道警シリーズ第六弾。
本作で「郡司事件」のシリーズ作品への影響は遠のき、新しいフェーズに入った印象。
巡査部長になった小島百合が、人質たてこもり事件に巻き込まれる。
この人質立てこもり事件が、犯人側の要求を素直に理解しがたい内容であること。
裏に他の大きな事件が絡んでくるところに佐々木譲さんの想像力と構想力が発揮されている。
冤罪か政治裏金問題か。
主役と脇役。
主犯と従犯。
捉えがたかった事件の本質が、起きている事象の断片をつなぎ合わせ想像していくことで見えてくる。
現場と現場、人と人、「佐伯メンバー」の連携プレーが冴えていた。
人質:ストックホルム症候群の共感、同情、依存感情
政治資金:
どこから → 公共事業、ODAのキックバック?、後援会?
使い道 → 選挙、陣笠議員、権力、領収書や出し入れが記録されないカネ、つまり現金
今に通じる社会問題をえぐりだしている。
作家さんへのニーズはこんなところにもあることを当シリーズから発見している。