NadegataPapaのクラシック音楽試聴記

クラシック音楽の試聴記です。オーケストラ、オペラ、室内楽、音楽史から現代音楽まで何でも聴きます。 カテゴリーに作曲家を年代順に並べていますが、外国の現代作曲家は五十音順にして、日本人作曲家は一番下に年代順に並べています。

マーラー、交響曲第3番

マーラー「交響曲第3番」ノット指揮スウェーデン放送響、合唱団、Ms:レスマーク、アドルフ・フレデリック少年合唱団



スウェーデン放送のウェブ・サイトで、ジョナサン・ノット指揮スウェーデン放送響のマーラーの第3番を聴いた。2013年11月7日に行われたコンサートでの収録だ。

ノットは1962年イギリス生まれの指揮者。2000年以来バンベルク交響楽団の首席指揮者を務める他、2014年からは東京都交響楽団の音楽監督に就任することも決まっており、日本にも馴染みの深い指揮者だ。2000年から2005年まではアンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督も務めるなど、現代音楽に強い所も見せている。

ノットはTudorというレーベルに、バンベルク響とマーラーの交響曲をかなりの数入れているが、全集になったのかどうか分からない。第3番も録音しているようだ。このときは藤村実穂子が歌っている。

この日聴いたノットのマーラーを一言で言うなら、奇を衒わない正統派のマーラーということだろう。聴く者の心をぞっとさせるような表現主義的な所は全くなく、極めて音楽的で誠実な演奏だ。その分個性がないと言えなくもないが、マーラーが書いた複雑な書法を素直に堪能できる。

それでも第1楽章のフィナーレは圧倒的な盛り上がりで、凄い推進力でドンドン進んでいき、音楽が輝かしい頂点に達した。これには聴衆も度肝を抜かれたようで、第1楽章が終わってから拍手が沸き起こったくらいだ。

第2楽章は、穏やかで平和な雰囲気が漂う音楽。途中でアジア風の緊張感が高くなるところでは、集中力の強い演奏を聴かせ、最後は夢見るような甘く美しい表現で決めてくれた。第3楽章では独奏トランペット(ポストホルン?)が大活躍する場面あるが、これはちょっと危なつかしかった。技量的に難しく、多分奏者にとっても緊張感を要求される場面だろうけど、だからこそ腕の見せ所ともいえる。間違えているわけじゃないけど、「おっとっとっと」って感じに聴こえた。これもライブを聴く楽しみ?かもしれない。

第4楽章はスウェーデンのメゾ・ソプラノ、スザンヌ・レスマークが暖かい歌を聴かせる。ちょっとくぐもった鼻に抜ける声で柔らかく歌うが、その分発音は不明瞭な所がある。とても堂々とした立派な歌だった。

ここではオブリガードのオーボエがグリッサンドをつけて演奏している。これはちょっと奇妙に感じた。今までこうした処理は聴いたことがない。なんだか豆腐屋のチャルメラを聴いている気になってくる。もちろんマーラーが豆腐屋のチャルメラを知っているはずはないが、グリッサンドのフレーズが何度も出て来るので、かなり気になった。ノットのアイディアなんだろうか。それとも奏者のアドリブ?

少年合唱団が活躍する第5楽章は、とても明るく前向きな音楽。この曲はいつ聴いても気持ちがいい。静かな情念が渦巻く第6楽章では、ノットはあまり個性的な変化をつけず素直な音楽づくりをしていることに好感が持てる。集中力は高く、充実した音楽が聴けた。この楽章もいつ聴いてもそれなりに感動する音楽ではあるけれど。

マーラー「交響曲第3番」
指揮:ジョナサン・ノット(Jonathan Nott)
演奏:スウェーデン放送交響楽団(Sveriges Radios Symfoniorkester)
メゾ・ソプラノ:スザンヌ・レスマーク(Susanne Resmark)
合唱:スウェーデン放送合唱団
アドルフ・フレデリック少年合唱団(Adolf Fredriks Gosskor)
収録: 2013年11月7日ストックホルム
音源:スウェーデン放送(Sverige Radio) P2 Live Klassiskt

マーラー交響曲第3番チョン・ミョンフン指揮NHK交響楽団

Mahler: Symphony No.1No.1マーラー:交響曲第2番「復活」マーラー:交響曲第2番「復活」 [CD]
↑1番と2番が出ている

マーラー没後100年に合わせてN響では全曲演奏会が予定されている。3番はチョン・ミョンフン。演奏は力強くなかなか良かった。速めのテンポでドンドン進んでいく。集中力が強く長大な曲を飽きさせることなく聴かせる手腕は大したものだ。

N響は功成り名を遂げた名指揮者ばかり、しかも穏やかな人をつれてきているが、そんな人からはそこそこの演奏は期待できても、強烈な名演は生まれない。NHKという半ば役所のようなぬるま湯につかった状態のN響には、チョン・ミョンフンのような若くて有無を言わさずぐいぐい引っ張っていく指揮者が必要だと思う。

東京児童合唱団が4楽章の冒頭「ディン!、ドン!、ディン!、ドン!」と歌うところで、はち切れんばかりに声を出していたのが印象的だった。
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