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    【【未整理】 世界ブラボー日記】 2007.12.28 (Fri)

    回顧2007…の最後の週

    早いもので、今年もあと1週間を切りました。あんなことがあり、こんなことがあった激動の1年。

    ひそかに筑紫哲也の後釜をねらうぼくが、この1年(の最後の1週間の自分のまわり)を振り返ります。


    ≪あいつぐ偽装≫

    先週の 『徹子の部屋』 に、社会風刺コント集団 「ザ・ニュースペーパー」 が出ていました。

    小泉、安倍、福田の3首相のモノマネも面白かったのですが、替え歌がうけました。

        社保庁の事務所の前で泣かないでください
        そこに年金はありません
        データなんかありません…

    政治からマスコミから食品まで、「偽装」にまみれた2007年。 ちなみに当ブログも、

    賞味期限切れの'06年の記事をトップに載せたりしましたが、衛生上なんの問題もございません。



    ≪止まらない原油高≫

    灯油がポリタンクで1800円! 高っけー。それでもエアコンの電気代よりお得なのでしょうか?

    記録的な原油高にかこつけて、ほかの日用品まで値上げなのもムカっときます。

    明日は近所でカレーのルーが特売なので、すっ飛んで帰るつもりです。

    クロウにファイヤーをともす生活。

    …そっちのルーは、いりません。



    ≪どげんかせんといかん≫

    飲んで食って、食って飲んで。この年末は少々へばってます。

    予定では、お正月も飲んで食います。

    自堕落のツケでしょう。あんなことがあり、こんなことがあった激動の1年…、

    どんなことか思い出せなくなったのが、じつに情けないところ。

    でも防衛省の事務次官なら立派に務まりそうです。



    ・・・さて、たぶんこれが、今年最後のごあいさつになるかと思います。

    お粗末ではございましたが、とにかく、来年もよろしくお願い致します。
     
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    【自作 『カノッサの屈辱』】 2007.12.25 (Tue)

    M-1お笑い戦国武将史(フジテレビ『カノッサの屈辱』ふう)

     やぁ みなさん、私の研究室へようこそ…。
     これは、フジテレビ伝説の深夜番組 『カノッサの屈辱 ('90)』 にならい、現代カルチャーの流れを歴史上の事象になぞらえて紹介する特別企画です。
     第2弾のテーマは、『M-1グランプリの隆盛にともなう お笑い武家社会の形成』。きら星のごとく輝いた英雄たちの歴史ロマンを、どうぞごゆっくりお楽しみください。




      序章 ≪竜虎相打つ~M1島の戦い≫                              

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    伝・武田紳助ん(高野山成慶院)、上杉人志ん(上杉神社)

     西暦2001年、混沌とするお笑い界を打破すべく、ふたりの英雄が立ち上がった。
     すなわち、武田紳助ん上杉人志んその人である。
     しかしそれは、野望うずまく新たな動乱の序章にすぎなかった。両雄の総指揮のもと、あまたの若武者がその覇を競った“M1島の戦い”、たったひとつしかない天下人の座をめぐって、まさにその火蓋が切られたのである。



      第1章≪お笑い下克上~有力守護大名の激突≫                      

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    狩野永徳 『洛中洛外図屏風・部分』 (米沢市上杉博物館)

     戦国初期に頭角を現したのが、中川家増田岡田家の2大守護大名であった。
     吉本源氏松竹平氏、ともに由緒ある名門のプライドを背負った両家は、し烈な天下争いを展開。激闘の歴史の先陣を飾ったこの両雄なくして「M-1」を語ることはできまい。
     かくして、それぞれ初代、第2代覇者としてその名を全国にとどろかせたのであった。


     一方で波田氏、長井氏、桜塚氏など一国一城の大名を輩出しながら、受けたら売れ、飽きたら捨てられるという、過酷な「下克上」の風潮を生みだした。
     世に言う 「人世むなしい(1467)エンタの乱」 の始まりである。





      第2章≪「キモカワ」「ボケボケ」~わびさびの境地へ≫                      

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    俵屋宗達 『フット神ボール神図屏風』 (建仁寺・京都国立博物館)

     文化面では、茶の湯の世界で「きもかわ」の美を大成したアンガ利休のほか、笑い飯の匠が提唱した 「ボケ・ボケ」 の哲学がひとつの境地を極めてみせた。

     しかしこの時代の文化を代表する傑作といえば、国宝 『フット神ボール神図屏風』 に尽きるだろう。
     岩尾雷神の 「キモ・ハゲ」 と後藤風神の 「イケメン・ツッコミ」 の対比の妙は、正統の様式美を伝える当代の至宝として高い評価を受けている (第3代覇者)。



      第3章≪南キャン貿易~女芸人の台頭≫                              

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    聖フラン静代・ザビエル (神戸市立博物館)

     女性芸人たちの躍進も、お笑い社会の拡大と醸成に欠かせないものとなっていった。
     「敵は どこ見てんのよ!」と叫び、織田ロンブー長に反旗を翻した青木光秀などが異彩を放ってはいたが、ことM-1界においてはフラン静代・ザビエルの衝撃を忘れてはなるまい。
     彗星のごとく決勝の地に上陸、惜しくも全国制覇は果たせなかったものの、バラエティにドラマに映画にと 「以後よく(1549)広まる、しずちゃん教」 と呼ばれてあまねく支持を集めた。

     また、馬場園・隅田氏のアジアン大名や、「ハリセンボンの矢」の故事で知られる近藤・箕輪氏が健闘を見せたほか、「出雲の変ホ長調」は草莽<アマチュア>から出た例として特筆すべきものがあった。



      第4章≪お笑い太閤記~弱小階級から天下人へ≫                           

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    羽柴アンタッチャブル秀吉(高台寺)

     吉本源氏・松竹平氏といった名門の血統をよりどころとするお笑い武家社会にありながら、東国の弱小組織から天下人にのし上がったのが、人力舎階級出身の羽柴アンタッチャブル秀吉であった。
     柴田勝家英嗣が活躍した山崎弘也の戦いでの勝利を機に、その国民的名声を確固たるものに (第4代覇者)。

     「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう あざーっす」 は、その気性・芸風を表した名句としてつとに有名である。



      第5章≪群雄割拠~お笑い戦国大名たちの乱舞≫                           

     お笑い戦国武将の中には、比較的地味ながら実力と個性を兼ね備えた傑物が各地を割拠した。
     「小杉竜」ハゲ政宗「加賀百万ブツブツ」吉田利家 (ブラックマヨネーズ) が、その代表的存在である。
     彼らは互いに「ハゲ」「ブツブツ」と小競り合いを重ねつつも、当代屈指の実力派としてゆるぎない地位を確立しつつある (第5代覇者)。

     また竹山崎一族などの足軽衆や、八木・中山筋肉寺といった宗教勢力がそれぞれの野心を胸に武装蜂起し、離合集散をくりかえしたこともこの時代の特徴といえよう。



      第6章≪チュート大将軍~徳井川幕府の成立≫                           

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    徳井川家康・しかみ像(徳川美術館)

     天下分け目の決勝戦で、もと天下人の岩尾三成と後藤の君 (フットボールアワー) を倒して新たな覇者となったのが、“チュート大将軍” 徳井川家康である (第6代覇者)。

     今でこそ、その美丈夫ぶりがもてはやされる彼らであるが、過去3度の敗戦を耐え忍び、恥辱と挫折に泣いた末のうれしい戴冠であった。
     新時代の担い手として、安定した長期政権の建設なるかが大きく期待されている。



      第7章≪芸人元禄~お笑い文化人の誕生≫                              

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    東洲斎写楽 『麒麟田村裕 奴江戸兵衛』

     やがて人々が天下泰平を享受するようになると、身分の垣根を越えて才能を発揮する者も現れはじめた。すなわち品川西鶴十返舎ひとりといった戯作者たちである。

    中でも近松''麒麟''左衛門は、代表作 『ホームレス心中学生』 などの貧乏物で一世を風靡、

    無印の存在から時代の寵児へと華麗なる転身を遂げた。

     この頃、美しき大奥女中の紀香と、一介のお笑い芸人・智則なる者との密通が露見し、世間をにぎわす。いわゆる 「絵島生島藤原陣内事件」 である。





     最終章≪サンド維新マン~そしてまだ見ぬ未来へ≫                         

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    西郷タカトシ像 (東京・上野恩賜公園)

     「M-1」界の周辺に目を向けよう。
     外は新大陸「R-1」を制したディラン提督とキャサリンの黒船が来航、内は暴徒化した民衆による「そんなの関係ねぇじゃないか」運動など、いよいよ激動の時代を迎える。

     蝦夷藩の雄・西郷タカトシによる「欧米か!」の大号令のもと、開国へと大きく舵をとる中、新政府を樹立したのは、前代未聞の敗者復活からのぼりつめたサンド維新マンの志士たちであった。

     その中心人物・富澤諭吉は言う、「M-1は、芸人の下に芸人をつくらず」 と…。



     …こうして新たなる時代へと突入した「M-1」界は、今年も成功のうちに幕を閉じた。
     しかしそれは歴史の終わりではない。
     笑いへの飽くなき欲求を満たすべく、まだ見ぬ未来、新しい英雄の出現が待たれるところである。

     了。



     【あとがき】
     実は「M-1」は一度も見たことがない(!)のですが、あちこちから情報を集めて作りました。絵のうまい方、ぼく作よりずっとそれっぽい雰囲気の美術資料を、本気で大募集です。
     もしお気に召されましたら、「Myカノッサの屈辱」第1作 『タモリ・キリストといいとも西洋史』 も、ぜひぜひご覧ください。


     
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    【欧州&世界映画】 2007.12.23 (Sun)

    新旧・美女と野獣

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    レンタルしてきたディズニーの 『美女と野獣』 (1991米)を観ました。

    生き生きと楽しいキャラクターや構図・カメラワークは、その年の「影のアカデミー作品賞」といわれ、

    '90年代ディズニー黄金時代の口火を切っただけあります。

    かわいらしいティー・ポットの親子。美女と野獣のダンス・シーンにうっとり。

    名コンビ、曲メンケン&詞アシュマンによる美しい主題歌もいいですね! びゅーてぃーあんざび~♪


    ただし物語はというと、野獣の恋は、家来のアドバイスに沿って美女をもてなす、

    今どきの 「マニュアル恋愛」 みたい。

    しっかり自我ができあがって自立した女と、その勢いに押されて受け身にまわるしかない男・・・

    娯楽の殿堂ディズニー社のこと、現実の男女関係を投影した上での計算ずくなのでしょうか?


    そんな時、どうしても比べてしまうのが、フランスの芸術家ジャン・コクトーが作った

    実写版(1946仏)です。

    ジャン・マレーが演じた野獣の、近寄りがたい気高さ、雄々しさ・・・!

    そこらのヘタなカラー作品をしのぐ、端麗なモノクロの映像美・・・!

    醜悪な姿を恥じても、我彼の誇りははずかしめない高貴な精神が貫かれていました。


    ぼくはすこし頼りない現代の野獣を見ながら、「昔はそんなスゴい映画があったんだぞ!」 と、

    口にはできず心の中で叫びました。


    そして今、ブログの片隅でもこっそり叫んでおきます。

    ・・・けっきょく、ディズニーのねらいは当たっていたようですね・・・。

     
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    【クラシック音楽】 2007.12.18 (Tue)

    ヴェルディ、怒りのレクイエム

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    クリスマスも近いので、宗教音楽でも聴こうかとCDを探したのですが、

    よりによってオペラ王ヴェルディの 『レクイエム』 に夢中になってしまいました。


     じゃっ! じゃっ! じゃっ! じゃっ! じゃっ!
     でぃーぇ…
     でぃーぇ…
     でぃーえすぃれーっ!!



    この 『怒りの日(Dies Irae)』 のフレーズは、テレビCMやバラエティ番組などでも、

    興奮をあおる場面でよく使われていておなじみですね。


    モーツァルトやフォーレ作曲の 『レクイエム』 と比べ、ヴェルディは終始怒りっぱなし。

    イタリアはパルマの人だけあって、生ハムとチーズばっか食って、酒かっくらってたんじゃないでしょうか。

    血圧高そうです。



    ちなみに、ぼくがもともと持っていたのは、ムーティ&ベルリン・フィル盤('89)。

    でもワゴン・セールで売ってた格安500円CDなので、音がテロンテロンとゆがんだ粗悪品。

    そこでこのたび、名演と評判が高いアバド&ベルリン・フィル盤('01=写真)を買いました。

    2枚組で2500円というのがうれしい。


    さっそくお目当ての 『怒りの日』 を聴いたところ、思わずゾクゾクッと鳥肌が!

    ぶ厚くふるえる魂、渾身の猛攻撃。すごいぞアバドさん。

    ・・・冷戦終結やアバドの大病など、アバドとベルリン・フィルの 「結婚」 は

    決して幸福なものではありませんでしたが、最後の数年はなんとか面目を保つことができました。

    ここで聴かせる迫力の響きは、アバド自身、死の淵から生還した者の 「凄み」 と言えるでしょうか。


    この年の瀬、108の煩悩は 「審判の炎」 に焼き尽くされてしまったような気持ちです。

    この身もろとも灰ひとつ残らず…、そんな驚きと興奮に満ちた、聞きしに勝る名演でした。

     
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    【エンタメ&テレビ】 2007.12.16 (Sun)

    『ザ・シンプソンズ MOVIE』 声優変更問題

     



                              「ホーマー、わたしたちの声、なんだかヘンじゃない!?」






        「まったく・・・これって人権侵害よね」






    「日本の映画業界なんか相手にすんなって。どうせ誰も見てないじゃん」



     『ザ・シンプソンズ MOVIE』 早くも打ち切り!? (SPRINGFIELD TODAY JAPAN)

     日本語吹き替え版の声優変更が不評の 『ザ・シン・・・・・重く見たホワイトハウスは核攻撃も辞さない・・・・・





    「WoooHoo!シンプソンズは守られた!!」



    ・・・・打ち切りとなれば、シンプソン家はとてつもない大赤字を抱えることになりそうだ。[ 2007年×月×日△時△分 ]






    「・・・」

























    「D’oh!」
                                  



    ※画像はFOX社の無許可で使用しております。ごめんなさい。でも映画・日本語吹き替え版もファンの無許可で製作されております。
     おたがい、著作権とファンは守りましょう。
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    【日本映画】 2007.12.12 (Wed)

    小津安二郎 『秋刀魚の味』

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    岩下志麻ちゃん超カワイー!
     
     娘の婚期に気をもむ父親の心情を描いた、1962年(昭和37)、小津安二郎監督の遺作 『秋刀魚の味』。

      YouTube『秋刀魚の味』予告編
      YouTube『秋刀魚の味』音楽

     昔懐かしい昭和の風景は、リアル 『ALWAYS 三丁目の夕陽』 ってところでしょうか。「アグファ・カラー」 というフィルムを用いた、赤みがかったほのぼの映像。'59年の 『浮草』 同様、近ごろ小津晩年のカラー作品に、レトロなノスタルジーを感じる自分がいます。(リンクは過去記事へ。)

     また、「これぞホーム・コメディ!」 な音楽もいい。♪ズンチャ、ズンチャ…と、アコーディオンと木琴が軽快なポルカ。そのままドラクエの 「町のテーマ」 にしたいくらい。
     「リュウはラーメン屋をしらべた! 東野英治郎がなかまになった!」
     一方、温かく穏やかなメインタイトル曲は、修道院や勇者の故郷のような 「癒しの空間」 を連想させます。


     肝心の物語は、「娘の結婚」 といっても 「見合いで嫁にやって」 いた時代の話。当の娘 (岩下志麻) からの視点はほとんどないし、父親役の笠智衆も、相変わらずのすっとぼけた演技。
     大きな感動や人間ドラマのうねりはないけど、そのぶん日本人ならではの小さな機微の描写に 「うんうん」。すべてに共感するかは別にしても、当時の肩肘張らない素朴な家族観を余すところなく堪能できます。

     ただ、酔い心地で帰宅した元教師の父 (東野英治郎) を見つめ、その娘 (杉村春子) が思わず泣き伏す小さなシーンには、ちょっと言葉にできない痛切なものを感じました。婚期を逃してそのまま老父に付き添ってきた彼女は、「当時の素朴な家族観」 の犠牲者だったのか。いや、万事ハッピーエンドの主人公の娘 (岩下志麻) だって、あれで幸せなのか??

     まぁ、古い男たちの筆による、過ぎた時代の話。
     人それぞれ、時代つれづれの 「しあわせのかたち」 も、いろいろ変わるもんだなあ・・・と感慨しきりでした。


     『秋刀魚の味 (1962松竹)』

     監督/小津安二郎
     脚本/野田高梧、小津安二郎
     撮影/厚田雄春
     音楽/斎藤高順

     出演/笠智衆、岩下志麻、佐田啓二、岡田茉莉子
     (※佐田と岡田演じる兄夫婦の倦怠期ぶりが、いちばん生き生きしている皮肉な面白さ。)



     タイトルはね、別に意味ないんだ。いいんだ、適当なんだ。

     
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    【日本映画】 2007.12.08 (Sat)

    稲垣浩 『無法松の一生 (1943“阪妻”版)』

     シリーズ宮川一夫④/稲垣浩監督 『無法松の一生 (1943年“阪妻”版)』

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     すがすがしくて痛快な映画でした! 戦中に作られた、明治の男の一代記ですが、意外にもぜんぜん古くなかった。
     明治後期の福岡小倉を舞台に、ケンカっ早いが情に厚い車夫・松五郎と、名家の母子との交流を描いた人間ドラマの歴史的名作。


     バンツマこと阪東妻三郎演じる「無法松」のキャラクターが、じつに人間味あふれる魅力!
     はじめは自分勝手に暴れまくりながら、ものの道理を諭されると素直に反省する様や、ケンカに負けても照れながら笑い飛ばす様は、軽やかで嫌みがありません。(そもそも無法なシーンは始めだけ。)

     (リメイク三船版のような、) 西洋的でマッチョな男臭さではなく、無学を卑下しながらも権力には頓着しない、無邪気で素朴でやわらかいプレ近代人の、「竹を割ったような柳の木」 の生きかた・・・といったところか。もやしっ子に育った名家の少年(子役時代の長門裕之さん)が、そんな痛快きわまる松五郎の人柄に触れ、「おじさん、えらいなぁ!」 と目を輝かせる姿は、現代のわれわれの代弁でもあります。
     一方で、決して結ばれぬ運命にある夫人への想い、思春期を迎えて自分から離れていく少年とのすれ違い・・・、声高になることなくつつましく紡がれるその後の物語も、切なくて深い余韻を残しました。


     そしてもちろん、若き日の大キャメラマン宮川一夫の映像美も忘れがたい。人力車の車輪の挿入カットや、ラスト、祇園太鼓を乱れ打つ幻想的なシーンの、なんと洗練されていること!
     ただし宮川の自伝によれば、これら絶妙の構図や編集は、すべて稲垣浩監督の綿密な絵コンテに従ったもので、自分は「配光のことだけを考えていればよかった」 とのこと。今日いわれているように、宮川の手柄ばかりではなかったようです。しかしあらためて、陰・日なたの職人たちの総意によって映画は作られるのだと、深い感銘を受けました。


     『無法松の一生 (1943大映)』

     監督/稲垣浩
     脚本/伊丹万作
     撮影/宮川一夫
     出演/阪東妻三郎、園井恵子、沢村アキオ(長門裕之)

     戦中と戦後の2回、それぞれ日本の軍政府と連合軍GHQにより、バッサリ検閲のハサミが入っているので、不自然な場面が多々ある。(松五郎が夫人への想いを吐露する場面や、封建的に尽くす様などを削除。・・・しかしかえって押し付けがましくない、静かで深い感慨を生む効果に。)
     稲垣は雪辱を果たすため、1958年に三船敏郎主演でリメイク、ヴェネチア映画祭グランプリを獲得した。(非常に立派な出来ではあるが、やはり三船の現代的・西洋的な魅力が出すぎた感あり。)
     その巨匠稲垣を 「最初の御亭主」 と呼んで師事した、撮影監督・宮川一夫初期の代表作。

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    【ぐるめ…?】 2007.12.03 (Mon)

    みかん依存症

     
    すこし風邪気味なので、みかんを食べています。

    常に手の届くところに置いて、気がつくたびに1個、また1個・・・。


    はじめは食べ頃かどうか、手にとって確認していたのですが、

    今ではこの目でスキャンするだけで、熟れ具合が分かるようになりました。

    歩くMRI。 ひとり非破壊検査株式会社。


    そのくせ、薄皮についた白いボソボソを取るのは苦手です。

    あーめんどくせー。ぱくっ、むしゃむしゃ・・・。


    おかげで、食べかすの皮だけでゴミ箱がいっぱいになりました。

    そんだけ食ってりゃ、じゅうぶん健康です。

     
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