老いてこそ人生
石原 慎太郎
幻冬舎
2002-06-01



老年は、可処分所得と可処分時間が最も多い=本来、生きがいの多い時間である。
老いから逃げるのではなく、正面から向き合い自分から仕掛けることで生きがいのある時間となる。

石原氏が2000年の70歳を前にして綴った心境。
70歳は昔は古来稀なる高齢で古稀といったが、今は稀でも何でもないが、肉体的に老いを感じるのは事実だろう。

老いとその先の死は人間にとって公理であり不可避であるが、それを負け惜しみのようにあきらめるのではなく、
耐えて慣れさせることで、老年なりの新境地を開いていくことが肝要であり、それが自分を生かし切ることになる。
それは生を与えてくれたものへの報恩であり、過去と未来をつなぐ、縁者たちへの供養でもある。

割と仏教的な思想を考えの中心に置いているのが分かった。

色即是空
空即是色

諸行無常

これらは全て、人生というのは変化そのものであることを説いている。
その人間にとっての絶対の真理であることを理解することで人生の覚悟は生まれる。

では、あきらめるのではなく、「耐えて慣れさせる」ためにはどうしたらいいか?
より明確にすると、「耐える力」をつけることが、強く生きていくコツであり、そのためにはどうするか?

健全なる精神は健全なる身体に宿る(若いころ)
健全なる身体は健全なる精神に宿る(老いを感じてから)

というのが一つのヒントのようだ。

彼は、若い頃、高校時代のサッカー部のしごきで「脳幹」を鍛えた実感を持っているそうである。
「なにくそっ」という気持ちの積み重ねが細い脳幹を太くし、耐性(トレランス)がついたと自負している。
その後は、ヨットレースでの様々な栄光の実績が石原慎太郎という人の基礎を作っているようだ。
自分を他者と比べ、自慢話と聞こえる節もところどころあるが。。

あと、走ること(恐らく歩くことでも)は健全なる身体のためによさそうだ。
耐性の強化にいいかもしれない。
これは次男の良純が実践していて、影響を受けた面もあるとか。

他に、参考になった点。

人間や動物にとっての最大最高の医者は、
熱と断食
の2人である。

というメッセージはなるほどと思わされた。

実家にあった本の消化。