「わ行」 他の作家
May 29, 2011
心に勝るものはなし 【by ぶんこや】
やっちまったよ、のぼう様。
総勢二万の石田の大軍に、そんな手法で体当たりかよ!
策があるのかないのか、はては愚か賢か。策略家なのかただの天然か。
ただ一つ言えることは、のぼう様は只者ではない。
のぼうの城 下 (小学館文庫)
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おもえば名将とは、人に対する度外れた甘さを持ち、
それに起因する巨大な人気を得、それでいながら
人智の及ばぬ悪謀を秘めた者のことをいうのではなかったか。
一般的に使われる「名将」という言葉はまったくふさわしくないのぼう様だが、幼なじみの豪傑、丹波はこのような言葉を持って長親を分析し、畏怖している。一見とらえどころのない長親の真の姿を、まさに名将の名にふさわしい丹波だけが正確に見抜いていたのかもしれない。
のぼう様は農民の味方だ。言うまでもなく、この時代武士は農民の上の身分であって、農民に味方するとかしないとか、そういう立場ではない。もちろん、そういう感情もない。普通は。
たった500の軍勢で天下の秀吉直属の石田三成軍を尻ごみさせ水攻めを破ったのは、のぼう様に戦の能力があったからではない。のぼう様にあったのは類稀な吸引力だ。人望という言葉も少しちがう。みんな、のぼう様がただ好きなだけなのだ。部下も領民もみんな。のぼう様は、そんな彼らの気持ちを知りぬいていて、それを利用(というと言葉は悪いが)することにより、水攻めを見事阻止したのである。
豪傑とは言い難く、また叡智に優れたというのにも程遠いのぼう様だが、そしてまた、本物の成田長親がそういう人物であったのか本当のところはわからないが、こういう武将がいたっていいじゃないか、と思う。そして、人を動かす大きな力の一つは、心であることは間違いないんだなあ、と思う。
人の心を手に入れることができたトップの人間は、やっぱり強い。
昔も今も。
April 18, 2011
天性の魅力 〜のぼうの城(上)〜 【by ぶんこや】
のぼうの城 上 (小学館文庫)
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歴史が好きで時代小説も好きだけど、なぜか戦国だけは苦手である。
ひとつには、その人物が語られるとき、どうしても戦術の優劣から評価されてしまうからだと思う。もちろん、戦いにおける胆力や知力の有無がその人物の魅力になるのは確かであり、そこから武将たちの個性が生まれるわけである。でも、たぶん、すべての人間性が闘いに向かっているところが、わたしの好みではない。
しかし「のぼう様」は、わたしの戦国苦手意識を一掃してしまった。
歴史に名を連ねる堂々たる武将たちの中で、のぼう様は悲しくなるほど腰ぬけである(笑) ぼんやりと農作業を眺めるのが大好きで、馬にもろくに乗れず、おつむりのほうもあまりよさそうには見えない。のぼう様の「のぼう」は、でくのぼうの省略形に申し訳程度に「様」をつけたというのだから情けない。家臣たちはもちろん、農民たちにまで適当にあしらわれ、「のぼう様は邪魔だから向こうに行ってて」なんて言われてしまう。それでものぼう様は、東国にある忍城の城主・成田家の嫡男である。
しかしのぼう様には将器が備わっているという。武士と呼ぶのははばかれるほどの弱虫城代の将器とは、人を惹きつける力だ。力や統率力や胆力があって人を惹きつけるわけではない。言葉では言い表せないような人間的な魅力が身分を越えて人の心を惹きつけてしまうのだ。それも、「のぼう様のために」戦うのでは決してなく、「のぼう様はたよりなくて助けてやらねばならん」から一緒に戦ってしまうという、とってもへんな吸引力だ。
一つ打ち明ければ、この作品、気にはなっていたが絶対に読みたいとは思っていなかった。縁があったら読もう、くらいにしか。しかしこの作品が映画化されるという情報で主役は野村萬斎さんがやるということを知って、いてもたってもいられなくなってしまったのである(笑) 萬斎さんが演じる戦国武将なら普通の人ではなかろう、と。
醜男でナリばかりがでかいのぼう様の容貌描写は、萬斎さんのイメージとなかなか合致しなくて前半はちょっと首をかしげたけれど、茫洋としてとらえどころのない、でもものすごい強烈な魅力と人間性の大きさを感じたとき、萬斎さんとぴたりと重なった。これはたしかに、萬斎さんにしかできない役かもしれない。暢気でピュアなでくのぼうをコミカルに、それでいて魅力的に演じることができるのは、きっとこの人しかいないなあ!
映画ももちろんだけど、それよりまず下巻が楽しみだ。
わずか五百の百姓部隊で、総勢二万の石田三成軍に、のぼう様はどんな戦をしかけるのだろうか。
〜下巻へ続く〜
November 07, 2007
このよでいちばん すきなのは 【by ぶんこや】
ぼくらのなまえは ぐりとぐら
このよでいちばん すきなのは
おりょうりすること たべること
ちょっと、いきなりどうしちゃったの? ぶんこや、壊れ気味?!(汗)
いやいや。
これはぶんこやが幼少のみぎりに大好きだった(今でもときどき手にとってしまう)、中川李枝子さんの『ぐりとぐら』の中で、ぐりとぐらがでっかい卵を見つけてでっかいカステラを焼きあげているシーンです。 ぐりとぐら (こどものとも傑作集)
ところで、作家さんたちの中には料理好き、料理上手な人が多いとおもいませんか? 食に対して貪欲な人が多いような。ぶんこやの好きな小説の中には、すばらしい料理シーンが出てくるものが多いです。「かわせみ」しかり。村上春樹しかり。逆に言えば、食べ物描写が素晴らしい作品は、それだけで好きになったりします。
・・・ぶんこやの「このよでいちばんすきなこと」は、もちろん本をよむこと、そして、「おりょうりすること たべること」。
本好きにも料理好き、食いモン好きな人は多いんじゃないでしょうか?
ちかごろ自分の投稿する本レビューがちっともおもしろく感じられない。すっかりマンネリ化してしまって、いかん。がっちがちに本のレビューに固執もすてき(笑)だけど、やっぱりブログは自分で楽しめなくちゃあ、ということで、気まぐれにこんな記事を書いています。ま、それでも基本は読書ブログですので・・・。
なんのひねりもないふつうのスープ。それにしても、料理の写真は華があっていいねえ〜♪
このよでいちばん すきなのは
おりょうりすること たべること
ちょっと、いきなりどうしちゃったの? ぶんこや、壊れ気味?!(汗)
いやいや。
これはぶんこやが幼少のみぎりに大好きだった(今でもときどき手にとってしまう)、中川李枝子さんの『ぐりとぐら』の中で、ぐりとぐらがでっかい卵を見つけてでっかいカステラを焼きあげているシーンです。 ぐりとぐら (こどものとも傑作集)
ところで、作家さんたちの中には料理好き、料理上手な人が多いとおもいませんか? 食に対して貪欲な人が多いような。ぶんこやの好きな小説の中には、すばらしい料理シーンが出てくるものが多いです。「かわせみ」しかり。村上春樹しかり。逆に言えば、食べ物描写が素晴らしい作品は、それだけで好きになったりします。
・・・ぶんこやの「このよでいちばんすきなこと」は、もちろん本をよむこと、そして、「おりょうりすること たべること」。
本好きにも料理好き、食いモン好きな人は多いんじゃないでしょうか?
ちかごろ自分の投稿する本レビューがちっともおもしろく感じられない。すっかりマンネリ化してしまって、いかん。がっちがちに本のレビューに固執もすてき(笑)だけど、やっぱりブログは自分で楽しめなくちゃあ、ということで、気まぐれにこんな記事を書いています。ま、それでも基本は読書ブログですので・・・。
なんのひねりもないふつうのスープ。それにしても、料理の写真は華があっていいねえ〜♪