Aの1
収納時の大きさは、さすがにでかいです。A4変形サイズの雑誌と比べると、倍近い大きさです。これだけでオスプレーイーサー85の20%ぐらい取られそうな感じです。


この時期なので実際に使ってレビューを書くということは無理ですが、とりあえず中身を見てみた感じでは、しっかりダウンが詰まっているという感じです。サックから出して直後なので、ダウンはかなりつぶれた状態でしたが、1cm強ぐらいの厚さがあったみたいです。これでしっかり膨らんだらさぞやモフモフで気持ちのいいことでしょう。これなら-25度まで対応というのも、まんざらうそではないかもしれません。まあ、この手の数字は話半分ぐらいに信じておいたほうがいいので、-15度で普通に使えて、ダウンジャケットなど着込めば-20度もなんとかなればいいかなという感じです。


プロモンテEL1000Aの2
内側の首周りには、冷気の流入防止用のショルダーウォーマーもしっかりついています。ま、このクラスでついていない寝袋なんてないとは思いますが。


生地は柔らかく薄手で肌触りのいいものです。いままで使っていた、ニッピン ZOOMに比べると全然違います。やはり最新のものは進化してますね。


プロモンテEL1000Aの3
寝袋外側の右胸にポケットがひとつ。大きさは手のひらぐらいなので、それほど大容量ではありませんが、ライトや携帯電話など身の回りにおいておきたいものなどを入れて眠ることが可能です。これはいいアイディアだと思います。


あと、足元側からもジッパーを開くことができる仕様になっているかどうかということが気になっていましたが、ちゃんと両開きのジッパーになっていました。真冬でも足が暑くて寝苦しいと感じることが多々ある僕にとっては、足だけ外に出して寝られない寝袋は困るので、これでひと安心です。


さあ、あとは実際に使ってみるだけです。早く冬にならないかなあ・・・。


<追補>
2012~2013年の年末年始に南アルプスの仙丈ヶ岳で使用したときのレビューを、こちらの記事に書いています。


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2012/06/03

62%オフに思わずポチッ!:プロモンテ エクストリームライトシュラフEL1000A

楽天スーパーセールをなにげにのぞいてみたところ、厳冬期用の寝袋がなんと62%オフの19,800円で出ているではありませんか。


定価52,500円の寝袋で、概ね47,000円ぐらいで売られているものですが、驚くほどの激安です。何かあるのかとつい疑念が頭をもたげてきましたが、とくに気になるようなスペックでもないし、大きな問題もなさそうです。




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730フィルパワーのホワイトグースダウンが90%、羽毛量1,000g、総重量1,450g、レギュラー丈(165~185cm対応)、ボックス構造、耐久撥水加工の20Dポリエステルリップストップ生地、適応気温-25度以上と、厳冬期でも十分使えそうな内容でこのお値段なら買うしかない! ブログなどの口コミで実際に使ってみたというレビュー記事は皆無だったのでちょっと迷いましたが、メーカー自体は名の知れたところだし、スペック的にもISUKAのエア810Xと同等(130g重いけど)なので、もしも多少の汚れやほつれがあってもよしとして購入しました。ちなみに、2015年現在のラインナップではEL800が一番上のモデルになっていて、EL1000は廃番になっています。また、現行のシリーズは数字の後のAがなくなり、中綿がグースダウンからダックダウンへ、封入量も600gが580gや560gになるなど微妙にスペックダウンしています。素材は20Dポリエステルから15Dナイロンになっていて、軽くなっています。


3月の上高地で、手持ちの寝袋では-10度以下には対応できないと悟ったので、厳冬期のテント泊にはいずれ専用の寝袋を買わざるを得ないだろうなと思っていたところでした。年末まで使うことはないにしても、いい買い物ができました。


なお、この価格での販売は6月4日午前1時59分までとなっています。


が、6月4日午後7時時点でまだおなじ価格で販売してますねえ。
スーパーセールの意味ないじゃん。ま、いいけどね。


<追補>
2012~2013年の年末年始に南アルプスの仙丈ヶ岳で使用したときのレビューを、こちらの記事に書いています。






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2012/05/25

テント泊用マットレスの比較

テント泊で必要不可欠なのがマットレス。地面の凹凸や、小石などの突起による不快感をやわらげてくれるだけでなく、地面からの冷えを防いで快適な睡眠を提供してくれる大切なツールです。


僕がテント泊用に初めて購入したのは、エアマットでした。すでに10年以上前のことですが、モンベルのコンパクトマットレスという商品名で、息を吹き込んで膨らませるビーチマットのようなタイプです。長さは180cm。


モンベルエアパッド180
現在のU.L.コンフォートシステム エアパッド180 のルーツにあたる商品だと思います。この写真は現行品です。


なぜこれにしたかというと、一番寝心地がいいからです。当然といえば当然ですが、膨らませれば厚さは8cmぐらいになりますから、少々の石や地面の凹凸はまったく気になりません。北岳山荘のテント場で初使用してから、砂利だらけだった槍平山荘のテント場、大きな石が敷き詰められた状態の槍ヶ岳山荘や涸沢のテント場でも、すこぶる快適に眠ることができました。少なくとも、3シーズン用のマットレスとしては、もっとも快適なタイプだといえます。


しかし、宿命的に空気漏れという弱点を常に心配しなければいけません。そしてその時は突然やってきます。エアの抜けたエアマットほど役に立たないものはありません。リペアキットが付属していても、どこに穴が開いているかなんて、膨らませて水につけてみないと簡単にはわかりませんから、山の上ではあまり役に立ちません。エア漏れが山行最後の日ならいいのですが、山行初日に起こったらその山行は苦行と同じです。そういうわけで、機能しているときと機能しなくなったときのギャップが著しいので、オートキャンプならいざ知らず山で使うのにはあまり適していないと感じます。


エアマットのもうひとつの弱点は、寒さに弱いということ。秋の山行で冷え込んだ日は、マット内の空気も冷えてしまうので、背中からじんわりと冷たさが伝わってきます。そしてそれがなかなか解消しません。最近のものは少し改良されてよくなっているのかもしれませんが、中で対流が発生し得る程度の空間があるエアマットは、断熱性能の点では弱いといわざるを得ません。


弱点とはいえないまでも、息でこのマットを膨らませるのはそれなりに大変です。空気の薄い2500mレベルのテント場だと、途中で休憩を入れながらでないと続きません。小型の手押しポンプでもあればまだましかもしれません。また、エアマットのくせに重量が約500gもあるというのもなんだか納得できません。パンクに対する強度を保持するためにどうしても厚い生地にする必要があるのでしょうが、それにしてもという感じです。





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P1010902.jpg
次に購入したのが、サーマレストのProLiteという自動膨張式のマットレスです。エアマットレスにはこりごりとはいえ、あの寝心地は忘れがたいものがあります。一度、いわゆる銀マットを使ったことがありますが、ほとんどクッションらしいやわらかさがなく、とても寝苦しい思いをしました。厚さは8mmぐらいあって、けっこう厚手のタイプだったのですが、板状のマットは厳しいものがあります。というわけで、エアマットの快適性を備えつつ、パンクしても内部のウレタンフォームである程度のクッション性能と断熱性能を確保できる自動膨張式のマットレスを選んだわけです。


「ProLite」
ProLite
現行品は、寝るのに不必要な四隅の角がカットされるなどして、より軽量化されています。


結論から言えば、いまのところもっともスリーピングマットとして適しているのが、この自動膨張式マットレスではないかと思います。僕が持っているのは長さ120cmのもので、付属のスタッフサックに収納すれば500ml缶より一回り太い程度の大きさになるので、バックパックの中に難なく収めることができます。重さも300g強なので、なんとか許容範囲です。


寝心地は、エアマットほどではないにしても、快適です。適度な弾力があり、横向きに寝ても肩や腰骨が痛いということはありません。断熱性能もけっこうよくて、3シーズンで使う限りでは地面からの冷えを感じたことはありません。構造的にはエアマットのようなものですが、エアマットほど膨らまないしウレタンの芯材が入っているためか、かれこれ10年近く使っていますが一度もパンクしたことはありません。






ところが、雪山でのテント泊では、さすがに断熱性能が追いつかないという事実が発覚したのです。厚さ2.5cm、暖かさ指数2.2のProLiteは、雪の上での使用には不十分でした。メーカーも3シーズン用とうたっていますし。雪上テント泊で使うのであれば、厚さ3.8cm、暖かさ指数3.8のProLite Plus以上でないとだめみたいです。しかし、ProLite Plusになると収納サイズも大きくなるし重量もかさみます。装備が増える雪山では、重量・容積の増加はできるだけ避けたいところです。


「RidgeRest SOLite」
リッジレストソーライト
そこで、雪山専用にサーマレストのリッジレストソーライトを購入しました。クローズドセルと呼ばれる板状のマットレスなので、パンクの心配はありません。長さ122cmのスモールサイズは、重さ260gと非常に軽量です。表面に凹凸があり銀マットよりも遥かにクッション性があります。また、表面にアルミ蒸着されているので、暖かさ指数はProLiteよりも優秀な2.8です。問題は容積が格段に大きくなってしまうことですが、逆にバックパックの外にくくりつけることができるので、バックパック内部はかえって余裕ができました。バックパックの底部につければ、荷物を降ろしたときに自立してくれるので、その意味でも助かります。レインカバーをつけようとすると厳しいことになりますが、雪山なので雨の心配はほとんどしなくてすみます。


使用してみた感じは、寝心地はProLiteに及ばないものの、寒さに関しては問題なしでした。寝心地も、下が雪ということもあってとくにごつごつした感じはなく、初日こそ多少気になったものの、2日目からはほぼ慣れました。それでも、2時間に一度ぐらいのペースで目が覚めたので、やはりあまりいい寝心地ではなかったのかもしれません。しかし、軽量でパンクの心配がなく、断熱性能もいいとなると、雪山で使う場合はリッジレストソーライトのほうが適しているといえるかもしれません。ただし、表面のアルミ蒸着は、わずか1度の使用で凸部がかなりはげてしまいました。凹部は簡単にはがれることはないでしょうから、極端に保温性能が落ちることはないと思いますが、もう少しなんとかならないものかと思います。









「ProLite Plus」
ProLite Plus
ということで、3シーズン用には自動膨張式ProLite、雪山にはリッジレストソーライトがお勧めですが、雪山でもとにかく快適性重視であれば、厚さ3.8cm、暖かさ指数3.8のProLite Plusという選択肢もあります。ただし、重さは430gと重く、収納サイズもやや大きくなります。なお、長さは120cmで十分です。どうせテント内では荷物を出したバックパックの扱いに困るだけなので、足元に敷くか、足を突っ込んで寝れば邪魔にならず役立ちます。





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2012/04/04

冬期テント泊:3シーズン寝袋+夏用寝袋の寝心地は?

冬期テント泊での宿泊用に僕が選んだ寝袋は、これまで使っていた3シーズン用寝袋に夏用の寝袋を入れて使うという方法です。よく言えば合理的、悪く言えば貧乏くさいこの方法ですが、メリットもあればデメリットもあります。


メリットは、出費が抑えられること。実際、新たに購入した夏用寝袋イスカチロルは、セールの値引きのおかげでわずか10,600円でした。もともと使っていた寝袋は、東京にいたときにニッピンで買ったZOOMという寝袋で、価格がいくらだったのかはすでに記憶にありません。そこそこダウンの量は入っていて、-2度ぐらいまではなんとか寝られる程度の保温力があります。総重量が1.2kgもあり、重さだけでいうとイスカエア630Xよりも重いのですが、保温力はエア450Xと280Xの中間ぐらいの実力だと思われます。まあ、10年以上昔に買ったものですからしかたありません。フィルパワーもおそらく650ぐらいではないかという感じです。




それから、4シーズンを通して使えるシステム寝袋になることもメリットです。今までは、ZOOMを夏山で使うとちょっと暑いと思うことも多々あり、掛け布団のようにして使うこともありました。夏山であれば2500mぐらいの標高のテント場であっても、もっと薄手の寝袋で十分だと感じます。そのほうが重量も軽くなって助かります。というわけで、夏山にはイスカチロル、春や秋はいままでどおりZOOMだけでOK。そして冬は2つを組み合わせればいいといわけです。わずか1万円の出費で、4シーズン使える寝袋になるのですからとっても合理的。


しかし、冬山だけに限っていえば、重量と容量がかさむというデメリットがあります。たとえば最低使用温度-25度で厳冬期の3000m級の山岳縦走に使えるイスカエア810Xなら重量1.32kgですが、ZOOM+チロルでは1.85kgにもなってしまいます。チロルを買うときに別候補だったイスカエア180Xにしていたとしても、200g程度しか軽くならないので、ZOOMを使う以上は軽量化は期待できないというわけです。収納サイズにしても、イスカエア810Xは収納サイズ:φ21×37cmであるのに対し、ZOOMは圧縮しても直径18cmぐらいにしかならないので、チロルの直径13cmとあわせるとけっこうな容量になってしまいます。


ただし、イスカエア810Xは価格45,150円という出費が必要になるうえに、夏は暑すぎて使えないわけです。結局快適性を求めれば、夏、春秋、冬と3種類の寝袋が必要ということなのかもしれません。




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さて、先日の上高地でZOOM+チロルでテント泊をしてみたわけですが、最低使用温度は、-10度ぐらいが限界かなという感じです。ただ、あの時は1泊しかしていないため寒さ慣れしていない状況でしか試しておらず、寒さ慣れしてしまうともうすこしは大丈夫かもしれません。秋の北アルプスでのテント泊でもそうですが、冷え込んで氷点下にまで気温が下がった夜は、最初の日はやたら寒いのです。しかし、2日目以降は意外と寒くなくなります。高度順応ならぬ低温順応みたいに寒さには慣れるものです。なので、実際にどの程度まで使えるかというのは、2泊以上してみないとわかりません。とはいえ、せいぜい-15度まで使えるかどうかだと思われますし、どうがんばっても-20度は無理でしょう。


今回失敗したなと思うのは、星空撮影から帰ってきてそのまま寝てしまったことです。体が冷えた状態で寝てしまうと、なかなか体が温まりません。そのうえ、寒いからダウンジャケットをはじめから着て寝てしまったので、寝袋自体が温まりにくかった可能性があります。ダウンは、人間の発する熱を羽毛の間の空気層に蓄えて保温効果を発揮するわけですから、ダウンジャケットを着てしまうと寝袋にまで熱が届かなくなり、寝袋の保温効果が十分発揮されなかったのかもしれません。


使い勝手についてですが、2つの寝袋を重ねて使うということは、ジッパーなどの操作が2つ必要になるということなので、けっこう面倒くさいことになります。そのうえ、シュラフカバーのジッパーもあるわけですからなおさらです。


というわけで、この組み合わせは西日本の低山であれば厳冬期でも問題ないでしょうが、中部山岳エリアの厳冬期で使うのは無理との結論です。厳冬期に上高地に入ってテント泊をしようとすると、-20度以下もありえるので、そういう用途であればやはりそれなりの寝袋を買わないといけないですね。やはり厳冬期の中部山岳でのテント泊は甘くないです。


ただし、3シーズン寝袋と夏用寝袋を組み合わせるのがだめだということではありません。僕の場合、もともと持っていたZOOMがあまり高性能でないということが問題だったわけで、たとえばイスカエア450Xとエア130Xの組み合わせなら、総重量は0.84kg+0.3kg=1.14kgとなりかなり軽量化できますし、収納サイズも、φ16×32cm とφ10×18cmですから、まあ妥協できるレベルです。2つに分割されたほうがバックパックへの収まりがいいというケースもありますし。価格は32,025円+16,170円=48,195円なのでべらぼうに高いというわけでもありません。セールをうまく利用すれば、39,000円ぐらいで買えるでしょう。あとは、この組み合わせで何度までいけるかという問題だけです。少なくとも僕のZOOM+チロルの性能よりもいいでしょうから、-15度ぐらいまでは問題なく使えると考えられます。であれば、イスカエア630Xを購入するのと大差ないということになります。現在エア450Xクラスの寝袋を持っているという場合なら、そういう選択もありえるわけです。




ちなみに、今回はじめて使ったゴアテックスシュラフカバーですが、内部結露することなく快適でした。保温力があったのかどうかはわかりませんが、内部結露したテント内壁に接触しても寝袋を濡らすことなく使えたので、高いだけの価値はあったようです。




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2011/12/05

寝袋「イスカ ダウンプラス チロル」のレビュー

先日購入したイスカのダウンプラス チロルを使ってみました。


といっても、山で使ったわけではありません。


もともと、インナーシュラフとして使う目的ですが、夏には単独で使うことにもなるわけなので、ひとまず単独で試用してみました。場所は自宅ベッド上です。今の時期、岡山市内では朝がた10℃前後になりますが、その温度で快適に寝られるかどうかの確認です。


チロルの使用可能温度は6℃以上。しかし、寝袋の使用可能温度というのはだいだいがウソです。ウソというと語弊がありますが、防寒着など着こんで使用した場合の話であって、普通にスウェットの上下ぐらいで快適に寝られる温度というのはもっと上です。


今回は夏山での使用を前提とした快適睡眠温度の確認なので、上は長袖シャツにマイクロフリース、下はスウェットで寝てみました。足は裸足のままです。


寝る前に窓を開け放して、チロルの中にもぐりこみます。


寝はじめの室温は23℃。この温度では、当然ながらまったくもって快適です。頭のドローコードを引っ張って首周りの隙間をふさがなくても問題なしです。


夜中に一度目が覚めました。温度計をみると室温は12℃になっていました。寒くて目が覚めたわけではありませんが、そろそろ首周りの隙間をふさいでおいたほうがいいので、顔だけ出せるようにドローコードを締めて再び眠りにつきます。


明け方6時ごろ寒さで目が覚めました。室温は11℃。下半身は問題ないのですが、上半身がじんわりと寒さを感じます。ドローコードをもう一度締めなおして、丸まっているといつの間にか眠りに落ちていました。寒くなったときは寝袋を引っ張りあげて丸まるようにすると、中の羽毛が圧縮されて密度が濃くなるので、断熱効果が高くなるみたいです。少しの寒さならこれで収まります。


しかし、30分ぐらいで再び目が覚めました。やっぱり寒いのです。室温は10℃でした。現実的に10℃あたりが防寒着を着用しないで寝られる限界温度のようです。なお、寒かったのは上半身だけで、下半身は大丈夫でした。足も裸足のままでOKでした。もっとも、個人差がありますから、このあたりは人それぞれだと思います。


3000m級の山でも夏場に10℃以下まで気温が下がることはそれほどありませんし、山に行くときは防寒着はかならず持っていきますから、夏山での使用には問題はないと思われます。シルクのインナーシーツとゴアテックスのカバー、ダウンジャケットを併用すれば、夏山ならアルプスでもTyrolでいけそうです。


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