山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

2015年06月

月いちの格安居酒屋ツアー。今回は新橋。ここは社会人1年生から呑み歩いた街であり最も親しみ深い。昔からオヤジの街と呼ばれていたが、今もそれ程変わったとは思われない。
新橋駅前ビル(1号館及び2号館)の地下階は昔から、カウンター席に数人しか座れないような、小さな店が所狭しと並んでいて、一見さんにはちょっと抵抗感があるDeepさ。当然ながら、立呑み店も多い。そう云えば昔、安くて美味い天麩羅屋があったが(とにかく天丼が絶品だった)、いつの間にか店が無くなっていた。この地下街はちっとも変わらないようでいて、結構、店は入れ替わっている。
いっぱいひっかけて帰らない訳にはいかないが、腰を落ち着けて呑む程ではないという客にとって、立ち呑み屋はうってつけのスタイルなのだろう。小生はこれまで、呑むからにはしっかり腰を落ち着けて呑みたいと思っていて、これまで鼻にも懸けなかったが、この頃は年のせいか、さっと呑んでさっと帰るのも悪くないと思うようになってきた。今後、この手の店に厄介になることは増えそうだ。
今回、蕎麦好きおやじさんが選んだ店は、新橋駅前ビルの地下にある「立呑み処へそ」。ここは初めて。立呑みにしても、とにかく狭い。せいぜい14~5人ぐらいがいいところか。厨房を入れても5~6坪程度だろうか。ここだったら賃貸料は坪単価3万円ぐらいとして家賃18万円、従業員2人分の給料も含め、えいやっと毎月80万円ぐらいの固定費がかかりそうだ。一方、我々のようにひとり1千円程度の客ばかりだったとしても、入れ替わり立ち替わり毎日平均100人ぐらいはやって来そうだから(ここはランチもやっている)、経営は成り立ちそうにみえる。こういう店にはそもそも、ビール1杯で1時間も粘るような客は来ない。
生ビールとハムカツのセットを注文。これで500円はお得。これだけで帰れるようになれば一人前の新橋オヤジである。 

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立呑処へそのHP: こちら 

ひさしぶりだと思ったら、まだ1年経っていなかった。夏山合宿の候補地と日程を決めるため打ち合わせ(≒と云う名の呑み会)が必要だと云うことになり、それではと、ここ「酒蔵秩父錦」にしてみた。出席者が6人となったため、奥の座敷を使えないかと思って予め電話してみたがだめとのこと。物置になっちゃっているのかも知れない。そうなると、コの字(とエの字の中間的な)カウンター席の角に座ることになる。
千葉方面から京葉線でやってくる場合、陽気が良ければ八丁堀駅から歩くのが一番近い。前回は、有楽町駅から歩き出し、道の南側から店にやってきたが、今回は北側から。でも、どちらからやってきても、この店の存在感は異質である。そこだけ空間が違う。ここが銀座であることが、錯覚させる要因の一つかも知れない。もしこの店がそのまま秩父市街や川越の蔵造り通りにあったとしたら、すっかり溶け込んでしまい、マニアでもない限り目を留めることはなさそうな気もする。
それでも中に入っていると、外観同様、中も思い切り枯れている。巷には、外観はレトロだが内装はモダンと云うレストランもあれば、外は現代風なれど、中だけはレトロ感を演出している居酒屋もある。その点、ここは外見も中身も同じ、そう云う点で極めてピュアな居酒屋である。これがこの店の真骨頂であろう。中に入ると我々のうち先に来ていた3人以外、他に客はいない。あとから二組やってきたが、カウンター席には座らず、四人掛け席に着いた。最初から最後までカウンター席は事実上、我々の貸切状態である。
「秩父錦」の店でも、最初はやはりビール。そのあとは、「秩父錦」を燗にしてもらう。これぞ淡麗辛口。つまみは、ポテトサラダ、モツ煮込み、さつま揚げ、メンチかつ、ウルメイワシ、空豆、カミカツを注文。ここは、さつま揚げとカミカツが名物と云っていい。さつま揚げは、出てきた瞬間はパンパンに膨らんでいるが、見る見るうちに(カメラを向ける間もなく)萎んでしまう。その分、ふわふわである。カミカツは日本酒の肴になりうるのか、と思ってしまうが、これも辛口の秩父錦ならではの組み合わせと云っていいだろう。これは、この店が持つもう一つの顔である。

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この頃、埼玉県八潮市にパキスタン人コミュニティが出来ていて、美味いパキスタン料理店があるという情報を仕入れた。どうも中古車や絨毯の販売を生業としたパキスタン人が住み着いているようである。足立区の北隣りという、東京から近い割には不動産価格が安いのが理由なのかもしれない。パキスタン人は、八潮のことを「ヤシオスタン」(競走馬の名前ではない)とも呼ぶそうだ。
八潮市にはこれまで鉄道の駅が無く、陸上の孤島のように云われていたのだが、隣りの三郷市と同様、つくばエクスプレスが通ったおかげで、この頃マンションが多く建つようになり、新たなベッドタウンとして成長している。
八潮には現在、パキスタン料理店が3軒あるそうである。今回はその中から「カラチの空」へ行ってみた。いかしたネーミングだ。どんな空なのか興味が湧いてくる。
店に着くと、外観だけでもやけにローカルな店であり、ディープ感いっぱいである。内装もしかり。こんな店は普通、日本にはない。そもそも、日本人客をあまり意識していないところがなにしろ凄い。そのうちパキスタン人と思しき客が三々五々、普通に入ってくる。作業着でやってくる者もいる。でかい声で店員や他の客と話している。何を云っているのかさっぱりだが、パキスタン語(ウルドゥ語)だろうか。ここが日本であることを忘れそうだ。
メニューを開くと、一応、日本語で書いてある。壁にもメニューが書いているようだが、こちらは日本語ではない。アラビア文字っぽいので、これもウルドゥ語なのだろう、さっぱり読めない。2種類のカレー(ほうれん草とマトン)セットと、ガーリックチキン(これがハリームと云うシロモノか?)を注文して見る。セットには、ナン、サラダ、タンドリーチキンとドリンクが付いてくる。カレーはどちらもそれほどスパイシーではない。これがパキスタン風なのだろうか。ガーリックチキンも辛さは無い。でも初めて食べる味で、なかなか美味い。どれもかなりボリュームがある。
惜しむらくは、この店にはビールを置いていないこと。そもそもパキスタンはイスラム圏なので、呑めないのは当たり前なのだが、少々残念(とあるWeb記事によれば、持ち込みOKのようである)。でも、またランチには是非来てみたい。メニューは豊富なので今後が楽しみである。
(写真は何れもスマホ画像(Galaxy S6)なので、シャープさはご勘弁を。)

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「dancyu」の表紙を飾っていたのを覚えていた。いつか行かなきゃならぬ、と思い続けているうちに1年近く経った。この頃、小田急線から登戸乗り換えすれば、稲田堤駅は思いの外近いことに気が付き、ならば丹沢から下りたら、それ程寄り道にはならずに「たぬきや」に行けることが判ったので、不老山の帰りが良いチャンスだった。
行ってみると、まさしくここは「川の家」だった。この開放感は、どんな店にも無い。「天国に一番近い飲み屋」と称されたのは、たしかに伊達ではない。ゴールデンレトリバーやボーダーコリーなどの飼犬が何頭も来ていたが、みな寛いでいるように見える。ここは彼らにとっても楽園なのだろう。
着いたのはもう夕方6時近かったが、日の長い季節になったのでまだ明るい。さっそくビールと煮込み、やきとりを注文(自分のテーブル席へはセルフサービス)する。どれも到って普通なのだが、この店の雰囲気が良い味なので、美味い。その後注文した焼きそばも全然普通なのだが、とにかく美味い。あーーー幸せだーーー。
同じテーブル席に居た、常連の方(老犬ボーダーコリーを連れて、本当に毎日来るそうである)の話によれば、10数年前にはこの界隈に同じような店が3軒あったらしい。
Webで調べた範囲では、この店の創業は昭和10年だそうである。その当時、稲田堤は両側が桜並木の名所で、「関東の三大桜名所」の一つに数えられた程だった。最盛期には500本もの桜を目当てに、河原は花見客で埋め尽くされたとのこと。対岸の東京都調布市側から川崎市側へ、大勢の客が渡し舟に乗ってやって来たという。最盛期には40軒もの茶屋があったが、現在の「たぬきや」が最後の一軒というわけ。何故、桜が無くなってしまったのか、更にググってみると、世話を怠って枯らしてしまったり、道路造成のために切られてしまったとのこと。昔は国土交通省(昔は建設省か)も川崎市も、庶民の花見には消極的だったのだろうか。何れにしろ、勿体ない話である。
ここ「たぬきや」は河川敷にあり、当然、河川敷は国土交通省の土地なので、売買は勿論のこと、借地権の譲渡も不可。従って、廃業したら建物も取り壊しということになるそうだ。この店の存続自体が、立派な文化遺産である。国土交通省も堅いこと云わずに、この店が将来に憂いなく存続できるような大岡裁きをしてもらいたい。せめてそれまでは、頑固者(常連の方がそう云っていた)の女将さんが、元気で頑張ってくれることを切に願う。

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今年の2月以来の「ポッポ駅前屋」訪問。「さくらの湯」でさっぱりしたあとは、ここに来ない訳にはいかない。いつものように、いの一番で暖簾をくぐると、今日も囲炉裏席で、ボトル焼酎を一杯やっている(たぶんご近所の)ご仁おひとりと、奥の小上がりの左側にハイキング客ふたり組。「あとから5人来ます」と告げると、女将さんが小上がりの右側に重い座卓を2つくっ付けてくれた。ここの座イスはちょっぴりだけ高くなっていて、腰や膝の関節が硬直した者には座り易くて助かる。
今日は陽気が良いせいか、店内にはエアコンが利いている。でも腰を落ち着けたら、先ずは「生ビール」を注文。すぐに「生ビール」がやって来ても、先ずはスマホで撮ってGoogle+にアップロードし、今度はブログ用にカメラで撮るまではおあずけ。たいていの場合、そのあいだにビール泡はだいぶ萎んでしまうが暫し我慢。漸くビールに口を付けたら、その瞬間から山モードは終了し、呑みモードに切り替わる。もう駅より遠い処へは歩けない。
以前この店は、あまり時間が早いとたいして一品料理(≒酒の肴)がなかったが、この頃は割と増えて、壁の短冊に張ってある料理はどれもOKになったような気がする。それはひとえに、そのようなニーズ(≒昼呑みする輩)が増えてきたことによるのではなかろうか。我々にとって益々居心地が良い環境が整ってきたようである。
そのうちに皆が三々五々やって来て、ごくろうさんと6人で乾杯。その頃になるともう殆どビールは残っていない。で、追加注文。併せて、メンチカツや枝豆、イカ丸焼き、黒はんぺん、ハムカツなどのつまみも注文。今日は、この店だけで帰る方々も多いので、たっぷり時間をとって、辛うじて咲いていたサンショウバラをネタに暫しの宴席。ついでに、箱根の山を挟んだ、はんぺん食文化の違いについても話のネタとなった。日々是好日也。

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サンショウバラ目当てに不老山に行き(山の記録はこちら)、今年もなんとか辛うじて名残り花を愛でることとなった。特に今年は開花が早かったようだが、こちらのスケジュール調整がついて行けず、またしても満開のタイミングを逃すこととなった。
ともあれ、花の観賞が終わったら下山。不老山の下りは、西丹沢方面からのバス時刻や御殿場線のダイヤを勘案すると、駿河小山駅に戻るしか方策がない。
かつて駿河小山駅前には「小山町健康福祉会館 ふじみセンターゆったり湯」という立ち寄り湯があったようだが、閉鎖になってしまっていた。聞くところによると、利用料金が300円だったようで、それはちょっと安過ぎたのではなかろうか。それが理由で閉鎖になったとしたら勿体ない話である。
もし、予算不足が閉鎖の原因としたら、小山町町民は300円でも、外来者は700~800円ぐらい取ってもそれなりに集客があるのではなかろうか。でも復活の際は、休憩室にビールサーバを置くことを、くれぐれも忘れないで欲しい。
じゃらんHPを見ると、窓の外はこんなにも素晴らしい眺めだった(しかし、閉鎖されたことが、このサイトに限らず、反映されていないのは考えものだ)。とは云うものの、こっちだって不老山の帰りぐらいしか寄る理由が無い。つまり、今後も年1回有るか無いかの利用頻度なので、あまり声を大にできないのが少々辛い。
そうなると次善策は、山北駅まで電車移動し、いつもの「さくらの湯」に入ることとなる。こちらは今年の2月以来で、だいぶ利用頻度が高い(でもその頻度は、個人的に「ポッポ駅前屋」の存在に依存するところが大きい)。今日は、ランナー達の集まりが大型バスでやってきていて、先日の「やしおの湯」に引き続き、こりゃ拙い!?と思ったが、大半は既に風呂上がりに1階のロビー(ともしびショップ「さくら」という軽食コーナーがあるが、残念ながらビールは無い)で寛いでいた。ふぅ~、やれやれ。

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まただいぶ間が空いてしまったので、先ず「久呂無木」訪問日を決めることにした。その次の問題は、何処の山を登るか、と云うことになる。可能な限り二番煎じ、三番煎じの山はやめたい訳で、これが毎度難題。暫し、国土地理院の地形図とにらめっこ。初めから昭文社/山と高原地図を眺めていると、どうしても赤線で引かれたハイキングコースにイメージが引っ張られ、発想が制約されてしまう。
やがて思い浮かんできたのは、予てより懸案だった仙元尾根だった。もちろん、東京都側から浦山大日堂へ下りることになる。登路は最短距離の倉沢林道から棒杭尾根を上がるのがベストだが、それでも結構長丁場だ。上手くすれば、シロヤシオにも逢えるかもしれない。「久呂無木」開店時間から逆算すると、丁度いい時間の奥多摩駅発東日原行バスを利用すればいいことが判る。これで何とかプランが出来た。山から下りたあとの風呂タイムと風呂上がりビールタイムの裕度は、途中の頑張り如何に掛かっている。
結果(山の記録はこちら)、ほぼ目論見どおりに、多少の余裕を持って「久呂無木」に着くことができた。残念ながら、シロヤシオは盛りを過ぎていて、ごく僅かしか咲いていなかった。昨年の都県境尾根はやや早すぎて、今年は遅すぎた次第だ。
今日の「久呂無木」訪問は前回同様、参加者7名のため、また奥の座敷に入れさせていただいた。山姿の我々にはいつもながら有難い。さて、すでに下地は出来ているので、日本酒からスタート。いつも、今日は何が置いてあるのかと楽しみである。
今回、初めて呑んだ酒は「鳴海(なるか)純米無濾過生酒」と「五十嵐純米直汲み」。「鳴海」は切れ味爽快。千葉・勝浦の酒とは少々意外、千葉にも美味い酒があった(失礼!)。「五十嵐」は地元、埼玉県飯能市の「天覧山」で有名な五十嵐酒造の限定酒。こちらも爽快で口当たり抜群。ついつい、ぐびぐびといってしまう。
肴は概ねいつもの通りに注文し、いつもの通り大満足。締めは勿論そばだが、この頃は専らもりそばしか手繰らないものの、久しぶりにかけそばも頂いてみた。つるつる喉越しが抜群なのは想像通りだが、つゆの美味さと香り高さにちょっと感動した。つゆそばも素晴らしい。ここ「久呂無木」は今年の10月でオープン10周年だそうである。今後も益々楽しみだ。

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久呂無木のブログ: こちら 

湯上りビールを何処で呑むか、というのは毎度常に付きまとう課題だが、今回は予めみんなに、「クラブ湯」の後は、西武秩父駅前の「駅前」に集合と宣言していた。しかし、「クラブ湯」で汗を流したあと、西武秩父駅方面へ歩きながら、ふと思った。今回は後に西所沢「久呂無木」再訪が控えている。隊長はそれまで喰い物は控えたいと云っている。
「駅前」は、店の親爺の勧めに従い、次々に出てくる珍しい料理をいただくのがウリ。「駅前」に入ってビール呑むだけという選択肢は、普通は無い。そんなことすると、親爺店主が悲しそうな顔をするのは間違いない。ではどうするか。
と思いつつ秩父仲見世までやって来た。ここには広場があって、観光客がプラスチックテーブルで思い思いに清涼飲料を飲んでいるかと思えば、ビールを呑んでいる奴らもいる。広場の隣りに目をやると、立呑み屋台(やきとり省松)があって、生ビールも売っている。そっか、ここで良いじゃん!ここならば軽く呑むことができ、しかも「駅前」に向かうであろう後続部隊をキャッチできる筈。さっそくテーブルを確保し、「省松」で生ビールとやきとりをゲット。
胡桃だれのやきとりとは変わっているなー、などと味わいつつ、ビールをぐびぐびやって後続を待つが、なかなかやって来ない。だんだん心配になってきたので、なおちゃんに電話をすると、見逃したのか、丁度「駅前」に入ったところだったようだ。こっちの場所を伝え、出て来ていただく。なおちゃん曰く、「親爺から、おしぼりを手渡されるところだった」ようである。あぶない、あぶない。隊長と和尚は別動の様だが、やはりキャッチできない。今度は隊長に連絡を入れると、またしても「駅前」に入ったところだったようだ。同じように、出て来てもらう。「駅前」の親爺の呻き声が聞こえてきそうである。誰の仕業か判らないとは思うが、今度「駅前」に行くのは、ほとぼりが冷めてからの方が良さそうである。
ともあれ、広場に全員集合し乾杯。持参の日本酒やつまみも取り出し、安上がりに盛り上がったのは云うまでもない。

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仙元尾根を下って浦山大日堂からタクシーに乗り、「クラブ湯」直行(山の記録はこちら)。今日は意外に涼しかったせいもあり、汗はそれ程かいていないが、それでもやはり、真っ先に行きたいもの。
入店は午後3時過ぎとなり、前回より遅かったせいか、意外に混んでいる。脱衣所に、これほど脱衣籠が拡げられているのを見るのは初めてだと思う。それも皆さん、地元の方々ばかりのようであり、我々だけが異邦人。
女将さんに、前回訊きそびれた、値下げの理由を訊いてみたら、「値下げじゃなくて、20円値上げしたの~」と仰る。でも張り紙にはたしかに「410円→430円」と書いてあり、その「430円」を横棒で消して「370円」と手書き修正されている。
相変わらず熱い湯船に浸かりながら、女将さんの言葉と張り紙の記述が両立するケースをつらつら考え、のぼせないうちに気が付いた。たしかに埼玉県共通の公衆浴場入浴料金は昨年、410円から430円へ20円値上げしたのだろう。でもここ「クラブ湯」は元々が410円ではなく、350円だった訳だ(前回来た時に、350円払ったかどうかは全く思い出せない)。
張り紙自体は、銭湯組合から配布されたものであるため、「410円→430円」と印刷されていた。それを流用した為に「430円→370円」のように勝手に思い込んでしまった訳である。でも何故、「クラブ湯」が埼玉県の統一料金よりも安くしていた、安くできたのかが疑問として残る。
あとで調べてみると、県のHPには「一般公衆浴場(銭湯)の入浴料金は、物価統制令に基づく統制料金であり、県公衆浴場業生活衛生同業組合からの料金改定申請を受け、知事が県公衆浴場入浴料金審議会に諮問し、その答申を踏まえて知事が統制額(上限額)を決定します。」とある。つまり「上限額」であって、これを下回るのは構わないということか。ふ~んまあ納得。それにしても、「クラブ湯」は統制料金より60円も安い入浴料でやっていることになる。見掛けに寄らず(失礼!)経営が上手という訳だろうか。 

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「佐留丹」でだいぶいい気持になったのだが、せっかくなのでハシゴしてみる。同じ飲み屋横丁をちょっとだけ駅へ戻った処にある「千住の永見」を覗いてみると、座れそうなので入ってみた。ここは2階もあって、居酒屋としてはかなり大きい方だが、混んでいて入れないことが間々ある。個人的に久しぶりの入店。以前はすべて会社帰り。平日の夜はオヤジ達の溜まり場であるこの店は、本来、山の格好は似合わないが、今日は土曜日のせいか、若者たちもいて少々カジュアルな雰囲気になっている。平日は忙しくて無愛想な店員も、今日は心なしかちょっぴり丁寧に感じる。
北千住西口には、呑ベエオヤジに愛されている名物居酒屋がいくつかあるが、ここもその一つ。「大衆居酒屋」という云い方がぴったりくる店である。オヤジ達による、ざわめきが程良い感じ。若者の集団や、女子会がやってくる店だったらこうはいかない。この店で、絶叫や馬鹿笑いは呉れ呉れも止めて欲しい。ここのカウンター席ならば、ひとり呑みが出来そうな雰囲気がある。
この界隈は、飲み物が焼酎系の居酒屋が多いが、ここ「千住の永見」は見掛けによらず、日本酒の種類も豊富で、ワインだってあるオールラウンドな感じ。が、何故かホッピーやハイボールは置いていない。こういったところは、先代が築き上げたスタイルを守る、見掛け通りの頑固そうな一面である。
壁には料理が書かれた短冊がずらりと並んでいるが、ともかくここの名物料理は「千寿揚げ」である。にんにくがごろっと入っているバージョンもある。何故「千住」でなく「千寿」なのかは聞いたことが無い。基本的にはさつま揚げの部類なのだが、ふわふわ熱々で、タマネギがたっぷり練り込まれており、そのせいか甘みが強い。今日はもうだいぶ喰って呑んだ後なので、もうこれ以上料理は頼めない。この店はメニューが豊富で、まだまだ食べたことがないものがある。次に来るときは、いの一番で入ってゆっくりと楽しんでみたい。 

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前日光でがっつり登ったあとは、北千住でささやかに打ち上げ。それにしても今回は、アカヤシオ目当てに行ったのに、思いがけずヤマツツジの満開に巡り会った。タイを釣りに行ったのに、ヒラメが大量に釣れたようなものか(釣りはやらないので、タイとヒラメの棲息域がかぶっているのか全く知りません)。
さて何処に入ろうかと、西口の飲み屋横丁を南へぶらぶら。ふと目に留まったのがここ「民芸茶屋 佐留丹(さるたん)」。名前の由来は判らないが、アイヌ語のような言葉の響きで、以前から気になっていた。建物の外観はこれと云った特徴は無いが、入ってみると中は全くの古民家調で、北千住らしからぬ落ち着いた雰囲気である。天井には、ふぐちょうちん(剥製)がいっぱいぶら下がっている。
この界隈は、もつ焼き系の店が多く、これらの店の造り自体は何処も簡素なので、古民家風は意外に少ない。土曜日の夕方にしては客の入りが少ないような気がする。靴を脱いで座敷に上がる。のどが渇いたのでハイボールを注文。料理は、いかの丸煮、ポテトサラダ、もつ煮込み、かつお刺身を注文。ポテトサラダは至ってノーマル。いかの丸煮は、ワタも一緒になっていて、酒が進むこと間違いなし。
ここは、居酒屋にしては珍しく、ふぐを食べさせてくれるそうである。しかし正直言って、個人的にはふぐの美味さが良く判っていない。食べたこと自体、殆ど無いせいもあるが、少なくとも、あの価格に見合うだけ美味いのか疑問に思っている。昔はそれこそ命がけで喰っていたのだろうが、その気が知れない。別にその価値が判らなければ喰わなければいいだけの話だし、金を無駄遣いすることもなくなるので有難いが・・・。でもこの店のメニューを見ると、コース(てっさ+唐揚げ+てっちり+雑炊)を食べても、しょうさいぶぐだったら3,240円、とらふぐでも4,860円ということで、リーズナブルな価格。これならば、もう一度、確認のために喰ってみてもいいか、という気になってくる。やっぱり、ふぐだったら冬にてっちりか・・・。

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「やしおの湯」でさっぱりした後は、下今市駅乗り換えの「スペーシア」で、豪勢に北千住へ移動。土曜日の上りにしては、結構席が埋まっている。この頃、東武日光発の特急がほとんど無くなり、下今市で鬼怒川温泉発に乗り換えるケースが多くなったが、何か理由があるのだろうか。 
小田急ロマンスカーも半分ぐらいはそうだが、東武日光線の車窓からの眺めは単調。日頃、中央線や青梅線に慣れていると、ひたすらまっ平らな関東平野を走るだけの景色は物足りない。でもまあ、酒と肴さえあれば、さしたる問題にはならないけど・・・。
ところで、ふと思いついて調べてみたのだが、首都圏を発着するレジャー特急の所要時間と料金は以下の通りだった。
  ・塩山→新宿:約1時間25分、JR/かいじ特急券1,860円。
  ・下今市→北千住:約1時間30分、東武/スペーシア特急券1,340円。
  ・箱根湯本→新宿:約1時間30分、小田急/ロマンスカー特急券890円。
  ・西武秩父→池袋:約1時間20分、西武/レッドアロー特急券640円。
ということで、不思議と時間はほぼ同じ、料金はやっぱりJRが一番高いのは思った通りだが、西武と東武で倍半分も違うとは意外や意外。何れにしても、レッドアローは、割と気安く乗れる感じがあるのは、料金の面から明らかである。JRは別として、私鉄3社の違いは、基本的に需要(≒観光地の人気度)と比例しているのだろうと思う。
日光は一応、JRと東武が競合している形だが、事実上、JRは完敗している(JR新宿発、東武日光行の特急を走らせていることがそれを象徴している)。そのため、スペーシアの多少高い価格設定はやむなしと云うことになるのだろう。
日光のタクシー運転手がこぼしていたが、観光客は自家用車でやってくる方が多いし、せっかく電車でやってくる客を乗せても、シーズン中はいろは坂での大渋滞に巻き込まれ、売り上げがちっとも上がらないのだそうだ。それに、昨今増えている外国人観光客は、まず、タクシーには乗らないそうである。それにひきかえ、我々は上得意の客という訳だ。また近いうちにきっと、日光のタクシーにご厄介になる筈である。 

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シトシト雨の中、細尾峠から薬師岳に登り(山の記録はこちら)、あとは「やしおの湯」を目指してズッキンバッコンの尾根歩きをしてきた。それにしても、アカヤシオを見た昨年とたった一週間しか違わないのに、今年はアカヤシオの花は影も形も見当たらず、トウゴクミツバツツジもごく僅か、シロヤシオは終わり掛け、ヤマツツジが丁度花盛り、そして新緑が目に沁みるようだった。去年と比べれば、今年は少なくとも3週間は早い。まことに花のタイミングは難しい。それだけ、春から初夏にかけては、季節の移ろいがダイナミックだと改めて感じる。
山から下りるとどんぴしゃり、目の前が「やしおの湯」だった。合羽を脱いでスパッツを外していると、目の前に大型バスがすーっと横付けされ、中高年ハイカー達がドヤドヤと建物へ入って行った。ひ~!タイミング悪し! 風呂場に行くと案の定、洗い場は順番待ち。恐らくは、女湯の方がさらに大混雑だろう。
湯はややカルキ臭を感じるが、無色透明のつるつるすべすべ系。直ぐ近く(と云っても直線で20kmぐらい離れているが)の、日光湯元のにごり湯とは全く趣が異なるから不思議だ。
風呂から上がったら、ロビーのソファー席へ。団体客はここには来ないと見え、そこそこ空いている。反対側には畳敷きの交流室(何故「交流」なんだろ)もある。ロビーの手前には飲食コーナーがあって、食券販売機が置いてある。ここで、ビールと餃子をいただき、暫し寛いでいると、だいぶ遅れてなおちゃんも風呂から上がって来た。大変な混みようだったらしい。それにしても、団体ツアーで公共施設にやってくるのは、止めてほしいものである。 
ところで、東武日光まで向かったタクシーの運転手は、「やしおの湯」よりも「東照温泉」がお気に入りとのことだった。「以前は、女夫渕温泉だったが・・・」と。へ?だったとは・・・?と訊くと、今は閉館しているとのこと。女夫渕温泉が廃業していたとは知らなかった。これも3.11大震災によるものだそうだ。露天風呂(混浴)は開放感たっぷりで気に入っていたのに残念である。

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かねてより、ネット上で評判の店。高尾駅北口の再開発計画に掛かっているため、昨年末に廃業となるはずだったが、計画が延びて今年一杯になったとのこと。初めて入った店だが、もうあと数カ月の命と聞くと妙に哀しい。ところでその計画では、高尾駅が橋上駅になり、あの趣がある駅舎は何処かへ移築されるらしい。どこの駅も皆、橋上駅になって味が無くなっていく。あの駅舎はなんとかそのままにしてほしいが・・・。
ほとんど高尾山、陣馬山界隈に来ることが無いせいか、高尾駅で途中下車することが殆ど無く、それが故にこの店に来る機会が無かった。これには、銭湯や日帰り温泉(ちょっと離れたところに「高尾の湯ふろっぴぃ」があるけど・・・)が高尾駅界隈になかったせいもある。今日は既に「小菅の湯」でさっぱりしてきたので、今日は絶好の機会である。
ちなみに高尾山口駅前に、この秋「極楽湯」が新規オープンするらしいが、年間三百万人もやってくる高尾山の入口では、芋洗い状態間違いなしだろう。
「あさかわ」は北口バス停のすぐ先なので、駅からも見える。外観は至って簡素。入ってみると、結構テーブルは埋まっていたが、4人掛けのテーブルが空いていたので何とか5人で座った。
さて何を呑もうかと張り紙をじっと眺め、にごり酒にしてみる。とろっとしていてフレッシュ感があり美味い。ポテトサラダ、もつ煮込み、肉豆腐、いかと里芋の煮付け、いか丸干し焼き、ししっぽ焼き、はたはた焼きを頼む。ししっぽ焼きは醤油漬けを干したもので、石川県の特産らしい。ポテトサラダはごくスタンダードだが、白ゴマを振ってある。肉豆腐はさっぱり系。長く煮込んだものではないが、なかなか良い味出している。いかと里芋の煮付けは、いかにもおふくろの味である。
この店は4時半から開いていて、まだ5時半入店でも、もう売り切れメニューがあった。今度はもうちょっと早い時間に来るか。それにしても閉店までもう余り猶予が無い。何とか近所の山に来るプランを捻り出したい。

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鶴寝山でニリンソウに出会った(山の記録はこちら)あとは、凡そ3年ぶりに「小菅の湯」に下ってさっぱりした。いつものように湯上りはビールを求めて、食事処「ひのき」に入り込む。大広間は閑散としている。ふとメニューを見ると、ここは一品料理が充実しているのに気付く。いわな刺身を注文してみた。川魚の刺身を肴に呑むビールも乙である。
かつては、山梨県ではあっても、奥多摩の西の果てというイメージが強かった小菅村だが、その後、上野原駅から松姫峠までのバス線が開通するようになると、山梨の、しかも上野原文化圏にも影響を受けるようになった。この頃は、大月駅と繋ぐ路線も出来たようだ。こうなれば、やはりここは山梨県の一部だとつくづく感じる。
ついでにいうと、奥多摩駅7時25分発が一番バス(間に合わない~(T_T))、次が10時33分発(遅すぎる~(T_T))なので、埼玉くんだりからやってくる登山者にとっては、全く利便性に欠けるバスダイヤである(西東京バスさんよ、これじゃ富士急山梨バスに敵わないですよ)。
ところで小菅村の人口は、なんと700人を割っているそうである(Wikipediaによる、2015年2月現在の推定人口)。いったい何人いたら地方自治体として維持可能なのだろうか、と心配になる数字である。村内に棲息している鹿の数の方がはるかに多いだろう。「もし世界が100人の村だったら」なんて詩があったが、それほど絵空事ではない。ちなみに小菅村役場の職員数は15人ほど。一人で何役もこなす必要があるだろうなあと思う。
他の村の人口を調べてみると、隣りの丹波山村(山梨県)は600人を割っていた。最少の青ヶ島村(東京都)に至っては200人を割っているが、こちらはここ数年殆ど推移に変化が無い。一方、小菅村も丹波山村も、毎年着実に減っていて、もうあと10数年経てばゼロになりそうな勢いだ。
地域の活性化策などで、自治体の魅力を増す取り組みが為されているものの、結局は雇用を生み出せるかどうかにかかっている。いくら「小菅の湯」や「道の駅こすげ」が魅力的で、観光客が集まるからと云って、直ちに雇用が増えると云う訳でもないだろう。これを根っことして、地道に広げて行くのが唯一最善の方法かもしれない。

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小菅の湯HP: こちら 

久しぶりに激混みの新幹線で、上毛高原駅から大宮駅まで立ちっ放し移動。こういうときは、50分足らずの乗車時間が有難い。そう云えば以前、上野から山形まで新幹線で3時間、立ちっ放しだったことがあった。それに比べれば、楽ちんの部類である。とは云えこの頃、朝夕の通勤での正味乗車時間は約30分だし、ほぼ座って行けるので、久しぶりの立ちんぼは暫し我慢。
大宮で途中下車し、「いづみや本店」に入ると、お姐さん店員に指定されたテーブルは一番右奥。この店に入ると、たいていここの席である。予約席のプレートがおいてあるが、関係ない。このテーブルは、常に我々が来るのを待っている、我々のためにあるようなテーブルである(そこまで云うか!)。頭上にあるテレビは、箱根の大涌谷が立入規制されたことを報じている。黒玉子の店は大打撃だろうが、いままで大儲けしている(燃料費ただで、1個10円程度の玉子を、10倍の値段で売っていた訳だ)と思われるので、当分は問題なかろう。 
乾杯の後、2杯目に頼んだレモンハイがなかなか出てこない。忘れたのかと思って見回すと、さっきのお姐さんが作っているところだった。何かの拍子に思い出したのかな。そのまま見ていると、出来上がっても何故かこっちに持って来ず、直ぐ傍の客に渡そうとする。すると、違うと云われたのだろう、あたふたと数メートル移動し、別のお客に持っていくとまた断られたようだ。こっちだよ~、と手を振ると、ちょっぴりはにかんで「迷っちゃった」と仰る。自らの職場で迷うとはなかなか出来ない芸当だが、これでも仕事が務まるのだから大したものである。かくのごとくこの店は、お姐さんがいい味出している。
そのうちに、「わかめときゅうりの酢の物」(280円)を頼んだのに、出てきたのはどう見ても「たこ酢」(360円)だった。これもこの店の味のうちである。締めに、たぶん初めてチャーハンを喰った。思いの外、美味い。この意外さも、この店の味である。

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谷川岳ツアー最終日、造り酒屋見学の後は、昼食。やっぱり蕎麦でしょ、ということで、わずか3週間ぶりで「天丸」に再び入店。特段贔屓にしている訳ではないが、とにかくここは我々にとって立地条件が非常に良い。新幹線の時間を見ながら一杯やって蕎麦を手繰ることができる、上毛高原駅界隈で唯一の店と云っていい(駅構内に立ち食い蕎麦屋があるけれど・・・)。
新治タクシーの古株運転手に、この店と上毛高原駅とで、どちらが古いのか訊いてみたが、たぶん蕎麦屋じゃないかな、とややあやふやながら答えが返ってきた。それが本当だとしたら、本来、蕎麦屋にとっては千載一遇のチャンスだった筈だが、どうも我々以外の客は皆、車でやってきているように見える。食べ終わって駅に向かう客は見あたらない。ということは、立地条件には関係なく、それなりの客の入りがあるようだ。
我々が到着したときにはほぼ満席で、暫し待つことになった。やがて小上がりが空いたが、7人では2テーブルに分かれることになるとのこと。そこで、1テーブルに(女性陣は皆スリムなので)7人が犇めき合って座った。我々が落ち着いた後も、来客が引きも切らない。
2回目ともなると、もう勝手を知っているので、ビール乾杯の後は、地酒の「誉国光本醸造」と「水芭蕉吟醸酒」を其々頼む。この2つの酒とももうすっかり馴染みだ。つまみもほぼ前回同様、板わさ、山菜盛り合わせ、天麩羅盛り合わせ、もつ煮込み、月見芋、漬物盛り合わせ、となる。どれも(月見芋を除き)群馬の地酒に良く合う。
あらかた出来上がったら、締めは勿論、もりそば。今日もしっかりコシがある。ありがたい、ありがたい。またの機会まで、暫しさようなら。

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谷川岳を登った翌日は完全観光モード、リサーチャーなおちゃんが見つけ出した造り酒屋「大利根酒造」に行ってみる。日本ロマンチック街道に面しているので、尾瀬や金精峠に向かう際、何度もこの前を通っているはずだが、これまで気が付かなかった。そもそも、この酒蔵のブランド「左大臣」だって申し訳ないが知らなかった。
重厚な造りの建物に入ると、酒蔵の主と思しき男性がお出迎え。色々と説明していただく。見上げると、「國酒」と書かれた色紙が目に入る。「國酒」という云い方があるのを聞いたのも初めてだが、その色紙を歴代総理大臣が書いていたと知ったのも初めてだ。
あるWeb記事によれば、これを始めたのが大平元総理だそうだ。ここの一番右にある色紙は、まさしく大平さんの揮毫だった。ずらりと並んだ歴代総理大臣の色紙をぱっと見ると、民主党政権の方々は皆、下手っぴーである。野田さんのは、見ている方が恥ずかしくなる程ひどい。一方、自民党の歴代総理は総じて上手。大平さんの字もなかなかだと思うが、直ぐ辞めて有名な宇野元総理と、麻生現副総理は素人が見ても特に達筆である。安倍首相のは当然のごとく2枚あるが、1枚目の筆の運びがやけに自信無さげに見えるから不思議である。
その後は、しばし酒の造り方講義。興味深かったのは、酒造りでは洗米が決め手であるとの言葉。水の浸し具合によって麹菌の浸行具合を左右させるため、秒単位で時間管理するらしい。主は時間さえ許せば、いくらでも酒造りについて熱く語ってくれそうである。通常は主おひとり、最盛期でも近所から3、4人の応援を頼む程度で酒を造ってしまうらしい。杜氏は雇っていないそうである。勿論、造る量に限度はあるようだが、たったひとりでも造ることができるとは驚いた。
ひと通り説明を受けた後、待望の試飲タイム。巨大冷蔵庫から取り出された尾瀬の雫・本醸造、左大臣・純米、左大臣・本醸造、花一匁・純米吟醸、白貴・にごり酒を順々に賞味させてもらう。総じて淡麗辛口系だが、左大臣・純米と花一匁・純米吟醸は、少々複雑な味を持っていて、面白い。折角なので、純米吟醸をお買い上げ!

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大利根酒造のHP: こちら 

今年の谷川岳は、残雪の溶け具合が思いの外早く、雪が軟弱で歩き難いだけでなく、熊穴沢避難小屋までのルートの一部は、思わぬトラバースと藪漕ぎで結構扱かれた。残雪の山は、雪の状態が刻々と変化していくので、靴を通した感触での状況判断が欠かせないが、今年は特にそうだ。
登頂を果たした後(山の記録はこちら)の下りは、頭の中にビールがチラつき出すが、往路と同じく、トラバースする個所をやり過ごすまでは安心できない。その後は適宜、シリセードしながら天神平に到着してホッとする。ここでこのままビールが呑めれば最高なのだが、何故か天神平の駅にはそのような施設はない。
考えてみると、世にあるロープウェイ山上駅で、ビールが呑めない処は少ないと思う。那須岳ロープウェイぐらいか(下りで利用したことが無いため、定かではないが・・・)。今までで最高の場所は、木曽駒ケ岳ロープウェイの千畳敷駅のテラスだろう。ここにはホテルまである。そう云えば、吹雪の時に泊まり、建物から一歩も外へ出られなかったことがあった。
天神平は、木曽駒ケ岳に匹敵する眺めが得られると思うが、この豪雪エリアに展望レストランを造るのは難しいのかも知れない。でもやっぱり、この景色を見ながら呑むビールは最高だと思う。何とかならないものか。
それはともかく、仕方ないので山麓駅(ベースプラザ)でビールを呑むべく、下りのロープウェイに乗り込む。下るにつれ目の前の朝日岳、烏帽子岳が、白毛門に隠れて順々に見えなくなっていく。なかなか素晴らしい眺めの筈なのだが、もう頭の中はビールで一杯になっているので、約15分間、悶々とするのみ。
山麓駅に着いたらベースプラザへまっしぐら。外のテラス席だけは客で埋まっている。辺りの景色は天神平に較べるべくもないが、ビールさえ呑めれば、とりあえずそれは大した問題ではない。歩いた直後のビールはとにかく最高である。

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ゴールデンウィークはこの頃、露天風呂付き温泉旅館をベースキャンプにした山登りという、これ以上ない楽ちんツアーが続いている。そんな都合が良い旅館は日本広しといえども、そうはない。ここ、川古温泉は宿と温泉自体、まったく申し分ない。谷川岳に登るにはやや交通が不便(≒タクシー代がかかる)だが、そんなのはこの際、二の次。
川古温泉浜屋旅館は、自然の真っただ中に、ポツンとある感じ。まさしく俗世間とは隔絶されたところにある。ここに来る客は、基本的に自然の中でゆったりしたいと思っている方々ばかりのようで、我々のような登山姿はいない。昼間にせこせこ山登りしたりせず、何にもせずにぼーっとするにはもってこいなのだろう。湯治客向けに1泊3食付きの低価格プランもある。基礎代謝量が低空飛行の者には丁度いいかも知れないが、我々のように呑んでばかりいては、大した違いにはならない気がする。
着いたら先ずは風呂だ。広い露天風呂には、けっこう堂々と女性が入っていたりするが、この宿では(けしからぬことに女性にとってはありがたい)入浴衣(650円)を売っていて皆さん、愛用しているようである。湯はかなりぬるめなせいか、湯船に浸かりながら本を読んでいる人も見受けられる。まこと優雅な湯浴み。見習いたいものだが、こっちはうっかりすると湯当たりしてしまうのでそうもいかない。
湯上りはビールだが、部屋の冷蔵庫にあるビールは残念なことにやけにぬるかった。あとで気が付いたが、食堂にある自動販売機のビールの方がずっと冷えていた。ともあれ、さっぱり汗を流し部屋に戻り、窓の外の新緑を愛で、川の流れを聞きながら飲み干すビールは何ものにも代え難い。これだけでここに来た価値があると云うもの。
でもこのあとはいつものように、夕食前に、皆が持ち寄った日本酒、ワイン、酒の肴で一杯やる。これも泊まりの楽しみの一つである。夕食に差支えないように呑み喰いするのがなかなか難しいので、結局いつも喰い過ぎになる。たまにだから、まっ、いいか!


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川古温泉浜屋旅館のHP: こちら

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