【画像一覧】 2019.05.31 (Fri)
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ガラスの仮面第6巻≪プロの世界へ≫
天才監督・山中貞雄の『丹下左膳』
メダカ&ゴーヤの春2019
ガラスの仮面第5巻≪伝説のひとり芝居『ジーナ』≫
レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年
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【『ガラスの仮面』全巻】 2019.05.30 (Thu)
ガラスの仮面第6巻≪プロの世界へ≫
劇団を失った月影の負担を減らそうと、独力でさまざまな演劇のオーディションに挑戦するマヤ。一方、すでに『紅天女』の主演を目標に定め、演技の幅を広げようと試みる亜弓。ふたりはそれぞれ広いプロの世界へと巣立っていく…。
「あたらしいTOP絵…こわい絵!」
【映画初出演】
マヤの映画初出演は、アイドル田淵エミ主演の 『白い青春譜』。足が不自由な「ただの通行人」役を死にもの狂いで演じるマヤの熱意に、周囲は圧倒される。
「思い出したわ…あの子よ」 「姫川亜弓と互角にたたかい…一人舞台で一般投票第1位という経歴の持ち主だ」 「甘かった…はずかしいわ」 「アップ…こんなに大きく…名前もないチョイ役なのに」
端役もいとわず 「あしたへの第一歩、あしたへのレッスン」 と演技に打ち込むマヤの情熱と根性。ひと昔前の定番メッセージではあるが、今の時代だからこそかえって心を打たれた。
ここまで 「他にとりえがない平凡な子」 ぶりが強調されているが、マヤの演技力は向かうところ敵なし。失格処分、劇団崩壊、ライバルのいやがらせなどの試練に見舞われても、人生やアイデンティティ(つまり演技)の危機にまでは踏み込んでおらず、若年層向けのヒロイン成長記として安心して読める (当時の読者はハラハラだったでしょうが…)。文句なしに面白い。
今週の月影先生・・・『紅天女』権の譲渡を迫る真澄に激昂して昏倒。
(途中、第4巻の亜弓(劇中劇『灰の城』)以来2つめの「白目」。)
今週の「紫のバラのひと」・・・倒れた月影の入院費負担。
マヤたち、先に『ジーナ…』を妨害した元劇団員からオンディーヌの陰謀を聞かされ、真澄への怒りを新たに…。その直後の「紫のバラ」。 読者が真澄をひどい人間だと思わないのも、こういうマメさがあってこそ。ほんとうの「紫のバラ」の贈り先は、作中のヒロインではなく読者その人たちなのだろう。
【商業演劇の世界へ】
前後して、中学の演劇部 『古城の愛』 での女王役(…地味な端役が続くので読者サービスか…)を経てプロの商業演劇の世界へ。原田菊子ひきいる栄進座 『おんな河』 の子守「たず」役。
原田の言葉を借りて、マヤが『紅天女』候補であることが明示される。
一方、スター街道まっしぐらの亜弓は 『王様とこじき (マーク・トウェイン作)』の舞台に主演。体を張った「道化役」や「汚れ役」で新境地を開拓。役作りのために、実際に街頭で物乞いをするほどの凄まじさ。
亜弓の貴重なショートヘア姿。 マヤに負けじと亜弓の役作りも壮絶を極めていく (「いいえ 負けたくない マヤ…あの子にだけは…!」)。この頃はまだ「あたしには天性の才能がある」 と 「亜弓=天才型、マヤ=努力型」 の図式で語られており、亜弓も(作者も)また、試行錯誤の只中にいるのが分かる。
…しかし美人は何やっても絵になるなあ。(ブラックデビル!)
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【日本映画】 2019.05.25 (Sat)
天才監督・山中貞雄の『丹下左膳』
戦前の天才映画監督・山中貞雄(1909~1938)。戦争によって29歳の命を奪われたうえ、フィルムも散逸して現存する作品はわずか3作のみ。
『丹下左膳余話・百萬両の壺』(1935)
『河内山宗俊』(1936)
『人情紙風船』(1937)
それでもその3作いずれもが日本映画史上の傑作として現代でも親しまれている、恐るべき天才です――。
『丹下左膳余話・百萬両の壺(1935日活)』
大河内傳次郎の当たり役となったチャンバラ劇のニヒルなアウトロー「丹下左膳」を、ホームコメディにしてしまった奇想天外。
(シリーズ3部作の堂々完結編をコメディにされて、原作者・林不忘はご立腹だったとか。前2作を大ヒットさせた監督・伊藤大輔が退社後の、誰もやりたがらなかった重すぎる後任。山中はならばと思いきり割りきって、自分色に染めあげたのだそう。)
百万両のありかを記した壺をめぐる、左膳と柳生一門との争い・・・が物語としてありながら、おもしろいのは左膳とその女房・お藤の丁々発止の掛けあい。口を開けばケンカばかり、お互い嫌だ嫌だとさんざんゴネておいて、場面が変わると喜々として尽くしているこの笑いのセンスが抜群!
山中はカメラをあまり動かさない代わりに、こういうカット編集だけで映画の躍動感、楽しさを与えてくれます。
表向きはお藤の店の用心棒という左膳だが、平たく言えば女の「ヒモ」な生活。ライバルの柳生源三郎(演・沢村国太郎=長門裕之・津川雅彦兄弟の父)も、肩身の狭い婿養子をスネてる軽薄なキャラに変更。
ほんとダメ男ばかり。だけど憎めない、これがまたおかしい!
一方の女性陣は美女ぞろい。左膳の情婦「お藤」役の喜代三(きよぞう)さんは向こう気の強い姉御肌。メイクも現代的で、余計な飾り気がなくとも艶気あふれるこのカッコよさ! 芸者から流行歌手、そして本作での女優起用へ、という転身は当時画期的だったそうです。
かたや店の娘役・深水藤子さんという方の、なんと可愛らしいこと! 山中監督とは恋仲だったそうで、源三郎がふらり見初めるシーンなど、特別な愛情をもって美しく撮ってもらっているのが分かります。(下の動画のサムネイル画像)
――世界恐慌に始まる不穏・不透明な時代に生まれた、異形異色のアンチヒーロー『丹下左膳』。先立つ伊藤大輔監督版では主君に捨てられ怨みの中死んでいった左膳が、山中の才覚でたまらなく可笑しくたまらなく愛おしい 「逆・異色作」 となって、21世紀のわれわれをも楽しませてくれます。
しかし軍に招集された山中は戦地で病死。その後の戦火や困窮により生き残ったフィルムもわずか3作とは「チト、サビシイ 」 (山中)。命も文化遺産も灰と消した狂乱の時代を恨まずにはいられません。
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【 ゴーヤ絵にっき】 2019.05.19 (Sun)
メダカ&ゴーヤの春2019
ベランダ水槽のメダカちゃんも春!
水底で半冬眠している間に飼い主を忘れてしまい、近づくとすぐ逃げてしまうメダカたち。
えさをエサに飼い慣らすのに、例年ならしばらくかかってしまいます。
でもこの冬は屋内に水槽を入れていたので、冬眠することはなかった。なかよしのままです。
うぇ~い。(←ハイタッチ)
卵もつけ始めており、もうすぐかわいい赤ちゃんが見られるでしょう。
あと、今年もゴーヤの芽が出ました。
苗用ポットなんてないので、ヨーグルトだなんだの容器に種まきしました。
これも屋内のあたたかい窓ぎわに置いていたので、4月初めにはもう発芽。
写真はGW前のもの。今はもうプランターに植え替えて、ツルが分岐しはじめています。
ただし、昨年の市販の「F1種」(1代限りの栽培用の苗)から採れた種なので、
あまりよくは実らないだろう。
こっちは涼やかな「緑のカーテン」だけに期待しています。
メダカ~ゴーヤへとバトンされた南向きの暖かい窓際は、これからしばらくは人間様のもの。
本当はここにも「水耕栽培」で緑のカーテンを作りたいのだけれど、ぼくの趣味・細工は
たいがい貧乏くさいので、なかなかわが家のコンペを勝ち上がれないのです。
ヨーグルト容器や発泡スチロール箱の何がわるい!
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【『ガラスの仮面』全巻】 2019.05.13 (Mon)
ガラスの仮面第5巻≪伝説のひとり芝居『ジーナ』≫
【『ジーナと5つの青いつぼ』】
全国大会。劇団つきかげの演目 『ジーナと5つの青いつぼ』(作者オリジナル)は、オンディーヌ小野寺とマヤに嫉妬する劇団員の策略で、マヤ以外の役者がすべて出演不能になる事態に・・・。それでもマヤは、ずば抜けた舞台度胸で驚異の即興ひとり芝居をやってのける。アクシデントを感じさせない斬新なマヤの舞台は、みごと一般投票で1位を獲得。
しかし審査では失格処分となり、スポンサーを失った劇団つきかげは崩壊。麗やさやかたち生え抜きの仲間とともに、古アパートからの再出発を図る。
即興のひとり芝居をやってのけたマヤ。その天才を象徴する伝説的エピソードとして、以後しばしば作中で語られる。
旅人から謎のつぼを預かったばかりに、騒動に巻き込まれる少女の1日を描いた 『ジーナと5つの青いつぼ』 は、作者のオリジナル作品。 アイディアのもとは戦前の名作映画 『丹下左膳余話・百萬両の壺』 か。作者は落語や時代劇など「オヤジ系芸能」 がお好きらしいから。
物語が詳細に出来上がっているところをみると、別の企画からの転用なのだろう。何かの話で聞いたが、作者のネタ帳には数百単位の企画がストックされているのだとか(未確認情報)。本編と劇中劇、その尽きぬ創作力に脱帽した。
できればセリフの「活字」頼みではなく もっと「マンガ」技法内で表現してほしかった…が、それも美内すずえ先生が美内すずえたるゆえんでしょうか (マンガ技術の至らなさは、ご本人も若手のころコンプレックスだったらしい)。
【映画オーディション】
あらためて始まる稽古の日々。月影、『紅天女』 は「梅の木の化身」であることを明かす。
真澄と小野寺、桜小路を使ってマヤをオンディーヌに引き抜こうとするが、マヤはその手に乗らず。
マヤ、アイドル映画・田淵エミ主演 『白い青春譜』の脇役オーディションに挑戦。いったん落選するも「なぜか心ひかれてならん」 ものが審査員の目に留まり、入院中の足が不自由な子というチョイ役をもらう。(文庫版第3巻も終わり)
月影の忠実な付き人・源造さんの名前が出るのは初めて?(初登場は連載第2話)。なお「小林」という姓は'97年TVドラマ化(安達祐実主演)の際の公認。
マヤ、「演技力はありそうだが」(審査員)、まだまだ多くの人に才能を認められるほどではない。それでも端役にすら全精力を傾ける熱心さは、甘ったれたアイドル田淵エミとの対比で周囲を驚かせていく。
≪今週の「紫のバラのひと」≫
『リア王』 劇場前で偶然マヤを見かけた真澄、子供に託してチケットと紫のバラを贈る。
真澄の有能な秘書・水城冴子初登場。 「冴子」 という名は同じくTVドラマ化の際の公認。
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【このアート!】 2019.05.02 (Thu)
レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年
Mona Lisa (Men have named you)
2019年はレオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年。(1519年5月2日没、67歳。)
西洋絵画史における彼の最大の功績は、「スフマート」と呼ばれる輪郭線を「ぼかす」技法と、背景が遠くになるほど靄(もや)がかって見えなくなる「空気遠近法」、そして人体の「解剖学」に通じた科学的視点の導入にあります。
ぼかしによって絵の輪郭線がなくなることで、単なる「線で描いた絵」からまるで写真のようにリアルな表現の領域――その第一歩へ。(ひと世代前の巨匠ボッティチェッリ作品と比べれば一目瞭然。)
またぼかした輪郭の、その色と色の境界をミクロまで探ろうとする欲求は、ずっとのちに「光」のかたちを分解・再構成した印象派絵画にまで通じるといっても過言ではありません。
そして背景がモヤがかる「空気遠近法」。
従来の「線」遠近法(ある一点に向かって狭まっていく、基本の遠近法)のように、建物の線などに頼らなくても背景の奥行きをよりリアルに描くことができる。
遠くになるほど青みがかって見えるのは、光の波長の理屈にもかなった表現。レオナルドは500年も前にそれを感覚的・経験的につかんでいるのだから、天才やおそるべしです。
彼の『モナ・リザ』が西洋絵画史上最大の傑作とされるのは、この「スフマート」と「空気遠近法」の2つが最高の形で示されたから。
レオナルド以前のルネサンス初期にも、リアルな人体の描写や遠近法など技法の向上が模索されていましたが、科学者としても知られる彼の専門的な医学・科学的視点が加わることによって、世の画家に求められるレベルが格段に高いところへ進化しました。
飽きっぽい?性格なのか、あれこれ手を出すけど完成品と呼べるものが少ないのが珠にキズ、な生涯でしょうか。だからこそ余計に『モナ・リザ』に価値があると言われています。
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