NadegataPapaのクラシック音楽試聴記

クラシック音楽の試聴記です。オーケストラ、オペラ、室内楽、音楽史から現代音楽まで何でも聴きます。 カテゴリーに作曲家を年代順に並べていますが、外国の現代作曲家は五十音順にして、日本人作曲家は一番下に年代順に並べています。

2023年05月

モーツァルト「ピアノ協奏曲第8番“リュッツォウ” K.246」 P :シフ、ヴェーグ指揮カメラータ・アカデミカ・モーツァルテウム・ザルツブルク

Piano Concertos
Decca Import
1995-09-06

モーツァルトのピアノ協奏曲第第8番“リュッツォウ” K.246は、1776年4月にザルツブルクで作曲された。リュッツオウとは父レオポルトのピアノの弟子リュッツォウ伯夫人アントーニエのこと。1738年生ま れなので、この時38歳。彼女のために依頼されて作曲されたためのこの名前がついた。技術的な手加減なしに書かれていることから、アントーニエのピアノの腕前は確かなものだったのだろう。

リュッツオウ家はザルツブルクの名家で、リュッツォウ伯爵はホーエンザルツブルク要塞の司令官にしてコロレド大司教の親戚だった。アントー二エは二番目の奥さん。

モーツァルトはこの曲が気に入っていたらしく、後にも演奏したようで、第1楽章と第2楽章のために書いたカデンツァが残っている。

アンドラーシュ・シフとシャンドル・ヴェーグ指揮カメラータ・アカデミカ・モーツァルテウム・ザルツブルクによるモーツァルトピアノ協奏曲全集からの1枚。シフとヴェーグは共にハンガリー系という事で気心が知れるのかも。

シフのピアノは繊細で感受性豊かな演奏だが、この演奏の立役者はヴェーグと彼のオーケストラだ。音が立っているというか、生き生きとした感興がとても素晴らしく、生気が漲っている。音色はこなれており、ちょっとしたフレーズにも血が通っていて、モーツァルトを聴く喜びを満喫させてくれるオーケストラは他にない。

モーツァルト
「ピアノ協奏曲第第8番“リュッツォウ” K.246」
ピアノ:アンドラーシュ・シフ
指揮:シャンドール・ヴェーグ
管弦楽:カメラータ・アカデミカ・モーツァルテウム・ザルツブルク


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モーツァルト「ピアノ協奏曲第7番“ロドロン”」P:ユッセン兄弟、マリナー指揮アカデミー室内管

MOZART DOUBLE PIANO CONCE
MOZART, W. A.
DGG
2016-03-07

モーツァルトのピアノ協奏曲第7番“ロドロン”は、「3台のピアノのための暢奏曲」とも呼ばれ、その名の通り3台のピアノで演奏のために書かれている。

1776年2月にザルツブルクで作曲された。ザルツブルクの名門貴族ロドロン家 (Lodron)のために書かれており、演奏するのは伯爵夫人アントニーナ、その令嬢アロイジアとジュゼッパを想定している。彼女たちのフォルテピアノの腕前はプロの演奏家とはいかなかったようで、比較的平易なレベルで書かれている。

アントニーナとアロイジアが弾く第1ピアノと第2ピアノに比べて、ジュゼッ パが弾く第3ピアノは更に軽く書かれており、奏者に合わせた曲の構成が配慮されている。

その後、モーツァルト自身が第3ピアノをカットして「2台のピアノのための協奏曲」に作曲しなおしている。1780年に変更版をモーツァルトはナンネルと共演した記録が残っている。

ユッセン兄弟はオランダのピアノ ・デュオ。ルーカス・ユッセン(1993年2月 27日生まれ)とアルトウール・ユッセン(1996年9月28日生まれ)の二人 活動している。

音楽一家の出身で、母親のクリスチャンネ・ファン・ゲルダーはフルートを教えており、父親のポール・ユッセンはヒルベルサムのオランダ放送フィルハーモ二 ー管弦楽団のティンパニストとアンサンブル・ダ・カーポのパーカッショニストである。

兄弟はピアノ教師のヤン・ウィンに師事じている。彼らはマリア・ジョアン・ピレスに住み込みで学び、ピアニストのリカルド・カストロやラン・ランと共演し たこともある。

2006年11月24日、10歳と13歳の兄弟は、コンセルトヘボウ(アムステルダ ム)で、ヤープ・ファン・ズヴェーデン指揮オランダ放送室内フィルハーモニー とピアノ協奏曲第10番(モーツァルト)を演奏した。

2009年11月30日には、ミヒャエル・シェーンヴァント指揮の同オーケストラ と「2台のピアノのための協奏曲(プーランク)」を演奏した。2010年3月12 日、ユッセン兄弟はドイツ・グラモフォンと録音契約を結び、モーツァルトとプーランクの協奏曲のほか、デュオやソロの作品を録音している。

2013年10月から2年間、アメリカでメナヘム・プレスラーに師事した後、ル ーカスはマドリードのレイナソフィア音楽院でドミトリ・バシキロフに引き続き師事した。また、オランダ室内管弦楽団のアーティスト・イン・レジデンスでもある。アルトゥールはアムステルダム音楽院でヤン・ヴァインに師事した。

演奏は愉悦に満ちた素晴らしいもので、生き生きとした躍動感が聴いていて楽しくなってくる。二人のソロも、バックのマリナーとアカデミー室内管も完璧に息の合った演奏を繰り広げていて、この曲の新鮮な魅力を十二分に堪能できる名演。

モーツァルト
「3台のピアノのための協奏曲ヘ長調(第7番)K.242 (作曲者自身による2 台ピアノ版)」
「2台のピアノのための協奏曲変ホ長調(第10番)K.365」
「4手のためのピアノ ・ソナタ ニ長調K.381」
ルーカス・ユッセン(ピアノ) Lucas Jussen
アルトゥール・ユッセン(ピアノ)Arthur Jussen
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(アカデミー 室内管弦楽団)
サー・ネヴィル・マリナー(指揮)
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モーツァルト「ピアノ協奏曲第6番K.238」 P:エマール、ヨーロッパ室内管

Piano Concertos No 6 15 27
Warner Classics
2005-10-17


1773年12月にピアノ協奏曲第5番を書いて以来2年ぶりの1776年1月、次なるピアノ協奏曲第6番がザルツブルクで書かれた。作曲動機は分かっておらず、技術的な離易度が高いことから、自身で演奏するためか、姉ナンネルが演奏するために書かれたのではないかと思われる。

20世紀音楽やフランス音楽のピアニストという印象が強いエマールだが、ベー トーヴェンの協奏曲全集に続いて、2005年にはモーツァルトの変ロ長調の協奏曲3曲をリリースした。いずれもオーケストラはヨーロッパ室内管。

とてもデリカシーに満ちた演奏で、オーケストラの序章からニュアンス豊かな音楽が聴ける。細部まで配慮が行き届き、音色も歌い方もとても美しい。エマールのピアノもクリスタルの様に透明感があって、キラキラと光り輝いている。

半面、情緒的な感情の揺れの様な物は全く感じられず、物悲しいフレーズでも心が沈んだりしない。あくまで澄んだ音色と明るいタッチで透明なモーツァルトを紡いでいく。まさに現代のモーツァルトって感じで、ここまで徹底されると大きな説得力がある。

今回の成功には、2つの要素が大きく寄与している。まず、エマールの卓越し たテクニックは、最小限のペダルで極めて明瞭な演奏を可能にし、それでいてドライで傲慢な印象を与えることはない。エマールの演奏は、個性豊かでありながら笛のようにクリーンだ。

次に、ヨーロッパ室内管弦楽団の貢献は大きなプラスである。K238は、オーケストラの貢献が大きく、細部まで行き届いており、 20歳のモーツァルトのインスピレーションの質の高さに驚かされる(特に奇 跡的な緩徐楽章)。

モ—ツァルト
「ピアノ協奏曲第6番K.238」
ピアノと指揮:ピエール=ローラン・エマール Pierre-Laurent Aimard
管弦楽:ヨーロッパ室内管弦楽団

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モーツァルト「セレナード第6番 ニ長調K.239“セレナータ・ノットウルナ”」 オルフェウス室内管

Mozart:Serenades K.239/388/525
Mozart, W.A.
Imports
1993-09-01

モーツァルトのセレナード第6番 ニ長調K.239“セレナータ・ノットウルナ”は、1776年1月ザルツブルクで作曲された。モーツァルトは20歳になった。1月から数週間行われる謝肉祭のために書かれたと考えられている。自筆譜に「Serenada Notturna」と書かれているが、筆跡鑑定から別人が書いたものとされている。

編成が変わっていて弦楽合奏が二つに分けられ、ティンパ二イが活躍する。二つの弦楽合奏の掛け合いによって曲が進んでいく。

オルフェウス室内管弦楽団はチェリストのジュリアン・ファイファーを中心に 1972年に創設されたアメリカ合衆国の室内管弦楽団。弦楽器16名、管楽器10 名の計26名を基本としている。1980年代にDGGと契約して数々のCDをリリースし、「指揮者なしでここまで 演奏できる!」と話題になった。

演奏は細部までしっかりコントロールが行き届いた精緻なもの。一糸乱れぬアンサンブルを作り上げており、確かにこれを指揮者なしに成し遂げているのは驚異的だ。もっとも聴く方とすれば指揮者がいようといまいと関係ないのだが。

トゥッティも短く鋭い音が使われ、これ以上ないくらい合っているが、こうしたキビキビした演奏は少々息苦しくもある。もうちょっとほっとする所があってもいいんじゃないかと思うのは個人的な好みだろうけど。

最後に入っているアイネ・クライネ・ナハトムジークも速めのテンポで同様の演奏。

Eine-Kleine-Nachtmusik

モーツァルト「ミサ曲第11番’’オルガン・ソロ・ミサ"K.259」クリード指揮ウィーン少年合唱団


モーツァルトのミサ曲第11番’’オルガン・ソロ ・ミサ"の作曲時期は、1775年か1776年のザルツブルクではっきりしないが、クリスマス用の典礼ミサである。ベネディクトゥスにオルガンのソロが入っているので“オルガン・ソロ ・ミサ’’と呼ばれている。この演奏ではとてもチャーミングな音色が選ばれていて、クリスマスの雰囲気に相応しい清らかさが感じられた。

とても充実した演奏で生き生きとした音楽が奏でられている。特筆すべきはボーイ・ソプラノでジャケットに名前がないので個人名は分からないが、ウィーン少年合唱団の一員だろうか。少々音程的に危うい所があるが、そこがまた初々しくていい。とても純粋な声で、正に天使の歌声というに相応しい歌を聴かせる。

マーカス・クリード(Marcus Creed, 1951年4月19日-)は、イギリスの指揮者。イングランド南部イースト・サセックスのイーストボーン出身。1998年 から、ケルン音楽舞踊大学の合唱指揮の教授を務めている。

ペーター ・マルシック(指揮)は、1958年ウィーン生まれの指揮者。ウィーン少年合唱団(Wiener Sangerknaben)のメンバーであった。ウィーンの音楽大学でピアノ、歌、作曲、指揮を学ぶ。1981年、「歌とオラトリオ」のディプロマを優秀な成績で取得した。

ピアニストであり、「ベートーヴェン・トリオ、ウィーン」の創設メンバーでもある。ウィーン・ゼンゲルクナーベンの合唱団長となり、1991年から1996年まで芸術監督を務めた。ウィーン音楽大学では、声楽、伴奏、楽譜の読み方について講師を務めている。

ピアニスト、歌手、指揮者として、ラジオ、テレビ、ディスクのレコーディングを行う。コンサートツァーは、ヨーロッパ、北米、南米、日本、オーストラリア、ニュージーランドに及ぶ。1995年、オーケストラ・アカ デミー "Aesthetica in nuce "を設立。1998年から2003年までキール歌劇場の第一カペルマイスター、2004年から2007年までメクレンブルク州立劇場シュヴェリンの第一カペルマイスター、2007年9月から2013年8月までクラーゲ ンフルト市立劇場の首席指揮者を務めた。

ウィーン国立歌劇場合唱団、ローマ・サンタ・チェチーリア音楽院、メキシコ国立管弦楽団、べネズエラ国立管弦楽団、ブラティスラヴァRSO、ブランデンブルク・コレギウム(ニューヨーク)、デンマーク放送シンフォニエッタ(コペンハーゲン)と協演している。

レオポルディヌム室内管弦楽団ブレスラウ、スロヴアキア国立フィルハーモニー管弦楽団、スロヴァキア放送交響楽団、ロンドン・ アカデミー、 シュトウットガルター・フィルハーモニカー、ウィーン•フォルクスオーパー交響楽団、ウィーン国立オペラ座管弦楽団(ウィーン・ホーフムジークカペレの客演指揮者としての参加)。

モーツァルト
「ミサ曲第11番“オルガン・ソロ ・ミサ” K.259」
指揮:マーカス・クリード Marcus Creed
ペーター・マルシック Peter Marschik
ウィーン少年合唱団 Wiener Sangerknaben
アルテンベルク少年合唱団 Altenburger Sangerknaben
リアス室内合唱団 RIAS-Kammerchor
C51153

バッハ「ブランデンブルク協奏曲」ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内管

バッハ:管弦楽組曲第2番
シュトゥットガルト室内管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック
2005-05-25


高校生の時初めて買ったバッハのレコードはミュンヒンガー指揮ブランデンブルク協奏曲だった。廉価版をたくさん出しているロンドン・レコード(Decca)から出ていた2枚組。ミュンヒンガー3度目の録音で、メンバーにフルートのオーレル・ニコレ、オーボエの宮本文昭、ヴァイオリンのストイカ・ミラノヴァの名前がある。

それまで大オーケストラで情緒たっぷりに演奏されていたバロック音楽を、室内管弦楽団による少数の演奏でスッキリしたスタイルに変革した。またアンサンブルを徹底的に磨き上げることで一糸乱れぬ楽器に仕立て上げた。

「規律による訓練が一番大切です。どの一人の独奏者もアンサンブルの中の自分の役割と、解釈された作品の内容をすみずみまで理解して演奏しなければならない。つまりオーケストラの全員が一体になって意思を完全に表現するのです。私は優秀なソリストと団員に助けられている」ウィキペディア

こうした取り組みは、当時新しいバロック音楽像を打ち立て好評を博したが、アーノンクール、ピノック、ホグウッドなどのより徹底した古楽器奏法が出てくるに従ってもはや斬新とは言えなくなった。

ミュンヒンガーはブランデンブルク協奏曲を3回録音している。3回ともアマゾンミュージックで聴くことができるが、いつの録音か表記がないので音質で判断するしかない。1回目のものは明らかに昔の録音で音が貧弱なのですぐ分かる。

2回目と3回目の区別も比較的容易に判断できる。音質に違いがあるが、演奏様式にも明らかな違いがあり、ウィキペディアに書れていた様な、謹厳実直というか杓子定規というか、自由な音楽的感興の盛り上りはあまり感じられず、四角四面に正確なアンサンブルを目指している演奏なのは2回目だろう。

これが3回目になるとそうした息苦しさは解消され、優雅ともいえる演奏に変わっている。私にとっては、この演奏手法や暖かい響きはとても懐かしく、一時代を築いたという充実を感じることができる。

それは一方では当時の大オーケストラによる演奏を小規模にスッキリさせた演奏ということもでき、万人受けはするがそれまでの特徴だったミュンヒンガーの個性は薄くなってしまった気がする。

3回目は聴きやすいし美しいが、2回目の「そこまでするか!?」といった徹底した面白さはなくなってしまった。

LPレコードでは第何番かが曲の途中で2枚に分割されていたのが玉に瑕。

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲
シュトゥットガルト室内管弦楽団
ポリドール
1993-04-24





R-6920558-1582037134-6023

レオポルト・モーツァルト「交響曲集」バーメット指揮ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ


ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの父、レオポルト・モーツァルトの交響曲集。レオポルトの作品としては昔から「おもちゃのシンフォニー」がよく知られていたが、近年の研究ではこれは他人の作ということが判明した。

レオポルトは優れたヴァイオリニストで、著書「ヴァイオリン奏法」はヨーロッパ各地で出版されるなど、音楽家としてもレオポルトは一流であり名前も知られた存在だった。

しかし作曲家としては残した作品は決して多くはないので、埋もれた作曲家、主にヴォルフガング・モーツァルトの父としてしか知られていない。それは多分自身の作品よりも息子ヴォルフガングの作品の方が優れていることをよく知っていたからだろう。

レオポルトの功績は、何といっても幼いヴォルフガングの才能を見出し、英才教育を施して神童を真の天才に育て上げたことだろう。その過程ではかなり強引な売り込みをかけ、周囲からは「何から何までお膳立てをしてやり、甘やかしすぎている」と言われたりして、少々親バカというか、溺愛している面があったことは否めない。

しかし、著名な音楽家に天才の息子が生まれたら、誰だって狂喜乱舞し有頂天になり、何としてでも世に出しやらなければ!と思うのは当然だろう。そのことがヴォルフガングの重荷になり、結局反発した若者は父の元を飛び出し、父は報われず一人残されるのは、世間ではよくある話ではある。

ここではレオポルトが書いた交響曲が6曲収録されている。続けて聴いても、あまり印象に残らないというか、聴衆の耳を引き付ける魅力に欠けると思ってしまうのは如何ともしがたい。

Mozart family

モーツァルト「ミサ曲 第10番“シュパウアー ・ミサ” K.258」ポール・ブラウ指揮ケブル・カレッジ・オックスフォード合唱団

Resurrexi Easter in Vienna
Various Artists
Crd
2022-04-01


モーツァルトのミサ曲 第10番“シュパウアー ・ミサ” K.258は、1775年12月にザルツブルクで作曲された。この時期モーツァルトは立て続けにミサ曲を書いている。

この曲が「シュパウァー・ミサ」と呼ばれているのは、1776年11月11日にザルツブルクでシュパウァー伯欝の聖職受任式があり、そのときのミサのために作曲されたとされていたからだが、その後の研究でシュパウァー伯爵のための曲は別の曲だとされた。通称「シュパウァー・ミサ」はそのまま使われ続けている。

このCDではミサ曲第10番以外にも、モーツァルトのレエジナ・チェリK.276が最初に入っていたり、途中で詠唱が入ったり、ミヒャエル・ハイドンの宗教曲が入ったりして、実際のミサが執り行われている様な感じになっている。これはどういう意図なのか、その筋に詳しくないので分からないけど、ただ演奏を録音したのではない雰囲気は伝わってくる。

録音も声楽中心に録られている気がする。主役は4人の独唱者と合唱団。オーケストラは後ろの方で伴奏に徹するかのように遠めに録られている。独唱者の定位がハッキリしていて、特にヘッドフォンで聴くと各独唱者が歌い交わす様子が立体的に感じられてとても面白かった。広々とした空間が感じられる合唱も良く捉えられている。

ポール・ブラウは、1963年ロンドン生まれの教会音楽家、合唱団長、オーケストラ指揮者。王立音楽院教授(2004~2022)、セント・メリーズ、ボーンストリー 卜(2015~2022)とケブル・カレッジ、オックスワオード(2020~2022)の音楽監督を最後に退官した。

定期的に客演指揮を行い、BBCシンガーズ(首席客演指揮者2011~2016)、BBC交響楽団、BBCフィルハーモニックなどイギリスの管弦楽団と共演している。また、2007年か2010年まで、ピリオドオーケストラ「ハノーファーバンドの首席指揮者を務めた。

ピアニスト、歌手、打楽器奏者として訓練を受け、ポーツマス・グラマー・スク ール(1971-1973)、ダルウィッチ・カレッジ(1973-1981),王立音楽院(1981- 1983)で学ぶ。その後、王立音楽院(1994-1997)で指揮を学び、ミーカー・フェローシップ(1997-1998)を取得した。

RAMの教授としての18年間に加え、ロンドンのキングス・カレッジで16年間、音楽の助講師を務めた(1994〜1999年、2002〜2013年)。1999年から2007 年まで、ロディーン・スクールの音楽科で教鞭をとった(音楽監督1999-2002 年)。

彼の栄誉は、ケンブリッジのゴンヴィル・アンド・カイウス・カレッジの永久会員(2020年)と、「音楽専門職への多大な貢献」に対してロイヤル・アカデミー・オブ・ ミュージックのアソシエイトシップ(2007年)である。

ポール・ブローは次のように書いている。「最近の大学合唱団の録音は、すべて出所が必要なようです。そこで、私たちがここで何をしょうとしているのかを説明するために、いくつかの事実と形容を 集めてみます。

私たちは、歴史、典礼、神学、音楽学のレッスンをしようとしたわけではありません。この音楽とそれに付随する典礼がどのように行われたかを正確に伝えようとはしていません。ただし、アンティークのレースや金の布が何ヤードも着用されたことは確かです。また、典礼の再現を試みているわけでもありません(ただし、音楽の多様性を際立たせるために典礼の順番で紹介しています)。

私たちは、18世紀末のザルツブルクやオーストリア・ウィーンで聴かれたものと、21世紀初頭のイギリス・オックスフォードで聴かれたものを融合させ、2つの熱心なグループによって音で祝われるイースターの力強い真実を皆様にお届けしています。

ケブル・カレッジは、1870年に、より控えめな背景を持つ学生が大学に入学できるよう設立されました。」

モーツァルト
「ミサ曲第10番“シュパウアー ・ミサ” K.258」
エミリー ・ディケンズ Emily Dickens
レベッカ・ジョーンズ Rebekah Jones
フィリップ・デュラント Philippe Durrant
グラハム・カーク Graham Kirk
ケブル・カレッジ・オックスフォード合唱団 Choir of Keble College Oxford
管弦楽:インストウルメント・オブ・タイム&トゥルース Instruments of Time and Truth
指揮:ポール・ブロ ー Paul Brough
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モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219」 Vn:シュタインバッハー、ルツェルン祝祭弦楽合奏団

Mozart: Violin Concertos 3, 4
Mozart, W.A.
Pentatone
2014-04-29

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219は、1775年12月20日ザルツブルクで作曲された。前作の第4番は10月に作曲されており、9月、10月、12月というペースでヴァイオリン協奏曲を書いたことになる。

第5番は「トルコ風」というニックネームで呼ばれることもあったが、最近はあまり聞かない。第4楽章にトルコ風のフレーズが現れるからだが、これは1773年にミラノで上演したオペラ「ルーチョ・シッラ」の中で使ったバレー音楽「後宮の嫉妬」から借用したもの。

当時のヨーロッパではトルコ風の音楽が流行しており、モーツァルトの同僚ミヒャエル・ハイドンもトルコ風の味付けをした楽曲を書いているので、その影響 があったのかもしれない。

第1楽章のオーケストラによる序奏はゆったりとしたテンポで、オーケストラがとても柔らかく軽やかなニュアンスで演奏しており、否が応でもこれからの演奏への期待が膨らむ。その後出てくるソロ・ヴァイオリンがまた非常に大きく間を取り、ささやくような音で入って来るので、一気に音楽に引き込まれた。

全体的に遅めのテンポを取っており、「ロマンチック」と言ってもいい演奏になっている。モーツァルトの時代の様式を尊重するやり方とは一線を画し、現代人の感性に訴えかける演奏だ。夢見るように歌い、繊細なニュアンスはこまやかな心遣いに満ちている。

ただ優しいだけの演奏ではなく、シュタインバッハーの個性も十分発揮されている。第3楽章のトルコ風のフレーズでは熱気を帯びた節回しを聴かせ、音楽の感興が大きく盛り上がってクライマックスを作っていた。

アラベラ・ミホ・シュタインバッハーは、1981年生まれのヴァイオリン奏者。 日本人の母とドイツ人の父の間に、ミュンヘンで生まれた。3歳のとき、母親が、 ドイツ人のヴァイオリン教師がスズキ・メソッドを学んで日本から帰ってきたという記事を読み、ヴァイオリンのレッスンを始めた。9歳のとき、ミュンヘン 音楽大学に入学し、アナ・チュマチェンコの指導を受ける。

イヴリー・ギトリスと出会い、コロラド州アスペンでドロシー・デレーとクルト・ サスマンシャウス のマスタークラス に参加した。 ハノーファーのヨーゼフ・ヨアヒム国際ヴァイオリン・コンクール、2001年のバイエルン自由州からの助成金など、いくつかの重要な賞を受賞し、アンネ=ゾフィー・ムターのフロインデス・クライス(「友人の輪」)の生徒となった。

ベルリン放送交響楽団とウラジミール・ユロフスキーとの録音では、ヒンデミッ卜とブリテンのヴァイオリン協奏曲を演奏している。アラベラ・シュタインバッハーは、2009年からPENTATONEの専属レコーディングを担当。多くの国際的、国内的な音楽賞やノミネートの中で彼女はECHOクラシックを2度受賞している。

CAREアンバサダーとして、シュタインバッハーは、音楽を必要としている人たちを元気づけ、サポートするための手段として活用している。2011年12月 には、東日本大震災を受け、日本でのツアーを開始した。このツアーで行われたアウトリーチやユース・リサイタルを収録したDVD 「Arabella Steinbacher -Music of Hope」がまもなく発売された。

現在、日本音楽財団から提供されたブース・ストラディバリウス(1716年製)を使っている。

2017年、ウィーンのユニバーサル・エディションの出版社であるヴォルフガン グ・シャウフラーと結婚した。

2023年4月、シュタインバッハーは作曲家ジョルジュ・レンツの新作ヴァイオ リン協奏曲「遠い天空に梁を...」を初演する予定。

モーツァルト
「ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219」 (カデンツァ:ヨーゼフ・ヨアヒム) 
ヴァイオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハー Arabella Miho Steinbacher
管弦楽:ルツェルン祝祭弦楽合奏 Festival Strings Lucerne
リーダー:ダニエル・ドッズ
録音時期:2013年9月
録音場所:チューリッヒ、オーバーシュトラース教会

Mozart: Violin Concertos
PentaTone
2022-01-21







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モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調K.218」 Vn:スクリデ、オードラン指揮スウェーデン室内管

Mozart: Violin Concertos
Skride, Baiba
Orfeo
2020-09-04

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調K.218は、1775年10月ザルツブルクで作曲された。前作の第3番が9月に完成しているので、ほぼ同時期に書かれたとしていいと思う。

バックを務めるスウェーデン室内管の音がとても豊かに録れている。冒頭から音に広がりのあり、低音域が効いているので奥行きも感じられる。そうした豊かなオーケストラに支えられて、スクリデのヴァイオリンが純粋な音で入ってくる。

艶が乗っておりまた気品のある音が楽しめる。演奏の行き方も同様に奇を衒わない素直な解釈で、安心して聴いていられる。決してぬるい演奏ではなく、充実した自信に満ちている。

第3楽章中間部のソロ・ヴァイオリンが重音を奏でるところは、低音弦をハッキリ響かせることで、思いっきりこの効果を発揮させ、聴く者に鮮烈な印象を与えている。他の演奏者、例えばムターなどはここをさりげなく弾くことで、聴衆に特に重音奏法を使っていることを気づかせないようにしているのとは対照的。

バイバ・スクリデは、1981年、ラトビア生まれのヴァイオリニスト。2001年のエリザベート王妃ヴァイオリン・コンクールで優勝している。

ラトビアの音楽一家に生まれ、音楽への愛情は、彼女と2人の妹に歌を教えた祖母に由来している。父親は有名な合唱指揮者であり、母親はピアノを弾く。1 歳下の妹のラウマ・スクリデもピアノを弾き、2歳上の姉のリンダはヴィオラを演奏している。ラトビアでは、3歳のときに音楽学校に通い、4歳の時にはすでにヴァイオリンを演奏しており、5歳になる直前に最初のコンサートを開いた。

リガの音楽才能のための特別学校に通い、1995年からは、ロストックの音楽演 劇音楽院でペトル・ムンテァヌに師事。長い間、リガの特別学校とロストックの大学を往復していた。ルッジェー口・リッチとルイス・カプランのマスタークラスを受講している。

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ニュージーランド交響楽団など、世界各地で演奏している。
以前は日本音楽財団から貸与されたストラディヴァリウス「ヴィルヘルムジ」 (1725年)、その後ギドン・クレーメルから貸与されたストラディヴァリウス 「エクス・バロン・フェリッシュ」(1734年)で演奏していた。

現在は、ベアレス国際ヴァイオリン協会を通じてニーマン家から貸与されたイフラー・ニーマンのストラディヴァリウスを弾いている。

妹はピアニストのラウマ・スクライドとヴィオラのリンダ・スクリデである。

モーツァルトはヴァイオリン協奏曲のためにソロのカデンツァを作曲しておら ず、当時の慣習では即興で演奏されていた。この録音に収録されているカデンツァは、すべてバイバ・スクリデによるもの。

指揮者のアイヴィン・オードランは、「バイバはとても直感的な奏者だ」と書いている。「彼女は、演奏しながら音楽を発見するという珍しい性質を持っている。 だから、まったく同じ演奏をすることはない。そこには、創造し、発見し、新しい方法を見つけるという素晴らしい感覚がある。」

スクリデはこのアルバムについて。"モーツァルトには、さまざまな超名盤があることは知っていますが、何千回も聴いた、そしてこれからも何千回も聴くであろう音楽を、新しい目で楽しみ、だだ音楽を聴かせることが大切だと思います。 ”と語っている。

モーツァルト
「ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調K.218」
ヴァイオリン:バイバ・スクリデ BaibaSkride
指揮:アイヴィン・オードラン Eivind Aadland
管弦楽:スウェーデン室内管弦楽団

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Huawei 7型 タブレットパソコン MediaPad T2 7.0 Pro
STAX SR-009
Teac DAコンバータ 501
バッハ オルガン全集がSACD5枚組みに
ダウランドのリュート全集がSACD1枚に
プーランクのピアノ全集と室内楽5枚組み
ヴィヴァルディ10枚組み
ショスタコーヴィチ 交響曲全集
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